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幸せを継続するための秘訣|ハッピーファミリーファーマー日記 No.33


熊本県南阿蘇での家族経営農家、大津愛梨さんの日常や子育て、環境、教育など、持続可能な生活を考える、週間連載の最終回!とはいえ、これからも大津さんファミリーは、元気にハッピーに、できることからしていく生活は変わりません。月間連載は続きますので、今後もお楽しみに♪

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Avatar photo ライター
大津 愛梨

慶応大学環境情報学部卒業後、夫と共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里の南阿蘇で農業後継者として就農、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培している。女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長、里山エナジー(株)の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。農業、農村の価値や魅力について発信を続ける4児の母。…続きを読む

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阿蘇の風景

提供:O2Farm
熊本の米農家の母ちゃんが、日々の農作業や生活だけでなく、農業を通じてできる持続可能な環境作りや子育て、家族のことなどを週一で発信しています。
これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」

できることを精一杯やる!の発想元

大津さんと車椅子の女性
提供:O2Farm
昔からよく、友人には「悩みがなさそうだよね」と言われ、好きな人からフラれるときには「一人で大丈夫だろ」と言われたこともあります。いやいや、もちろん悩むことだってありますし、一人じゃ寂しい。でも、悩んでも仕方ない、とか、最後は一人で何とかする覚悟がなきゃいけない、という思いは確かにありました。

その考えの元をたどると、母親が障害のある方の住宅設計を専門にしていた、ということに尽きるかもしれません。物心がついたころから、重度の障害を持っていても精一杯生きようとしている人たちを身近にみていると、五体満足で産んでもらった私が悩みなんて持ってたらバチが当たるよな~、と自然に思うようになっていたのです。

できないことを探すのではなく、できることを見つけて伸ばす

もの作りをする男の子
提供:O2Farm
だから「あれができない」「これが足りない」という発想ではなく、「何ならできる」「どうすればできるか」が発想のスタートなので、「なんでできないんだろう」とか「う~、できなかった」とかいう思いで悩むことはほとんどありません。もちろん、やってもやってもできなくて凹むことはありますが、じゃあどうすればできるのか、という前向きな姿勢に立て直すのは、それほど難しくありません。
最近では温泉や水源に行くとか、大好きな料理に没頭するとか、そんな程度のことでまた前を向くことができるのは強みだな、と思います。

ないものは、つくればいい。壊れたら、直せばいい

ハウスを組む親子
提供:O2Farm
お金でモノを買うことに慣れていると、欲しいのに買えないことがストレスやコンプレックスになったり、都会っ子だった私は、いまだにないものはお店で探したり、直す前にメーカーに電話したりします。
田舎育ちの夫は、まぁあきれるぐらいモノを買いません。買うのは道具。道具を買って、作るのです。自分の手で作ったり直したりすれば、お金では買えないモノや過程が手に入ります。これもまたハッピーの秘訣!

夫の父も同じで、祖父はさらに、道具すら作ってしまう“なんでも屋さん”でした。高度経済成長期は、それが「かっこ悪い」とか「ケチ」に見られたこともあるかもしれませんが、今となっては「カッコいい」以外の何物でもない!女性諸君。買うしか能のない男子にだまされちゃいけませんよ~(笑)。

ハッピーファミリーファーマーは続く

麦稈ロールを押す子どもたち
提供:O2Farm


そんなわけで、コロナ禍でも「じゃあ今なら何ができるかな」と、自分や家族に問いかけ続けてきました。小中学校が休校中には、今しかできないこととして息子たちは髪を染めていました(笑)。
最初の出産が31歳で、最後の出産が41歳と、母としてはいうほど若くもありませんでしたから、五体満足で生まれてくれただけで、神様にも仏様にも感謝してもし尽せません。健康ならそれで良い、と心の底から思っていると、ハッピーでいられる時間が長くなる。そんな気がしています。

▼コロナ禍での「できることからする」や髪を染めた息子たちの様子はこちら

わんぱくでも、たくましく育った息子たち

泥だらけの男の子たちや薪割りする男子
提供:O2Farm
4月からそれぞれ中学と高校に進学する息子たち。
昔、「わんぱくでもいい たくましく育って欲しい」という有名なCMがありました。今もですが、いっつも泥んこだったしケガもしましたが、本当にたくましく育ったなぁと、3人の息子についてはそれ以外の言葉は浮かびません。あとは彼らがいつか自分の子供たちに、「健康ならそれでよか」と心の底から思ってくれれば、母親としてのミッションコンプリートだと思っています。

わんぱくじゃないけど、たくましい娘

薪をくべる少女
提供:O2Farm
一方、兄貴3人にいじられながら育っている末娘は、さぞかし男勝りになるかと覚悟していたのに、まさかの「ザ・女子」に。「女子力ゼロだね」と息子たちから太鼓判を押されるような母親から、よくぞこんなに女子力の高い娘が生まれてくるものかと日々感心しています。

野山をフィールドとする“森のようちえん”に通っているので、「え~、虫ヤダ」と言いながらも結局は捕まえちゃうし、「え~、服が汚れるのヤダ」とごねながらも最後は脱いじゃうし、野外での排泄はノープロブレム。5歳にして包丁も火も扱える彼女。たくましいなぁ、と感心していつも見ています。
ザ・女子の反抗期は想像するだけでも恐ろしいですが、「健康なら良し」を念仏のように唱えながら、今後もハッピーに暮らしていきたいと思います。

1年間ありがとうございました♪

阿蘇の山々と凧あげ
提供:O2Farm
今回で、週に一回発信していたこの連載「ハッピーファミリーファーマー日記」は最終回です。
ただ、「持続可能な社会と農業」というがっつりなテーマについては、引き続き、月間連載「農業なくして持続可能な社会なし」で続けていきます!

そもそも私がこの週間連載を始めたきっかけは、FacebookなどのSNSを卒業して、ペースを決めた情報発信に立ち戻ろうとしたことでした。田んぼや畑からの情報発信は、都会の友人たちにとって何らかの癒しや気づきである、という自負はありますが、それなりに時間を取られます。さらに、後継者と呼べるような女性農家たちが現れてきたので、私は原点のブログのような情報発信に戻ろう、と今年の始めに決めたのです。

小さな幸せの積み重ねを世界に発信

ところが、2020年2月から新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になってきて、4月には非常事態宣言。都会に住む友人たちが息もしづらい状況が続いていたので、少しでも気持ちを楽にしてもらいたいという思いで、SNSで日々の農村の風景や暮らしの投稿を、英語と日本語の併記で再開しました。新型コロナウイルスの世界的な流行が収まる見通しが立たない中、農村の風景や暮らしを通じて、SNSから小さな幸せの発信ができればと思います。

今後も続く月間連載では、今まで以上に、SDGsや農家のRE100モデル、はたまた田舎への移住や里山のことなど、内容をパワーアップさせていきたいと思っていますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします!

【毎月更新!】月間連載「農業なくして持続可能な社会なし」
家族経営農家の日常「ハッピーファーマーズ日記」アーカイブ

大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
Facabook:大津愛梨
ブログ:o2farm’s blog

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