そんな米作りに欠かせない農業機械の種類や、購入またはシェアすべきかについて紹介します。米作り初心者の方はぜひお見逃しなく!
参考:農林水産省「消費者の部屋」(https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0206/12.html)(2020年4月10日に利用)
米作りに必要な農業器具・機械の種類
米作りに必要な器具や機械の種類、特徴について紹介します。トラクター
トラクターにさまざまなアタッチメントを取り付けることで以下のような作業が可能になります。【作業・用途】
・肥料散布:アタッチメント〜ブロードキャスタ
一度に6~20mの幅に肥料を散布できます。
・畦塗り:アタッチメント〜畔塗り機
人力で畦を塗るよりも早く均一にできることが特徴です。
・田起こし:アタッチメント〜ロータリー
土を乾かすこと、散布した肥料を土に混ぜること、草や稲の切り株を土に鋤き込むことが目的です。米作りにはとくに欠かせない作業です。
・代掻(しろか)き:アタッチメント〜代掻きハロー
田んぼの表面をならします。代掻きハローには折りたたみタイプもあり、コンパクトな状態にして移動や保管ができます。
播種機
床土の入った育苗箱に種もみをまく機械です。【作業・用途】種まき、水かけ、覆土
種まき、水かけ、覆土の3工程が1つの機械で行えます。
育苗器
電気ヒーターや蒸気・温水による熱源で、加温して種もみを発芽させる機械です。【作業・用途】種もみの発芽
2~3日で発芽させられるので生産者にとっては心強い存在です。
散水機
ノズルから水を噴射して苗に水をかける機械です。【作業・用途】苗の散水
設置すれば人がホースを持ってビニールハウス内を往復して水をかける必要がなくなります。
田植え機
ビニールハウスで育てた苗を植え付ける機械です。【作業・用途】苗の植え付け
一度に複数の条に植え付けができます。歩行型と乗用型があり、10条植えの大型タイプも。除草剤や肥料の散布ができるアタッチメントを備えた物もあります。
乗用管理機
生育中の水田内を走行できる乗用の散布機です。【作業・用途】肥料散布、農薬散布
夏場の肥料散布や農薬散布は体力を大きく消耗しますが、乗用管理機を使えば体力の消耗を抑えながら散布作業ができるようになります。
コンバイン
刈り取りと同時に行う機械のことです。【作業・用途】稲の刈り取り、脱穀、選別、藁(わら)の処理
コンバインのタンクに貯まった籾(もみ)は軽トラックなどを使って乾燥機まで運びます。
バインダー
刈り取りと稲の結束を一度に行えます。※脱穀にはハーベスタを使うことが多い。
【作業・用途】刈り取った稲の天日干し
コンバインの入らない小さな圃場や天日干ししたい場合はこちらを。
乾燥機
コンバインで脱穀した籾の乾燥に使用します。【作業・用途】刈り取り、結束
天日干しするよりも短時間での乾燥が可能です。
籾すり機
乾燥させた籾から籾殻を取り除く機械です。【作業・用途】籾殻を取り除く
1時間に35俵以上を処理できる機械もあります。
農業器具・機械は購入すべき?シェアでOK?
農業機械は個人で購入するほかにも複数人でシェアするという方法もあります。ここからは農業従事者として、機械の種類ごとに購入またはシェアのどちらをおすすめするのか、その理由について紹介します。
購入がおすすめな農業器具・機械
よく使う農業機械で比較的安価なものは、やはり購入がおすすめです。共同購入やシェアでは自分のタイミングで使えないこともあり、その結果作業時期がずれ込む事態に陥るからです。トラクター|平均価格 3,345,000円(30PS級 )
トラクターは米作りの中でも一番多く使う機械なので購入がおすすめです。さまざまなアタッチメントは必要ですが、作業時間の多さから考えると徐々にそろえていったほうがよいでしょう。※PSとは出力の馬力。30PS級トラクターの利用規模の下限は10ha。
委託もあり!
