ハロウィンでは、なぜカボチャ?ルーツ探しとカボチャを100%楽しむ方法|アメリカ生活アグリ日誌Vol.2

【連載】アメリカ在住日本人家族が体験した農業イベントや、現地の「食・農」に関する情報をレポートするコラム「アメリカ生活アグリ日誌」。第2回は「ハロウィンでは、なぜカボチャ?ルーツ探しとカボチャを100%楽しむ方法」
ジャック・オー・ランタンのルーツやアメリカならではの楽しみ方とは!?


Happy halloween
出典:Pixabay
前回からスタートしたコラムの2回目。アメリカ在住の筆者が現地の農場や食、ガーデン事情を不定期でレポートします。1回目は、秋の風物詩であるトウモロコシの巨大迷路(Corn Maze)を紹介しました。

日本のハロウィン、アメリカのハロウィン

ハロウィン
出典:写真AC
日本でも秋の行事として定着した感のあるハロウィン。ここまで盛り上がるようになったきっかけは、東京ディズニーランドでのイベントと川崎の仮装パレードといわれています。両方とも1997年にスタートしました。

一方、本場アメリカ。”Trick or Treat(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)”と近所の家を訪れお菓子をもらうハロウィンは、どちらかというと、子どものためのイベントです。そしてそこに欠かせないのは、カボチャ。

今回はAGRI PICKらしく、カボチャに焦点を当ててアメリカのハロウィンを紹介します!

元々のジャック・オー・ランタンはカボチャじゃなかった!?

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出典:Flickr (Photo by Culture Vannin)
ハロウィンというと、オレンジ色のカボチャというイメージがありますが、元々は違う野菜を使っていました。
ずばり、それはカブ。カブはヨーロッパでは紀元前から栽培されていたといわれており、人々の暮らしに身近な野菜でした。

元々ハロウィンは、古代ケルト人のサウィン(万霊節)という伝統行事が起源となっています。
10月31日は新年前夜の大晦日で、先祖の霊が家に帰ってくる日とされていました。その中に悪霊や魔女も混ざっていると恐れた人々は、身を守るために仮装し、邪悪な霊を追い払うための灯りとしてカブのランタンを用いたのです。(注:古代ケルト人はアイルランド、ウェールズ、スコットランドなどに住む人の先祖とされています)

その後19世紀前半、アイルランドから多くの人が移住したのに伴い、この行事もアメリカに持ち込まれました。
ただ、アメリカではカブになじみがなく…。代わりに豊富に取れるカボチャが使われることとなったのです。

カボチャを仕入れる場所=パンプキンパッチ

パンプキンパッチ
撮影:Miyuki Tateuchi
今回、私が訪れたのは創業100年のリンゴ果樹園です。ジャック・オー・ランタン用に「これぞ」というカボチャを見つけるために出向きました。ここはリンゴ農家ですがカボチャも栽培しており、リンゴ狩りだけでなくカボチャ目当てのお客さんもたくさんいます。

リンゴの木が連なる場所から開けた場所に出たと思ったら、そこは一面のカボチャ畑。右を見ても左を見ても、カボチャがツルを切られた状態で、ゴロゴロと無造作に転がっています。

カボチャを仕入れることができる場所は、アメリカではパンプキンパッチ(Pumpkin Patch) と呼ばれています。
この時期になると、農場だけでなく、車がよく通る沿道の庭先のようなところにも仮設の直売所が作られ、ハロウィン用のカボチャが売られています。

値段は大きさによりますが、大きなもので8ドル、小さいミニカボチャで5ドル程度です。(注:2020年10月現在、1ドル約105円)
ちなみに、私が行った場所では、1パウンド(約450g)あたり50セントで販売していました。

カボチャもそれぞれに個性があります。縦にちょっと長いものもあれば、横にドテッと大きく膨らんでいるものも。
色味も深みのあるオレンジから、ちょっと緑がかっているもの、そして今回は見かけませんでしたが、白い品種もあります。畑では大人も子どももみんな夢中で、自分好みのカボチャを思い思いに選んでいました。

