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桜の挿し木|用土挿し・水栽培・ペットボトル密閉挿しで成功率を上げる方法


桜を挿し木で増やす方法を紹介します。用土挿しと水栽培、ペットボトルを使って密閉挿しにする挿し木のやり方を、画像付きで詳しく解説!また「桜の挿し木の成功率は?」「適した時期は?」「根が出るまでどのくらい?」といった疑問についてもお答えします。

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青空の下で咲く桜

出典:写真AC
春の楽しみといえば、やっぱりお花見!桜の名所を訪れる人も多いと思いますが、自宅でもお花見ができたらうれしいですよね。そこでぜひ挑戦したいのが、桜を枝から増やして育てる「挿し木」というテクニックです。
この記事では、桜の挿し木方法を紹介。用土挿し・水栽培・ペットボトルを使った密閉挿しそれぞれに必要な作業を、ステップごとに解説します!

桜の挿し木の成功率|品種で違いはある?発根させるコツは??

室内で飾られている桜
出典:写真AC
桜の挿し木は、どのくらいの難易度なのでしょうか?気になる情報をまとめました。

桜の挿し木の成功率

桜は挿し木をしても発根しないことが多く、ほかの植物に比べると成功率が低めです。栽培設備が整っているプロでも、成功するのは7~8割程度といわれています。また、桜の挿し木の難易度は品種によって異なり、気温や湿度などの環境も大きく影響します。失敗してしまっても、何度もトライしてコツをつかんでいきましょう!

挿し木が成功しやすい品種

桜には多くの品種がありますが、比較的挿し木が成功しやすいのは「ヤマザクラ(山桜)」と「ソメイヨシノ(染井吉野)」です。ヤマザクラは、古来から日本で自生している原種のひとつ。奈良の名所である「吉野の桜」は、ヤマザクラが多くを占めています。ソメイヨシノは、言わずと知れた桜の代表品種。接ぎ木や挿し木などでクローンが作られ、全国に広がった桜です。

桜の品種については、こちらの記事で詳しく紹介しています!


桜の挿し穂を発根させるコツ

桜の挿し木に適した時期を守り、確率を上げるためにも挿し穂は多めに用意しましょう。できれば発根促進剤を使うと、成功率もアップしますよ。
また、挿し穂は根がないため水を吸収しにくく、乾燥するとすぐに枯れてしまいます。心配な人は、挿し床にビニール袋やラップなどをかけて乾燥を防ぐ「密閉挿し」にするのもおすすめです。密閉挿しについては、のちほどペットボトルを使った方法を紹介します!

桜の挿し木に適した時期|チャンスは年2回!

啓翁桜の枝
撮影:AGRI PICK編集部
植物には、それぞれ挿し木に適した時期があります。桜の場合は花後の6~7月と、休眠期である2月下旬~3月中旬が挿し木の適期です。うまく発根させるためにも、タイミングを逃さないようにしましょう。

6~7月に行う「緑枝挿し」

緑枝(りょくし)挿しは、花が終わったあとに伸びた新梢を採取して行います。緑枝挿しの適期は6~7月。気温が上がり、桜の生育も旺盛になるため、比較的早い発根が見込めます。ただし、気温が高くなると水切れもしやすく、根が出る前に枯れてしまうことも。こまめに霧吹きで水分を与えるなど、乾燥対策が必要です。

2月下旬~3月中旬に行う「休眠挿し」

休眠挿しは、桜が生育をストップしている、気温の低い時期に行う挿し木です。休眠挿しの適期は2月下旬~3月中旬。この時期は、桜の花芽が動き出す直前のタイミング。枝には養分が十分蓄えられているので、挿し木も成功しやすくなります。注意点としては、気温と湿度が低くなること。対策として、挿し木の鉢をビニールなどで覆うのもおすすめです。

挿し木から根が出るまでどのくらいかかる?

