みかんの皮に含まれる栄養素は?
みかんの皮には、果肉部分と同様にたっぷりと栄養が含まれています。このなかでも「ヘスペリジン」は、皮の部分に豊富に含まれていることがわかり、昨今注目されています。・ビタミンC…抗酸化作用、美肌効果、皮膚や粘膜を健やかに保つ
・ヘスペリジン(ビタミンP)…血流促進、抗酸化作用、抗炎症作用
・ペクチン…整腸作用、悪玉コレステロールの吸収を抑制
・カリウム…むくみ予防、高血圧予防
・クエン酸…疲労回復
江崎グリコ株式会社「めぐりラボ」https://www.glico-direct.jp/meguri/
みかんの皮を使った、暮らしの知恵
お風呂に!みかんの皮は入浴剤にもなる
みかんなど柑橘系の爽やかな香りは「リモネン」という成分によるもの。リフレッシュ効果があり、保湿効果も期待できます。冬至の時に柚子を浮かべる「柚子湯」のように、みかんの皮を入浴剤として使ってみましょう。生のものも乾燥させたものも、どちらでも使用できます。お湯のなかでバラバラになってしまうのを防ぐために、洗濯ネットなどに入れるのがおすすめです。湯船に浮かべるだけで手軽に楽しめる点も、うれしいですね。私は足湯にみかんの皮を入れることがありますが、いい香りとともに身体がぽかぽか温まってきて幸せな気持ちになります。
みかんの皮で掃除をする
みかんの皮に含まれる成分「リモネン」は油を分解し、「クエン酸」は水垢などの汚れを落とし、「ペクチン」はつや出しの効果が期待されています。つまり、みかんの皮は掃除にもぴったりのアイテムなのです。例えば、油性ペンなどの落書きは、みかんの皮でこすると落ちる場合があります。また、靴磨きに利用するのもおすすめ。靴磨き用としては市販のワックスもありますが、「あの臭いが苦手」という方も少なくありません。みかんの皮で磨けば、爽やかな香りを楽しみながら汚れをすっきりと落とすことができます。ただし、革靴の種類や状態によっては変色してしまう場合もあるため、少しずつ試すようにしてみてくださいね。
みかんの皮で洗剤を作る方法
みかんの皮を使って、掃除用の洗剤を作ることもできます。台所まわりの油汚れや水垢汚れを落とすのにぴったりです。この洗剤を吹きかけて床を磨けば、ペクチンのつや出し効果でワックスにも似た仕上がりになります。作り方は、みかんの皮(2個分)と水(1.5カップ)を鍋に入れて、弱火で10~15分間煮出すだけ。冷めたら煮汁をザルなどでこして、スプレーボトルなどに入れて原液のまま使います。もともと食べられるものなので、小さい子どもやペットなどのいるご家庭にも安心です。
肥料に
乾燥させたみかんの皮は肥料としても使えます。まだまだある!おもしろ活用事例
入浴剤や掃除だけでなく、少し珍しい活用法として、みかんの皮はアートやマスクにも活用されています。みかんの皮のアート
みかんの皮を使ったアート作品が、SNSなどを中心に「みかんアート」という名前で話題になっています。植物や動物、乗り物などさまざまなものが登場し、眺めているだけでも楽しくなります。こたつに入りながら、自分だけの作品を作ってみるのも面白いかもしれませんね。みかんの皮のマスク
新型コロナウイルスの影響で、マスクの品切れが続いたことは記憶に新しいと思います。さまざまな代用品を使うアイデアも飛び交いましたが、中国では、みかんの皮を使う人もいたのだとか。みかんを半分に切って果肉を取り出した後、カップ状になったみかんの皮に左右のひもを通して使っていたことも話題になりました。みかんの皮(陳皮)を食べる、簡単・養生ごはんレシピ
