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- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
菊芋とは?どんな味?
和名/英名 | キクイモ、ブタイモ/Jerusalem artichoke |
学名 | Helianthus tuberosus |
属・科 | キク科ひまわり属 |
歴史 | 北アメリカ原産で、インディアンによって 栽培されていたといわれています。 日本に伝来したのは江戸時代末期。 |
旬 | 11~12月 |
菊芋の持つ栄養と効能・効果
豊富な栄養素
菊芋の主成分「イヌリン」は「天然のインスリン」といわれる水溶性の食物繊維で、糖質の吸収を抑える働きを持っています。また塩分の排出を促す効果のある「カリウム」も非常に多く含まれており、高血圧の予防にも役立ちます。
- 食物繊維(イヌリンは水溶性の食物繊維)
- たんぱく質(100g中1.9gと少なめです。)
- ミネラル
- カリウム
効能・効果について
血糖値、血圧の上昇を抑えるので、糖尿病やメタボの対策に効果的です。また、腸内で善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整えるのにも役立ちます。菊芋は病気にも効く?治療効果なしだが健康な体作りができる
豊富な栄養素が含まれている菊芋は、効能が生活習慣病やアレルギー性の病気などの役に立つという報告もあるのです。糖尿病|血糖値・血圧の上昇が抑えられるので予防に効果的
菊芋は高血糖により引き起こる糖尿病の予防に効果的です。一般財団法人日本臨床試験協会から、菊芋に含まれているイヌリンは血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるという研究結果※がでています。
健康な人であれば、食事で糖質を摂取して血糖値が上がっても、食後2時間ほど経てば正常値に戻ります。
しかし、膵臓の働きが悪い人は血糖値を調整してくれるインスリンの分泌が上手くいかないため、血糖値が下がりにくくなり糖尿病を引き起こすのです。
そのため血糖値が気になる方は、インスリン分泌と似た作用を持つ菊芋を毎日の食事へ取り入れてみるとよいでしょう。
※名嶋真智・白川太郎・植木音羽(2018) 「菊芋による食後血糖値上昇抑制効果;健常者に限定した再統計解析:」診療と新薬, 55, 605-612
がん|大腸がん予防の機能を持つとされるイヌリン
菊芋を摂取することは、大腸がん予防にも有効とされる見方もあります。富山県食品研究所では、菊芋のイヌリンには腸内環境の改善と脂質の減少を促進する効果があることを報告しています。※
大腸がんは生活習慣の質の悪さから患う可能性も高いです。生活習慣の乱れによる腸内環境の悪化や脂質の過剰摂取を抑えるために、菊芋を食事に取り入れることから生活習慣を正しはじめましょう。
※横井健二・今井修(2008)「キクイモを原料とした機能性に富む加工食品の製造技術の開発」富山県食品研究所研究報告,6,15-23
アトピー性皮膚炎|アトピーにも有効な腸内善玉菌が増える効果も
アトピー性皮膚炎は腸内環境と密接につながっていると言われています。そのため腸内善玉菌を増やす効果のあるイヌリンを摂取することによって、アトピーが改善される可能性もあるでしょう。
生の菊芋の選び方・保存方法
菊芋の旬は11月〜12月頃です。栽培時期が冬の間だけなので、スーパーに並んでいる時期は短く入手しづらい食材でしょう。もし近所のお店で販売されていないなら、インターネットでの購入がおすすめですよ。
良い菊芋の選び方
生の菊芋はあまり見かけませんが、購入するときは丸々と太っているものを選びましょう。触ったときに柔らかいものは鮮度が落ちています。硬いものの方が新鮮です。すぐ食べる場合
洗うとカビや乾燥の原因になるので、洗わずに土が付いたまま新聞紙に包んで、冷蔵庫の野菜室で保存します。長期保存する場合
せっかく入手した珍しい生の菊芋は、できるだけ長持ちさせたいですよね。正しく保存すれば、1年中食べることができます♪「土が付いたまま」の保管が基本で、寒い時期は土に埋めておきます。土が凍ってしまう地域では、土入りのプランターや鉢に入れておきましょう。ただ、暖かくなってくると芽が出てしまうので、その場合は菊芋をスライスして天日干しにして冷凍庫で保存します。
保存がきく「干し菊芋」を作ろう!
