大分県豊後大野市でコントラクター事業を活用して本格的に農業参入し、白ネギ栽培に取り組む有限会社大分千歳村農産加工 部長 佐藤恵一さんに、コントラクターのメリットについて聞きました。
ユズ、カボスの加工品製造・販売会社からスタート
有限会社大分千歳村農産加工の概要
有限会社大分千歳村農産加工
所在地:大分県豊後大野市千歳町高畑
設立:1998年4月
資本金:1,350万円
従業員数:26名(パート含む)
Webサイト:大分千歳村農産加工
主力商品はゆずこしょうとかぼす果汁
2022年に創業25年目を迎える大分千歳村農産加工は、ユズ、カボスの加工品の製造・販売をメインに、産地直送野菜の販売のほか地元の農家と契約を結び、地域の農産物の拠点づくりにも積極的に取り組んでいます。主力商品のゆずこしょうの原料のユズは九州全域から、トウガラシは大分県産を使用して生産。販路は、コーヒーや輸入食品などを取り扱い全国規模でチェーン展開する小売店や薬局チェーン、有名スーパーです。量販店からの引き合いも多く、商品は人気を呼んでいます。
雇用の安定化を目指し、小規模農地で栽培をスタート
ゆずこしょうやかぼす果汁の製造・販売が順調に推移し、従業員の雇用も拡大。一方で、商品を製造する時期にあたる繁忙期と仕事が一段落する閑散期が明確に分かれるため、従業員を周年雇用するのが難しいという課題がありました。白ネギ栽培に本格的に参入して見えてきた問題
大分千歳村農産加工では、近隣の農地を借りて自社で小規模栽培を行い、4年ほど前からは50aで白ネギ栽培をスタートしました。当初、白ネギ収穫後の出荷調整作業は外部に委託していましたが、本業の閑散期に当たる1〜3月なら社内で業務をまかなえるので、この時期の作業は内製化することになりました。
面積を拡大したものの、反収が激減
2021年には白ネギの栽培面積を1haに拡大しました。ところが、収量は大幅にダウンする事態に。農業機械を所有していなかったため、1日にできる作業には限りがあり、除草や消毒など適期作業が追いつかなかったのが原因です。以前は、50aで反収3tだったものが1haで2tを割る結果となってしまいました。振興局からコントラクター事業を紹介される
同社は、白ネギ栽培を立て直すために大分県豊肥振興局に相談。県からは、これまでにもさまざまな提案をしてもらっていたといいます。月に1回ほ場に来てもらい、栽培に関するアドバイスを受けたり、慢性的な人材不足に対しては、農福連携を活用して人材を確保する方法なども教えてもらいました。2021年には県の補助事業「ねぎ算出額100億円プロジェクト推進事業」を活用して、皮むき器、結束機3セットを購入しています。「ねぎ産出額100億円プロジェクト推進事業」
大分県では、令和5年までに白ネギ(小ネギを含む)産出額100億円を実現するために、白ネギの新規栽培者などの機械導入を支援し、白ネギ栽培の開始に必要な機械の導入金額の2/3(県1/3 、市町村1/3)を補助。また、大規模経営体による技術指導なども行われている。
コントラクター事業とは
農業の専門技術を有し、高性能農業機械で農作業を請け負ってくれる専門家を意味する。新規参入の企業や農家がコントラクターを活用することで、農業機械をはじめとする設備投資や人件費などのコストを削減でき、農業経営の早期安定化にもつながる。
大分千歳村農産加工では、振興局から紹介された大分県豊後大野市のシセイ・アグリ株式会社とコントラクター契約を結びました。シセイ・アグリは、20haの農地で白ネギの周年栽培を手がける、白ネギ栽培のスペシャリストです。
シセイ・アグリ株式会社のコントラクター事業
コントラクター事業を活用するメリット
大分千歳村農産加工では、2022年からコントラクター事業を活用し、3haまで栽培面積を拡大しました。シセイ・アグリに委託している作業は、定植、土寄せ(4〜5回目まで)など、収穫前までのほぼすべての工程です。佐藤さんは、コントラクター事業活用について次の3つの点にメリットを感じています。農業機械の高額投資が不要
コントラクター事業では、サービスを提供する企業側が所有する農業機械を使用しながら、適期作業など必要な仕事を請け負います。そのため、新規参入側で設備投資をしなくても事業をスタートでき、初期費用も大幅に軽減できます。
専門的な視点での栽培アドバイスが受けられる
目の前の課題にきめ細やかに寄り添うサポート体制
佐藤さんは、シセイ・アグリの衛藤社長に、日ごろからメッセージアプリを活用してほ場や白ネギの写真を送り、電話で細かくアドバイスをもらいながら栽培に取り組んでいます。コントラクター事業者 シセイ・アグリ株式会社 衛藤勲社長からひとこと
大分千歳村農産加工さんとのコントラクター契約は初年度ということもあり、節目節目でほ場を訪ねるようにしていました。
今後、コントラクター事業が拡大したときに、現場とコントラクター側のコミュニケーションツールの整備が必要だなと感じています。現在、試験的にほ場の状態を確認できるカメラを設置したり、お互いの役割分担などを明確にするための準備を進めています。
将来的には白ネギの栽培面積を5haに拡大したい
コントラクター事業を活用して白ネギの栽培面積を拡大した2022年は、残念ながら台風被害の影響で収量アップには至りませんでした。次年度以降はコントラクター事業を活用しながら、さらなる飛躍を目指すと語る佐藤さん。コントラクター事業を活用することで、最低限の投資で出荷・販売も実現可能だという手応えを感じている佐藤さんは、今後栽培面積を5haにまで拡大したいと考えています。
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