目次
今回は、卵の殻の成分とともに、卵の殻を使った肥料づくり、ぬか床などの料理で食べる方法、アートや掃除への再利用方法についてご紹介します。
卵の殻を再利用するメリット
卵の殻には良質なカルシウムが含まれており、卵の殻を土に混ぜ込むことによって植物の生長を促すことができます。カルシウムはアルカリ性であるため、酸性に傾いた土を改良する効果も期待されています。卵の殻はひなが育つためのものであり、通気性が良いのが特徴。卵の殻を土に混ぜることで、土の機能が高まり微生物の繁殖を促すので、植物の根の健やかな生長を助けることができます。また、卵の殻のとがった部分は、ナメクジが嫌うといわれています。卵の殻を土の上にまいておくと、虫除けとしても役立ちます。
卵の殻の再利用法1|肥料にする
卵の殻をそのまま土に混ぜても、分解されるまでに長い時間がかかってしまいます。肥料として使う場合には、卵の殻を乾燥させてから粉砕したものを、土にまくようにしましょう。卵の殻を使った肥料は、ホームセンターなどで市販品も入手できます。卵の殻を肥料として活用する際の参考として、まずは市販品を確認してみるのもいいかもしれません。
卵の殻の再利用法2|コンポストに入れる
コンポストは、家庭の生ごみや落ち葉などを微生物が発酵・分解して堆肥化したもののこと。人と自然が共生するための知恵として古くから利用されてきた手法のひとつで、昨今再び注目を集めています。コンポストに入れる主な材料は、野菜や果物、ごはんなど。卵の殻は分解するのに少し時間がかかりますが、時々であれば利用することができます。同様に、玉ねぎやにんにくの皮、生の米なども分解しづらいので使用は控えめにしましょう。分解しづらい材料は「(コンポストに)続けて入れない」ように気を付けてください。
コンポストづくりは、専用の道具を使うと便利ですよ。
コンポストについての記事はこちら
卵の殻の再利用法3|プチ園芸に挑戦
卵の殻は室内でも楽しめる、プチ園芸のアイテム「小さなプランター」として活用するのもおすすめ。お料理にも使える豆苗やカイワレ大根、ハーブなどや、サボテンなどの多肉植物とも相性ぴったり。卵から芽が出てきたようにも見えて、とてもかわいいです。卵を割る時は、卵のとんがった方の上部分を箸など使って割っていくと、きれいな形になります。必ず丸みがある方を下にするようにしましょう。
卵の殻の再利用法4|アートに活用する
卵の殻は、アートとしても再利用できます。自由研究にもぴったりなモザイクアート、カラフルなデザインの卵がかわいいイースターエッグ。エッグアートは、子どもも簡単にできるので、親子で一緒に楽しめますよ。卵の殻でモザイクアート
卵の殻を細かくして着色したものを、モザイクアートのように並べて、接着剤などで貼り付けていきます。子どもと一緒に楽しむことができ、自由研究にもぴったり!モザイクアートをする場合には、卵の中身を出した後、殻の内部にある薄い膜を取り除き、乾燥してから使うようします。細かくして貼り付ける際には、手ではなくピンセットを使うと作業がしやすいですよ。
イースターエッグ
イエス・キリストの復活を祝うイベント「イースター(復活祭)」の定番といえば、「イースターエッグ」。ハロウィンやクリスマスなどと並んで、日本でも昨今人気が高まっている春のイベントです。イースターエッグは、命のシンボルである卵を美しくペインティングしたもの。ゆで卵や卵型の発泡スチロールなどを使うこともありますが、中身をきれいに取り除いた卵の殻で作ることもできます。
作るときは、卵の底に穴をあけ、竹くしを入れて卵の黄身を潰し、穴から少しずつ中身を取り出します。取り出したら中を水でよく洗い、よく乾燥させます。乾燥させたら、絵の具やペンなどで、楽しくペイントしましょう。
卵の殻の再利用法5|掃除に使う
卵の殻は、掃除にも再利用ができます。キッチンシンクの水垢落とし、水筒や急須の茶渋落としなど、あらゆる掃除に大活躍。卵の殻を使った掃除方法をご紹介します。キッチンシンクの掃除