皮をむいて薄くスライスしたものを、天日干しして乾燥させます。充分に乾燥させたものを、チャック付きの袋に入れて冷凍しておけば、そのまま調理できますよ。菊芋の栽培マニュアル
入手困難な菊芋、いっそのこと自分で育ててみませんか?繁殖力が高いので、植え付けたら手間をかけなくてもよく育ちます。ただし、土の栄養を吸い取る力がとても強いため、畑が心配ならプランター栽培をおすすめします。しかし菊芋は大きく成長するので、用意するプランターは1株につき深さ30cm以上、直径40cm以上植え付けられるものにしましょう。複数の菊芋を同じプランターで栽培するならそれぞれ30〜40cmずつ間隔を空けると元気に育ってくれます。
菊芋の植え付け・収穫時期
菊芋は3~4月に植え付け、11~12月に収穫します。準備するもの
・種芋・支柱(2m近く大きくなるため)
・紐や結束バンド(倒れないように支柱と結び付ける)
・容器栽培の場合、直径30cm以上のプランターと培養土
・畑栽培の場合、石灰
おすすめの種芋
菊芋の育て方
植え付け
日当たりの良い場所に植え付けます。プランターで栽培する時の土は、花・野菜用の培養土でOK。畑に植える時は、酸性土壌を嫌うので、植え付けの2週間前に石灰をまいてよく耕しましょう。無農薬でもしっかり育ちます。また、最初に植え付ける種芋からたくさん芽が出ている時は、2~3個だけ残して後は取り除く「芽かき」をしましょう。
植え替え
土の栄養をごっそり吸い取ってしまう菊芋は連作に不向きです。もう1年育てたいなら、違う畑に植え替えを行いましょう。収穫と種芋の保管
11月、地上部が枯れてきたら収穫可能です。茎を切って掘り上げましょう。食べるときに食べる分だけ収穫し、残りは土の中で保管します。放置すると勝手に育ってしまうので注意!掘るときは菊芋を傷つけないように株から30cmほど離れた場所にスコップを差し込み土をほぐしていきましょう。あとは手で茎を持ちながら引っ張ると収穫できます!
また菊芋は繁殖力が強いため放置すると勝手に育ってしまうので、掘り残しには注意しましょう。
菊芋の花が咲かないけど大丈夫?
「菊芋を育ていると途中で花が咲くはずなのに、その気配がまったくない……」
菊芋を育てていると直面することもある悩みかと思います。
不安だとは思いますが、待っていれば花が咲く場合がほとんどなので大丈夫です。もし花が咲かなくても、塊根植物は茎や根がしっかりと育てば収穫できるのでもう少し様子を見てみましょう。
菊芋の食べ方・レシピ|チップス、きんぴら、サラダ、味噌漬けなど
菊芋は生でも加熱しても食べられます。サクサクした歯ごたえがあり、主張しない味。そのため「味がない」と言われることもありますが、逆に言えばどんな食材や味付けとも合わせやすいということ。いろいろな調理方法を試して、食べ方のバリエーションを増やしましょう!効果的な食べ方と下処理について
菊芋は加熱すべき?
菊芋で摂りたい栄養といえば、イヌリンですよね。でもこのイヌリン、残念ながら加熱すると量が少なくなってしまいます。高温で長時間加熱すればするほど減少していくので、生のまま食べるか、短時間の加熱がおすすめです。下処理の仕方
菊芋は皮にも栄養がありますが皮は若干あくがあるため、包丁やピーラーでむいた方が食べやすくなります。生で食べる時は、10分ほど水に浸けてあく抜きします。【レシピ1】菊芋のチップス
菊芋を洗って皮をむかずに薄くスライスし、水気を拭いておきます。中温の油でカリッとなるまで揚げ、揚がったら油を切って、塩などお好みの調味料で味付けましょう。子供にも食べやすいおいしさ!またノンオイルで菊芋チップスを作ることもできます。洗った菊芋を薄くスライスし水気をよく吸い取る。オーブンシートを敷いた耐熱皿に菊芋を並べ、600wで10分加熱すると完成。
簡単かつヘルシーに料理を楽しむことができますよ!
