これまでの「ハッピーファミリーファーマー日記」
怒とうの1カ月で、最短記録が続出
種まきから2週間。その間に苗を育てながら田んぼの準備を進め、苗がちょうどいい大きさに生長するタイミングで田植えができるのがベスト。苗の生長は当然、天気や気温と関係するので、育苗期間中に夏日が続いた今年は、田んぼの準備を急ピッチで行いました。温室の中でグングン伸びる苗。根もしっかり張って、良い苗ができました。苗の水やりは私と娘が主に担当。息子たちは「僕にも水かけて~」とふざけてビショビショになっていましたが、娘は飽きずに水をかけてくれます。4歳のリアル農業女子は、種まきから収穫までの流れも大雑把には把握している模様です。
田んぼの準備は、息子たちと女子大生と娘の全員が参戦して、どの作業も我が家の最短記録を塗り替えました!でも、来年以降は娘しかいないかもしれず、今年だけの特別記録かも。ということで、「コロナ記録」とでも呼びましょうか。
リトルじゃなくなった「リトルファーマーズ」は田植え機デビュー
一方、小6と中3の息子たちは田植え機デビュー。身長も足のサイズも私を越えた息子たちは、既に「リトルファーマーズ」ではなくいっぱしのファーマーになってきました(彼らをリトルファーマーズと呼んでいた経緯については、この連載の初回を見てくださいね)。田植え機は歩き出す前から乗っていましたが、自分で操作したのは初めて。幼少期から見てきたからか、すぐに覚えて、苗を田んぼに植えていくではないですか!?感心、感心!今年は、彼ら自身が食べる分を彼ら自身で植えたんじゃないかな。収穫が楽しみです。
私はというと、体の大きさだけでなく、技術も私を超えた息子たちの成長ぶりを喜びながら、食欲旺盛な彼らの食事を用意する「賄いのおばちゃん」となっているのであります。
そして新たなリトルファーマーズ誕生!?
娘が通っている「森のようちえん」は野外活動が中心なので、コロナ禍でも晴れの日は時間短縮で活動を継続していて、我が家の田植えの見学&体験にも来てくれました。子どもたちにとって、体験のハイライトは「田植え機ライド」。夫が運転する田植え機に一緒に乗るだけなのですが、ちょっとした遊園地のアトラクション並みにおもしろいようで、「僕も乗りたい」「私も乗りたい」と先を争って田植え機に乗り込みます。将来、就農につながるかどうかはさておき、この体験が記憶のどこかに残ってくれたら本望です。あわよくば、彼らが次のリトルファーマーズとなってくれて、農家の後継者不足解消に一役かえたらうれしいのですが。
快く園児たちの「アトラクション」を受け入れてくれた夫にも感謝!
田んぼはフォトジェニック
この時期の水をたたえた田んぼは、どんな時間帯でもフォトジェニック。通りすがりの人も車を停めてスマホで写真を撮っていきますが、わざわざ写真を撮るために来る人も毎年います。
被写体になるのが好きではない夫ですが、こんなフォトジェニックな田園風景を守っているのは私たち農家、という自負を持って、これからも夫婦ともに農業を続けていきたいと思っています。
息子たちも休校中で家にいて、女子大生たちも農業インターンとして手伝ってくれたので、例年よりずっと早く順調に田植えを終えることができました。さぁ、これからはいよいよ草との戦いが始まります!
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」