寒くなってきました。九州といえども、阿蘇は高原なので寒冷地。冬の南阿蘇暮らしのリポートです。
これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
炎を愛する男たち
冷え性で寒がりな私は「あったまる」ことが最優先ですが、男たちが「炎」を愛するのは、サガなんでしょうか。薪ストーブの炎を眺めてじ~っとしている息子たちを見ると、「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と文句を言うより、ウイスキーのロックでも渡したくなる雰囲気。ティーンエイジャーなので、もちろんそんなことはしませんが(笑)。
薪ストーブと共に
18年前に移住した阿蘇の家は、ボットン便所で風呂なしの雨漏りがする「あばら家」でした。その年の冬、あまりの寒さに、慌てて激安薪ストーブを購入。その薪ストーブとDIYで作った煙突は期待以上に部屋をしっかり暖めてくれ、おかげで家族が2人から4人、5人、6人と増えても、13年もの間、阿蘇の寒い冬を乗り切ってこられました。息子たちは、物心がつく前から炎に触れ、小学校に入る前から薪ストーブに火を付けるのは彼らの仕事でした。「朝起きて火を付けるのは俺なのに、部屋が暖まる前には学校に行かなきゃいけないのが悔しかった」と、今でも小学校時代を振り返ってぼやいています。
その後、家が変わり、その家も数年間かけて徐々にリフォームして断熱性を上げて、今年いよいよ薪ストーブも新しくなりました。そのおかげか、朝一でも極寒じゃなくなった気がします。少しは彼らのぼやきが減るかな?
花より団子の女子
一方、娘は薪ストーブそのものより、薪ストーブでできる魅惑的な料理やスイーツのほうに興味あり。さすが女子!といっていいのか、焚き火をしても、薪ストーブを付けても、気になるのは焼き芋。今年は、我が家のサツマイモが手入れ不足で不作だったので、友人から規格外のサツマイモを譲ってもらって、母娘でせっせと焼き芋を作っています。娘は無駄に舌がこえているので、「福井の農家さんのお芋の方が甘いよ」とか「焼き方がまだ足りない」とかいろいろ言ってきますが、気が付くとなくなっているので、良しとしましょう(笑)。
焼き芋だけじゃなく、焼きリンゴも最高です!
寒いときは温泉が一番!
寒くなってきてからの最大の楽しみは、何といっても温泉!阿蘇は活火山のふもとなので、ワンシーズンでは入りきれないほど温泉があります。コロナ禍で今年は温泉行きを控えてはいますが、行きたくなったらいつでも行けるのが魅力なんです。なかでも特別にいいのが、「地獄温泉」です。地元の人は「温泉」を省略して、「地獄に行こうか」とか「地獄からお迎えが来ないかな」とか言うので、せめて80歳を超えた皆さまには省略せずに「地獄温泉」と言ってもらいたいものです(笑)。
地獄温泉は4年前の熊本地震で大きな被害を受け、3年半も土砂がかぶったままで、なすすべがなかったそうです。ようやく今年再建して、リニューアルオープン!寒くなってきたので、久しぶりに息子たちと地獄に行って、生き返って帰ってきました♪
ススキ野原も格別
夏には見渡す限り緑色だった阿蘇の風景ですが、冬の雪が積もったようにみえる一面のススキ野原もまた魅力的です。もうすぐ今年も終わりですね。【毎月更新!】月間連載アーカイブ「農業なくして持続可能な社会なし」
【週間連載】家族経営農家の日常を配信「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」