キッチンのシンクは、水あかなどの汚れがたまりやすい場所。卵の殻を砕いたものを用意し、気になる部分をこするようにして磨いてみましょう。ぽろぽろになって使いにくい場合は、メッシュ状の袋に入れて使うと掃除しやすいです。使った後の卵の殻は、そのまま捨てます。茶渋も落とせる
卵の殻は茶渋を落としたい時にも活用できます。使い方は、細かくした卵の殻をカップや水筒、急須などに入れ、少量の水を加えて振り、洗い流します。身近にあるもので汚れをスッキリと落とすことができる、便利な暮らしの知恵です。ぜひ試してみてくださいね。みかんの皮も掃除に活用できる
卵の殻を食べる!?卵の殻を使ったおばあちゃんの知恵と簡単養生ごはん
カルシウムを豊富に含む、卵の殻。卵の殻を加工したものは食品や医薬品に使われていますが、家庭で料理して食べることはできるのでしょうか。ここでは、料理への活用法として、ぬか床、卵酢、卵の殻パウダーを紹介します。卵の殻をぬか床に入れる
昔から「ぬか床が酸っぱくなってきたら卵の殻を入れると良い」といわれています。その理由は、卵の殻はカルシウムを多く含んでおりアルカリ性であるためです。しかし前述したとおり、卵を割った後の殻にはサルモネラ菌が付着している可能性もあります。卵の殻をぬか床に混ぜる場合には、煮沸など加熱してから使うようにしましょう。ちなみに、私自身はぬか床の酸味が気になる時には、辛子の乾燥パウダーを少量加えることが多いです。ぬか床の酸味を抑える方法はいろいろありますので、必要に応じて使い分けてもいいかもしれません。
卵酢
少し前に話題になった「卵酢(たまごす)」。卵全体を酢に漬けて、卵の殻の成分も丸ごと摂取するというものです。「酢卵(すたまご)」と呼ばれることもありますが、どちらも同じものです。生のまま調理する方法ですが、酢の酸の力により、サルモネラ菌の発生を抑制できるとされています。作り方は、卵を保存瓶に入れ、卵が浸かる程度の酢を加えて冷蔵庫で3日程度保管し、殻が柔らかくなっていればOK。箸などで殻だけを取り出した後、全体をよくかき混ぜます。水やお湯などで割って飲むようにしましょう。私も何度か作ったことがありますが、酢の力で卵の殻が変化していく様子が理科の実験のようで、とても面白かったです。
卵の殻パウダー
卵の殻に豊富に含まれるカルシウムを効率よく摂取するために、パウダーにする方法もあります。卵の殻パウダーは市販品としても出回っており、ペットショップなどでは、犬や猫のエサに混ぜるタイプのものも時々見かけます。卵の殻パウダーの作り方はとても簡単。卵の殻をゆでて煮沸消毒をした後、乾燥させます。乾燥させる際に、天日干しという方法もありますが、オーブンで15分程度加熱して手軽に作ることもできます。乾燥した卵の殻はミルサーなどで粉砕して、パウダー状にします。清潔な密閉容器に入れて、高温多湿を避けて保存してください。そのままでも食べられますが、料理や飲み物などに混ぜると食べやすくなります。
卵の殻は汚い?サルモネラ菌の心配は??
「卵の殻って清潔なの?」「サルモネラ菌の心配はないの?」と思っている人も少なくないと思います。サルモネラ菌は、人や家畜の腸内、河川や下水など自然界に広く生息しています。卵の汚染経路は2つあり、卵の内部に取り込まれる場合もありますが、卵の殻には排せつ物を介して付着します。この菌が付いた食品を摂取すると、激しい腹痛や発熱などの症状を引き起こすといわれています。一般的に流通している卵は、洗浄・殺菌されてから出荷されています。しかし、殻の表面にひび割れがあったり、不適切な管理・調理方法などにより、サルモネラ菌が付着する可能性があります。卵を購入する前に状態をよく確認するようにし、購入後は冷蔵庫(10℃以下)で保存するようにしましょう。
サルモネラ菌は、75℃以上で1分間以上加熱することにより死滅するとされています。加熱調理を心がけることも、サルモネラ菌の対策には有効です。特に、乳幼児や妊娠中の女性、高齢者、免疫力が低下している場合には、加熱してから使うことをおすすめします。