つぼみがついた桜のミニ盆栽
出典:写真AC
桜の品種や環境により異なりますが、早ければ1~2カ月、長いときでは3カ月ほどかかります。あせらず気長に待ちましょう。
発根したかどうかは、育苗ポットや鉢の底をチェックしてみましょう。鉢底穴から根が出てきていたら、挿し木は成功です!または、挿し穂をつまんで軽く引っ張ってみて、抵抗を感じたら発根しています。

桜の挿し木|用土に直接挿す方法

桜の挿し木
撮影:AGRI PICK編集部
ここからは、用土に直接挿す方法と水栽培で発根させる方法、ペットボトルを使った密閉挿しの3つの方法をステップごとに紹介していきます。まずは、挿し木の基本ともいえる用土に挿す方法からスタート!

挿し木に必要なもの

挿し木をする前に、必要なものをそろえておきましょう。

桜の枝

啓翁桜の切り花
撮影:AGRI PICK編集部
今回挿し木に使ったのは、フラワーショップで購入した「敬翁桜(けいおうざくら)」の切り花。枝にはつぼみがついていて、葉のない状態です。作業した時期も2月なので、休眠挿しになります。

啓翁桜 生花 切り落とし

啓翁桜の端枝を20~30本のセットに。容器も付属しているので、そのまま飾って楽しめます。

枝の長さ20〜25cm前後

桜の枝に関する注意事項
公園などにある桜の枝を許可なく切ったり、傷付けたりすることは、法律で禁止されています。挿し木に使う桜の枝は、自宅で栽培している株から採取したものや、販売されているもの、所有者の許可を得て譲り受けたものを使いましょう!


鉢・プランター・育苗ポット

紙製の育苗ポット
撮影:AGRI PICK編集部
今回は、100円ショップで購入した育苗ポットを使いました。根が出たら、ポットごと植え付けができる紙製です。
鉢やプランターなどを使う場合は、鉢底穴の上にネットを敷き、鉢底石も入れてから用土を入れましょう。鉢底穴から用土が流れ出るのを防ぐほか、排水性を高める効果もあります。

▼育苗ポットに関する情報はこちら!

用土

トレーに入れた赤玉土の細粒タイプ
撮影:AGRI PICK編集部
挿し木に使う用土は、水はけが良く、清潔で栄養分のないものを選びましょう。挿し木・挿し芽用の配合土も販売されていますが、赤玉土やバーミキュライト、鹿沼土、パーライトなどでもOK!挿し穂が安定しやすい細粒~小粒タイプがおすすめです。今回の挿し木には、細粒の赤玉土を使いました。

▼赤玉土の種類や使い方は、こちらの記事で!

発根促進剤(ルートン)

ふたをあけたルートンの容器
撮影:AGRI PICK編集部
挿し穂に発根剤をつけると、根が出るスピードが早まり、活着も良くなります。

住友化学園 ルートン

挿し木や苗の発根を促進し、活着を良くするホルモン剤です。挿し木以外にも、種子や球根の発根促進にもおすすめ。粉状のまま切り口にまぶしても、水で練ってペースト状にしても使えます。

内容量15g
有効成分α-ナフチルアセトアミド


▼発根剤の種類など、詳しい情報はこちら!

剪定ばさみ

剪定ばさみ
撮影:AGRI PICK編集部
親株から挿し木用の枝を切り取ったり、適度な長さに切り分けたりするのに使います。切断面の繊維をつぶさないように、切れ味の良いものを使いましょう。

▼おすすめの剪定ばさみはこちら!

わりばしなど棒状のもの

手に持った1本のわりばし
撮影:AGRI PICK編集部
用土に棒で穴を開けておくと、挿し穂の切断面を傷めずに挿すことができます。切り口に塗付した発根促進剤も取れにくくなりますよ。

桜の挿し木方法

必要なものをそろえたら、早速作業を始めましょう!

