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ミョウガ(茗荷・みょうが)の栄養価と効能|妊婦が食べても大丈夫?
夏の料理を引き立てる香味野菜のひとつ、ミョウガ。100gあたりのカロリーは11kcal(※1)です。1個あたり15g前後なので、薬味として一度に2個ほど食べてもわずか3kcal。低カロリーの食材といえます。では、ミョウガにはどんな栄養価や効能があるのでしょうか。※1 出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
夏バテ予防にも!ミョウガに豊富に含まれる「α‐ピネン」
ミョウガ特有の香りは、「α‐ピネン」と呼ばれる精油成分によるもの。α‐ピネンには、食欲増進作用が期待されているため、夏バテ予防にもぴったりの食材です。また、血液循環の改善や発汗作用などもあるとされています。α‐ピネンは、ミョウガなどの食材だけでなく、スギやヒノキなどの針葉樹にも含まれています。森林浴をすると気分が癒されてリフレッシュするのは、α‐ピネンなどの成分も深く関わっていると考えられています(※2)。α‐ピネンは揮発性なので、食べる直前に切るのがおすすめです。
※2 参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
「木材由来のにおい成分α‐ピネンは人をリラックスさせる」
鉄分が含まれており、妊婦にもおすすめ
ミョウガには、100gにつき鉄分が0.5㎎含まれています(※3)。また、体内の余分な水分を排出しむくみ予防にも効果が期待される「カリウム」なども含有しています。このほか、マグネシウムやビタミンEなど複数のミネラル・ビタミンが含まれています。特有の香りがあるため好みが分かれますが、栄養面では妊娠中の女性にもおすすめといえるでしょう。※3 出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
薬膳では、体を温めて気の巡りを良くする食材
薬膳では、ミョウガは体を温めて、気の巡りを良くする食材として知られています(※4)。私たちが通常食べるのはミョウガの花穂の部分ですが、葉や茎、根なども使われます。たとえば、根茎を煎じた「みょうが茶」や、葉や茎を湯船に浮かべた「みょうが湯」などもあります。花穂から根まで植物全体を使うことができるので、家庭菜園などでミョウガを育てている方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。※4 参考:本草薬膳学院 薬膳LAB.「みょうが」
ミョウガの食べ過ぎには気を付けよう
夏バテ予防にも効果が期待されるみょうですが、食べ過ぎには注意が必要です。ミョウガには不溶性の食物繊維が含まれており、食べ過ぎると下痢や腹痛が起こる可能性があるといわれています。生のままミョウガを大量に食べると口のなかに刺激を感じる場合もあります。ただし、食べ過ぎの目安となる量については、個人差も大きく、はっきりと定まっていません。「ミョウガを食べ過ぎると〇〇になる」というのは本当?
昔からの言い伝えでは「ミョウガを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」というものがあります。実際にはこのような変化はないとされていますが、ではどうしてこの言い伝えが広まったのでしょうか。この言われは、お釈迦さまの弟子の話に由来しています。弟子の一人が自分の名前をすぐに忘れてしまうため、自身の名前を札に書いて首にかけていたそうです。この弟子が亡くなった後、墓地にミョウガが生えてきたことから「物忘れ=ミョウガ」という関係が生まれ、言い伝えとして広まったという説もあります。
ミョウガを主役に!簡単おいしい養生ごはん
冷奴や麺類などの上に薬味として添えることの多い、ミョウガ。でもときには、ミョウガをたっぷり使って、ぬか漬けやいため物を作ってみてはいかがでしょうか。ここでは、ミョウガが主役になる簡単養生ごはんをご紹介します。ミョウガは収穫してから時間が経過するにつれて、香りが落ちてしまいます。保存方法に気を付けながら、できるだけ新鮮なうちに使い切るようにしましょう。ミョウガの保存は冷蔵?冷凍?
