- Akiko Isono
編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。…続きを読む
ゴーヤのように全国的に広まったものもありますが、まだまだ知られていない沖縄野菜はたくさんあります。沖縄野菜10種の食べ方や栄養価、育て方のポイントなどを一挙にご紹介しましょう!
1. 育てて食べて楽しい、沖縄野菜10選
亜熱帯気候の沖縄とは栽培・収穫の時期が多少ずれますが、ほとんどの沖縄野菜はほかの地域でも育てられます。ちょっと変わった野菜を育ててみたい、家庭菜園好きの方にはぜひおすすめ!沖縄での食べ方や、ふだんの料理に取り入れるアイデアもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1. ゴーヤ(苦瓜)
代表的な沖縄野菜
沖縄野菜の中で、最も知名度の高いのがゴーヤ。沖縄や南九州で古くから食べられている野菜で、全国的に普及したのは1990年代以降です。涼しげなグリーンカーテンが作れる野菜として、現在は家庭菜園でもすっかり定番になりました。「苦瓜」とも呼ばれるように特徴的な苦味があり、その元は「モモルデシン」という成分です。モモルデシンには胃腸の粘膜を保護し、食欲をアップさせる効果があり、夏バテで食欲が落ちたときなどにぴったり。また、ビタミンCやカリウムも多く含まれています。苦味を抑えたいときは、薄く切って塩もみするか、うまみの強い食材と一緒に調理するのがおすすめです。
ゴーヤの育て方
5~6月ごろに苗が出回る苗を、菜園やプランターに植えつけます。すぐにつるが伸び始めるので、支柱とネットを早めに設置しましょう。グリーンカーテンに仕立てる場合は、本葉5~6枚のころに主枝の先端を摘心し、わき芽がネット全体に広がるように誘引しながら育てます。成長が早いので、定期的な追肥も忘れずに。沖縄 あばしゴーヤ
沖縄 あばしゴーヤ(苗)
・内容:3.5号(10.5cm)ポット
・参考価格:380円前後
・参考価格:380円前後
2. ナーベラー(へちま)
じつは意外と身近な植物!
ナーベラーとは、じつは「へちま」のこと。へちま水やタワシを作る利用法が知られていますが、沖縄や南九州では、長さ20cmほどの若い実を食材として利用します。ほんのり甘みがあり、水分が多く、加熱するとトロリとした食感になります。沖縄では、島豆腐やポーク缶(または豚肉)と一緒に味噌味で炒め煮にした「ナーベランブシー」や味噌汁の具にするのが一般的。ほとんどが水分ですが、ベータカロテンやビタミンC、カリウムなどの栄養素を含んでいます。
ナーベラーの育て方
栽培方法はゴーヤとほとんど同じです。つるが上に伸びるので、支柱を立ててネットをスクリーン状に張るか、棚を組んで上から実がぶら下がるように仕立てます。プランターの場合は、水切れや肥料切れに気をつけましょう。5~6月に植えつけると、8月の後半ごろからどんどん実がつき始めます。食用に適しているのは長さ20~25cm程度で、大きくしすぎると繊維がかたくなり食べられません。収穫しきれない場合は、大きく育ててへちまのタワシ作りに挑戦してみるのもいいかもしれません。ヘチマの苗
第一ビニール くだもの棚セット
3. モーウイ(毛瓜)
重さ1kgのジャンボきゅうり
長さ30cm、重さ1kg前後にもなる瓜の一種で、漢字では「毛瓜」と書きます。表面が赤茶色なことから、「赤毛瓜(アカモーウイ)」とも呼ばれます。15世紀ごろに中国から伝わり、琉球王朝の宮廷料理の食材として定着し、やがて一般家庭にも広まりました。きゅうりに似た淡白な味で、薄くスライスしてサラダや和え物にしたり、冬瓜のように出汁を含ませて煮たり、味噌汁にしたりと、幅広く使えます。大半が水分ですが、ビタミンやカリウムなどを少量ずつ含んでいます。
モーウイの育て方
苗はほとんど出回らないので、ネット通販などで種を入手して、苗作りから始めましょう。種まきから植えつけられる大きさの苗になるまでは、1カ月ほどかかります。植えつけの適期は4月下旬~5月上旬ごろなので、それに間に合うように逆算して種をまきます。本葉4~5枚まで育てた苗を植え、支柱とネットを設置し、つるを誘引しながら育てます。果実が重いので、支柱がぐらつかないようにしっかり立てましょう。地這いで栽培する場合は、果実が傷まないように下にわらを敷きます。沖縄赤毛瓜 小袋
