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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
これからトラクターの購入を考えている方に向け、トラクターのメーカーごとの特徴をご紹介します。
トラクターは農作業の万能アイテム!
トラクターとは、牽引するための、原動機(エンジン)付の車両のこと。トラクタは土を耕す「ロータリ」をはじめとする、「インプルメント(トラクターにつけて使用する作業用機械)」を接続することで、土壌づくり(耕うん)、肥料や農薬や種の散布、草刈り、収穫した物を運搬するなど、さまざまな作業ができる農作業の万能アイテムです!
日本|おすすめトラクターメーカーの特徴と比較
2016年に発表された農林水産省の推計資料によると、日本農業機械工業会の会員企業68社のうち、大手4社の出荷額が全体の約8割を占めています。国内でトラクターを製造・販売する人気メーカー4社「クボタ」「ヤンマー」「イセキ」「三菱マヒンドラ農機」のそれぞれの特徴をご紹介します。参考資料:農林水産省(農業機械をめぐる情勢)
クボタ(KUBOTA)
国内トップシェアを誇るメーカー「クボタ(KUBOTA 」。2021年における会社全体の売上高は2兆1,968億円、機械事業の売上高は1兆8,648億円です。日本のみならず、中国とタイでも、農業機械のトップシェアを獲得しています。トラクターの世界総生産台数(累計)は400万台以上。世界各地でクボタのトラクターが活躍しています。
オレンジ色の車体とクボタの「K」のエンブレムが目印。先進的なトラクターの開発にも積極的で、リモコン操作で無人自動運転作業が可能な「アグリロボトラクタ」、直進アシスト機能付きで作業の負担を軽減する中型・小型トラクターも販売しています。
小さな圃場から大きな圃場まで対応するラインアップの豊富さも魅力的。最小馬力は10.5、最大馬力は170まであります。
クボタ公式サイト(トラクター一覧)
ヤンマー(YANMAR)
クボタに次ぐ国内での高いシェアを誇るメーカー「ヤンマー(YANMAR)」。2021年度の売上高は8,714億円。マスコットキャラクターであるヤン坊とマー坊のCMでおなじみの、赤いボディとアルファベットのVを縦に二つ並べたような「ヤンマーマーク」のエンブレムが目印。1937年(昭和12年)に、 国産初の農業用乗用型トラクターを製造・発売したメーカーでもあります。クボタ同様、生産者の負担を軽減する機能を搭載したトラクターも販売しています。衛星を利用して自動運転ができるオートトラクターや、人を乗せずにタブレットだけでコントロールできるロボットトラクターも販売中。馬力は13馬力から113馬力まであります。
ヤンマー公式サイト(トラクター一覧)
「YANMAR ONLINE EVENT」特設ページ
イセキ(ISEKI)
トラクター、田植機、コンバインなどの農業機械を製造する1926年創業老舗メーカー「イセキ(井関農機株式会社)」。2021年の売上高は1,581億円です。青色のボディが人気のイセキは、海外メーカーのように馬力の高い商品を販売しています。最小馬力は14、最大馬力はなんと280.1馬力もあります。
作業条件の変化でエンジンにかかる負荷が変わる場合でも、自動でエンジンの回転数を調節して走行速度を維持し、さらに消費燃料と騒音を最小限に抑えるダイナミックトラクタマネジメント機能付きのトラクターや、タブレット端末から日頃の作業管理、機械管理情報を記録し分析できるISEKIアグリサポートなど、ICTを活用した先端農業にも対応できるトラクターを販売しています。
イセキ公式サイト(トラクター一覧)
三菱マヒンドラ農機
トラクター、田植機、コンバイン等の農業機械全般を製造販売している三菱重工の子会社「三菱マヒンドラ農機」。2021年の売上高は473億円。トラクター生産台数世界1位のマヒンドラ社(インド)との提携により、2015年に社名変更しています。小型トラクターのラインアップが豊富な三菱マヒンドラは、13馬力から30馬力までの小型トラクターだけでも、6種類販売する充実ぶり。最大馬力はクローラトラクターの138.8馬力。大型で馬力のある「GR・GV・GVKタイプ」は、走行モードとPTO作業モード、けん引作業モードの3種類が選択できる自動変速Gマチック付き。油圧揚力6,100kgf(GR115F、125F、135F)で、4連プラウも楽々持ち上げます。
三菱マヒンドラ農機公式サイト(トラクター一覧)
一覧表
メーカー名 | 最小馬力 | 最大馬力 |
クボタ(KUBOTA) | 10.5 | 170 |
ヤンマー(YANMAR) | 13 | 113 |
イセキ(ISEKI) | 14 | 280.1 |
三菱マヒンドラ農機 | 13 | 138.8 |
海外|おすすめトラクターメーカーの特徴と比較
海外にもトラクターを生産販売しているメーカーが数多くあります。海外メーカーのトラクターの特徴は、最大馬力が高く、頑丈で大型サイズ。広大な土地に対応しているトラクターが多いです。人気の海外メーカーとそれぞれの特徴をご紹介します。ジョンディア(ディア・アンド・カンパニー)|アメリカ
アメリカに本社を置く、世界最大の農業機械メーカー「ディア・アンド・カンパニー」の人気トラクターブランド「ジョンディア」。「ジョンディア」は、ヤンマーが輸入販売を行なっています。ヤンマーが販売するジョンディアは90~410馬力と大型のものばかり。操作パネルは日本語表示なので、安心して使えるのもポイントです。広々としたキャビン内に、小さな冷蔵庫がついたシリーズもあります。
ヤンマー公式サイト(ジョンディア一覧)
フェント(FENDT)|ドイツ
