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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
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冬から翌春にかけて土の中でゆっくり育つ!プランターでのニンニク栽培のポイント
- ニンニクの栽培適温は15~20℃。9~10月に植え付けがベスト
- 10号ポットで3株、65型プランターで4株のニンニクが栽培可能
- 種ニンニクは1片ずつばらして、深さ2〜3cm程度まで土に押し込むように植え付ける
- 2月から収穫までは月1回の追肥は必須
- ニンニクの収穫時期は5~7月。晴れた日に採るとおいしさアップ!
寒さに強い!プランターで育てるニンニクの栽培時期・気温
ニンニクをプランターに植え付けるのに適した時期は、9~10月。収穫は翌年の春以降なので土の中で冬を越しますが、ニンニクは寒さに強いため、冬の間も特別な管理をすることなく屋外での栽培が可能です。プランターでのニンニクの栽培時期
・植え付け:9〜10月・収穫:翌年5〜7月
※年間平均気温が、12〜15℃の温暖(中間)地基準
プランターでのニンニクの栽培適温
15~20℃ニンニク栽培に適したプランターの設置場所
ニンニクは乾燥気味の環境でよく育ちます。プランターは日当たりと風通しの良い場所に置きましょう。ニンニクのプランター栽培で冬越し対策は必要なし!
ニンニクは秋に植え付けて翌春に収穫するので、北海道や東北地方など冬の寒さが厳しい地域では、雪や霜の対策が気になるかもしれません。しかし寒冷地で販売している種ニンニクは、低温に耐えうる品種であるため雪よけなど特別な道具は不要です。厳冬期でもプランターは室内に入れず、屋外に置きましょう。ニンニク栽培を始めるときの準備|最適なプランターの大きさや土、肥料の種類など
プランターでのニンニク栽培に、支柱や防虫ネットなど特別な道具は不要です。種ニンニクとプランター、野菜培養土、鉢底石、肥料があればすぐに栽培を始められます!ニンニク栽培に適したプランターのサイズや深さ
ニンニクは丸形プランター(ポット・鉢)と長方形プランター、どちらでも育てられます。ニンニクを3株栽培できる!おすすめの丸形プランター
丸形プランターを使う場合、直径30×高さ25cm程度の10号サイズで、3株のニンニクが栽培可能です。ニンニクを4株栽培できる!おすすめの長方形プランター
長方形プランターを使う場合、幅65×奥行20×深さ20cm程度の65型サイズで、4株の栽培が可能です。おいしいニンニクが育つ野菜培養土
ニンニクをプランターで栽培するときは、一般的な野菜培養土を使います。土を選ぶときは、根張りやニンニクの生長を促す元肥入りの野菜培養土を選びましょう。ニンニク栽培におすすめの野菜培養土
ほかの野菜を栽培した土を再利用するとき
ほかの野菜栽培に使った土を再利用するときは、10号ポットの土の量に対して、・堆肥(腐葉土)10%
・くん炭もみ殻二握り
・油かす一握り
・カキ殻石灰一握り
・草木灰一握り
を土に混ぜ込みましょう。
複数の肥料をバランス良く加えることで、失われた栄養分を補い土の力をよみがえらせます。
土の再利用に必要な肥料についての関連記事はこちら
春以降のニンニクの生長を左右する肥料
2月ごろになったら、油かすを一握り、草木灰を一握りをニンニクのプランターに与えましょう。3月以降のニンニクの生長に拍車がかかります!丈夫なニンニクを育てるのに役立つ!おすすめの油かす
立派な根や実の育成に欠かせない!おすすめの草木灰
プランター栽培におすすめのニンニクの品種と植え付け方法
プランター栽培でもしっかり育つ!ニンニクのおすすめ品種
プランター栽培におすすめのニンニクの品種は、栽培する地域の気候などによっても変わります。おすすめの品種 | 年平均気温 | 地域例 |
ホワイト六片 | 9~12℃ | 東北以北の寒冷地など |
山東ニンニク 紫ニンニク | 12~15℃ | 東北の一部と関東以南の中間地など |
ホワイト六片|きめ細やかな身と甘さが特徴!
種ニンニクを購入する際のポイント
種ニンニクは植え付け適期に販売されるので、9〜10月になったら園芸店や通販サイトをチェックしましょう。表皮にハリがあり、ずっしりと重みのある種ニンニクを選ぶのがコツです。スーパーで売っているニンニクは、種ニンニクとして使える?
ニンニクを栽培するときは、園芸店や農産物直売所などで販売している種ニンニクを使いましょう。もしスーパーで買って保管していたニンニクから自然に芽が出てきた場合は、発芽抑制されていないものなのでそのまま植え付けられますよ。安藤康夫さん
私はいつも自分で育てて収穫したニンニクを、次の種ニンニクとして使っています。
種ニンニクをプランターに植え付ける方法
1. 種ニンニクのかたまり(りん茎)の外側の皮を外し、中のニンニク(りん片)は薄皮をつけたまま、1片ずつばらします。1片になったりん片の薄皮は、種ニンニクを土の中の湿度から守るために必要なので、むかないようにしましょう。2. 種ニンニク1片のとがった方を上にして、土の中に深さ2〜3cm程度までグッと押し込みます。複数の種ニンニクを植える場合、株間は10cm程度あけましょう。
3. 種ニンニクに土をかぶせ、手のひらで軽く鎮圧します。
丸型プランターへの植え付け例
長方形プランターへの植え付け例
初心者にもわかりやすい!ニンニクの植え付け方法を動画で見る
プランターでのニンニクの育て方|水やりのコツや追肥のタイミングなど
ニンニクは、こまめな水やりと定期的な追肥をすることで、大きく太っていきます。それぞれの適切なタイミングやコツ、ベストな収穫時期など栽培方法をチェックしましょう。Step1. プランターの土が乾いたら水やり
発芽するまでは、土が乾いてからたっぷり水をあげます。土が乾く前に水やりすると過湿になり、種ニンニクが腐ってしまうので注意しましょう。発芽したら厳冬期でも欠かさず水やりをします。陽が昇って気温が上がってくる時間帯に水をあげるのがおすすめです。安藤康夫さん
ニンニクは水を切らすと大きくなりません。こまめに水やりしましょう!
