小規模農家が実践するジャガイモの収穫と保管|腐らせずに長期間出荷するために

300kg以上を収穫する農家が実践する、失敗しないジャガイモの収穫方法と保存のコツをお教えします。いざ、ジャガイモを掘ったら小さ過ぎたり、大き過ぎたり、大量に腐らせてしまった…ということありませんか?上手に保管できればジャガイモは冬まで持たせることができます。


じゃがいもの収穫

出典:写真AC
いざ、ジャガイモを掘ったら小さ過ぎたり、大き過ぎたり、大量に腐らせてしまった…ということはありませんか?上手に保管できれば冬まで持つジャガイモ。300kg以上を収穫する農家が実践する、失敗しない収穫方法と保存のコツをお教えします。

実は栽培より収穫と保存が難点

ジャガイモは初心者でも簡単に作付けができて、たくさん採れる野菜ですが、失敗したという話をよく聞くのも事実です。土の中で育つジャガイモは収穫のタイミングを見極めるのが難しく、関東圏では収穫の前後に梅雨や猛暑が控えているので、湿度と高温で腐りやすいのが失敗の要因です。

では、実際にどのような失敗が早採りや採り遅れによるものなのかをご紹介します。こんな経験があるという方は、収穫タイミングを振り返ってみてください。

小さくて皮が薄く、保存性が悪いのは早どりが原因

早どりで薄皮がむけてしまったじゃがいも
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収穫時期が早過ぎると、イモの肥大が十分に進まず、小さいサイズが多くなります。また、大きさが十分でも、早採りすると外皮が薄く、少しの衝撃で皮がはがれ、傷みやすくなります。早採りを避けるには大きさだけでなく、皮の硬さにも注意して採り時を見極める必要があります。

腐れ、割れ、病気になりやすいのは採り遅れが原因

芯腐れの発生したじゃがいも
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収穫が遅すぎると、イモの肥大が進み過ぎて中心空洞ができたり、大きな割れができたりしてしまうことが知られています。また、梅雨明け後の高温によりイモのとろけや傷みが発生しやすくなります。

ジャガイモの採り時のサイン

ジャガイモの採り時は、一般に葉茎が半分以上枯れ、外皮の表面がしっかりと厚くなったころといわれています。定植後100日という目安もありますが、実際には仮掘りをして見極めます。ただ、関東圏では収穫時期と梅雨入りが重なることが多く、焦って早採りしてしまったり、タイミングを見計らっていても雨で収穫作業ができなかったり…ということもあるので、どのタイミングで収穫するかを作付け前にあらかじめ決めておくことが大事です。

ジャガイモ収穫のベストタイミングはいつ?

じゃがいもの収穫
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ジャガイモの収穫時期は栽培地域によって大きく異なりますが、関東平野部で春じゃがを栽培する場合についていえば、6月中下旬の梅雨入り前までに収穫を終わらせるのが理想的です。梅雨入りすると、収穫作業がしにくくなるだけでなく、土の中の水分量が増えるため傷みや腐れが出やすくなるからです。梅雨明け後は、湿度と厳しい暑さでさらにイモが傷みやすくなります。

収穫時期から逆算した戦略的品種選びと栽培方法

じゃがいものマルチ栽培
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関東平野部でもほかの地域でも、ジャガイモは収穫のタイミングから逆算して品種や栽培方法を選択すると、大きな失敗を避けることができます。梅雨入り前に収穫するというポイントから、私が実際にどのような品種と栽培方法をとっているかをご紹介します。

早春にマルチ栽培

ジャガイモの収穫を梅雨入り前の6月中旬に開始するには、定植は2月下旬から3月初旬が理想です。早春の植え付けではマルチを使うと地温や湿度が安定し、強い霜や降雪の影響を最小限に抑えることができます。収穫時も、マルチ内部は乾燥しやすく、長雨でない限り収穫作業を行えるというメリットがあります。ただ、マルチ内部は高温になりやすく、収穫が遅れると傷みやすくなるので採り遅れには注意が必要です。

早生品種を中心に選ぶ

ジャガイモの品種は、生育期間によって大きく早生、中生、晩生に分かれています。収穫が7月以降になると収量・品質が落ちやすい関東平野部では、6月中に収穫が可能な早生品種がおすすめです。早生品種には男爵、キタアカリ、ワセシロ、インカのめざめなどが含まれます。