4. うりずん(四角豆)
サクサクの歯ごたえが楽しい
緑色の若いさやを食べるマメの一種で、切った断面が四角形なことから「四角豆」とも呼ばれます。「うりずん」は、「潤い初め」が語源となった沖縄の言葉で、冬が終わり、大地が潤い始める季節(春分から梅雨入り前の3~4月ごろ)の時期をさします。カロテンやビタミンC、ビタミンKなどを多く含み、味はくせがなく、サクッとした歯ごたえが特徴です。サッとゆでて、マヨネーズやドレッシングで和えるだけでもおいしく食べられます。炒め物や天ぷらなど、油との相性もよく、いろいろな調理で味わうことができます。
うりずんの育て方
菜園やプランターに直接種をまくか、ポットにまいて育苗する2通りの方法があります。熱帯アジア原産で低温に弱いため、どちらの場合も、種まきは5月に入ってからがよいでしょう。1カ所に3~4粒種をまき、本葉3~4枚の頃までに1本立ちにします。つるを伸ばして育つので、支柱を立て、ネットをスクリーン状に張って誘引しながら育てます。グリーンカーテンにするのもおすすめ。収穫は8月の後半からで、長さ10cm前後のさやをハサミで切り取ります。栽培期間が長いので、定期的に追肥しながら育てましょう。琉球しかくまめ うりずん
琉球しかくまめ うりずん豆(苗)
・内容:3号(9cm)ポット
・参考価格:250円前後
・参考価格:250円前後
5. フーロー豆(十六ささげ)
丈夫で栄養豊富
沖縄のほかに、愛知、岐阜、奈良、鹿児島などで栽培されているマメ科野菜で、「十六ささげ」「三尺ささげ」など、地域によって呼び名もそれぞれ違います。特徴は何と言っても、さやの長さ。30~50cmにもなる細長いさやが房状につき、初夏から秋の初めまで次々に収穫できます。ベータカロテンが豊富な緑黄色野菜で、やわらかく甘みがあり、炒め物やごま和え、天ぷらなど、いろいろな料理に使えます。品種によってさやのグリーンの濃いもの、淡いもの、赤いものがありますが、食べ方や栄養素は変わりません。
フーロー豆の育て方
種まきの時期は4月下旬~6月上旬。1カ所に3~4粒種をまき、本葉3~4枚の頃までに1本立ちにします。さやがつくと重くなるので、支柱を深くしっかりさし、ネットをスクリーン状に張ってつるを誘引しながら育てます。成長が早いため、水切れ、肥料切れに気をつけて育てましょう。暑さに強い野菜で、夏の間もたくさん実をつけます。収穫の目安は長さ30cm前後ですが、小さめのものもやわらかく、おいしく食べられます。十六ささげ 種 20ml
6. コーレーグース(島とうがらし)
沖縄そばに欠かせない調味料に
辛味の強いとうがらしで、泡盛に漬け込んだ「コーレーグース」という調味料の材料としてよく知られています。コーレーグースはもともと沖縄の方言で、とうがらし全般をさすそうです。3cmほどの小ぶりな実が上を向いてつき、育つ姿がかわいらしく、プランター栽培にもおすすめ。ただし辛味がとても強いので、収穫の時などは手袋をしたほうが無難です。泡盛のほかに、オイル漬け、とうがらし味噌などの調味料に利用できます。
島とうがらしの育て方
苗はホームセンターやネット通販などで購入できます。5月~6月上旬が植えつけの適期で、追肥、水やり以外はほとんど手がかかりません。最初は緑の実を収穫して、後半に赤く熟したものを収穫すると、株が疲れずに長期間収穫が続けられます。刺激が強いので、素手で触らないように気をつけましょう。沖縄島とうがらし
7. ハンダマ(金時草)
地域によって呼び方はいろいろ
葉の表面が緑色、裏が紫色のカラフルな葉野菜。「ハンダマ」は沖縄や奄美での呼び方で、金沢では「金時草」、熊本では「水前寺菜」と呼ばれ、それぞれ伝統野菜として根づいています。紫の色素は高い抗酸化作用を持つアントシアニンで、ほかにベータカロテンやビタミンC、鉄などを多く含みます。食べ方はおひたしや天ぷらなどが一般的で、ゆでると少しぬめりが出ます。長くゆでると紫色が抜けてしまうので、おひたしにするときは、熱湯に入れて30秒ほどでざるに上げ、流水で冷ます方法がおすすめです。
ハンダマの育て方