Step1. 枝を切り分けて挿し穂を作る

桜の枝をはさみで切る
撮影:AGRI PICK編集部
桜の枝を長さ10cmほどに切り、挿し穂を作ります。葉が付いている場合は、水分が蒸散してしまうのを防ぐため、2~3枚だけ残し、あとは取り除きましょう。さらに残した葉も、半分の大きさにカットしておきます。
今回使用した枝には葉がないものの、つぼみがたくさんついています。開花にエネルギーをとられないように、つぼみはカットしました。

Step2. 土に挿す側を斜めにカットする

切り口を斜めにカットした挿し穂
撮影:AGRI PICK編集部
土に挿すほうの切り口を、はさみで斜めにカットします。これは、挿し穂の切断面が大きいほど、根を形成する部分がたくさんでき、水の吸い上げも良くなるためです。

Step3. 挿し穂を水に浸ける

水に浸けている挿し穂
撮影:AGRI PICK編集部
挿し穂が乾燥すると、発根しにくくなったり、枯れたりしてしまいます。挿し穂を作ったらすぐに水に浸け、1時間ほど置いて十分水を吸わせましょう。

Step4. 用土を湿らせ、穴をあける

育苗ポットの土にわりばしで穴をあける
撮影:AGRI PICK編集部
鉢や育苗ポットに用土を入れて水で湿らせ、わりばしなどで穴をあけます。今回は細粒タイプの赤玉土を使ったので、ポットの鉢穴から土がもれないよう、底に軽石を入れました。

Step5. 先端に発根促進剤をつける

挿し穂の切り口に発根促進剤をつける
撮影:AGRI PICK編集部
水揚げした挿し穂の先端に、発根促進剤をつけます。

Step6. 挿し穂を用土に挿す

用土に挿し穂を挿す
撮影:AGRI PICK編集部
用土の穴に、挿し穂を挿していきます。挿し穂がぐらつかない程度の深さに挿し、用土を軽く指で押さえて安定させます。

Step7. 水を与えて完了!

挿し床に水やりをする
撮影:AGRI PICK編集部
最後にたっぷりと水やりしたら、作業は完了です!
このあと挿し床は、風通しの良い明るい日陰で管理します。発根するまで用土が乾燥しないように、こまめに水やりしましょう。

桜の挿し木|水栽培で発根させる方法

窓辺に置いた桜の水挿し
撮影:AGRI PICK編集部
桜の挿し木は、水に浸けて発根を促す水栽培も可能です。透明な容器を使うと、発根の確認がしやすいですよ。

桜を水栽培で挿し木する方法

挿し穂を用意する

用土挿しと同様、桜の枝を10cmほどの長さに切ります。吸水力を上げるために、切り口は斜めにカットしておきましょう。枝に葉がついている場合は、水に浸からないように上のほうの葉だけ2~3枚残し、半分の大きさにカットします。

挿し穂を水に浸ける

挿し穂ができたら、すぐに水を入れた容器に入れます。水の量は、差し穂の切り口が浸かる程度で。雑菌が繁殖しないように、水は毎日交換しましょう。

水栽培で根が出たら

挿し穂から根が出たら、早めに土に植え替えます。水栽培のままでは、桜を大きく育てることはできません。また、長期間水だけで育てていると、根が土に順応できなくなり、植え替えても枯れやすくなってしまいます。

桜の挿し木|ペットボトルで密閉挿しにする方法

ペットボトルを使った桜の密閉挿し
撮影:AGRI PICK編集部
乾燥に弱い桜の挿し木は、密閉挿しにするのもおすすめ。密閉挿しは、挿し穂から根が出るまでビニールなどで挿し床を覆い、内部の湿度を高く保つ方法です。水分の蒸散を防ぐことができるほか、保温効果もあるので、気温の低い時期も挿し木の成功率が上がります。
そんな密閉挿しは、ペットボトルを利用すると簡単!透明なので、根が出たかどうかも確認しやすいですよ。そこでここでは、ペットボトルを加工した容器で桜を密閉挿しにする方法を紹介します!