Step2. 立派なニンニクを育てるために脇芽かきはマスト!
1つの株から2本の芽が出てきたら、少し土を掘って、元気がない方の芽を抜き取るか、はさみやナイフで脇芽の根元を切って取りましょう。脇芽かきをすることで、元気な芽に栄養を行き渡らせます。Step3. 2月になったら月に1回追肥しよう
2月に入ったら、月に一度の頻度で追肥します。比較的暖かい日を選んで、油かすと草木灰を一握りずつプランターの縁にまきましょう。土の中でニンニクが養分を蓄え、大きなニンニクに生長していきます。Step4. 大きなニンニクにするために花芽はカット!
暖かくなって収穫時期に近づいてくると、ニンニクの葉の中心から花芽が伸びてきます。この花芽を放置すると、花の方に養分がまわり、ニンニクが大きくなりません。花芽を見つけたら、花芽のついた茎の根元からはさみでカットするか、手で折り取りましょう。外葉と花芽が付いた茎が同じくらいの高さになったら、摘蕾のタイミングです。安藤康夫さん
摘み取った花芽は、ニンニクの芽として食べられますよ!
プランター栽培でニンニクを収穫するタイミングと保存方法
ニンニクは収穫時期を逃すと球が腐ったり、割れたりします。おいしいニンニクを味わうために、収穫適期を見極めるポイントを押さえておきましょう!プランターで育てたニンニクの収穫時期
ニンニクは、5月以降になると収穫できます。茎が細く締まり、葉先が半分以上枯れて黄色く変色したら収穫OKのサインです。根元の茎を持ち、ほかの株を傷つけないよう手で引き抜きましょう。雨が続いた後に収穫すると味が落ちるので、おいしいニンニクを味わうためには、本格的に梅雨になる前か2~3日晴天が続いたタイミングで収穫しましょう!
収穫したニンニクの保存方法
収穫したニンニクは、根と茎をカットしますが、茎は長めに残しておくと、味が落ちにくく長期保存に効果的です。収穫直後のニンニクは水分を多く含みカビが生えやすいため、すぐに食べない場合は、2~3日軒先につるして天日干ししましょう。天日干しが終わったら、冷暗所でつるして保管します。安藤康夫さん
収穫したニンニクは、種ニンニクとしても次の植え付けに使えます。保存方法は、食用と同じで大丈夫です!
ニンニクを育て終わったら?次の栽培におすすめの野菜と土のリセット方法
ニンニクを育てた後のプランターで栽培するのにおすすめの野菜
ニンニクを収穫した後のプランター内の土を再利用するのであれば、キュウリ栽培がおすすめです。土に残ったニンニクの臭いで、キュウリに付きやすいウリハムシを避けられます。収穫後の土には肥料や有機物が多く残っているので、5月中であれば、すぐにキュウリ栽培を始められますよ!土を休ませたいときのリセット方法
ニンニク栽培後に次の野菜栽培はせず、土を休ませたい場合は、熱消毒しましょう。大きめのビニール袋に土を入れて密閉し、炎天下のコンクリートなどに半月ほど放置しておきます。熱消毒することで、土に含まれる菌や病害虫が死滅します。土の再生や処分についての関連記事はこちら
ニンニクのプランター栽培で注意したいトラブルと対策
ニンニクはほかの野菜と比べて病害虫の被害は少ないですが、栽培期間が8カ月と長く、土の中で生長するため、失敗に気づきにくいことも…。ここでは栽培中に起こりやすいニンニクのトラブルと対策を紹介します。ニンニクの芽が出ない
9~10月の植え付け適期を外れると、ニンニクの発芽は困難です。植え付け時期が早過ぎたり遅過ぎたりすると、種ニンニクは土の中で腐ってしまい発芽できません。また種ニンニクを植え付けるときは、とがっている方が上になっているか必ず確認しましょう。とがっている方を下にして植え付けると、地中に向かって発芽してしまい、いつまでたっても地上に芽が出てきません。栽培中にニンニクが枯れてしまった
収穫前にニンニクが枯れてしまった場合、「さび病」にかかっている可能性が高いかもしれません。さび病とはニンニクやタマネギ、ニラなどのネギ属の野菜がかかりやすい病気で、葉の表面に黄色っぽい病斑が現れます。さび病にかかった場合、葉の色が緑から白に変色して枯れていき、ニンニクが育ちません。主な原因は加湿による根の傷みなので、水分過多にならないよう水やりの頻度やプランターの水はけに注意しましょう。