目次
品種改良が進んでからは、夏に開花するコスモス、多彩な花色、咲き方も種類が多くなりました。
種からでも簡単に育てられるコスモスは、ガーデニングを始めたばかりの方にもおすすめです。
コスモスに適した環境やお手入れの方法、そのほかにも気を付けたい病害虫など、コスモスの育て方を紹介します。
コスモス(秋桜)について
コスモスはメキシコ原産のキク科の花です。花色は薄紅色から濃紅色、白や黄色のほかに、オレンジや花弁の縁に色が付いたもの(ピコティ)などがあります。
植物名 | コスモス |
別名 | コスモス |
和名 | ・秋桜(アキザクラ) ・大春車菊(オオハルシャギク) |
学名 | Cosmos bipinnatus,Cosmos sulphreus |
英名 | Cosmos |
科名 | キク科 |
属名 | コスモス属 |
原産地 | メキシコ |
コスモスの特徴
・開花期は6~11月。・非耐寒性の一年草。
・草丈は40~130cm(極矮性種は20~30cm)。
従来のコスモスは日の長さが短い季節に咲く日長反応(にっちょうはんのう)が短日性の植物ですが、品種改良が進み、夏に開花する品種も出回り、最近では日長に関係なく咲く品種も増えています。
コスモスの園芸品種は、主にビピンナタス種(Cosmos bipinnatus)とスルフレウス種(C.sulphreus)です。
※日長反応…コスモスの場合、日の長さの影響を受けて花芽が形成される反応のことで、発芽や開花する時期に違いが出る影響のひとつ。
ビピンナタス種
葉身は細く、羽状複葉(うじょうふくよう)で広がりのある葉をつけます。名前の由来も葉の形からきており、bi=2つ、pinnatus=羽状の、という2つの言葉が組み合わさってできています。
色は濃紅色、薄紅色、白色が中心でしたが、品種改良によって黄色(品種名:イエローガーデン)なども増えました。
スルフレウス種
キバナコスモスと呼ばれるスルフレウス種の葉身は、ビピンナタス種の葉よりも広く、標高が低い位置で育つ性質を持っているため、ビピンナタス種のコスモスに比べると耐暑性があります。花色は黄色や橙色が中心でしたが、品種改良により赤色系の品種も増えています。
アトロサンギネウス種(チョコレートコスモス)の特徴
チョコレートコスモスと呼ばれる原種です。花の色、香りもチョコレートで、近年人気の品種です。宿根草なので根が肥大して貯蔵根になので、コスモスの仲間よりもダリアに似た性質を持ちます。
低温と高温、強過ぎる日射に弱いため、5~6月に開花した後生育が衰えて伸長が止まり、気温の低下とともに地上部が枯れ、春にまた生育しはじめます。
チョコレートコスモスの挿し木の増やし方
上記のコスモス(ビピンナタス種とスルフレウス種)と違い種子は作らないため、挿し芽などで増やします。葉2対を付けた挿し穂をとり、育苗ポットの土に挿し穴をあけ挿します。発根するまで土の水分を十分保ち、強過ぎる光を避けた場所で育苗します。十分に発根してから植え付けましょう。
▼挿し芽、挿し穂についてはこちらの記事をご覧ください。
コスモスという名
コスモスという名前は、ギリシャ語で「秩序」「調和」を意味する「kosmos」から名付けられました。ヨーロッパの自然科学などではラテン語が用いられていたため、「cosmos」と表記されます。同じくらいの草丈で次々と花色が濃紅色~白色の美しいグラデーションのよう咲いている様子から「cosmos(秩序)」と名付けたのかもしれません。
宇宙と同じ名前?