ミョウガを冷蔵・冷凍保存する際には、ぜひ知っておきたいポイントがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。ミョウガのぬか漬け
ミョウガの独特の香りとぬか床の酸味が絶妙なバランスの、ミョウガのぬか漬け。ごはんのおともや箸休めにはもちろん、酒の肴(さかな)にもぴったりです。作り方は、生のミョウガをぬか床に漬けて、1~2日間待てばできあがり!下ごしらえの際、ミョウガに縦の切り込みを入れておくと、味がしっかり染み込みます。ミョウガのいため物
ミョウガが大量にある時には、いため物を作ってみましょう。写真は、豚肉とミョウガをいためて、たたいた梅干しとポン酢で味付けをしたものです。爽やかな香りと酸味があり、夏の疲れた体に染みわたる一品です。ミョウガの香りは加熱することにより和らぎます。ミョウガのいため物は、独特の香りが苦手な人や子どもにも食べやすいです。みょうが餅・みょうがぼち
みょうが餅とは、岐阜県美濃地方に伝わる昔ながらのおやつのこと。「みょうがぼち」と呼ばれることもあります。そら豆を甘く味付けした餡(あん)を小麦粉の皮で包み、ミョウガの葉で巻いて蒸して作られます。ミョウガの葉の香りがほのかに感じられる、初夏の郷土食です。大量消費にも!「ミョウガの甘酢漬け」などの保存食づくり
ミョウガがたくさん収穫できた時は、保存食を作ってみましょう。保存食にすることで、独特の香りを長期間楽しむことができます。ここでは、昔ながらの定番料理「ミョウガの甘酢漬け」の作り方や、「ミョウガ味噌・ミョウガのみそ漬け」「ミョウガ入りしば漬け」についてご紹介します。ミョウガの甘酢漬け
今回は、甘さ控えめの甘酢漬けを作ってみましょう。〈材料〉作りやすい分量
・ミョウガ 10本
・酢 150cc
・てんさい糖 大さじ1
・塩 小さじ1
作り方
1.ミョウガはよく洗って土などの汚れ落とし、縦半分に切る。2.鍋にたっぷりの湯をわかし、1のミョウガを10秒程度ゆでる。ざるにあげて、水気をしっかりと切る。
3.酢・てんさい糖・塩を混ぜ合わせ、2のミョウガを漬ける。半日~1日程度待ち、味がなじんだらできあがり。
ポイント
酢の酸味が苦手な人は、「りんご酢」など酸味がマイルドな酢を使うのがおすすめです。酢を軽く沸騰させるか、てんさい糖の量を「大さじ2」まで増やすことでも、酸味を抑えることができます。ミョウガの甘酢漬けの活用法
ミョウガの甘酢漬けを小判型ににぎったごはんの上に乗せれば、簡単「みょうが寿司」のできあがり!みょうが寿司は、動物性のものを使わない「精進寿司」の一種で、ヴィーガンの人にも人気があります。ヴィーガンやベジタリアンについて詳しくはこちら
また、ミョウガの甘酢漬けを細かく刻んで、ちらし寿司や和え物に混ぜるのもおいしいです。
ミョウガの甘酢漬けに使った漬け汁は、きれいな紅色に染まっています。鮮やかな色合いを生かして、ドレッシングやたれなどの材料として使うのもおすすめです。
ミョウガみそ・ミョウガのみそ漬け
ミョウガはみそとも相性抜群です。みそを使ったミョウガの保存食といえば、生のミョウガをみそに漬け込んだ「ミョウガのみそ漬け」がよく知られていますが、ミョウガをいためて作る「ミョウガみそ」もおすすめです。みょうがみそを作るときは、刻んだミョウガを少量の油でいためて、みそ・みりん・酒を混ぜ合わせたものを加えて煮詰めていきます。分量の目安は、ミョウガ5~6個(約100g)に対して、みそ80g、みりんと酒は各大さじ1です。最後にすりごまを大さじ1程度加えると、香ばしい味わいにまとまります。ごはんのお供や酒の肴(さかな)にもぴったりの保存食です。お湯で割れば、即席みそ汁としても楽しめます。
ミョウガ入りしば漬け
しば漬けは、きゅうりやなすなどの夏野菜と一緒に、ミョウガやしょうが、しそなどの香味野菜を漬けて発酵させた漬物です。我が家では、香味野菜をたっぷりと使って作っています。いろいろな種類の夏野菜が大量消費できるので、家庭菜園などで「夏野菜がたくさん収穫できた!」という時に、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。栄養豊富なミョウガをおいしく食べて、健やかに過ごそう
鉄分などの栄養が含まれており、妊婦にもおすすめのミョウガ。爽やかな香りは、暑さで食欲のない時に食欲を増進させてくれます。薬味として使うだけでなく、ぬか漬けなどのように主役として調理するのもおすすめです。家庭菜園などでたくさん収穫できたときには、ミョウガの甘酢漬けなどの保存食を作ってみてはいかがでしょうか。食べ過ぎには注意が必要ですが、ミョウガをおいしく活用して健やかに過ごしたいですね。