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身近なもので簡単に作れる自然農薬「ストチュー(ストチュウ)」。無農薬で野菜を育てているときの害虫忌避に効果的で、基本的な材料は、酢・焼酎・木酢液だけ!ストチューの効果、作り方や使い方などを詳しく紹介します。
ストチューの作り方を教えてくれるのは、家庭菜園歴40年のプロ!福田俊先生

画像提供:福田俊
東京農工大学農学部農学科卒。菜園家。ブルーベリー研究家。「どうすればおいしい野菜がたくさん採れるか」「いかにラクで楽しい野菜づくりができるか」を追求し、「フクダ流」自然農的有機栽培を実践。16平米という限られたスペースの市民農園で、年間50品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。監修を務めた家庭菜園誌や著書も多数。
関連サイト
HP:http://www.fukuberry.com/
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著書
『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)
『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)
『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)
ストチュー(ストチュウ)とは?効果や特徴など

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ストチュー(ストチュウ)とは?
ストチューとは、
「酢」と「焼酎」を混ぜ合わせて作る自然農薬のことです。材料の名前をあわせた覚えやすい造語で、「ストチュー」または「ストチュウ」と呼ばれています。身近にあるもので簡単に作れ、化学薬品でないため、自然や人間に優しいのが魅力。
効果を強くするために、ニンニクやペッパーソースを加えて「ペッパーストチュー」「タバスコストチュー」といわれることもあります。
ストチューの効果

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虫が苦手な酢やアルコールを使っているので、
植物に近づく害虫を遠ざける効果があります。ただし
殺虫効果はないため、害虫被害を完全に防ぐ事はできません。植物の生長を日々よく観察して、害虫が繁殖しないうちにストチューなどで予防することが大切です。
ストチューは使い過ぎないようにする!

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基本的にストチューは、
菜園全体や野菜全面にかけるのではなく、スポット的に使いましょう。使い過ぎると、害虫の天敵までも野菜に近寄らなくなってしまいます。アブラムシに対してのテントウムシ、バッタに対してのカマキリのように天敵が増えれば、ストチューを使う必要もなくなります。
酢と焼酎を使った自家製ストチューの作り方と使い方

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実際にストチューを作ってみましょう!皮膚や粘膜に刺激がある材料が多いため、目や口に入ってしまったときは、すぐに水道水で洗い流してくださいね。
ストチューの作り方
Step1. 材料を準備する
容器
中身の入っていないきれいなペットボトル(500ml)を準備します。密閉できるボトルなら何でも大丈夫です。
材料と分量(ペットボトル500ml分)
・酢:150ml(穀物、果実などだけでできた食用もの)
・焼酎:150ml(ホワイトリカーでもOK)
・木酢液:150ml(タールが含まれていないもの。竹酢液でもOK)
▼木酢液とは?通販で買えるおすすめの木酢液など
Step2. 材料を混ぜ合わせる

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酢、焼酎、木酢液すべてをペットボトルに入れて、軽く揺らして混ぜ合わせれば完成です。
Step3. 保存の仕方
常温で保存できます。ふたが開いているとアルコール分が飛んでしまうので、しっかり閉めましょう。1年以上の保存ができますよ。
ストチューの使い方
Point1. ストチューは薄めて使う

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ストチューの原液を水で100〜300倍程度に薄め、霧吹きに入れます。濃度は、害虫にかけて逃げるかどうかなど、何度か試しながら好みの濃度を決めてくださいね。
Point2. 害虫にかける

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アオムシやバッタなどの害虫が野菜を食害していたり、手では捕殺できないぐらい増えたら、害虫が逃げるまで集中的にかけます。アブラムシなど、広範囲に多数の虫がついている場合は、その範囲と野菜全体にかけましょう。
害虫はストチューをかけても死にません。あくまで遠ざけるため、と思いましょう。
効果UP!ペッパーストチューの作り方と注意点
上記で作ったストチューに、
ニンニクやタバスコなどのペッパーソースを加えると、さらに効果があがります。ペッパーストチューを使うときの注意

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唐辛子が入ったペッパーストチューは、
使用するときに皮膚や目に付かないように、また吸い込まないように気をつけましょう。間違って吸い込んだり触れたりすると、ヒリヒリして大変です。子どもや辛いものが苦手な方は、噴霧した野菜を生で食べないように気をつけてくださいね。
ペッパーストチューの作り方

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あらかじめ作っておいたストチューに、
ニンニク1片をすりおろした絞り汁とタバスコなどのペッパーソースを数滴加えます。混ぜた後、噴霧するスプレーが詰まってしまわないように、ガーゼや茶こしでペッパーストチューをこして、またペットボトルに戻します。
使うときは必ず、この原液をストチューと同じように水で薄めて害虫に吹きかけます。
ストチューで撃退!効果が期待できる害虫例

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ストチューが効果的な虫は、アオムシなどの葉を食う幼虫やバッタなどです。
アオムシ
キャベツやハクサイなどアブラナ科の野菜が好物で、春と秋に食害するアオムシ。葉の表にはいなくても、
葉の裏に卵を生んでいることもあるので必ずチェックして、見つけ次第、直接吹きかけるようにします。
アオムシの生体やほかの駆除方法など
ヨトウムシ
夜のうちに多くの野菜の葉や茎を食害するヨトウムシ。ヨトウムシを見つけて直接ストチューをかけるのはむずかしいので、ヨトウガが飛来して卵を生まないように、
春~初夏、秋に作物全体にストチューを噴霧しておきましょう。
ヨトウムシの生体やほかの駆除方法など
アブラムシ
アブラムシは飛来して、葉や茎に付着してから一瞬で増殖し、野菜の養分を吸い出してしまいます。
大量発生する前に、見つけたら直接ストチューを吹きかけましょう。アブラムシの生体やほかの駆除方法など
バッタ
バッタはさまざまな野菜の葉を食べ、植物の生長に大きなダメージを与えます。成虫に近づくにつれて食害もひどくなるので、
早めに見つけてバッタに直接かけて追い出しましょう。無農薬で害虫を予防する!ストチューを試してみよう

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ストチューは、家庭菜園での野菜づくりに安心して使えるおすすめの自然農薬。材料を混ぜるだけで簡単にできて、すぐ使えるのもいいですね!ペットボトルに一度作ればたっぷり使えるので、害虫による食害がひどくならないうちに、ぜひ一度試してみてください。