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菜園家・ブルーベリー研究家
福田 俊東京農工大学農学部農学科卒。「どうすればおいしい野菜がたくさん採れるか」「いかにラクで楽しい野菜づくりができるか」を追求し、「フクダ流」自然農的有機栽培を実践。16平米という限られたスペースの市民農園で、年間50品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。監修を務めた家庭菜園誌や著書も多数。 ■関連サイト HP:http://www.fukuberry.com/ Youtube:https://www.youtube.com/user/f104ryo Instagram:https://www.instagram.com/fukuberry104/?hl=ja Twitter:https://twitter.com/29da104 facebook:https://www.facebook.com/toshi.fukuda.73 ■著書:『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)、『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)、『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)…続きを読む
- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
木酢液とは?
木酢液(もくさくえき)は、木材などの植物原料を加熱して出た煙を冷却して得られる水溶液です。3カ月以上静置し、上部の油分と下部のタール分を除去した後、製品として販売されます。木の有効成分が凝縮されていて、家庭菜園やガーデニング、農業では作物の品質向上、虫の防除などに使われます。木酢液として認められる基準
平成17年2月から「木竹酢液認証制度」により、pHや比重などの品質、製造装置、精製方法などの規格が定められました。詳しい木酢液の規格は下記のページで確認できます。木酢液・竹酢液の規格
木酢液の原料
広葉樹(ナラ、クヌギ、ブナ、カシ、シイなど)、針葉樹(スギ、ヒノキ、マツ、ツガなど)、いろいろな木材が使用されますが、廃材や防腐・防虫処理された木材は基本的に原料として使用できないルールになっています。木酢液の色・匂い
赤褐色、または黄褐色をしています。匂いは焦げたような感じで、「薫製(くんせい)の香り」とも例えられます。木酢液の作り方|手作りは可能?
木酢液の作り方は上の図の通り。木炭など木材の加工品を製造する際に、出てきた煙をパイプに通して集め、冷却することで水溶液にします。水溶液は3カ月以上冷暗所で静置されてから、上層の油分と下層の木タールが取り除かれ、残った中層が木酢液として抽出されます。木酢液は自作できる?
手作りも不可能ではないですが、製造にかなりの手間と歳月を要するため、あまり現実的とはいえません。一般家庭であれば、市販品の購入をおすすめします。木酢液の用途とその効果|虫除け・土壌消毒・植物の生長促進など
木酢液は、害虫の忌避から土壌改良まで幅広い用途に使えます。ここでは、農業やガーデニングでおすすめの使い方を紹介します。虫除け(自然農薬)として活用
木酢液は、農業や家庭菜園、ガーデニングでは虫除けとして多く利用されます。とくに、カメムシやハエの防除に役立つとされています。土壌消毒
木酢液は、土壌に散布後7日程度で分解される性質があるため、土づくり前の消毒剤として利用されることもあります。土壌中の有用微生物の増殖を促す
木酢液を土壌表面に散布することにより、有用微生物が増殖。結果、病原菌が減り、作物の病気のリスクを下げることができます。植物の芽および根の成長促進
作物や芝に、低濃度の木酢液を与えると、根や芽の成長を促すことができます。作物のミネラルの吸収を助ける
木酢液に含まれる、酢酸やプロピオン酸類の有機酸などの成分は、土壌中のミネラルを吸収しやすい形に変える力を持っています。結果、ミネラルが作物へ吸収されやすくなります。堆肥づくりに活用する
木酢液には堆肥を腐らせたり熟したりする作用があるため、牛糞や豚糞をつくるのに最適です。木酢液の使い方を用途別に紹介
ここからは、木酢液の具体的な使い方を紹介します。福田先生直伝の使用方法は必見です!使い方1. 福田先生直伝!アブラムシなどの虫除け
木酢液は原液を500~1,000倍に薄めて、そのまま使うことも可能ですが、おすすめはほかの自然農薬と混ぜる方法!福田先生はストチュー(お酢+焼酎)の中に混ぜて使っていたのだとか。また福田先生は、自然微生物を取り込むために「天恵緑汁」を毎年作られますが、そこに混ぜて使っていたこともあるそうですよ。希釈の割合
「ストチュー」「天恵緑汁」どちらの場合も、300~500倍程度に薄めて使います。散布方法
生育中の野菜にジョウロで上から散水するか、噴霧器で葉裏までかけます。ストチューと天恵緑汁の作り方は、こちらの記事で紹介しています!
