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前回、梅雨対策とわき芽かきについて学んだHAHA PROJECT。作物はだんだんと実をつけてきたようですよ。
計画から自分たちで立てた家庭菜園。とうとう実をつけるまでに
これまでのストーリーはこちら
これまで、HAHA PROJECTはAGRI PICKとともに、計画から植え付けまでを行ってきました。「子どもと一緒に野菜を育てたい」
家庭菜園アドバイザーsanaさん
AGRI PICKで栽培について多くの記事を執筆している植物ライターのsanaさん。自身のライフスタイルに合った無理のない家庭菜園を楽しんでいます。今回もHAHA PROJECTの家庭菜園にアドバイスをしてくれましたよ。sanaさんプロフィール
農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材記事を執筆中。
葉に病斑ができていたミニトマトはどうなった?
6月上旬、HAHA PROJECTのミニトマトの葉には、病斑ができてしまいました。sanaさんのアドバイスに基づき、病斑のある葉を取り除いたところ、6月22日には緑色の実をいくつもつけるまでに生長。ただ、HAHA PROJECT代表の林さんは、黄色に変色している葉が気になっていました。林 理永さん
何枚か黄色く変色している葉があるんですよね。
少し弱っているみたいですね。主枝と残す側枝につく葉の数が少ないようなので、わき芽から出てくる葉を利用して光合成を高めてあげましょう。
sanaさん
家庭菜園において、ミニトマト栽培では2本に仕立てるのがほとんどです。そのため、伸ばす枝以外のわき芽を取り除く「わき芽かき」を行います。
今回は病気と思われる葉を多く取り除いたことで、2本に仕立てた枝についている葉の数が少なくなってしまったので、わき芽を残してもらうことにしました。このとき注意することは、わき芽から出てくる花芽をそのまま育ててしまうと、その分の養分も必要となり、いつまで経っても株が元気にならないということです。余分な花芽は早めにカットしておきましょう。
株が旺盛に育つと、どれが主枝で、どれが残すべき側枝なのかわかりづらいので、残すと決めた枝にテープなどを貼って目印を付けておくと良いですね。また、ミニトマトの実が大きくなってくると重みも増すので、枝が途中で折れないように忘れずに誘引してあげましょう。
sanaさん
トマトの誘引についてはこちらをチェック
曲がったキュウリができている!
キュウリの株には、くるんと丸まった実がついていました。そして葉は黄色くなっています。それを見たsanaさんは、すぐにその実を収穫するようにアドバイスしました。株自体が黄色っぽくなって、疲れていると感じられるときには、実をつけておくとそこに栄養がいってしまうので、すぐに収穫してしまいましょう。下の方にある黄色く変色した葉を2枚ぐらい取り除いてもいいですね。
sanaさん
もう一つのキュウリの株にも小さな実がついていました。
林 理永さん
こちらの株は葉を取り過ぎてしまったかもしれません。
キュウリは、一度に葉を取り過ぎると調子を崩しやすい性質があるので注意が必要なんです。
sanaさん
林さんが1週間前に肥料を与えたということもあり、おそらくキュウリは回復の途上にあるのではとsanaさん。
収穫が始まったキュウリの株には、朝たっぷり水を与えること、これからはコンスタントに肥料を与えることをアドバイスしました。追肥をするときには、生育が悪いからといって一気に多量の肥料を与えると、うどんこ病が発生しやすくなってしまうので注意してください。
お子さんに「変な形のきゅうりだね、食べてごらん」と見せてあげるといいですね。野菜で顔の形を作ってみたり、お盆に飾る精霊馬を作ったりするのも楽しいですよ。
sanaさん
まっすぐなキュウリは水分量と肥料分がぴったりだからできるもの。自然の中で育てる家庭菜園では、いろいろな形になることがあります。できた野菜を楽しんで使えるといいですね。
元気そうなナスには水をたっぷりと。追肥もコンスタントに
ナスは葉や茎がしっかりして、元気そうな様子です。林 理永さん
ナスは肥料を2回あげて、下の方のわき芽をとりました。
調子がよさそうですね。このまま続けていきましょう。ナスの原産地は、インドの中でも降水量が多い肥沃な土地なので、ほかの野菜と比べて水分と肥料を多く必要とします。ナスの花の柱頭が短い場合は、肥料切れまたは水切れのサイン。花が落ちたり、石ナスといって実が硬くなったりしてしまうので、追肥をしてしっかり水分を与えましょう。
sanaさん
ナスの根元には、イタリアンパセリが育ってきていました。
最終的にイタリアンパセリは2〜4本程度残して、適度に間引きます。間引き収穫したイタリアンパセリは、料理の仕上げにお子さんに飾りつけてもらうことも、おままごとの延長みたいで楽しいですよ。
sanaさん
カボチャは悲しい結末に…代わりに何か植えてみる?
