これまでの「ハッピーファミリーファーマー日記」
雨水タンクを実験的に設置
九州大学の島谷研究室が「雨水利用」の研究をされていて、それに協力する形で、違うタイプの雨水タンクを我が家(米&畜産農家)と、広域避難場所に近いカフェの2カ所に設置しました。熊本地震の経験を活かして、日ごろから「災害時の備え」を心がけている場所です。災害への備えだけでなく、平常時のお試しは大事
コロナ禍でも、容赦なく次々と起きている地震や災害。命さえあれば何とかなる!と常日ごろ思ってはいますが、新型コロナウイルス感染の危険がある中では避難所に行くのもリスクです。そんなわけで、我が家は日ごろから「何かあっても生き延びられる場所」を目指しています。米や野菜はあるので、食糧については心配なし。もし家が倒れても、ビニールハウスや大型テントがあるので寝る場所も大丈夫。歩いて行ける距離に水源があるので、飲み水もOKというわけで、最低限の生活はできるはず。それに加えて、太陽光発電と電気自動車があるので電源も確保できる計画。さらに生活用水の確保までできたら最高!と思っていたので、雨水タンクはとっても心強い存在です。
設置した翌日に雨が降り、シメシメと思って観察していたところ、真黒な水が溜まっていくではないですか!雨どいにたまっていた火山灰です。ひとまず1回タンクを空にして、火山灰を流しました。なんでも、いざというときにいきなりうまくはいきませんから、こういう平常時の「お試し」は大事ですよね。この後は比較的きれいな水が溜まりました。
早速、雨水タンクの水を使ってみました
春先に植えたジャガイモを掘って、雨水タンクにたまった水で泥を落としました。そのジャガイモをアルミホイルで巻いてから、薪ボイラーに突っ込むと、採れたてジャガイモのオーブン焼きのできあがり!最高のおやつです。おいし過ぎて、無言で次々とジャガイモを頬張る女子たち。男子たちからは「フライドポテトにして」とのリクエスト。揚げても揚げても皿に残らないのが、新じゃがフライドポテト。気合いを入れて大量の揚げ物作りに取り掛かります!
アウトドアライフに慣れておけば、災害時もバッチリ!
3月から長期で我が家に滞在している、東京の女子大生2人。田植えが終わった後に畑にテントを張って、そのまま2週間以上もアウトドアで暮らしていました。飲み水は水源から汲んできて、竹や木を集めてきては屋外用薪ストーブで煮炊きする…。このときに彼女たちは、飲み水のほかにも鍋や皿を洗う生活用水が必要、ということに気付いていたので、雨水タンクのありがたみもよ~く理解してくれました。
彼女たちはこのアウトドアライフを送ったことで、農業のスキルよりサバイバルに役に立つ知恵やスキルを得たことでしょう。この先、災害が起きても落ち着いて対処できるはずです。
2020年春・女子大生たちが過ごした我が家でのあれこれ
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」