ねっとりおいしい秋の味覚!里いもの育て方

秋の味覚のひとつ、里いもの栽培方法をご紹介!栽培方法やおすすめの品種から害虫対策まで、初心者でも分かりやすく解説します。家庭菜園の名人が伝授する栽培のコツは要チェックです。


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家庭菜園の隠れた人気野菜といえば、そう、里いもです。夏は涼しげな緑の葉を広げて育つ姿をながめ、秋が深まるころにずっしり太ったいもを収穫。掘りたての里いもはみずみずしく、大地の恵みを丸ごと口にしたような滋味深い味わいです。熱帯性の里いもを家庭菜園で育てるには、ほかの野菜とは少し違った注意点があるので、栽培のポイントを詳しく解説します。秋の大収穫をめざしてさっそく始めましょう!

1. 押さえておきたい、里いも栽培のコツ

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里いもの原産地は、インド東部からインドシナ半島にかけての熱帯アジア。気温が高く雨の多い環境でよく生長します。日本で育てる場合、春に種いもを植えて秋に収穫しますが、植え付け後の低温や夏の乾燥など、気をつけるべき点がいくつかあります。栽培をスタートする前に、次のポイントをきちんと押さえておきましょう。

Point1. 芽出しをしてから植える

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里いもは種いもを菜園に直接植えて育てることもできますが、気温が低いと発芽が遅れ、その後の生長にも影響します。用意した種いもの芽が出ていない場合は、植え付けの3〜4週間前から「芽出し」をしておくと成功率がアップ。浅型のプランターやポリポットに培養土を入れ、種いもの芽のほうを上にして埋め、日当たりのよい暖かい場所に置きます。1日の平均気温が15℃を下回るときは、簡易ビニールハウスなどで防寒しましょう。種いもに緑色の芽がついたら、早めに菜園に植え付けます。

Point2. 夏の乾燥に注意

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湿度の高い環境を好む里いもは、乾燥が苦手。真夏に何日も雨が降らない日が続くと、葉がしおれ、土の中のいもが太らなくなってしまいます。植え付け前に繊維質の多い牛ふん堆肥などを混ぜて土作りをし、きちんと畝を立てて、土の保水性を高めておきましょう。特に乾きやすい場所では、梅雨明けのタイミングで株元にワラを敷き、できるだけ土の水分を逃さないようにします。また、傾斜地の畑では、斜面の下側で栽培した方が乾燥しにくくなります。カラカラ天気が続くときは、涼しくなる夕方の時間帯に、散水ノズルなどを使ってシャワーのように株全体に水やりをしてリフレッシュさせましょう。

Point3. 土寄せを忘れずに

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里いもは種いもの上に新しい親いもができ、さらにその周りに子いもや孫いもができて大きくなります。子いもや孫いもが生長する途中で地面の上に露出すると、芽がついていもが太らなくなってしまいます。これを防ぐために、栽培中はクワで株元に土を盛り上げる「土寄せ」を定期的に行いましょう。土寄せは追肥とセットで、植え付けの1カ月後から月1回を目安に行います。

Point4. 霜が降りる前に収穫しよう

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収穫の時期は株や品種によって違いますが、家庭菜園の場合は10月初旬からスタートします。外側の葉や茎が黄色く枯れ始めたころが、掘り上げのタイミング。里いもは低温に弱いため、霜に当たると傷みやすくなります。12月に入ると平野部でも霜が降り始めるので、収穫はできるだけ11月中に終えるようにしましょう。収穫後のいもを保存する場合も、冷蔵庫には入れず常温で保存します。

2. 品種選び

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里いもは栽培の歴史がとても古く、品種のバラエティも豊富。主なものとして、親いもの周りにできる子いもや孫いもを食べる「土垂(どだれ)」や「石川早生」、親いも、子いも、孫いもをすべて食べる「セレベス」や「八ツ頭」、親いもを食べる「たけのこいも」などがあります。それぞれ食感や風味が違うので、使い道によっていくつか育てるのもおすすめです。