「フェント(FENDT)」は、ドイツの農機メーカーのトラクター。車体が対向車線をはみ出すほどの大きさで、最先端の電子制御と同馬力体のクラスを超えた取り回しの良さが特長。農業経営の成功者の証として名高いトラクターで価格も高く、耕作面積が大きい北海道の畑作農家・酪農家が使用しているイメージがあります。165馬力以上のF700シリーズの最大揚力はリア10,500キロ、フロントとリアの両方に作業機を装着できます。三菱商事のグループ企業「エム・エス・ケー農業機械株式会社」が輸入販売する「フェント(FENDT)」は、120~510馬力と大型のものばかりです。
FENDT公式サイト(トラクター一覧)
エム・エス・ケー農業機械公式サイト(フェント(FENDT)トラクター一覧)
マッセイファーガソン(Massey Ferguson)|フランス
フランス製のトラクター「マッセイファーガソン(Massey Ferguson)」。トラクターのタイヤに掛かる荷重をコントロールして、けん引力を増加させるという画期的な「ファーガソンシステム」を採用した会社として有名です。トラクターのキャビン内の操作装置は一般的に年々複雑化の傾向にありますが、マッセイファーガソンの操作装置は、作業効率を高めるためにとてもシンプルに作られています。MF7700SシリーズのExclusiveバージョンには、トラクターの情報の記録やけん引作業機のコントロールなどを行うディスプレイ「デートロⅣ」が標準装備されています。
エム・エス・ケー農業機械公式サイト(マッセイファーガソン トラクター一覧)
ランボルギーニ|イタリア
イタリアの高級スポーツカーとして有名な自動車メーカー「ランボルギーニ」。車のイメージが強いですが、実は元々トラクターを製造している会社です。「ランボルギーニ」のトラクターの特徴は、なんと言っても、かっこよすぎるデザイン!効率的でパワフルなトラクターを支える最新機能を兼ね備え、耕作作業から道路の移動まで、全ての場面で威力を発揮!大規模な面積の作業や厳しい環境に耐えうるよう開発されています。
コーンズ・エージー公式サイト(ランボルギーニトラクター一覧)
一覧表
メーカー名 | 生産国 | 最小馬力 | 最大馬力 |
ジョンディア(ディア・アンド・カンパニー) | アメリカ | 90 | 410 |
フェント | ドイツ | 79 | 673 |
マッセイファーガソン | フランス | 55 | 295 |
ランボルギーニ | イタリア | 101 | 246 |
韓国産は大幅に減少!トラクターの国別輸入実績
上記で紹介したメーカーの国と韓国のトラクターの国別輸入実績を紹介します。各国とも輸入台数が減少していますが、中でも韓国産は大幅に減少しており、2021年の輸入台数はわずか2台です。
生産国 | 2016年トラクター輸入台数 | 2021年トラクター輸入台数 |
アメリカ | 118 | 53 |
ドイツ | 609 | 501 |
フランス | 705 | 440 |
イタリア | 313 | 259 |
韓国 | 33 | 2 |
世界でのメーカー別シェア率ランキング
2021年度の農業機械メーカーの売上高世界市場シェア率ランキングをご紹介します。国内メーカーのクボタ、ヤンマー、イセキもランクインしています。農業機械メーカーの売上高世界市場シェア(2021年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
1位 | ディア・アンド・カンパニー | 16.1% |
2位 | CNHインダストリアル | 9.4% |
3位 | クボタ(KUBOTA) | 8.2% |
4位 | アグコ | 7.1% |
5位 | ヤンマー(YANMAR) | 4.4% |
6位 | クラース・グループ | 3.5% |
7位 | マヒンドラ・マヒンドラ | 1.6% |
8位 | ファーストトラクター | 1.0% |
9位 | 井関農機(イセキ) | 0.9% |
10位 | SDF | 0.8% |
トラクター購入時の留意点
トラクターを購入する際は、使用用途、圃場や作業機の大きさに合わせたマシンを選ぶとともに、購入時の予算とランニングコストについても留意しましょう。用途と圃場の広さによって選ぶ馬力が変わる
どんな作物を作るのか、何の作業に使うのか、作業機はどのようなものを付けるのか、これらが定まっているのなら、自分にとって必要なトラクターの馬力がわかります。大きな作業機を付けて広い圃場を耕すのなら大きなトラクターが必要ですが、小さな圃場で作業機も小さなものを使うのなら、小回りが利く10馬力程度のトラクターでも間に合うかもしれません。詳しくは、農機具販売店に相談してみましょう。
ランニングコストを考える
海外メーカーのトラクターは、購入時の価格だけでなく、修理費用やメンテナンス費用も高くなりがち。初めてトラクターを購入するのなら、修理部品もすぐに手に入る日本のメーカーのトラクターがおすすめです。トラクターのメンテナンスについて知りたい!
トラクターのタイヤ交換ついて知りたい!
知っておきたい!トラクターの保険
中古という選択肢も
トラクターは何十年も使える農作業機です。中古でも、まだまだ働けるトラクターはたくさんあります。中古のトラクターの選び方については、こちらの記事をご覧ください。トラクターの中古情報
トラクターはアフターケアも考えて選ぼう!
圃場が小さく区切られている水田などで利用する、小型のトラクターが欲しいなら、クボタ、ヤンマー、三菱マヒンドラ農機等の国産トラクターを。広大な土地で3連・4連プラウなど大型の作業機を使うのなら、国産トラクターのハイスペックモデルや海外メーカーのトラクターがおすすめです。故障や不具合が起きた場合も考えて、アフターサービスも考えながら選びましょう。お住まいから近い場所にあるメーカーの販売店や営業所で購入すると、トラブルの時にもすぐに対応してもらえます。
デザインの好みで選ぶのも手です。気に入ったデザインのトラクターがあると、日々の作業の楽しさがアップしますよ。