株式会社久松農園 久松達央さんによる、豊かな農業者になるためのメッセージを伝える連載がスタートしました。
第一回は、多くの就農者が二の足を踏む機械投資についてです。特に新規就農で露地野菜栽培する人の多くは、農作業の機械化が進んでいません。しかし、自分の仕事のやりかたの改善を図り、より豊かな農業者になるためには農業機械への投資も必要です。有機で露地野菜を栽培をしながら、機械への投資を進めてきた久松さんに、新規就農者と機械投資について話を聞きました。
プロフィール
株式会社 久松農園 代表 久松達央(ひさまつ たつおう)
1970年茨城県生まれ。1994年慶應義塾大学経済学部卒業後、帝人株式会社を経て、1998年に茨城県土浦市で脱サラ就農。年間100種類以上の野菜を有機栽培し、個人消費者や飲食店に直接販売。補助金や大組織に頼らない「小さくて強い農業」を模索している。さらに、他農場の経営サポートや自治体と連携した人材育成も行っている。著書に『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)、『小さくて強い農業をつくる』(晶文社)
新規就農者が多い露地栽培では、機械投資額が少ない
就農1〜5年目までの機械・施設などへの投資額の中央値を見ると、年間投資額は200万円台のまま変化がありません。露地野菜での新規就農者に関しては、これよりさらに少なく年間150万円です。つまり、特に露地野菜での新規就農者は、機械投資が少ないことが現状です。
一方、施設園芸に関しては、機械投資より環境制御など設備への投資が大きな割合を占めるため、ここでは露地野菜の新規就農者の機械投資への課題について考えます。
参考:平成30年の新規就農者調査|農林水産省
新規就農者の就農実態に関する調査結果-平成28年度-|一般社団法人全国農業会議所 全国新規就農相談 センター