里いもの品種と調理法については、こちらの記事も参考にしてください。

千葉県産 土垂 種いも

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里芋たね 土垂
収穫量が多く、全国各地で育てられている品種。里いも特有のぬめりがしっかりと感じられ、煮っころがしや芋煮、豚汁など幅広い料理に使えます。

・産地:千葉県
・容量:2kg

石川早生 種いも

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石川早生 種いも
大阪で古くから栽培されていた品種で、「きぬかつぎ」に使う里いもとしてよく知られています。主に子いもと孫いもを利用します。

・産地:宮崎県
・容量:1kg

赤芽大吉(セレベス)種いも

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赤芽大吉芋 種いも
インドネシアのセレベス島(スラウェシ島)原産で、芽の部分が赤いことから「赤芽大吉」とも呼ばれます。ホクホクした食感で、煮物や里いもコロッケなどに。親いも、子いも、葉柄(ずいき)が利用できます。

・産地:兵庫県
・容量:1kg

八つ頭種いも

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八つ頭 種いも(唐のいもセット)
親いもと子いもが合体し、1つ500gほどに生長する大型の里いも。葉柄もアクが少なくずいきとして利用できます。末広がりの「八」が付くことから縁起のよい食材とされ、お正月料理のお煮しめなどによく使われます。

・内容:八つ頭500gと唐のいも500gのセット

唐のいも(海老いも)種いも

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唐のいも 種いも
もちもちした食感が特徴で、炊き合わせやあんかけなど幅広い料理でおいしく食べられます。栽培中に土寄せを繰り返すことで、海老のような先が細く曲がった形に成長します。

・容量:1kg

3. 栽培方法

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里いもの植え付けは4月半ばから5月にかけて行います。早めに種いもを手に入れて、上で紹介した方法で芽出しをしておくと、その後の生長がスムーズです。種いもの上に親いもや子いもができるので、溝を掘ってやや深植えにし、土寄せをしながら育てます。収穫までには半年ほどかかり、120〜150cmの高さに生長するので、ほかの野菜の邪魔にならない場所で育てましょう。

栽培カレンダー

植え付け:4月中旬〜5月中旬
収穫:10〜11月

Step1. 酸度調整

栽培する区画の土壌酸度を測り、pH5.5〜6.5になるように必要に応じて石灰をまき、クワで全体を耕してなじませます。酸度調整は植え付けの1〜2週間前に済ませておきましょう。

Step2. 種いもの植え付けと置き肥

幅1mの畝を立て、中央に幅15cm、深さ15cmの溝を掘ります。種いもの芽を上にして40cm間隔で1列に並べ、その間に牛ふん堆肥200g、野菜用の化成肥料30gをそれぞれ置きます。堆肥と肥料はスコップなどで盛り上げるように置き、種いもに肥料が直接触れないように注意してください。溝に土を入れて埋め戻し、畝の表面をならして植え付け完了です。土が湿っている場合は不要ですが、乾いているときは最後にたっぷり水やりをしましょう。

Step3. 追肥と土寄せ

植え付けの1カ月後、株の周りに野菜用の化成肥料をパラパラとまき、クワや移植ゴテで土となじませ、株元に盛り上げるように土寄せします。その後も追肥と土寄せは月に1回ペースで続けます。いもが太り始めると地面から露出しやすくなるので、それ以外のタイミングでもときどき見回って、こまめに土寄せをしましょう。

Step4. 夏の管理作業

梅雨が明けると日ざしが強くなり、気温も上がります。土が乾きやすい場合は、畝の上にワラを敷いて土の湿度を保ちましょう。暑さで葉がしおれているようなときは、気温の下がる夕方に、散水ノズルやジョウロで株全体にたっぷりと水やりします。葉に勢いよく水をかけると、アブラムシなどの害虫対策にもなります。

