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株式会社グリーンフィールドプロジェクト
松崎 英【株式会社グリーンフィールドプロジェクト】有機認証の中でも厳しいとされる「ヨーロッパ有機認証」を取得した、有機種子を輸入・販売。2017年には、日本の固定種を残すことを目的とした「SAVE THE SEED (セーブ・ザ・シード)プロジェクト」を開始。「有機栽培するなら、その種も有機種子であってほしい」という思いから、日本での有機種子の普及に尽力しています。 HP:http://gfp-japan.com/…続きを読む
やわらかくておいしい長ナス、生で食べられる水ナス、カラフルな海外品種から全国のご当地ナスなど、いろいろな種類を育てれば、それだけ料理のバリエーションも広がります。調理別の使い分け方もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ナスの栽培方法はこちらをチェック!
ナスにはどんな種類がある?
焼きナス、揚げナス、炒め物に浅漬けに麻婆ナス…夏野菜のなかでも調理の幅が広く、いろいろな料理に活躍するナス。青ナス、白ナス、丸ナスなど、ナスにはじつにたくさんの種類があります。数あるナス、それぞれの種類の特徴についてご紹介します。青ナス
スーパーなどで目にする一般的なナスが紫色をしているのに対し、青ナスは全体が緑色をしています。加熱すると果肉はとろとろになり、油との相性が非常に良いナスです。GFP松崎さん
青ナスは草勢強いので、できるだけ有機や無施肥での栽培をしてみたい方におすすめです。また、水やりが他のナスより少なめでもよく育ちます。
白ナス
白ナスは、ヘタの部分が緑色で皮が真っ白のナスです。果肉はアクが少なく、非常になめらかで口当たりが良いのが特徴で、加熱するととろとろになります。きれいな白色が美しいナスですが、切って放置すると茶色くなってしまうので、すぐに塩水につけましょう。卵形ナス
卵形ナスは下方が少し膨らんで丸く、中長ナスよりやや短い姿をしています。果肉は適度にやわらかく、皮も比較的薄くやわらかいといえるものが多いナスです。GFP松崎さん
料理の幅が広く、浅漬け、煮物、揚げ物、焼きナスなどどんな料理にもあうのが特徴といえます。加熱と漬物の両方に合うのが魅力です。
米ナス
米ナスは、アメリカの品種を日本で改良して作られたナスです。形は大きい楕円形でヘタは緑色、果肉は肉質しっかり、皮はかためです。GFP松崎さん
漬物には向かず、加熱したナス料理がおいしい印象です。ステーキのように厚切りが有名ですが、煮物・あげナスもおいしいです。
丸ナス
米ナスとよく似た味で、肉質しっかり、皮はかためです。形は米ナスと比べてより丸く、ヘタは紫色をしています。GFP松崎さん
丸ナスといえば京都の「加茂ナス」が有名でしょうか。ステーキのような厚切り焼きに、京みそ田楽が定番だと思います。素揚げもおいしいです。
小丸ナス
小さな丸形をしたナスで、果肉はしまっていて皮の堅いナスです。漬物や煮物に適し、からし漬けで有名な民田(みんでん)ナスや梵天丸(ぼんてんまる)なども小丸ナスの一種です。民田ナスや梵天丸は山形県の在来品種で、小丸ナスのからし漬けは山形県の特産品になっています。中長ナス
流通量が最も多く、店頭などで見かけるナスは一般にこの中長ナスです。肉質や味は卵形ナスとよく似ており、加熱に漬物、どのような料理にも適しています。GFP松崎さん
とくに有名な品種が「千両2号」で、ナスといえば千両2号といえるほど圧倒的な品種です。千両2号は今から50年以上前からナス人気No1、一品種が50年も他の品種を寄せ付けない珍しい野菜だと思います。
長ナス
中長ナスと比較すると、下方が膨らんでおらず長いナスです。皮はかためなので漬物にはあまり向きませんが、果肉はやわらかく、加熱しても煮崩れしにくいので加熱調理に適しています。GFP松崎さん
有名なものでいえば、例えば宮崎県の「佐土原ナス」。薄紫で長いです。ふんわり食感と甘味が絶妙と評判です。
大長ナス