農場では、この時期ならではの楽しみも

hayride
出典:Pixabay
パンプキンパッチでは、カボチャ以外のお楽しみもあります。

1つは、ヘイライド(hay ride)と呼ばれる荷馬車。ただし、荷車をひくのは馬ではなく、トラクターです。広い農場に欠かせないこの乗り物は、お客さんを乗せて、少し離れた目的地の畑まで運びます。乗り合いバスのような風情ですが、農道なので、乗り心地はガタガタ。5分ほどの乗車はちょっとしたアトラクションのようで、ワクワクします。お目当てのカボチャが重くても、ヘイライドに乗せれば大丈夫です!

そして、もう1つがドーナッツとアップルサイダー。サイダーといっても炭酸ではなく、生搾りの濃いリンゴジュースです。私が住んでいるミシガン州はリンゴが豊富で、収穫期の今、この飲み物が農場の自社工場で作られます。ちょっとヒンヤリした秋の空気の中、ホットで飲むと心に染み入るおいしさがあります。そして、かすかにシナモンの効いたドーナッツ。最高の組み合わせです!

apple farm
撮影:Miyuki Tateuchi
ハロウィン用のカボチャは、スーパーでも手にいれることができますが、こんな楽しみがあるので、少し遠くても農場まで足を運んで仕入れたくなるのです。

ジャック・オー・ランタンは食べられる?

Jack O lantern
出典:Pixabay
仕入れたカボチャは、ジャック・オー・ランタンにしたり、ペインティングをして飾ります。見かけはずっしり中身が詰まっていそうですが、意外にも果肉はあまりなく、主に種とワタをかき出して使います。

好きな形に彫るためのカービングの専用ナイフや、型紙を当てて切れば良るだけでよいデザインキットも量販店で売られているので、初心者でも簡単に作ることができます。

農場の人によると、装飾用カボチャは「食べても問題はない」ということですが、果肉が水っぽいのであまり食用には向きません。おすすめは、取り出した種のロースト。オリーブオイルと塩を若干ふりかけ、オーブンにかけると香ばしく、お酒のおつまみになります。

バイバイ、私のパンプキン

 リスとカボチャ
出典:Pixabay
ハロウィンが終わった後、せっかく作ったランタンはどうしているのでしょうか?穴をあけ空気に触れると、カボチャは腐敗しやすくなるので、注意が必要です。

アメリカでは、地域によってはコンポストを推奨しており、庭の落ち葉と一緒に回収・再利用してもらえる場合があります。自宅の庭に埋めたり、小さく切って庭に出没するリス(冬眠前のエサ探しに必死です!)にあげる人もいます。

日本とは異なり、ジャック・オー・ランタンが食用ではないためか、アメリカではカボチャ料理はあまり作られていない印象があります。パンプキンパイもどちらかというと、ハロウィンではなく、11月末のサンクスギビングデーに登場します。次回は、あまり知られていないサンクスギビングデーの食材について、紹介したいと思っています。

AGRI PICKでは、おうちで楽しめるハロウィンについてもご紹介しています。



 

Miyuki Tateuchi プロフィール
就職情報会社、外資系人事コンサルティング会社を経て、2017年よりアグリコネクト株式会社でリサーチ業務に従事。アグリテック、食と健康、フードロス、食ブランド、食育などの各テーマについて、国内外の事例を調査。2019年より夫の転勤に伴い、アメリカのミシガン州在住。成長期真っ只中の2児の母。農業と地域、世界の料理などへの興味を元に、情報発信していきます。

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Miyuki Tateuchi

現在、アメリカのミシガン州に居住中。海外の農業情報や普段の生活を通して感じた食農トピックを紹介します。祖父が農家だった影響もあり、四季折々の「旬」を大切にしたいと思っています。

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