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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
この記事では、桜の挿し木方法を紹介。用土挿し・水栽培・ペットボトルを使った密閉挿しそれぞれに必要な作業を、ステップごとに解説します!
桜の挿し木の成功率|品種で違いはある?発根させるコツは??
桜の挿し木の成功率
桜は挿し木をしても発根しないことが多く、ほかの植物に比べると成功率が低めです。栽培設備が整っているプロでも、成功するのは7~8割程度といわれています。また、桜の挿し木の難易度は品種によって異なり、気温や湿度などの環境も大きく影響します。失敗してしまっても、何度もトライしてコツをつかんでいきましょう!挿し木が成功しやすい品種
桜には多くの品種がありますが、比較的挿し木が成功しやすいのは「ヤマザクラ(山桜)」と「ソメイヨシノ(染井吉野)」です。ヤマザクラは、古来から日本で自生している原種のひとつ。奈良の名所である「吉野の桜」は、ヤマザクラが多くを占めています。ソメイヨシノは、言わずと知れた桜の代表品種。接ぎ木や挿し木などでクローンが作られ、全国に広がった桜です。桜の挿し穂を発根させるコツ
桜の挿し木に適した時期を守り、確率を上げるためにも挿し穂は多めに用意しましょう。できれば発根促進剤を使うと、成功率もアップしますよ。また、挿し穂は根がないため水を吸収しにくく、乾燥するとすぐに枯れてしまいます。心配な人は、挿し床にビニール袋やラップなどをかけて乾燥を防ぐ「密閉挿し」にするのもおすすめです。密閉挿しについては、のちほどペットボトルを使った方法を紹介します!
桜の挿し木に適した時期|チャンスは年2回!
6~7月に行う「緑枝挿し」
緑枝(りょくし)挿しは、花が終わったあとに伸びた新梢を採取して行います。緑枝挿しの適期は6~7月。気温が上がり、桜の生育も旺盛になるため、比較的早い発根が見込めます。ただし、気温が高くなると水切れもしやすく、根が出る前に枯れてしまうことも。こまめに霧吹きで水分を与えるなど、乾燥対策が必要です。2月下旬~3月中旬に行う「休眠挿し」
休眠挿しは、桜が生育をストップしている、気温の低い時期に行う挿し木です。休眠挿しの適期は2月下旬~3月中旬。この時期は、桜の花芽が動き出す直前のタイミング。枝には養分が十分蓄えられているので、挿し木も成功しやすくなります。注意点としては、気温と湿度が低くなること。対策として、挿し木の鉢をビニールなどで覆うのもおすすめです。挿し木から根が出るまでどのくらいかかる?
発根したかどうかは、育苗ポットや鉢の底をチェックしてみましょう。鉢底穴から根が出てきていたら、挿し木は成功です!または、挿し穂をつまんで軽く引っ張ってみて、抵抗を感じたら発根しています。
桜の挿し木|用土に直接挿す方法
挿し木に必要なもの
挿し木をする前に、必要なものをそろえておきましょう。桜の枝
啓翁桜 生花 切り落とし
啓翁桜の端枝を20~30本のセットに。容器も付属しているので、そのまま飾って楽しめます。
枝の長さ | 20〜25cm前後 |
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桜の枝に関する注意事項
公園などにある桜の枝を許可なく切ったり、傷付けたりすることは、法律で禁止されています。挿し木に使う桜の枝は、自宅で栽培している株から採取したものや、販売されているもの、所有者の許可を得て譲り受けたものを使いましょう!
鉢・プランター・育苗ポット
鉢やプランターなどを使う場合は、鉢底穴の上にネットを敷き、鉢底石も入れてから用土を入れましょう。鉢底穴から用土が流れ出るのを防ぐほか、排水性を高める効果もあります。
▼育苗ポットに関する情報はこちら!
用土
▼赤玉土の種類や使い方は、こちらの記事で!
発根促進剤(ルートン)
住友化学園 ルートン
挿し木や苗の発根を促進し、活着を良くするホルモン剤です。挿し木以外にも、種子や球根の発根促進にもおすすめ。粉状のまま切り口にまぶしても、水で練ってペースト状にしても使えます。
内容量 | 15g |
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有効成分 | α-ナフチルアセトアミド |
▼発根剤の種類など、詳しい情報はこちら!
