- ライター
- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
出典:写真AC
凜としていて上品な魅力があるオリーブの木。常緑で銀色にきらめく細い葉が美しく、実も付くので庭木として人気があります。ただし、生長が早く枝が混み合いやすいため、必ず剪定が必要になります!この記事では、オリーブの剪定方法について、緑を楽しみたい場合と、実の収穫を楽しみたい場合に分けてそれぞれ紹介します。
オリーブの品種や育て方については下記の記事をチェック!
初めてでも大丈夫!オリーブは剪定し過ぎてもOK
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オリーブは芽を出すパワーがとても強く、剪定で多めに枝を切ってしまっても、枯れることはほとんどありません。初めての人も怖がらずに思い切って挑戦してみましょう!
剪定しないとどうなる?
オリーブは剪定しないでいると、植えたスペースに収まりきらないほど大きくなり、さらには枝が内部で四方八方に絡み合ってしまいます。また、風通しのいいところが好きな植物なので、剪定することで樹木全体の風通しがよくなり、病気や虫の被害を受けにくくなりますよ。
どのくらい剪定すればいい?
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2月中旬~3月の強剪定では、木の向こう側が見えるくらいまで剪定しましょう。小鳥が通り抜けられる程度をイメージして、しっかりと間引きます。木全体は、広がりを抑え、スペースに合ったサイズに仕立ててください。
剪定の意味や不要枝の見極めなど、もっと基本的なことから知りたい人はこちら!
オリーブの剪定時期はいつ?
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強剪定
メインとなる強剪定は、2月中旬~3月に行います。5~10月は反対に強剪定しないほうがいいので避けてください。オリーブの生長シーズンを避けることで、木の負担が減らせますよ。
軽剪定
春になると、どんどん新しい芽が出てくるオリーブ。すっきり強剪定しておいても、またすぐにワサワサと茂ってきます。オリーブの木や葉を楽しみたい場合は、長く伸び過ぎた枝は夏前に適宜切り戻し、美しい樹形を保ちましょう。
【図解】オリーブの剪定方法|樹形を美しく保つための間引き剪定
出典:PIXTA
実の収穫を目的としていない、観賞用オリーブの木の剪定について紹介します。基本は混み合った部分をカットする「間引き剪定」です!
オリーブは同じ場所から2本の枝が発生しやすいという性質を持っているので、同じ場所から枝分かれした場合は、どちらかの枝を選んで片方を切りましょう。
樹形の完成イメージ
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オリーブの木の種類にもよりますが、横に広がりやすいような剪定をしてしまうと場所をとるので、コンパクトに収めておきたい場合は、傘のような形や縦長の円形をイメージして剪定するといいです。
必ず切るべき枝
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イラストの不要枝の中から、オリーブに関して特に注意して剪定すべき枝は以下です。
枯れ枝(元気がない枝、病気の枝)
絶対に残しておくべきではないのが、枯れている枝や、元気がなくて弱々しい枝。そのままにしておくと見た目が悪いだけでなく、病気や病害虫の温床になってしまう可能性もあります。
下がり枝
地面のほうに伸びている下向きの枝や、木の内側(幹の方)に伸びている枝は、ほかの枝と重なり合ってしまいます。この枝も必ず切りましょう。
平行枝
狭い範囲で外側にまっすぐ平行に伸びている自然な枝も、狭い範囲に密集してしまっているのであれば、優先的に切ります。
ひこばえ
ひこばえとは、根元から脇芽のようにひょろひょろと出ている枝のこと。本体へ回る栄養を奪ってしまうので、これも剪定してください。根元をすっきりさせ、株の上部にボリュームをもたせたほうが格好いい仕上がりになりますよ。
【図解】オリーブの剪定方法|実をたっぷり収穫するための強剪定
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収穫目的の場合、2~3月ごろに行う強剪定がメインです。枯れ枝、弱った枝を付け根からカットするのはもちろん、加えて次のようなポイントを意識して作業してみてください。
実付きがよくなる剪定テクニック
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新梢を残すのが基本
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オリーブの実が付くのは、その年の春~初夏に伸びた新梢です。なので、剪定のときは新梢を残し、古い枝から優先的にカットしましょう。
芯を止める
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植え付けから3年以上経つと、オリーブはだいぶ背が高くなってきます。枝分かれしている木のてっぺんを切り取り、芯を止めましょう。この作業は樹高が高くなるごとに行ってください。一度にたくさん切り戻しし過ぎると、太い枝が出てきて、翌年の実付きが悪くなることもあります。一度に切る長さは50cm程度に留めてください。
長い枝を切り詰める
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オリーブは枝の切り詰めに強い植物です。全ての枝をある程度の長さで切り詰めてしまっても、枝の中間にも花芽が付くので、収穫量が激減することはありません。夏に伸びた20cm以上の枝は、3分の1~2分の1くらいの長さに切り、新しい枝に栄養を行き渡らせるようにするといいでしょう。
オリーブの木を剪定するときは、ここに注意!
撮影:AGRI PICK編集部
病気になった枝は放置しない
病気にかかった枝を剪定したら、庭や畑の隅に放置せず、ゴミに出しましょう。枝に付いたウイルスがほかの株に移り、さらにまん延してしまう可能性があります。
迷った枝は残さず切る
オリーブは風通しがとても大事。なので、観賞用、収穫用のどちらの場合も、「切ろうか、残しておこうか…」と迷ったら、思いきって切ってしまいましょう!枝を残したまま茂らせておく方が、オリーブの木にとっては、あまりいい状態ではないからです。
風通しを重視する
葉が混み合うと、実付きも悪くなってしまいます。絡まり合った枝、重なり合った枝、密集している枝を優先的に剪定しましょう。
道具は使い分ける
オリーブの枝は比較的細いですが、太い部分は剪定鋏だとうまく切れないので、もう少し刃が大きいノコギリなどを用意しておくといいでしょう。
剪定道具については、こちらの記事を参考にしてください!
オリーブの剪定方法を動画で見る|ひょろひょろの幹を太く育てるコツ
オリーブを実際に剪定している様子が見られる動画です。ひょろひょろとしたオリーブの幹を太くする剪定のコツが、わかりやすく解説されています。
剪定したオリーブの枝で、挿し木にチャレンジ!
出典:写真AC
剪定で切り取った枝は、挿し木に利用できますよ。オリーブの挿し木には、3~4月の「休眠枝挿し」と、6月中旬~7月の「緑枝挿し」があります。一般的なのは休眠枝挿しです。
挿し穂を準備する
挿し木用の枝を「挿し穂」と呼びます。挿し穂は、前年に伸びた若い枝であることが条件です。挿し木を行う直前に切り取り、切り口を水に浸けて、乾かないようにしておきましょう。鹿沼土などの無菌の土を湿らせ、そこに挿し穂を挿します。
挿し木の育て方
直射日光が当たるとすぐに乾いてしまうので、置き場所は半日陰を選びましょう。成功すれば1カ月ほどで芽が出て、約3カ月後に発根します。新しい葉がどんどん増えてきたら、日当たりの良い場所に植え替えをしてくださいね。
剪定の仕方をマスターして、理想のオリーブに育てよう!
オリーブの木を観賞目的で育てるなら、切り過ぎ?と思うぐらいスッキリと枝を間引きましょう。もさもさと茂っているオリーブよりも、シャープでおしゃれに見えますよ♪オリーブの実をたくさん収穫したいのなら、新しい枝を残し、古い枝を切るのが基本。剪定というメンテナンスを楽しんで、理想の樹形に仕立ててくださいね!