準備するもの

・ペットボトル
・桜の挿し穂
・用土
・発根促進剤
・カッターやはさみ
・わりばしなど棒状のもの

桜の密閉挿しのやり方

Step1. ペットボトルを半分に切る

半分に切ったペットボトルとカッター
撮影:AGRI PICK編集部
カッターやはさみで、ペットボトルを上下に切り分けます。今回使ったのは、600mlのペットボトルです。用土を入れるので、下半分は若干大きめにしました。

Step2. 底に排水用の穴をあける

ペットボトルの底にカッターで排水の穴をあける
撮影:AGRI PICK編集部
ペットボトルの下半分の底に、排水用の穴をあけます。キリがあるとよかったのですが、自宅になかったためカッターで切れ込みを入れました。

Step3. 上半分の切り口部分を調整する

ペットボトルの上半分にはさみで切り込みを入れる
撮影:AGRI PICK編集部
上半分の切り口にはさみで何箇所か切れ込みを入れ、下半分にはまるように加工します。

Step4. 用土を入れる

土を入れたペットボトル容器
撮影:AGRI PICK編集部
ペットボトルの下半分に用土を入れます。今回は赤玉土の細粒タイプを使いました。

Step5. 用土に穴をあける

ペットボトルに入れた土にわりばしで穴をあける
撮影:AGRI PICK編集部
用土を水で湿らせ、わりばしなどで穴をあけます。

Step6. 挿し穂を穴に挿す

挿し穂を土に挿す
撮影:AGRI PICK編集部
挿し穂の断面に発根促進剤をつけ、穴に挿します。

Step7. 水やりをする

挿し床に水やりする
撮影:AGRI PICK編集部
挿し終わったら、底穴から水が流れ出るまでたっぷりと水やりします。

Step8. ペットボトルの上半分をかぶせる

ペットボトルの密閉挿しの完成形
撮影:AGRI PICK編集部
ペットボトルの上半分をかぶせたら、作業は完了です!うまくしまらず、すき間ができてしまう場合は、つなぎ目をテープでとめましょう。

ペットボトルを使った密閉挿しの管理方法

ボトルのキャップは基本的にしめた状態で、半日陰で管理します。夏場はカビが生えやすくなるので、適宜キャップを開閉して湿度調整しましょう。密閉しているため用土は乾きにくいですが、乾燥した場合は水やりします。
挿し穂から根が出たら容器の上半分を外し、徐々に日光に慣らしていきます。半年ほど経って、根が十分伸びたら鉢上げしましょう。

桜の挿し木の管理方法|水やりや日当たり

桜の挿し木
出典:写真AC
桜の挿し木を成功させるには、挿し床の管理も重要です。

水やり

挿し木はとにかく乾燥させないことが大切です。挿し木を行った最初の数日はたっぷりと水やりします。そのあとは徐々に水の量を減らしていきましょう。発根したら、用土の表面が乾いてから水やりします。

日当たり

カーテン越しの明るい日陰や、半日陰で管理します。日当たりが良過ぎると乾燥してしまうので、直射日光は避けましょう。

桜の挿し木に関するQ&A

満開の桜
出典:写真AC
ここでは、桜の挿し木に関する疑問やトラブルの対処法などについてお答えします。

桜の挿し木を鉢上げするタイミングは?

半年ほど経ち、挿し木の根が十分伸びてきたら鉢上げします。12~3月ごろが適期です。

挿し木が枯れる原因は?

挿し木は水分不足で枯れることが多いです。発根するまでの間、用土が湿っているかこまめにチェックしましょう。または、ビニール袋やフタ付きの容器で密閉挿しにすると、湿度が高く保てます。

桜の挿し木を盆栽にする方法は?

挿し木株を盆栽にするには、毎年剪定を繰り返し、少しずつ樹形を整えていきます。新芽がつく前に、余分な枝を短く切り詰めましょう。2年ほど経って株が生長したら、針金を巻き付けて幹をカーブさせます。幹に跡がつかないように、針金は半年後に取りましょう。
また、2~3年ごとに植え替えをして根詰まりを防ぐことも大事です。植え替えは12~3月が適期になります。


桜を挿し木から育ててみよう!

桜の挿し穂と園芸ばさみ
撮影:AGRI PICK編集部
なかなか発根しにくい桜の挿し木ですが、作業自体は意外と簡単。桜の枝を手に入れたら、気軽に挑戦してみましょう!失敗してしまっても、時期や管理場所などを変えて再トライしてみてくださいね。

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