これまでの「ハッピーファミリーファーマー日記」
アイガモは、社会の動きに忠実な生き物!?
前回、アイガモとコイを使ったお米の無農薬栽培の話を書きました。アイガモを田んぼデビューさせてからは毎日、夕暮れ時には餌付け用のエサをあげて小屋に入れ、朝一に小屋から出します。それ以外にも1日に1回以上は様子を見に行くようにしているのですが、どうも見かけるたびに小屋の中や周辺で羽を休めている様子!アイガモ農法を18年間続けていますが、田んぼにあまり出ず小屋から離れないアイガモを見るのは初めてです。
これはもしかして「ステイホーム!?」と思い始めたのは、アイガモを田んぼに放して2週間ほど経ってから。社会状況に忠実なアイガモは初めてですが、コロナ禍で人々がこれだけ長くステイホームするという特別な状況に陥ったのも18年間で初めてのことですから、もしかしたらアイガモは空気を読む生き物なのかも…と思ってしまう今日この頃です。
やっぱり最後は人力でしょ!
アイガモというのは、マガモとアヒルの掛け合わせで、つまりハーフです。アヒルは、人懐っこくてかわいらしいペットとして、人間の手で作られた種です。夫の分析によると、今年のアイガモはアヒルの血が濃いのではないか、と。理由はさておき、人懐っこい今年のアイガモたちは、人間が田んぼの周りをぐるっと周れば、それにくっついて田んぼの端から端まで動いてくれる(=除草できる)のですが、こちとら1日中田んぼの周りをウロウロとしていられるほど暇ではありません。
アイガモがステイホームしていると、田んぼの雑草がどんどん伸びてしまうので、仕方なく最初にアイガモを入れた田んぼの除草は、我々人間がやりました。トホホ。
ステイファームの女子大生の今
3月から我が家の一員として、農業もしながら学業にも励んでいる女子大生2人。田植えは彼女たちのおかげで本当に順調だったので、ひと段落したところで、彼女たちに2週間の休暇をあげました。我が家にいると、する事が次々と出てきてしまうので、家を出て畑でキャンプ生活をすることに。グランピング用の大きなテントは、中に畳を敷いたら、えらく快適な空間となりました。
『ルーラリング(田舎暮らし体験)』のススメ
ここ数年はやってきている「グランピング」というのは、グラマラスなキャンプ、という意味の和製英語。手ぶらで楽しめる優雅なアウトドアとして、女性や家族連れに人気が高まっているようです。一方、我が家の決してグラマラスとはいえない畑キャンプを、グランピングと呼ぶにはいさかか違和感を感じ、勝手に『ルーラリング』という名前を付けました。「田舎」という意味の「Rural」に、現在進行形の「ing」を合わせたものです。
アウトドア目的というより、畑で気軽に田舎暮らしを体験できるキャンプとして、女子大生たちと一緒に大学や行政に提案していきたいと思っています。ピンチはチャンス!また1つ新たな動きが始まりました。
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」