暮らしの知恵を実践した後は、みかんの皮を食べてみましょう。そのままだと苦味や食感が気になる方も多いと思いますが、みかんの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」は食べやすく、スパイスを使うような感覚でいろいろな料理に活用できます。我が家では冬の間に陳皮をまとめて作っておき、密閉容器に入れて保存しています。身体が冷えやすい時や胃腸の調子が悪い時などに、少しずつ料理に使うことができ、とても重宝しています。そこで、陳皮の作り方と一緒に、おすすめの簡単・養生ごはんをご紹介しますね。
乾燥させて作る|漢方薬にも使われる「陳皮(ちんぴ)」
みかんの皮を干したものは、「陳皮」とも呼ばれる生薬です。冷え予防やリラックス効果、胃腸の調子を整える働きなどが期待されており、風邪薬や胃腸薬などの漢方薬にブレンドして使われています。「陳」という漢字には「古い」という意味があり、「古いものほど効能が高い」ともいわれています。身近なところでは、七味唐辛子やカレー粉、お正月にいただくお屠蘇(とそ)などに利用されることもあります。何気なく捨ててしまいがちなみかんの皮ですが、先人たちはその効能をよく知り、活用していたといえそうですね。
陳皮の作り方
作り方は、みかんの皮をざるなどに重ならないように並べて、カラカラになるまで天日干しするだけ。その時の気候などにもよりますが、1週間ほどあれば完成します。特に料理に使う場合には、ワックスや農薬不使用のものを使うようにすると安心です。私は洗濯用ハンガーに吊るすこともありますが、みかんの皮を干す様子は、我が家の冬の風物詩になっています。発酵食を使った汁物や鍋物に入れる
陳皮は、味噌や塩こうじなどの発酵食との相性が抜群です。冬になると温かい汁物や鍋物が恋しくなりますが、しょうがなどを加える感覚で陳皮を使ってみてはいかがでしょうか。ここでは寒い時期にもぴったりの、身体が温まるスープのレシピをご紹介します。長ねぎと陳皮のぽかぽかスープレシピ
〈材料〉2人分
・長ねぎ 1/2本
・陳皮(みかんの皮) 1/3個分
・えのき茸 1/4袋
・鶏ひき肉 30~40g
・しょうが 1/2片
・酒 大さじ1/2
・塩こうじ(または味噌) 小さじ2~3
・水 400cc
1.陳皮(みかんの皮)はキッチンバサミなどで3~4mm角くらいに切っておく。長ねぎは千切り、えのき茸は長ねぎと同じくらいの長さに切る。しょうがはすりおろす。
2.鍋に水・しょうが・酒を入れて、火にかける。
3.沸騰したら、長ねぎ・えのき茸・鶏ひき肉・陳皮(みかんの皮)を加えて2~3分煮る。
4.火を止めて、塩こうじ(または味噌)を加えて味をととのえる。
お茶や薬膳酒にブレンドする
ルイボスティーやほうじ茶、プーアール茶などに陳皮をブレンドするのも、さわやかな香りが楽しめておすすめです。陳皮の量が多かったり、お湯に漬ける時間が長かったりすると苦味が出る場合もあります。最初は少なめの量から試してみてくださいね。また、陳皮やシナモン、八角などお好みのスパイスにホワイトリカーを注いで作る薬膳酒も、手軽でおいしいです。酒に漬け込むことで、陳皮やスパイスの薬効がじっくりと抽出されます。
魚・肉の漬け焼きに加える
陳皮は、魚や肉の独特の臭みを消して香りを付けるのにもぴったりです。使い方は、味噌漬けや粕漬けなどの下準備をする際に、粗く刻んだ陳皮も混ぜ込んで漬けるだけです。そのまま陳皮も一緒に焼いて、具材としていただくことができます。みかんの皮を活用して、身体の内と外から健やかに暮らそう
普段捨ててしまいがちなみかんの皮は、入浴剤や掃除などの日々の暮らしに役立つだけでなく、身体を温めて胃腸の調子を整える養生ごはんにも大活躍します。しっかりと乾燥させて「陳皮」を作っておけば、その恵みを一年中楽しむことができ重宝します。この冬はみかんの皮を上手に活用して、身体の内と外から健やかに過ごせますように。