ここでは、長芋の栄養成分や効能効果とともに、すりおろして食べるとろろの栄養や「とろろ納豆」、冷凍保存の方法、長芋を使った簡単おいしい養生ごはんを紹介します。
長芋の栄養成分と効能効果|カロリーや炭水化物、糖質量
また、デンプンの分解酵素「ジアスターゼ」もたくさん含有しています。ジアスターゼは「アミラーゼ」とも呼ばれ、消化を助ける働きが期待されています(※2)。別名「山のウナギ」といわれる長芋は、精力を付ける食材としても古くから親しまれてきました。薬膳では「山薬」とも呼ばれ、胃腸を丈夫にする働きが期待できます。
※1 参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020版(八訂)」
※2 参考:日本食糧新聞「波動を高める生活学:長芋」
加熱しても、長芋の栄養は変わらない!?
長芋は生でも加熱してもおいしく食べられる食材ですが、加熱すると栄養はどう変化するのでしょうか。ジアスターゼは熱に弱く、その効果が少なくなります。(参考:日本農芸化学会誌「アミラーゼの変性に影響する物質に関する研究」)加熱することで独特のネバネバ感がなくなり、もっちりとした食感に変化します。栄養は減ってしまうものの、すべての栄養がなくなるわけではありません。加熱調理は長芋の食感が苦手な人にもおすすめの食べ方です。また、食感が変化するため、生の場合に比べて量が食べやすくなります。
「焼く」と「蒸す」はどちらが正解?
一口に加熱調理といっても、焼く・蒸す・炒める・煮るなどいろいろな方法があります。たとえば、長芋を焼くのと蒸すのでは、食感や風味が異なります。切り方や加熱時間、油を使うのか使わないのかによっても、味わいが少しずつ変化します。我が家では、香ばしくシャキシャキに仕上げたいときには焼いて、もっちりとホクホクにしたいときには蒸すようにしています。胃腸が疲れているときなどには、長芋をすりおろしたものを器などに入れて蒸して、ポン酢をかけて食べることも多いです。作りたい料理のイメージに合わせて、加熱の方法を使い分けてみてはいかがでしょうか。
血糖値の急上昇を抑える!?「とろろ」の栄養と食べ方
※3 参考:科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)「食事のGlycemic Indexと生活習慣病一次予防」
簡単でおいしい「とろろ納豆」もおすすめ
〈分量の目安〉2人分
・納豆 1パック
・長芋(すりおろしたもの)100g
・しょうゆ 小さじ1~1.5
・酢 少々
・ねぎや青のり(お好みで)少々
長芋は冷凍保存もOK!
長芋は切り口から傷みやすく、時間の経過とともに栄養や風味が損なわれてしまいます。カットした場合は、冷蔵保存で1週間程度で食べ切るのが基本です。すぐに食べない場合には、冷凍保存するようにしましょう。〈冷凍保存の基本の手順〉
1. その後に使う料理のイメージに合わせて、「すりおろす」「カットする」などの下処理をする。
2. 変色を防ぐため酢水にさらし、しっかりと水気を切る(すりおろした場合は、酢を少量加えておく)。
3.1回分ずつに分けて保存用ポリ袋に入れ、空気が入らないように封を閉じる。
長芋は妊婦が食べても大丈夫?
長芋は、妊娠中の女性が食べても問題ありません。むくみ予防の効果が期待できる「カリウム」や便秘予防にも大切とされる「食物繊維」が豊富に含まれており、妊婦にもおすすめの食材といえるでしょう。ちなみに私自身の妊婦経験では、食欲のないときに「とろろそば」を作ってよく食べていました。妊娠中は味覚や体調がデリケートになりやすいものですが、食生活に無理のない程度で取り入れてみてはいかがでしょうか。長芋を使った、簡単おいしい養生ごはん
長芋のソテー
〈材料〉2人分
・長芋 200g程度
・オリーブオイルなどお好みの油 小さじ1~2
・自然塩 ふたつまみ
作り方
1. 長芋はよく洗い、皮付きのまま食べやすい大きさ(スティック状)に切る。2. フライパンに油を入れて熱し、1の長芋を入れて、焦げないように転がしながら炒める。
3. 香ばしい焼き色が付いたら、塩を振ってできあがり。
長芋と鶏肉の養生スープ
〈分量の目安〉2~3人分
・鶏手羽先肉(手羽元肉でもOK) 4本
・長芋 100g
・もち米 大さじ2
・ショウガ・ニンニク 各1片
・ナツメやクコの実(あれば) 適量
・酒 大さじ2
・自然塩 小さじ1/2
・水 2カップ
長芋のぬか漬け、浅漬け
長芋の和えもの
長芋入りお好み焼き、チヂミ
長芋のグラタン、シチュー
長芋入り蒸しパン、パンケーキ
長芋をおいしく食べて、健やかに過ごそう
長芋の栽培方法についてはこちら
長芋は家庭菜園でも手軽に栽培できます。栽培方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。(※栽培記事が完成したら、リンクを挿入してください)
おばあちゃんの知恵を活用しよう!バックナンバーはこちら
おばあちゃんの知恵栄養監修 宮崎奈津季
管理栄養士、薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、独立。レシピ開発、商品開発、レシピ本の栄養価計算などの経験あり。現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。