一年中葉を茂らせる多年草なので、年々株を増やして長い間育てることができます。
ヒューケラについて
ヒューケラは、5~7月にすくっと伸びた長い花茎から小さな花を咲かせます。原産国であるアメリカで品種改良が盛んに行われ、葉色もワインレッドや爽やかなライム、琥珀など、魅力的な品種が数多く栽培されています。耐寒性、耐暑性があるのでさまざまな地域で育てることができ、耐陰性もあるのでシェードガーデンのグランドカバーとしてもおすすめです。
植物名 | ヒューケラ |
別名 | ツボサンゴ |
和名 | 壷珊瑚(つぼさんご) |
学名 | Heuchera |
英名 | coral bells |
科名 | ユキノシタ科 |
属名 | ツボサンゴ属 |
原産地 | 北アメリカ、メキシコ北部 |
ヒューケラの品種
ヒューケラの葉色別のおすすめ品種を紹介します。グリーン系:ファイヤーフライ
5〜7月にかけて鮮やかな赤い花が咲くファイヤーフライは、茎が立ち上がるように生育します。耐寒性が比較的強いぶん、暑さがやや苦手です。花茎の草丈は60cmほどになります。ライム系:フローズンマスカット
直射日光や暑さに強い品種です。草丈は20〜40cmほどで、小さめの葉に白い斑入りが浮かび上がります。気温が下がるにつれて、琥珀からテラコッタに近い葉色に変わります。パープル系:フォーエバーパープル
季節による葉色の変化の少ない品種です。波打つような光沢のある濃い紫色の葉が特徴的です。花は薄いピンクがかった白色で、草丈は40cmほどになります。ブラック系:ブラックナイト
葉の縁にフリンジがかかっています。気温が低いと葉色の黒みが強くなり、高くなると暗い緑色に変わります。直射日光で葉焼けをすることがあるので、やや日陰が適しています。晩春から夏にかけて白から淡いピンク色の花を咲かせ、草丈は20〜40cmほどまで育ちます。カッパー系:キャラメル
季節や植え付け場所によって、黄色から濃いオレンジ、ブロンズへと変化する葉色が美しい品種です。暑さや湿度に比較的強く丈夫なので、ヒューケラの中でも育てやすいと感じられる品種です。晩春から初夏に白から淡いピンクの花を咲かせます。レッド系:フォーエバーレッド
フォーエバーパープル同様、季節による葉色の変化の少ない品種なので、一年中赤く光沢のある葉を鮮やかに茂らせます。直射日光に比較的強い性質で、草丈は35cm前後とコンパクトに育ちます。晩春から初夏の間に淡いピンクの花を咲かせます。シルバー系:パリ
グリーンの葉にシルバーの斑入り、草丈は花茎を入れても35cmほどと、草姿がコンパクトな品種です。晩春から初夏にスズランのように連なる赤い花を咲かせ、株が大きく育つと秋の初めごろまで長く花が咲くようになります。シルバー系:ミラノ
紫色にシルバーが浮かび上がったシルバー系の葉ですが、気温が低くなると紫の色が強く出ます。草丈20cmほどとコンパクトですが、明るいピンク色をした大きめの花なのでとても華やかな印象を与えます。ヒューケラに似た品種
ヒューケラはツボサンゴ属ですが、これと似た形質で育つ近縁種のティアレラ属からなる「ティアレラ系」園芸品種と、ヒューケラとティアレラの属間交配種「ヒューケレラ系」園芸品種も栽培されています。ティアレラ系
ヒューケラ系に比べて葉の切れ込みが深く、模様があるのが特徴です。開花はほかの系統よりも早い3月下旬~4月ごろで、日陰を好み、水分を少し多めに求める傾向があります。
ヒューケレラ系
ヒューケラ系とティアレラ系を交配して生まれた品種なので、両者の中間の特徴を持っています。ティアレラ系が開花した後、4~5月に開花します。
ヒューケラを育てる前に
ヒューケラを育てる前に、適した環境や植え付けの時期をチェックしていきましょう。ヒューケラを育てる環境
通気性の悪い日陰では株が蒸れて生育が弱ってしまい、害虫の被害にも遭いやすくなるので、風通しが良く、排水性のある土壌で育ててあげましょう。シェードガーデンでも育てられる
ヒューケラは、日向から木漏れ日の当たる日陰まで幅広い環境で育てられますが、夏の直射日光など強過ぎる光では葉焼けすることがあるので、樹木の下などシェードガーデンにもぴったり。暗くなりがちな日陰をにぎやかにしてくれます。植え付け時期
真夏と真冬を避けた、春か秋に行います。ヒューケラの植え付け
ヒューケラはほかの植物と比べて、耐寒性や耐暑性に優れているので、寒冷地から暖地まで一年を通して野外で育てることができます。ヒューケラの鉢植え栽培
排水性と栄養のバランスが取れた培養土がおすすめです。手で苗を押さえながらしっかり土を敷き詰めます。
水やりをしたときに水が鉢からあふれないように、土の量はふちから2cm位下にします。
ヒューケラの地植え栽培
ヒューケラは多年草なので株が年々大きくなります。株間は20〜30cm位はあけて、風通しの良い環境で育てましょう。ヒューケラの日頃の管理