「cosmos」から、「宇宙」を意味する「cosmo」や「cosmic」という言葉を連想しませんか?宇宙について解明されていくなかで、宇宙空間にも秩序や調和から成り立っていたことから、宇宙にも「cosmo」という呼び名がついたようです。
コスモス(秋桜)を育てる前に
主にビピンナタス種(Cosmos bipinnatus)とスルフレウス種(C.sulphreus)の育て方を紹介します。共に土壌を特に選ばず、種からでも比較的簡単に育てられます。コスモスを育てる環境
日当たりと風通しが良いところで育てましょう。草丈が縦に伸びていく品種と、低く育つ矮性の品種があるので、育てる場所によって好みの品種を選んでください。
コスモスの種の種類
コスモスの品種には、早生品種と晩生品種があります。早生品種:花の咲く時期が7~11月。
晩生品種:花の咲く時期が9~11月。
基本的には、種袋の表記に従って種まきを行なってください。
種まきの時期
コスモスの種は15~20℃で発芽し、種をまいてから2~2カ月半くらいで花を咲かせます。
早生品種は3~8月、晩生新種は8~9月という目安はありますが、種袋の表記に従ってまいてください。
早い時期に種をまくと、草丈が大きくなる傾向があります。
コスモスの苗の選び方
葉に病気が発生していないか確認し、蕾(つぼみ)が多くついているものを選ぶと花付きが良く育てられます。苗の植え付け時期
6~8月が植え付けの適期です。
▼コスモスの品種についてはこちらをご覧ください。
コスモス(秋桜)の鉢植え栽培
お気に入りの品種の種や苗を用意したら、いよいよコスモス栽培のスタートです!種まき
コスモスは、室内よりも風通しの良い屋外での栽培がおすすめです。準備するもの
土壌は特に選びませんが、水はけが良いものを用意します。葉がたくさん茂るので、株間をしっかりとるように注意します。
種まきの手順
株間は10cmほど。一箇所に2~4粒の種をまき、軽く覆土した後、十分に水を与えます。芽が出るまで水切れしないように注意しましょう。
苗の植え付け
草丈の大きくなるコスモスは、なるべく大きめの鉢に植え付けましょう。※準備するものは「鉢植え栽培:コスモスの種から育てる」と同じです。
苗の植え付けの手順
上図のように鉢に植え付けます。根が活着するまでは水切れしないように気を付けましょう。コスモス(秋桜)の地植え栽培
地植えの場合も、日当たりが良くて風通しの良い場所で育てましょう。鉢植え栽培よりも花付きが良く、大株に生育できますよ。種まき
鉢植え栽培と同様に2~4粒の種をまき、軽く覆土して十分に水やりを。芽が出るまでは水切れしないように注意しましょう。株間は鉢植えのときよりも広めにとります。
苗の植え付け
地植えは、鉢植え栽培のコスモスより根が張りやすく大株に育ちます。何箇所か苗を植え付ける際は、20cmほど株間をあけると良いでしょう。苗の植え付け手順
上図のように、株元が地表と同じ高さになるように植え付けます。苗と土の間に隙間ができないように、なおかつ土を締め固め過ぎないように苗の周りを押さえて、苗が倒れないようにします。
根が張るまでは水切れしないように気を付けましょう。
コスモス(秋桜)の日頃の管理
種が発芽して本葉が6枚ほどまで生長し、苗が活着したあとの管理の方法を紹介します。コスモスの水やり
比較的乾燥に耐えますが、夏場の高温期の水切れには注意が必要です。鉢植えの水やり
土の表面が白っぽく乾いてきたら、鉢底から水が流れてくるくらいたっぷりと水をあげます。鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷり与えることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物も時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷり与えることで、土中の水分とともに空気を入れ替え、土中の状態を良く保ちましょう。