剪定ばさみ
▼おすすめの剪定ばさみはこちら!
わりばしなど棒状のもの
桜の挿し木方法
必要なものをそろえたら、早速作業を始めましょう!Step1. 枝を切り分けて挿し穂を作る
今回使用した枝には葉がないものの、つぼみがたくさんついています。開花にエネルギーをとられないように、つぼみはカットしました。
Step2. 土に挿す側を斜めにカットする
Step3. 挿し穂を水に浸ける
Step4. 用土を湿らせ、穴をあける
Step5. 先端に発根促進剤をつける
Step6. 挿し穂を用土に挿す
Step7. 水を与えて完了!
このあと挿し床は、風通しの良い明るい日陰で管理します。発根するまで用土が乾燥しないように、こまめに水やりしましょう。
桜の挿し木|水栽培で発根させる方法
桜を水栽培で挿し木する方法
挿し穂を用意する
用土挿しと同様、桜の枝を10cmほどの長さに切ります。吸水力を上げるために、切り口は斜めにカットしておきましょう。枝に葉がついている場合は、水に浸からないように上のほうの葉だけ2~3枚残し、半分の大きさにカットします。挿し穂を水に浸ける
挿し穂ができたら、すぐに水を入れた容器に入れます。水の量は、差し穂の切り口が浸かる程度で。雑菌が繁殖しないように、水は毎日交換しましょう。水栽培で根が出たら
挿し穂から根が出たら、早めに土に植え替えます。水栽培のままでは、桜を大きく育てることはできません。また、長期間水だけで育てていると、根が土に順応できなくなり、植え替えても枯れやすくなってしまいます。桜の挿し木|ペットボトルで密閉挿しにする方法
そんな密閉挿しは、ペットボトルを利用すると簡単!透明なので、根が出たかどうかも確認しやすいですよ。そこでここでは、ペットボトルを加工した容器で桜を密閉挿しにする方法を紹介します!
準備するもの
・ペットボトル・桜の挿し穂
・用土
・発根促進剤
・カッターやはさみ
・わりばしなど棒状のもの
桜の密閉挿しのやり方
Step1. ペットボトルを半分に切る
Step2. 底に排水用の穴をあける
Step3. 上半分の切り口部分を調整する
Step4. 用土を入れる
Step5. 用土に穴をあける
Step6. 挿し穂を穴に挿す
Step7. 水やりをする
Step8. ペットボトルの上半分をかぶせる
ペットボトルを使った密閉挿しの管理方法
ボトルのキャップは基本的にしめた状態で、半日陰で管理します。夏場はカビが生えやすくなるので、適宜キャップを開閉して湿度調整しましょう。密閉しているため用土は乾きにくいですが、乾燥した場合は水やりします。挿し穂から根が出たら容器の上半分を外し、徐々に日光に慣らしていきます。半年ほど経って、根が十分伸びたら鉢上げしましょう。
約1カ月後…挿し穂から芽が出ました!
桜の挿し木の管理方法|水やりや日当たり
水やり
挿し木はとにかく乾燥させないことが大切です。挿し木を行った最初の数日はたっぷりと水やりします。そのあとは徐々に水の量を減らしていきましょう。発根したら、用土の表面が乾いてから水やりします。日当たり
カーテン越しの明るい日陰や、半日陰で管理します。日当たりが良過ぎると乾燥してしまうので、直射日光は避けましょう。桜の挿し木に関するQ&A
桜の挿し木を鉢上げするタイミングは?
半年ほど経ち、挿し木の根が十分伸びてきたら鉢上げします。12~3月ごろが適期です。
挿し木が枯れる原因は?
挿し木は水分不足で枯れることが多いです。発根するまでの間、用土が湿っているかこまめにチェックしましょう。または、ビニール袋やフタ付きの容器で密閉挿しにすると、湿度が高く保てます。
桜の挿し木を盆栽にする方法は?
挿し木株を盆栽にするには、毎年剪定を繰り返し、少しずつ樹形を整えていきます。新芽がつく前に、余分な枝を短く切り詰めましょう。2年ほど経って株が生長したら、針金を巻き付けて幹をカーブさせます。幹に跡がつかないように、針金は半年後に取りましょう。
また、2~3年ごとに植え替えをして根詰まりを防ぐことも大事です。植え替えは12~3月が適期になります。