ヒューケラを上手に育てるための日頃の管理を紹介します。ヒューケラの水やり
鉢植え、地植えともに、苗を植え付けてから根が土にしっかり張るまで(1週間位)は水を毎日与えます。その後の鉢植えの水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与え、水切れしないように注意しましょう。
ヒューケラは大きな株に育つと乾燥にも十分耐えるようになるので、地植え栽培は降雨で十分ですが、乾燥が続く場合は適宜水を与えてください。
鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷりあげることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物にも時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷりあげることで、水分とともに空気を入れ替えて土中の状態を良く保てます。
ヒューケラの肥料
鉢植えで育てているヒューケラは3〜4月、9〜10月の間に1回ずつ緩効性肥料を与えましょう。地植え栽培でヒューケラの株を早く大きく育てたいときは、鉢植えと同じように肥料を与えますが、肥料を与えなくても比較的良く育ちます(土の状態にもよる)。
肥料を与えるときのポイント
植物は根の先から養分や水分を多く吸収します。
植物の根は、葉先の辺りまで伸びていることが多いので、ちょうど葉先の下付近の土に肥料を与えると良いでしょう。
ヒューケラの病害虫
ヒューケラが気を付けたい病害虫について紹介します。病気
風通しが悪い、多湿による根いたみなどに注意が必要です。▼ヒューケラがかかりやすい病気のことならこちらをご覧ください。
害虫
ヨトウムシやアブラムシ、カイガラムシ、ナメクジ、ダンゴムシなどに食害されることがあります。▼ヒューケラの害虫のことならこちらをご覧ください。
ヒューケラの植え替えと株の増やし方
植え付けから年を重ねるほどに、ヒューケラの株は大きくなっていきます。適度に植え替えや株分けを行うことで、ヒューケラの生育も良くなります。ヒューケラの植え替え
ヒューケラの植え替え時期は、真夏や寒い冬を避けた春か秋に行います。鉢植え栽培のヒューケラは、植え付けてから2年目以降、ひと回り大きな鉢に植え替えて根詰まりを防ぎ、株を大きく育てましょう。
反対に株を大きくしたくない場合は、鉢から取り出した株の根を3分の1ほど小さく崩してから鉢に戻して植え付けます。
ヒューケラの株分け
生育が衰えてきたヒューケラは、株分けをして若返らせます。株元で芽が分かれている箇所を切れ味の良いナイフやカッターで切り分け、3号ポリポットで育苗してから植え付けましょう。
ヒューケラの挿木
ヒューケラを挿し芽で増やしたい場合は、根本がしっかり育っている枝を選んで、地表に近いところでカットして育苗ポットに挿し、水を切らさないように管理します。1カ月ほどして根が十分に張ってきたら、鉢や土に植え付けます。
ヒューケラの楽しみ方
ヒューケラは一年中葉を茂らせている常緑の植物なので、寄せ植えや切り花で日常的に暮らしや景観に取り入れましょう。ヒューケラの寄せ植え
葉の色に豊富なバリエーションがあるヒューケラですが、さらに季節で葉の色が変わるので、カラーリーフを活かした寄せ植えがいく通りにも楽しめます。早春はグリーンの葉色のヒューケラで、夏は爽やかなライム色、秋はキャメルやレッドの紅葉色、銀世界の冬はシルバーの葉色のヒューケラで季節ごとの寄せ植えを演出しましょう。
グラデーションを楽しむ!
グリーン、ライム、パープル、ブラック、カッパー、レッド、シルバーと多くの葉色が揃うヒューケラは、葉色のグラデーションを楽しむように植え付けるのもおすすめです。ティアレラ系・ヒューケレラ系と合わせて長く花を楽しむ!
ヒューケラ系・ティアレラ系・ヒューケレラ系を使った近縁種は、葉の形や花の形が違うだけでなく、花の咲く時期が少しずつ違うので、リレーのように長い間花を楽しめる寄せ植えが作れます。切り花
小さくて可憐なヒューケラの花は、和風な茶事での生花にも良く合います。和、洋問わずどんなイメージにも寄り添えるヒューケラの佇まいをフワラーアレンジに活かしてみるのはいかがでしょうか。葉も飾って楽しむ!
斑入りや葉脈間の色味などが多彩なヒューケラの葉を生花と組み合わせると、フラワーアレンジをより一層鮮やかに引き立てます。また、一枚ずつヒューケラの葉だけを花瓶に挿して飾ったり、複数の葉を並べて葉色のグラデーションを楽しみましょう。
ヒューケラを育てよう
カラーリーフとしてお庭に彩りを添えてくれるヒューケラは、花だけに注目しがちなガーデニングに、多種多彩な葉色のバリエーションで楽しませてくれます。寒さにも暑さにも比較的強い性質で、全国各地で育てることができるので、まずは一株からお好みの品種を見つけて育ててみませんか。