使い方2. 土壌の消毒
希釈の割合
20~30倍の高濃度に希釈します。散布の仕方
1平方メートル当たり、5~6リットルを土壌の表面に散布または潅注します。注意点
木酢液が分解するまでに日数を要するので、散布後7~10日は苗の植え付けを避けましょう。使い方3. 有用微生物の増殖を促す
希釈の割合
200~400倍に希釈します。散布の仕方
土壌表面に散布しましょう。有用微生物が増加して病原菌が減少し、病気の頻度が下がります。木酢液のデメリットは?危険性はある??
木酢液のデメリットについてまとめました。木酢液の使用にデメリットはある?
木酢液には独特の匂いが強くあるため、使用するうえでデメリットになるかもしれません。また木酢液は、適した濃度で使用しないと十分な効果が得られなかったり、逆に濃過ぎると植物に悪影響を与えたりする場合があります。発がん性物質などの危険性は?
木酢液の構成成分は製品によって異なるため、危険性の有無は一概にはいえません。認証品の成分は木酢液協会のホームページに記載されているので参考にしてみてください。認証制度の規格に沿って製造されたものであれば、安心して使用できるとされています。参考:日本木酢液協会HP「木酢液・竹酢液Q&A | 日本木酢液協会」
木酢液を購入する際にチェックしたいポイント
木酢液は色々な企業やメーカーが製造・販売しています。種類も多いため違いがわかりづらく、選ぶのに悩んでしまうことも。一番安心なのは「木竹酢液認証協議会」が認証した製品を選ぶこと。認証は、公的機関によって、原材料・製造方法・分析値・装置や容器の材質などの調査が行われ、その報告とサンプルを元に、認証調査委員会にて適合性が判断され与えられるものです。
木竹酢液認証協議会が認証!おすすめの木酢液
スポイトつきで使いやすい
平成29年1月に認証を取得した、安心の木酢液。原料には、岩手県にある伐採後2カ月以内のナラ・コナラの木を使用し、全て国内で製造し自然農薬の大手メーカーが製造
トヨチューは木酢液や竹酢液を数多く販売するメーカー。もちろん認証も受けており、質の高い木酢液が自慢です。丁寧に作られた木酢液は、Amazonなどの通販サイトでも高い評価を得ています。農家におすすめ!大容量サイズ
大規模な家庭菜園、農家におすすめの10Lサイズ。こちらももちろん認証を取得しています。原料は主にカシの木を使用し、色は茶系です。木酢液の保管方法
常温で日の当たらない暗い場所で保管します。ガレージや倉庫などがおすすめです。福田先生は今、木酢液を使っていません!その理由は?
ここまで、木酢液の効果や用途を解説してきましたが、実は福田先生自身は今木酢液を使用することはないそう。その理由をうかがいました。このように、土壌環境が整えばいずれは自然農薬すら必要なくなる畑を目指せるそう。もちろんすぐに達成できるものではないので、まずは木酢液などの自然農薬で豊かな土づくりをしていきたいですね。
木酢液に関するQ&A|動物除けになる?100均ストアのダイソーにもある??
ここでは、木酢液に関してよく挙げられる疑問や質問についてお答えします!木酢液に動物除けの効果はある?
木酢液を薄めて動物を避けたいところにまいたり、吹きつけたりすると動物除けになるという話もありますが、うわさに過ぎません。匂いを嫌って寄り付かない動物もいるかもしれませんが、木酢液だけに頼るのは危険といえます。
木酢液を廃棄したい!どうすればいい?
木酢液は分解能力が高いので、土壌中で10日ほどで分解されます。10kg程度でしたら、植物の根に触れない場所の土壌に埋めましょう。
木酢液はダイソーなどの100均ストアにも売っている?
100均ストアでも、園芸用品として木酢液を販売しています。ただ、時期や店舗によって取り扱い状況は変わるようです。