多品目でなく単品目で直売所!?ジャガイモのポップアップストア|おしゃれじゃないサステナブル日記No.35

【連載】農業・食コミュニケーターとして活動する 紀平真理子さんの「農業と環境」をテーマにしたコラム「おしゃれじゃないサステナブル日記」。 第35回は「多品目でなく単品目で直売所!?ジャガイモのポップアップストア」。じゃがいも好きの筆者が、オランダの主食ともいわれるジャガイモの直売所を紹介します。


ジャガイモポップアップストア

写真提供:maru communicate 紀平真理子
前回は「【オランダ回顧禄(かいころく)】型にはまらないためのSDGsとは?(No.34)」で、SDGsについて重い口を開きました。


ジャガイモは世界の飢餓を救うなどといわれることもあります。ということで、無理やりの連想ゲームでジャガイモ話です。数年前にオランダのアムステルダムで行われたジャガイモポップアップストアについて少しふれます。ポップアップストアとは、空き店舗などに突如現れ、一定期間で突然消えてしまう店舗のことです。直売所や消費者直販は多品目の方が適しているといわれますが、このポップアップストアはジャガイモのみ!オランダではジャガイモが主食として扱われているので、日本で例えるとすれば、いち生産者による東京都内でのお米ポップアップストアです。

オランダのジャガイモ直販
写真提供:maru communicate 紀平真理子

ジャガイモのみのポップアップストアへ

ジャガイモ直販
写真提供:maru communicate 紀平真理子
オランダの北東部の有機農家が、ジャガイモのみのポップアップストアを開くという情報を聞きつけ、比較的フレキシブルに仕事ができるオランダの友人と連れだってポップアップストアに潜入しました。「新しい品種は好き?嫌い?(No.29)」でもにおわせたイベントです。

ポップアップストアに到着すると、オープンセレモニーの真っ最中。前の歩道(公道)のタイルをはがして、その下の土に種イモを押し込むというおもしろいセレモニーを経て、ポップアップストアがオープン!

スーパーの販売価格が安いのかもしれない

カラフルジャガイモ
写真提供:maru communicate 紀平真理子
ジャガイモのポップアップストアには、王道の品種Agriaなどもあれば、いわゆる在来種の赤と白の斑紋Mayan Twilight、皮色も肉色も紫色のVilletta、両方赤色のRed Emmalieなどのミックスや、疫病対策で早掘りしたかなり小さいカラー品種セットなどが販売されていました。

小さいカラー品種セットは、2kgで8ユーロで、2週間のポップアップストアで2,000kg以上販売したと聞いたのでなかなかです。ちなみに、当時の比較で、スーパーでは1kgあたりだいたい1.5ユーロでした。1kgあたり4ユーロのポップアップストアが高いというよりも、スーパーでの販売価格が安い気もしますが。

オランダは貯蔵設備が充実

ジャガイモ貯蔵庫
写真提供:maru communicate 紀平真理子
いま思い返すと、ポップアップストアで入手したジャガイモは早掘りでかなり小さく、かつ皮ごと食べました。ソラニン怖いな。でも、オランダではよく皮ごと食べていたのですが、苦みを感じたことがありません。品種や貯蔵方法の違いでしょうか。それとも、日射量の違いでしょうか。

このポップアップストアを開いた有機生産者の圃場(ほじょう)にもおじゃまさせていただきましたが、貯蔵方法はバラ貯蔵(コンテナなどを使用せずそのまま倉庫に直積み)でした。オランダでは、収穫後のジャガイモは、全量もしくは一部であっても、生産者が所有する貯蔵施設で木箱かバラで貯蔵されていることがほとんどです。また、貯蔵施設には強制換気が設置されているところが多いです。

お隣ベルギーの生産者と話したときに、収穫直後に商社のようなところに全量出荷すると聞いて、国が違うと仕組みが違うなーと思った次第です。貯蔵施設があって、生産者が出したいタイミングで出せるからこそ、ポップアップストアができたともいえますね。

オランダの友人はどうやってジャガイモを食べた?

オランダのジャガイモ料理
写真提供:Nathan
ちなみに、一緒にポップアップストアに行ったオランダの友人たちは、小さいカラー品種のジャガイモを写真のように調理していました。クリーミーでおいしかったと言っていましたよ。ただ、同時に彼らは「日本の居酒屋で食べたじゃがバターがベストなイモ」ともこっそり教えてくれました。

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おしゃれじゃないサステナブル日記

紀平真理子(きひらまりこ)プロフィール
1985年生まれ。大学ではスペイン・ラテンアメリカ哲学を専攻し、卒業後はコンタクトレンズメーカーにて国内、海外営業に携わる。2011年にオランダ アムステルダムに移住したことをきっかけに、農業界に足を踏み入れる。2013年より雑誌『農業経営者』、ジャガイモ専門誌『ポテカル』にて執筆を開始。『AGRI FACT』編集。取材活動と並行してオランダの大学院にて農村開発(農村部におけるコミュニケーション・イノベーション)を専攻し、修士号取得。2016年に帰国したのち、静岡県浜松市を拠点にmaru communicateを立ち上げ、農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートなどを行う。食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格。著書『FOOD&BABY世界の赤ちゃんとたべもの』
趣味は大相撲観戦と音楽。行ってみたい国はアルゼンチン、ブータン、ルワンダ、南アフリカ。
ウェブサイト:maru communicate

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紀平 真理子
紀平 真理子

オランダ大学院にて、開発学(農村部におけるイノベーション・コミュニケーション専攻)修士卒業。農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートやイベントコーディネートなどを行うmaru communicate代表。 食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。 農業専門誌など、他メディアでも執筆中。

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