私の農園でも中生のメークイン、晩生のシャドークイーンなどを作付けする場合がありますが、収穫作業が梅雨時期になることを見越して作付け面積を少なくする、白黒マルチを使うといった対応をしています。


ジャガイモを長期保管するポイント

コンテナに詰められたじゃがいも
出典:写真AC
ジャガイモの保管方法は、収穫量によって異なります。家庭菜園の場合は、一つひとつ新聞紙でくるむといった保存方法が採られています。ここでは最低でも100kg以上収穫するような場合で秋から冬まで保存したいときの収穫方法・保存場所・方法についてご紹介します。

長期保管する品種に絞る

ジャガイモの品種には休眠期間が短いものと長いものがあり、長期保存性と密接に関係しています。休眠期間が長い品種は長期保管に向く保存性の高い品種といえます。とうや、十勝こがね、シャドークイーン、シンシアといった品種がこれにあたります。先述の早生や晩生といった性質とはまったく違うものですが、長期保存して年末に出荷する品種として休眠期間の長い品種を栽培品種に加え、重点的に保管環境を整備するとよいでしょう。

収穫時は天気・イモの傷みの有無・詰め込み過ぎに注意

ジャガイモの収穫は晴れの日が2日以上続いたときが理想的です。もし、曇天続きで晴れ間がない場合は収穫後に半日陰で収穫コンテナごと扇風機に当てて乾燥させます。また、1つでも傷んだイモが入っているとそこから腐れが広がってしまうので、傷みがないかよく注意しながら収穫していきます。
収穫時は収穫コンテナに目いっぱい入れると、カゴの下部にあるイモが重みによって傷みやすくなります。通気性も悪くしてしまうので、詰め過ぎず収穫コンテナの7割程度を目安に入れるようにしましょう。

いろいろな保管場所と保管方法

納屋
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理想的なジャガイモの保管場所は、10℃前後に設定された湿度の低い冷暗所です。具体的には業務用の一坪冷蔵庫や、貨物コンテナに空調設備を取り付けたものが農家のジャガイモ保管庫として使われています。一般的な家庭用冷蔵庫では、保存できる量に限りがあり、庫内に湿気がこもりやすいためおすすめできません。



このようなジャガイモ専用の保管庫がない場合は、作業場などの半日陰、常温の場所に保管するしかありません。その場合は、収穫コンテナの外側に遮光ネットをかけて直射日光を遮り、さらに外から業務用扇風機や業務用冷風機を当てるといった対策をとれば、ある程度長期保存が可能です。私は白の遮光ビニールハウス内に遮光ネットを被せた収穫コンテナを並べ、業務用冷風機で夏の高温期をしのいでいます。一部傷みがでることもありますが、大半は年末まで保存できます。
一部の地域ではジャガイモの土中保管という方法もあるようですが、高温や湿害、小動物による食害などのリスクがあり、できる地域は限られているようです。


秋の芽かきでさらに長期保管が可能に

芽が出たじゃがいも
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関東平野部では梅雨時期の湿度と8月、9月の高温期以降は、ジャガイモが傷むリスクはほぼなくなります。ただ、9月末からは芽が出てきます。これを放置しておくと最悪の場合、栄養分が芽にとられてイモがしぼんでしまいます。そのため、冬まで保管したいジャガイモは10月中に一度、芽かきの作業をするようにします。これで年末まで春じゃがを保管できます。

出荷の本番は秋から冬!ジャガイモの長期保管にチャレンジ

カボチャやジャガイモの収穫は梅雨時期から初夏ですが、一般的に秋から冬にかけて需要が高まる野菜です。腐らせずにしっかり長期保管できるスキルや設備があれば、秋から冬に安定して出荷できる貯蔵系野菜ほど頼れる存在はありません。ここで紹介した方法を参考にジャガイモの長期保管にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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はる農園
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はる農園 千葉県印西市で無農薬の野菜を作る農家。その他、狩猟、養蜂、木こり、大工仕事など、風土づくりをテーマに活動中。 facebook : https://www.facebook.com/inba.vege.farm/ instagram : harunoen84