- Miyuki Tateuchi
アメリカのミシガン州に居住中。海外の農業情報や普段の生活を通して感じた食農トピックを紹介します。祖父が農家だった影響もあり、四季折々の「旬」を大切にしたいと思っています。…続きを読む
前回は、アメリカのラベンダーフェスティバルの様子を紹介しました。
今回は、夏ならではということでフェス第二弾。アメリカではフルーツの名前がついた「○○フェスティバル」というものが名産地で開催されています。ミシガン州の場合は、チェリーやブルーベリー。
実際に行ってみたブルーベリー狩りと祭典の目玉であるパイコンテストの様子をレポートします。
想像がつかないブルーベリーの木。農園に行ってみた
甘酸っぱさが何とも爽やかなブルーベリー。味は頭の中で再現できても、生の実をそのままいただく機会はあまりないかもしれません。渡米前の私も、ブルーベリーはヨーグルトやジャム、マフィンの具材として食べるものであり、フレーバーのひとつのような位置づけでした。一方、アメリカはベリー天国。夏場には、ブルーベリーのほかにもラズベリー、ブラックベリーなどさまざまな種類のベリーを見かけます。
果実に手が届く!子どもと一緒のフルーツ狩りにもピッタリ
どんな木なのか、全くイメージがわかなかったブルーベリー。実物を見るために、まずはブルーベリー狩りのできる農園を子どもと一緒に訪ねてみることにしました。
日差しが強い炎天下、ブルーベリー農園では帽子が必須。収穫のシーズンは、7月上旬から8月上旬の限られた時期です。
実際行ってみて、意外だったのが、ブルーベリーは割と背丈が低いタイプの木であるということ。
背丈が低いタイプと高いタイプの品種がありますが、低いものは150cmにも満たない高さです。
子どもでも手を伸ばせば実が届く位置。小学校低学年の息子も食べごろの実を見つけては、次から次へと収穫しました。「自分で判断して、自分で収穫した」という満足感が味わえているようでした。
指でつまんでの収穫。デリケートで手間がかかるブルーベリー
収穫方法は、実を一個ずつ、指でつまむというもの。ブルーベリーは小さく、やわらかいので、つぶさないよう丁寧に収穫していきます。私が行った農園では、学校のお掃除に使うような青いバケツを渡され、自分が欲しい分だけ収穫するという方式。
量り売りでバケツ一杯の量だと12ポンド(約5リットル)になるとのことですが、生で食べ切れそうと思った量を収穫しても2ポンドに満たないくらいでした。
ちなみに、自分で収穫するとポンドあたり1.9ドル、収穫済みのものを購入する場合にはポンドあたり3.5ドルという価格です。
高価なイメージのあるブルーベリーにしては良心的な価格。「こんなに楽しめたのに、こんなに値段でいいの?」という、うれしい驚きがありました。
〆のお楽しみはアイスクリーム
収穫の後見過ごせないのが、現地で売られていた冷たいアイスクリーム。グラハムクラッカーを砕いたような「クランブル」がのっていて、食感も楽しめました。
味は、Blueberry Lemon Curd ということで、レモンジュースが加わった爽やかな風味。
どんな味か気になる人は、「レモンカード」のキーワードでレシピの検索もできます。
インパクト大のブルーベリーパイ・コンテスト
ミシガン南西部のサウス・ヘブンという土地で毎年夏に行われるのが「ブルーベリー・フェスティバル」というブルーベリーのお祭りです。1963年から開催されている伝統あるフルーツフェスで、様々な催しが4日にわたって開催されます。
ブルーベリー製品を買えるマーケットのほかにも、地元のブルーベリー農園をまわるスタンプラリーやクラフト制作、音楽、マラソン大会など多彩な内容となっています。
今回、旅の途中に立ち寄ってみました。
アメリカならではのコンテスト
各種イベントの中でも人気となっているのが、「ブルーベリー・パイ・コンテスト」です。1分間の制限時間の中で、どれだけ多くのパイを食べられるかを競います。
ここでの決まりが「手は使わないこと」。
前傾姿勢の犬食いとなるので、自然と口の周りがブルーベリーだらけになり、その様子を参加者も観客も楽しみます。
ブルーベリーの色も手伝って、中には血みどろのようになる参加者もいるほどです。
参考:M Live “Portraits and moments from the National Blueberry Festival in South Haven”
コンテストが終わったら
食品を遊びに使ったイベントは、なかなか日本では行いにくい風潮がありますが、アメリカではそんなことはお構いなし。パイコンテストは他の地域でも実施されていて、何ともアメリカらしいイベントと感じました。そして、コンテスト終了後、食べかけのパイを残しそのまま立ち去ろうとする参加者たち…。開催者がパイの持ち帰りを呼びかけていました。
ブルーベリーを中心に、ブルーベリー好きもそうでない人も集まる地元の夏の風物詩。(実際、パイコンテストの参加者のひとりが周りの参加者に「ブルーベリーパイは好きじゃないんだけど」と言っているのが聞こえました)
地元のスポンサーもついていますが、あまり商業的な感じは受けず、名産品で地元を盛り上げ、主催者も参加者もみんなが一緒に楽しむ場となっていました。
ブルーベリーについて、詳しくはこちらもチェック!
AGRI PICKでは、過去にも「ブルーベリー」関連でたくさんの記事を掲載しています。お家でブルーベリーの栽培を考えている方、秋口が苗を植え替えるのにおすすめです。プランターでの栽培もできます。
品種の確認や食べごろのブルーベリーの見極め方はこちら
ブルーベリーの栽培方法についてはこちら
夏も終わりに近づいていますが、アメリカでは秋口までファーマーズ・マーケットが盛んな時期でもあります。
次回は、アメリカのファーマーズ・マーケットの様子を紹介します。
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「アメリカ生活アグリ日誌」Miyuki Tateuchi プロフィール
就職情報会社、外資系人事コンサルティング会社を経て、2017年よりアグリコネクト株式会社でリサーチ業務に従事。2019年より夫の転勤に伴い、アメリカのミシガン州在住。成長期真っ只中の2児の母。農業と地域、世界の料理などへの興味を元に、情報発信していきます。