【レシピ2】菊芋のサラダ
お好みの野菜と菊芋を、ごま油、塩、こしょうであえます。お酒とよく合うおつまみ風サラダです。野菜はきゅうりやごぼう、にんじんなど、菊芋と同じシャキシャキ系の野菜がよく合います。【レシピ3】菊芋のきんぴら
菊芋をごま油で炒め、みりん、砂糖、醤油であえます。最後にゴマを加えると香りが良くなってGood。れんこんやにんじんを一緒に入れても、食感の違いを楽しめるおいしいきんぴらに。【レシピ4】菊芋の味噌漬け
シンプルでおいしい、おすすめメニューです!菊芋を塩漬けしてから、1日ほど水に浸けて塩を抜き、味噌漬けします。皮はむかず、そのままでOK。【レシピ5】菊芋の酢漬け
さっぱりシャキシャキ食感で、お口直しにもちょうどいいメニューです!皮をむいた菊芋を水にさらして水気を取り、5cm幅にきります。袋に菊芋と砂糖、塩、酢を一緒に入れて揉み込み冷蔵庫で半日〜1日置くと完成です。
菊芋の食べ過ぎはNG?|適切な量は20〜30g
菊芋を食べ過ぎると便が緩くなってしまうことも。20~30gで健康な人が一日に必要なイヌリンの摂取量を補えるため、食べ過ぎは要注意です。いくら健康に良いとはいえ、菊芋ばかりを大量に食べるのではなく、バランスのいい食事を心掛けましょう。
【菊芋茶・チップス・パウダー・サプリ】加工食品で手軽に!
菊芋といえば、健康食品が人気です!生の菊芋はまだまだ出回っている量が少ないので、お茶やチップス、サプリなどを利用すれば、手軽に菊芋のイヌリンを摂取できます。菊芋茶
作り方は急須などにティーバックを1つ入れ熱湯を注ぎ5分ほどむらすだけです。菊芋茶には血糖値の上昇を抑える効果があるので、食事前や食事中に飲むのがおすすめです!菊芋チップス
菊芋パウダー
菊芋サプリ
便秘改善・ダイエット効果が出やすい菊芋の摂取の仕方は?|食べるタイミングは食前がおすすめ
菊芋には糖尿病をはじめとするさまざまな効果が期待されていますが、せっかくなら効率よく摂取したいですよね。ここからは菊芋の効果的な食べ方や飲み方をご紹介していきます。食事の前に食べる
食物繊維を多く含んでいる菊芋を食前に摂取することによって血糖値の上昇が抑えられます。そのため日頃血糖値を気にしたりダイエットをしたりする方は、最初に菊芋から食べるか菊芋茶と一緒に摂取することをおすすめします。
皮も一緒に食べる
菊芋の皮には実の何倍も多くポリフェノールが含まれていますので一緒に食べましょう。ポリフェノールは動脈硬化やがんの原因にもなる活性酸素から守ってくれる効能があります。そのため効率よく栄養を摂取したいなら皮はむかずに食べるようにしましょう!
日常的に食べる
菊芋に含まれるイヌリン※はたまに摂取するよりも、継続して摂取した方が効果が高いといわれています。菊芋はさまざまな調理方法で食べることができるため飽きにくいです。今回ご紹介したレシピなどを参考にして可能な限り毎日食べたり飲んだりしてみましょう!
※イヌリンは100度で調理をすると分解が始まります。なので煮物などの料理をする際は注意が必要です。
土の中で保存する
菊芋は土の中での保存が最適です。菊芋は傷みやすく常温保存でも1週間、冷凍保存だと1〜2ヶ月で腐り始めてしまいます。そのため収穫直後から栄養はどんどん失われていき、食べても本来の効果を発揮しなくなります。
しかし土の中に埋めることによって3ヶ月近く保存ができ、かつ必要なときに掘るようにすれば栄養価も高いまま食べられるのでおすすめです。