長ナスよりもさらに長く、長いものでは40cm以上に生長します。長ナスと同様、皮はかためで果肉はやわらかく、煮崩れしにくいので、加熱調理に適しています。九州地方で古くから育てられ、「博多長ナス」、「久留米長ナス」、「黒紫大長ナス」などの品種が有名です。ナスの品種を選ぶポイント
まずポイントとなるのが、家庭菜園での育てやすさ、なり疲れなどです。この点でいうと、千両2号がおすすめです。育てやすく、なり疲れもなく、秋までずっと収穫することができます。漬物や揚げ物、煮物、炒め物など幅広い料理に使うことができるのもおすすめの理由です。できるだけ有機や無施肥での栽培をしてみたい方には、草勢の強い青ナスがおすすめです。青ナスには「埼玉青大丸ナス」、「万寿満ナス」、「翡翠ナス」などの品種があります。
調理方法、食べ方もポイントです。ナスには漬物に向いているもの、加熱調理に向いているものなど、種類や品種によって適する調理方法にも違いがあります。小丸ナスのからし漬けを作ってみたい、青ナスや白ナスのとろとろの食感を楽しみたいなど、育てたナスをどうやって食べたいか、品種を選ぶ際に考えてみるのも良いでしょう。
GFP松崎さん
ナスはとにかく水を求める野菜ですので、基本的にはしっかり水をあげて、ナス科なので連作は避けて栽培してください。
ナスのおすすめ品種(種類)
たくさんの種類、品種があるナス。自宅で栽培してみよう、と思っても、品種が多すぎてどれを育てたら良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。育てやすさや食べ方などをポイントに、家庭菜園でおすすめのナスの品種を5種紹介します。千両2号
千両2号は家庭菜園でも育てやすい品種で、果実の形がよくそろい、皮もやわらかくどんな料理にも使えます。長く収穫できるのもポイント。千両2号より草勢が弱く施肥等の手当てが多めに必要となりますが、茎やへたにとげがない「とげなし千両2号」という品種もあります。GFP松崎さん
育てやすさ、おいしさなど総合的なランキングで1位です。早くから長く収穫でき、秀品率が非常に高いことも魅力です。
ふわとろ長
長さ35cm、太さ5cmほどにもなる大長ナスで、果皮は少しかためですが、果肉はやわらかく、ふわふわとろとろの食感が持ち味です。やわらかくてしっかり油を吸う肉質なのに形が崩れないのが魅力で、火の通りも早く炒め物や揚げ物にぴったりの品種です。草勢は強く、2葉ごとに着果するためたくさん収穫できるのもうれしいポイント。収穫が遅れると内部の種が大きくなってしまうので、その点に注意してください。埼玉青大丸ナス
どっしりとした巾着形のナスは、埼玉県の在来種。一般的なナスが黒紫色をしているのは「ナスニン」に代表されるアントシアニン系の色素のためですが、青ナスにはアントシアニン系の色素が含まれていないため、皮は明るい緑色をしています。皮はかたく、中の果肉もしっかりと締まっていており、アクが少なく甘みがあります。加熱するとトロトロになってなめらかな食感も楽しむことができるので、煮物や炒め物、揚げ物など加熱調理に向いている品種です。山形系 梵天丸
梵天丸は山形県在来の小丸ナスで、名前は仙台藩主・伊達政宗の幼名から取られたもの。民田ナスとならぶブランドナスです。直径は3cmほど、皮は薄くてシャキシャキとしており歯ごたえが良く、漬物に向いています。山形県では小丸ナスのからし漬けが特産品になっており、梵天丸もよく使われている品種です。自宅でナスのからし漬けを作ってみたい、という方は栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。病気などにも強く、たくさん収穫できるのも魅力です。果実が卵形の「秋田系 梵天丸」もあります。加茂ナス
京都市北区上加茂で古くから栽培されていて、「京の伝統野菜」に指定されています。重さ300gほどになる大きな丸ナスで、皮はやわらかく果肉はよく締まっています。収穫時期が限られることと、皮に傷がつきやすいことから、ほかの地域にはあまり出回りません。果肉がしっかりしていて煮崩れしにくく、油も吸いすぎないので加熱調理がおすすめです。しぎ焼き、味噌田楽などが定番の食べ方ですが、炒め物などでもおいしく食べられます。定番料理に向く!中長~大長ナス