Step5. 収穫

10〜11月にかけて外側の茎葉が黄色く枯れ始めたら、収穫のタイミングです。葉柄を包丁で切り落とし、株元から少し離れた位置にスコップをさし込んで周りの土をほぐし、いもを丸ごと引き抜きます。子いもや孫いもの付く品種は、土を払い落として親いもから取り外します。収穫作業は霜が降りる前に終えましょう。

4. 里いもの害虫

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里いもは比較的丈夫な野菜ですが、夏の気温の高い時期には害虫が発生しやすくなります。被害が広がると肝心のいもが太らず、収穫量が減ってしまいます。早めの発見と対策が最も効果的なので、栽培中はこまめに葉の状態などをチェックするようにしましょう。特に気をつけたいのが、次の害虫です。

アブラムシ

体長2〜3mmと小さく、ほとんどあらゆる植物に付く害虫です。里いもにつきやすいのはワタアブラムシという種類で、葉の中心部や裏側などに隠れて汁を吸い、葉の生長を妨げます。また、植物から植物へと移動することで、モザイク病などのウイルス病を媒介します。ウイルス病は一度かかると対策がないので、アブラムシの被害を防ぐことが大切です。

アブラムシは気温が高く湿度の低い夏に最も多く発生し、ほうっておくとどんどん数が増えてしまいます。ときどき葉の様子をチェックして、見つけたら早めに対策しましょう。水に弱いので、散水ノズルで葉に勢いよく水をかけて払い落とすのが効果的です。夏場、何日も雨が降らずカラカラ天気が続くようなときは、水やりを兼ねてときどき行うのがおすすめです。

このほか、食品などを原料にした家庭菜園でも安心して使える農薬もあります。

アースガーデン やさお酢

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アース製薬 アースガーデン やさお酢
食酢を原料に作られた、あらゆる植物に使える特定防除剤。アブラムシ、ハダニ、うどんこ病などに効果があり、発生する前に予防として散布するほか、発生した病害虫の退治にも使えます。

・容量:1000ml

ベランダ菜園をしていて、ミニトマト&中玉トマト&ピーマンに使用しています。
時々、1.2匹アブラ虫が現われるものの、害虫被害は全くありません(o^^o)
酢の匂いもすぐに消えますし、気に成るほど強くありません。
たっぷりあるので、シュッシュと心置き無く使用できます。
100%酢なので、5歳のこどもにもお手伝いさせています。
リピ買いします。


セスジスズメ

スズメガの幼虫で、長さ7〜8cmにもなる大型のイモムシ。体は黒く腹に目のような模様があるのが特徴です。とても食欲旺盛で、葉を食い荒らし数日で丸裸にしてしまうこともあります。虫食い跡やふんを見つけたら、葉の裏側や周りを探して、割り箸などで取り除きましょう。

ハスモンヨトウ

ヨトウガというガの幼虫で、里いものほか、アブラナ科やナス科、マメ科など多くの野菜に発生して葉を食い荒らします。若齢のころは薄い緑色で、生長すると灰色がかった色になります。セスジスズメよりは小型ですが、集団化するので被害が大きく、注意が必要です。こまめに見回りをして、見つけたら割り箸などで取り除きましょう。

5. 里いもをおいしく食べるには?

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里いもが収穫できたら、ぜひみずみずしい掘りたてを味わってみてください。里いも本来の滋味深さを堪能するなら、きぬかつぎや煮っころがしなどのシンプルな料理がおすすめ。ほかにも里いもが主役の料理はたくさんあり、品種によっても向いている料理が少しずつ違います。品種ごとの特徴や調理法については、こちらの記事も参考にしてください。

また、里いもを保存するときは、冷蔵庫に入れるとかえって傷みやすくなってしまいます。常温保存や冷凍保存などの詳しい方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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Akiko Isono
Akiko Isono

編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。