ホームセンターやネット通販で苗を購入するか、市販品から挿し木で苗を育てて菜園やプランターに植えつけます。1カ月目から、月に1回を目安に追肥します。丈夫であまり手がかかりませんが、夏場の乾燥がひどいときは、株元にワラを敷くとよいでしょう。株の高さが30cmほどになったら、下から2節残して茎ごと切り取り、収穫します。残した節から新しいわき芽が出るので、次々に収穫しましょう。冬はプランターなどに植え替えて暖かい場所に置くと、冬越しさせることもできます。金時草苗
8. ウンチェー(空心菜)
暑さに強い葉物野菜
中華料理や東南アジア料理によく登場する「空心菜」のことで、ほかに、「ウンチェーバー」「パナイ」などの呼び方もあるそうです。ベータカロテンをはじめとするビタミン類や、鉄、カルシウム、食物繊維などの栄養をバランスよく含み、熱帯性で真夏もどんどん葉を伸ばすことから、暑い沖縄の貴重な栄養源として昔から栽培されてきました。にんにくで香りづけした炒め物が定番で、先端のやわらかい茎はサラダなどにも利用できます。ウンチェーの育て方
初夏から夏に種をまくか、市販のものから挿し木して育てることもできます。詳しい育て方は、こちらの記事を参照してください。エンサイ 小袋 種子
9. 島らっきょう
香りと辛味が持ち味
普通のらっきょうに比べると細く、根元のふくらみも小ぶりですが、香りや辛味が強いのが特徴です。島らっきょうは血管を広げて血流をよくするアデノシンという成分を多く含み、血圧を下げ、生活習慣病予防の効果があると言われます。また、独特の香りの元であるアリシンにも、血液をサラサラにする効果があります。ピリッとした辛味とシャキシャキの食感が楽しめる島らっきょうの塩漬けは、沖縄土産として大人気。ほかに、天ぷらや味噌炒めなどでもおすすめの食べ方です。
島らっきょうの育て方
8月から10月の初め頃に、種球と呼ばれる球根を植えます。1カ所に2つずつ、20cm間隔で、種球の先端が見えるくらいに土に埋め、半年ほどかけて球根を太らせます。新しい葉が出たときと、翌年の2~3月ごろに追肥をする以外は、ほとんど手間がかかりません。沖縄では年明けから初夏が島らっきょうの旬ですが、ほかの地域では、収穫は5月以降になります。島らっきょう 種球 約120g
10. 島にんじん
冬が旬の滋養食材
30~40cmの長さに育つ細長いにんじんで、根が黄色く、香りが強いのが特徴です。カロテンやカルシウムなどを豊富に含み、沖縄では、寒い季節を乗り切るための滋養食材として、昔から親しまれきました。豚のレバーと一緒に煮込んだ汁物や、豚肉やツナと合わせた炒め物などが代表的な料理です。普通のにんじんと同じように使えるので、煮物やサラダ、カレーなどに幅広く利用できます。島にんじんの育て方
栽培スタートは7~8月。島にんじんの種はネット通販などで入手できます。根を長く伸ばすので、土作りのは30cm以上の深さまでしっかり耕しましょう。種をうまく発芽させるコツは、種まき後に薄く土をかぶせることと、水を切らさないことです。1cm間隔で種をまき、発芽後は3回に分けて間引きをして、間隔を10cmほどあけるようにします。アゲハチョウの幼虫がつくことがあるので、葉を食べられないように早めに対策しましょう。沖縄島人参 種 小袋
島人参(種)
・内容:10ml
・参考価格:320円前後
・参考価格:320円前後
島人参(種)
・内容:小袋
・参考価格:320円前後
・参考価格:320円前後
2. 沖縄野菜で料理のレパートリーを広げよう
日本だけでなくアジア諸国の影響を受けながら、独特の食文化を育んてきた沖縄。シンプルで食材の味を生かした沖縄料理を味わい、すっかりファンになったという方も多いかもしれません。そして、これらの料理に欠かせないのが、今回紹介したさまざまな沖縄野菜です。ふだん食べている野菜に比べると個性的なものもありますが、家庭料理に取り入れやすく、栄養価も高いので、ぜひレパートリーに取り入れてみてくださいね。
紹介されたアイテム
あばし ゴーヤ(種)
沖縄 あばしゴーヤ(苗)
¥380 税込
太へちま 糸瓜(苗)
¥130 税込
第一ビニール くだもの棚セット
つけうり(種)
¥270 税込
雑豆 種 四角豆 うりずん(種)
琉球しかくまめ うりずん豆(苗)
¥248 税込
十六ささげ(種)
¥227 税込
沖縄島とうがらし(種)
¥432 税込
金時草 水前寺菜の苗 6株セット
¥1,390 税込
エンサイ(種)
¥1,037 税込
島らっきょう 種球
¥519 税込
島人参(種)
島人参(種)
¥324 税込