これまでの「ハッピーファミリーファーマー日記」
猫でもいいのに人の手!しかも熟練で体力あり!!
休校中の子どもたちが手伝ってくれて助かる、という話は農家仲間の中でよく出ます。農家の常識とまではいませんが、猫の手も借りたい時期の「季節労働者」をいかに確保できるか、というのは多くの農家にとって共通の課題です。今年は誰も予測できなかった緊急事態が全世界を襲い、家に突然「季節労働者」が現れました。
梅雨までは我が家にとって一番忙しい季節なので、これはもうラッキーというしかありません。しかも普段から私が「リトルファーマーズ」と呼んでいる熟練さんたちが、この1年ですっかり大きくなり、リトルではなくなっているんですから。
そういえば熊本地震のときも今回も、「これが冬じゃなくて良かったよ」とポジティブに考えたものでした。ウチは米農家なので冬は仕事が少ないし、阿蘇の冬はマイナス10℃にまでなる寒さなので、家にこもって換気も時々しかせずに家族6人密接していたことでしょう。
最短記録を更新!
家族6人に加えて女子大生2人。全員で力を合わせて作業にあたったところ、田んぼに肥料をまく作業も、苗箱に土を入れる作業も、最短記録を大幅に更新!「足るを知る」をモットーに、お互いの顔が見える関係づくりができる範囲で産直をしている我が家。この記録更新は、大規模な農家で全部機械化していたら大したことではないかもしれないですが、約5ヘクタールの水田の規模では劇的なできごとなんです。「あれ?もう終わった!」って。
勢い余って、他産業のお手伝いまで
一方、人手不足でお悩みなのが運送会社さん。不要不急の外出を控えるための買い物や贈り物の配達は増えているのに、子どもが家にいるために休まれている従業員さんがいたり、密接を避ける必要があったりで人員が減っているらしく、配達員の皆さんはてんてこまい。O2Farm(オーツーファーム)のお米は月に一度、自分たちで精米して袋詰めして全国にお届けしており、精米の日は100箱を優に超える荷物があります。その量を見ただけでため息をついていた配達員さんの様子を見て、息子たちに荷積みを手伝わせたところ、えらく感謝されました。体力の有り余っているティーンエイジャーたちにとっては、なんてことない作業&量だったんですが、あれを全部1人で運ぶのは相当大変だったでしょう。喜んでいただけて良かったです。
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」