第2回は6月の入梅から、7月末の大暑に向かうころのお話。雨や暑さの中の農家の暮らしをご紹介します。
はるさんの就農体験記や野菜の個性に迫ったコラムはこちら。
夏草空に伸びる
そして一番の大仕事は、野菜ではなく、草。週3回は草刈りと草取りに追われます。1円にもならない仕事ですが、きれいになった畑は清々しいもので、底知れない達成感があります。
雨とたわむれる
雨の日に収穫や草刈りをしていると、雨の音はぽつぽつから、さーさーへと変わり、たまにザーザーへと変わっていきます。気分屋の雨の声は、外で聞いているととてもおしゃべりです。頭や手も雨のシャワーを浴びてさわやか。水たまりを踏むとパッシャン、パッシャンと足元で水が遊んでいます。子どものころ、水たまりで遊んでいたときのように、雨の日の野良仕事は童心を優しく呼び起こしてくれます。梅雨時期の優しい雨の中の作業も時に楽しいものです。
雨が似合う花
曇天続きで、せわしない農繁期。道沿いに咲く花に目を止めて、しばし清々しさを味わうようにしています。ふと心が落ち着き、自然と体も緩んでいきます。
夏の初めの厄払い
夏にも負けず
毎年猛暑や酷暑が続きますが、日中も畑に出ていることが多い私。それでもこれまで熱中症になったことはありません。クーラーも本当に暑い夜に数時間お世話になるくらい。農業をして8年、ずいぶんとバテない体になったものです。一汁一菜と温ビール
一つ目は飲み物は決まって常温かホット。氷やアイスを食べると、次の日の作業で体が重くて動かないので基本的には食べません。最近ではビールも常温またはレンジで温めて飲んでいるほど…。二つ目は、塩分はみそ汁と漬物でとること。夏の食事は一汁一菜。分づき米、みそ汁、ぬか漬けというシンプルなものですが、一番力が出ます。
私の場合、この2つをやっていればしっかりと汗をかけて、体の中から涼しく夏を過ごすことができています。
【農家の一皿】昔ながらのぬか漬け
ズボラ農家でもできるシンプルぬか漬け
夏野菜は毎朝収穫しますが、2割ほどは大き過ぎたり傷があるものが出てきます。畑つくから戻ると、その大き過ぎるナスやキュウリを、これまた大き過ぎるくらいのぬか床にそのままズボズボと突っ込んでいきます。お昼ごろにはさっぱりした浅漬けに、夜には香りと味がしっかりとしたぬか漬けになります。ぬか床づくりは土づくり。決め手は常温!
農園では素焼きの壺にぬか床を作ったら、暑いときは30℃を越える畑のコンテナキッチンに置きっぱなしに。食べるとき、大げさに野菜をかき混ぜてやれば、特別な管理はいりません。
<材料>
・煎りぬか 1kg
・水 1kg
・海水天日塩 150g
・捨て漬け用 野菜(キャベツ、大き目のキュウリなど水分が多いもの)
・お好みで 昆布、唐辛子
<ぬか床の作り方>
1. ぬか床用のつぼに煎りぬか、水、塩を入れてよく混ぜ合わせる。ぬかを強く握って、水分が指の間から少し出てくるくらいがちょうどいい水分です。
ポイント:常温でぬか床を作るときは、素焼きの壺がおすすめです。壺内部の温度や湿度が一定に保たれるので菌が安定して増えやすいからです。
2. 捨て漬け用野菜を入れて、表面を手で整えて空気を抜き、ふたをする。
3. 1日1回混ぜて、捨て漬けを始めて1週間ほどしたら、お好みのの野菜入れてぬか漬けにします。
春から初夏にかけてののら日誌はこちら。農家のレシピは自家製ちりめん山椒!