あまうまごちそうなす
ジューシーでしっかりした甘みが感じられるナス。アクが少ないため、加熱調理のほかに、生や浅漬けでもおいしく食べられます。収穫サイズは、やや小さめの10~12cm。管理作業は、とげに気をつけて行いましょう。庄屋大長(しょうやおおなが)
丈夫で成長が早く、果実の長さは35~40cmにもなる大長ナス。タネが少なくて果肉がやわらかく、焼きナスにすると絶品!炒めて台湾
長さ28cm前後で、鮮やかな紫の皮と白い果肉が美しく、調理後も皮色がきれいに残ります。油との相性がよく、炒め物に最適!暑さや病気に強く、1株から30本程度収穫できます。生でもおいしい!ジューシーな水ナス
ナスは本来アクが強く、生食には向かない野菜。ところが、関西地方で古くから栽培されてきた「水ナス」は、アクが少なく水分たっぷりで、生や浅漬けで食べるのにぴったりです。人気の水ナス品種がこちら!みず茄(みずか)
絞ると水分がジュワッとあふれるほど、みずみずしいナス。甘みがあり、浅漬けなどがおすすめです。栽培初期からよく実がつき、たくさん収穫できます。泉州絹皮水なす
浅漬けやぬか漬けにするほか、生のままスライスしてお刺身のように食べてもおいしい水ナスです。火の通りが早く、焼きなすにしても甘みが楽しめますよ。カラフルで楽しい!海外品種
日本では、ナスといえば黒に近い濃紫色ですが、海外のナスは、白や緑、明るい紫色など、とってもカラフル。いろいろ育てて、その国のナス料理に挑戦してみるのも楽しそうですね!白ナス
ヨーロッパやアメリカ、アジアなどで広く栽培されている白ナス。ナスの英語名(アメリカ英語)は「エッグプラント」ですが、真っ白でつるんとした姿を見ると、その呼び名にも納得がいきます。ほかのナスのように、調理中ほかの食材に色移りする心配がなく、加熱するととろりとした食感が楽しめ、グリルやソテーに向きます。米ナス
日本でもすっかりおなじみの野菜ですが、じつはアメリカの品種を改良したもの。「米ナス」の名前も、ここから来ています。日本のナスと同じように黒っぽい紫色ですが、緑色のへたが見分けのポイント。大型で果肉がしっかりしていて、厚切りソテーや、ラタトゥイユなどの煮込み料理がおすすめです。カプリス
白地に紫のゼブラ柄のおしゃれなナスは、イタリア生まれ。米ナスと同じくらいの大きさで、ずっしりと重みがあります。オリーブオイルでソテーしたり、トマトやチーズを挟んでオーブン焼きにしたりと、イタリア風に味わってみましょう。マクアプアン
「スズメナス」とも呼ばれる小さな緑色のナスは、グリーンカレーなどに欠かせないタイ野菜。大きめのグリーンピースほどの実が鈴なりにつきます。少し苦味があり、カレーやトムヤムスープ、炒め物などに入れると味に深みを与えてくれます。このほかタイのナスには、緑色の長ナス「マクアヤオ」、ゴルフボール大の「マクアプロ」などがあります。大集合!日本全国ご当地ナス
各地方で古くから愛されているご当地ナス。色も形も食べ方も、それぞれバラエティに富んでいます。長岡巾着茄子
こちらは紫色の巾着形ナス。新潟県長岡市・中島地区で100年以上前から栽培されています。直径10cm、重さ250~350gと大型で、アクがやや強く、地元では、蒸してから冷蔵庫で冷やし、からしじょうゆをつけて食べる「蒸かしナス」という食べ方が一般的です。薩摩白長茄子
鹿児島県のご当地品種で、白ナスと呼ばれていますが、果皮は淡い緑色。在来種のなかでは病気に強く、育てやすいナスです。皮がかたいものの、果肉はとてもやわらかく、焼きナスにするとトロトロの食感と甘みが楽しめます。丈夫な苗を選んで、ナスをたくさん収穫しよう
ナスは種から苗を育てる場合、60~80日かかります。手軽に始めたいなら、園芸店やネット通販で苗を購入することもできます。果菜類は栽培期間が長いので、丈夫でよい苗を選んで植えるのが成功の秘訣。葉がピンとしていて色が濃く、虫食い跡のないものを選びましょう。病気に強い品種の台木に、栽培する品種を接ぎ木した「接ぎ木苗」なら、病気のリスクが減らせます。やや割高ですが、収穫量アップをめざす方にはおすすめですよ!