すぐに全てのアタッチメントをそろえるのが無理な場合は、肥料散布や畦塗りといった作業はアタッチメントを所有している農家さんに委託するという方法もあります。
播種機|参考価格 227,000円(税別)
播種機は農業機械のなかでは価格が安めの機械です。本格的に農業に取り組むなら購入したほうがよいでしょう。※スズテック/THK1009B(2020年4月現在)
▼播種機のことならこちらをご覧ください。
バインダー|参考価格 380,000円(税別)
稲刈り後は天日干しが必要なので、一連の作業に手間がかかります。刈り取り適期を逃さないためにも、購入し自己所有するのがベストです。※YANMAR/Be114(2019年10月現在)
あると便利な農業器具・機械
無理にそろえる必要はありませんが、あると便利な農業器具・機械を紹介します。育苗器
育苗器も農業機械としては購入しやすい価格帯です。育苗器以外の方法もあり!
発芽させるには種まきが終わった苗箱をビニールハウス内に並べるという方法もあります。
散水機
散水機は非常に安価な器具です。苗への水やりの手間を削減したい場合におすすめです。共同購入・シェアがおすすめ
もともと複数の人数で行う作業を伴う農業機械や高額なものは、共同購入してシェアする方法がおすすめです。田植え機|平均価格 2,282,000円(6条)
複数人で田植え機をシェアすれば、お互いの田植えを手伝えるようになります。田植えでは苗の補充作業が体力を必要とします。複数人で田植えができれば余裕を持って苗の補充ができるので、効率的に作業が進められるでしょう。
※6条植えトラクターの利用規模の下限は10ha。
乗用散布機|参考価格 5,269,000円
乗用散布機は便利な機械ですが、高価なためシェアする方がよいでしょう。防除作業では乗用散布機のほか、手でホースを持って農薬を散布する自走式の動力噴霧機を使う方法もあります。
※丸山製作所/BSA-651LDS(2020年4月現在)
コンバイン|平均価格 3,364,000円(3条)
共同購入すれば田植えのときのように共同作業が可能になります。1人で刈り取りをしながら籾の運搬をすることもできますが、効率的ではありません。時間を有効に使うには複数人で協力したほうがよいでしょう。※自脱型コンバインで刃幅0.8m以上1.2m未満(2~3条刈)の利用規模の下限は10ha。
乾燥機|参考価格 2,170,000円(税別)
コンバインを共同購入・シェアするなら、乾燥機も同様にしたほうが資金的にも作業効率の面でもメリットがあります。※クボタ/KRC35(R)(2020年4月現在)
籾すり機|参考価格 685,000円(税別)
稲刈りをほかの農家さんと協力して行うなら、籾すり機も共同購入がおすすめです。袋詰め作業は体力を必要とするので、体への負担を少なくするためにも協力して行ったほうがよいでしょう。
※YANMAR/SH310A DA(2019年11月現在)
※平均価格について
出典:農林水産省「主要な農業機械の平均的な価格」(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/nogyo/20160913/item4-2.pdf)(2020年4月10日に利用)
※利用規模の下限について
出典:農林水産省「高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針(平成25年5月16日農林水産省告示第1602号)」(https://www.maff.go.jp/j/council/sizai/kikai/18/pdf/data1-1_2.pdf(2020年4月22日に利用)
農業機械は無理なく無駄なく用意する!
米作りに必要な機械はどれも安いものではありません。最初から必要な農機をすべてをそろえるのは無理があります。まずは予算の範囲内でそろえられる農機を購入し、所有していない機械での作業は近隣の農家さんに委託するのがおすすめです。委託費用はかかりますが、購入するよりは安く済むので選択肢のひとつです。JAと全農または県連が協同で、農業機械にかかるコスト削減のためにトラクターの共同購入事業などに取り組んでいます。共同購入することで価格は2~3割安くなっているようです。また、シェアリース事業も行っており、農業機械のコストを抑える取り組みは徐々に広がっています。
これから新規就農を目指す方は、JAの事業を活用することで機械の購入費用が抑えられることも覚えておきましょう。
参考:全国農業協同組合連合会(JA全農)「農機事業」(https://www.zennoh.or.jp)(2020年4月13日に利用)