地植えの水やり
1週間以上雨が降らないときなどは、状態を確かめ土が乾いていたら水をあげましょう。コスモスの肥料
窒素肥料が多過ぎると枝葉ばかりが茂り、花付きが悪くなります。鉢植えの肥料
鉢植えで育てている場合は追肥をします。液肥または緩効性の肥料を施してください(それぞれ肥料の表示に従いましょう)。
地植えの肥料
地植えの元肥、追肥はほとんどいらないくらいです。蕾を次々つけるので、その力を支える程度に緩効性の肥料を1度施すくらいでOK。
コスモスの病害虫
日当たりや風通しが悪い環境は病害虫が発生しやすくなります。病気
うどんこ病やボトリチス病(灰色かび病)、炭そ病にかかりやすくなってしまいます。ときには薬剤を散布して防除することも必要です。▼コスモスがかかりやすい病気のことならこちらをご覧ください。
害虫
つきやすいのは、ハダニやアブラムシ。見つけたら水で洗い流すか取り除きましょう。イモムシなどの食害を受けることもあるので、見つけたら割り箸などでコスモスから離しましょう。
▼コスモスにつきやすい害虫のことならこちらをご覧ください。
コスモス(秋桜)の3つの剪定目的
一面に広がるコスモス畑のように育てる場合は、特に剪定の必要はありませんが、鉢植えや寄せ植えなどでは適宜剪定が必要です。剪定の注意事項
コスモスの開花期の剪定は、花芽を取り除く(摘芯)ことにもつながるので、7月以降の大掛かりな剪定は控えたほうが安全です。
1. 花芽を増やす剪定方法
本葉が6枚ごろのコスモス先端部分の芽を摘み取ります。そこからわき芽が出て花数を増やすことができます。2. 草丈を抑える剪定方法
コスモスは、早い時期に種をまいて育てることで草丈が高くなります。適期に剪定をしてお好みの高さで楽しみましょう。3. 病害虫を防ぐ剪定
葉が密集して風通しが悪い場合は、内側に向かって伸びているの枝やわき芽を少し剪定してあげると草姿もスッキリして病気の予防にもなります。ただ、切りすぎると花芽もなくなってしまうので気を付けてください。
コスモス(秋桜)の花の楽しみ方
コスモスの花の楽しみ方を紹介します。切り花
わき芽を次々と伸ばし花をつけるので、花を摘み取って切り花としても楽しめます。▼コスモスをおしゃれに暮らしに取り入れるならこちらをご覧ください。
▼切り花を長く楽しむことならこちらをご覧ください。
寄せ植え
花色や咲き方など、さまざまな品種が出ているので、寄せ植えにもおすすめです。手前に草丈の低い植物を植え付けるとバランスよく配置できます。
次の年もコスモスを楽しむ
コスモス(チョコレートコスモス以外)は一年草なので冬になると枯れます。しかし、種を採っておくと来年もコスモスを咲かせることができます。花の数が少なくなってきて、わき芽もあまり伸びなくなってきたら、種の採取に切り替えてみましょう。
枯れた花をそのままにしておくと、花の中心に黒くて細長い種を作ります。
こぼれ種で次の年もコスモスの花を咲かせることもあります。
※植物は種を作るときに力を使うので花を長く持たせたい場合、種の採取は控えましょう。
コスモス畑を楽しむ
ネモフィラで有名な茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園では、秋の花としてコスモスが、みはらしの丘ふもとに広がります。埼玉県久喜市にある鷲宮コスモスふれあいロード。
JR宇都宮線東鷲宮駅と東武伊勢崎線鷲宮駅の間を流れる葛西用水路の両脇を約10kmに渡ってたくさんのコスモスが咲き誇ります。
ランニングコースとしても人気で、春にはポピーが咲き誇ります。
コスモス(秋桜)を育てよう
秋を代表する印象の強いコスモスですが、夏でも楽しめる品種が増え、風にそよぐコスモスの花は涼しさも感じさせてくれます。風通しと日当たりの良い環境なら、あまり花を育てたことがないガーデニング初心者さんでも簡単に育てることができます。
次々と花を咲かせてくれるので、長く楽しめるコスモスの花を育ててみませんか。