今回も、地味だけれども大切なことについて記そうと思います。
病害虫はどこからやってくる?
生産者が栽培するにあたり、立ち向かわなければいけないものが、病気、害虫、雑草などの害です。病害の種類とその病原となるもの
カビ、細菌、ウイルスなどを病原とします。カビの一種である糸状菌による病気は、主に種子、水、風などを介する空気伝染性と、土壌伝染性に分けられます。植物の病原となる細菌類は、雨やかん水で運ばれ、植物の傷口などから侵入します。ウイルスは、昆虫による媒介や、挿し木などによって伝染します。虫害の種類とその病原となるもの
作物に被害を与えるのは、主に昆虫、ダニ、センチュウなどです。昆虫類やダニ類には害虫になるだけではなく、天敵昆虫として活用されています。詳しくはこちらもご覧ください
害を与える植物寄生性のセンチュウは、体長0.5〜2mmと小さく、口針を出して植物の組織を破壊し、栄養を吸い取るので、収量が落ちます、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウなどは根から侵入します。
雑草害とは
雑草は、作物以外で農地に生える草本植物のことをいいます。除草管理が必要な理由は、栽培上で養水分を奪う、日射をさえぎる、病害虫の発生を助長する、作業のさまたげになる、収穫物に混入するなどです。ほかの土をふんだ靴で農地に入っていませんか?
媒介経路として、土壌伝染性のカビ類やセンチュウ類は土壌です。つまり、人や機械の移動などによって付着した土を媒介して病害虫を持ち込んでいる可能性もあります。たとえば、日本では特定の地域でしか確認されていないジャガイモシロシストセンチュウ発生ほ場に入った靴で、ほかの地域の農地に入ることは私はとても怖いです。海外で土をふんだ靴で、日本の農地に入ったことはありませんか?日本国内であっても、特定地域にしか発生していない病害虫もあります。視察に行った靴で自分の農地に入っていませんか?農作業体験をした靴でほかの作業体験に行っていませんか?取材などの仕事で農地に足を踏み入れるときには靴を変えたり、洗浄した靴を使っていますか?
農地に入るときには、土が付着していない靴かシューズカバーの活用を!
私は、オランダを訪問する機会もあり(今は行けていませんが)、ジャガイモシロシストセンチュウ発生ほ場の取材をしたこともあります。それもあって、靴の洗浄や交換にはかなり注意を払ってきました。国内でも、1日に数件を訪問するケースも増えてきたので、シューズカバーを持参することにしました。地味なことですが、病害虫を広めないために多くの人が意識することが大切です。バックナンバーはこちら
毎週水曜日更新おしゃれじゃないサステナブル日記
紀平真理子(きひらまりこ)プロフィール
1985年生まれ。大学ではスペイン・ラテンアメリカ哲学を専攻し、卒業後はコンタクトレンズメーカーにて国内、海外営業に携わる。2011年にオランダ アムステルダムに移住したことをきっかけに、農業界に足を踏み入れる。2013年より雑誌『農業経営者』、ジャガイモ専門誌『ポテカル』にて執筆を開始。『AGRI FACT』編集。取材活動と並行してオランダの大学院にて農村開発(農村部におけるコミュニケーション・イノベーション)を専攻し、修士号取得。2016年に帰国したのち、静岡県浜松市を拠点にmaru communicateを立ち上げ、農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートなどを行う。食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格。著書『FOOD&BABY世界の赤ちゃんとたべもの』
趣味は大相撲観戦と音楽。行ってみたい国はアルゼンチン、ブータン、ルワンダ、南アフリカ。
ウェブサイト:maru communicate