カボチャは葉が黄色くなり、しんなりとしてしまっていました。雌花のつき方からみても、摘芯が必要な品種だったかもしれませんね。残念ですがミニカボチャは諦めて、次回改めてチャレンジしましょう。せっかくですから、あいたプランターで何か別のものを育ててみてはいかがですか?
sanaさん
林 理永さん
今から植えるなら、何がいいでしょうか?
夏に強い野菜としてモロヘイヤがあります。ただ、モロヘイヤは種に毒性があるので、花やサヤ、種は絶対に食べないでください。種を保管するときも子どもの手が届かないように注意が必要です。
sanaさん
林 理永さん
そうなんですか!知らなかったです。
ゴーヤもよく育ちますよ。あるいはミニトマトのわき芽を挿してみるとか。これから雨が多い時期になるので、挿し木しておくと根付きやすいと思います。また、スイカやアボカド、カボチャなど食べたあとの種を植えてみる「子どものための農業試験場」にしてみてもいいですね。
sanaさん
林 理永さん
農業試験場、いいですね!
なぜ?生長の異なる二株のピーマン
同じプランターに二つの苗を植えたピーマン。でも、片方の株は大きく育ち、もう一つは少し小さいまま。この原因は何なのでしょう?sanaさんはどうしてこのような差ができたと思うか、林さんに問いかけました。林 理永さん
葉がたくさんあるから、大きく育ったのでしょうか?
小さい株の方には、大きな実がついていますね。株が小さいうちに大きな実をつけたので、株自体が疲れてしまったのです。もう少し株自体を大きく育ててから実をつけた方がいいのです。
sanaさん
小さな株に育った大きな実はすぐに収穫することにしました。また、プランターにやや水が足りない様子を察知したsanaさん。まず水をたっぷり与えて株が元気かどうかを確認して、大きい方の株にできているピーマンをそのまま育てるか様子をみることにしました。
林 理永さん
ピーマンにはまだ追肥をしていないのですが…。
甘やかし栽培もあまりよくないので、肥料を与えずにここまで育てた林さんは栽培が上手なのかもしれませんね。でも、株が疲れていますから、そろそろコンスタントに肥料を与えましょう。
sanaさん
作物を見ていると、元気か元気でないか、ということはわかるようになってくる、とsanaさん。まず、株自体を元気に育てることが大切なので、そのために実を採っていくのは必要なことなのですね。
雨の季節に気を付けることは?
sanaさんは、梅雨の時期に植物の生育が悪くなる主な要因として、多過ぎる雨、光不足、高過ぎる湿度の3つをあげました。多過ぎる雨や光不足は私たちにはどうすることもできませんが、過繁茂による高過ぎる湿度なら防ぐことができます。育てている作物の葉が込み合っていたら、摘葉して風通しを良くしておきましょう。
林さんが栽培しているプランターは葉が込み合っている様子もないですし、新しい土を使用しているので、土からの病気も考えにくい状態です。気になるのは日照不足による生育不良ですが、こればかりは祈るしかないですね。植物の持っている力を信じて待ちましょう!
sanaさん
株自体を大きく育てながら、できた実を楽しもう!
家庭菜園をしていて、実がつくことは大きな喜びです。一方、今回のsanaさんのアドバイスには、「株が疲れている」という言葉がよく出てきました。それは、作物の生育のバランスが取れていないために、実がつくことで草勢が落ちてしまうということを指していました。野菜は茎が木化せず、ある程度まで育ったら、肥大を止める草本性の植物。断続的に収穫する野菜は生長と繁殖による肥大を繰り返すので、草勢を高めながら収穫を続けることが重要です。
そのように栽培するためには、株自体をよく観察して、元気ならそのまま育てる、草勢が落ちているなら実は小さなうちに収穫して、株自体が大きくなるように導いていくという判断が求められることがわかりました。はじめて収穫する野菜は、きっとサイズも形もさまざまなものになるでしょう。それが、まさに家庭菜園ならではの楽しみかもしれませんね。
AGRI PICKでは、今後もHAHA PROJECTの家庭菜園をリポートしていきます。お楽しみに!