ネギの効能効果|ネギの栄養成分とは?
昔から「風邪予防や冷え予防には、ネギを食べるとよい」とよくいわれてきました。では、ネギにはどんな栄養成分が含まれているのでしょうか。ここでは、ネギの栄養成分とともに、乾燥ネギの効能、ネギとニンニクの効能の違い、ネギに関する薬膳やおばあちゃんの知恵を紹介します。ネギの栄養成分
ネギの代表的な栄養成分のひとつ、「アリシン(硫化アリル)」。ネギの白い部分に多く含まれる独特の辛味成分であり、体を温めたり血行を促進したりする働きが期待できます。アリシンはビタミンB1の吸収を助ける働きがあるとされており、豚肉などビタミンB1を多く含む食材と組み合わせて調理するのがおすすめです。アリシンは長時間の加熱や水にさらすことにより失われてしまう、といわれています。アリシンの効果を期待するなら、できるだけ加熱時間を短くしたり、スープやみそ汁のように汁ごと食べたりするなど工夫が大切です。
ネギの青い葉の栄養にも注目
ネギの青い部分には、体内の余分な塩分を外に排出する働きがあるとされる「カリウム」や免疫力を高める作用が期待できる「ベータカロテン」、肌を健やかに保つ働きがあるといわれる「ビタミンC」が豊富に含まれています。また、太めのネギの青い部分の内側にある粘り気のある透明な部分には、免疫力を高める作用があるといわれ、昨今研究が行われています。(参考:農研機構|平成27年度 特産農産物セミナー「ネギの免疫活性化作用」)ネギには栄養が豊富に含まれていますが、収穫してから時間が経つにつれて、栄養価や風味が落ちてしまいます。適切な方法で保存し、できるだけ早めに食べ切るようにしましょう。
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020版(八訂)」
ネギのおいしい保存方法についてはこちら
乾燥ネギの効能は?
ネギを乾燥させた「乾燥ネギ」「干しネギ」は、保存性も高く、みそ汁などの具材にも使いやすくて便利です。家庭菜園などでネギが大量に収穫できたときなどに、乾燥ネギを手作りしている人もいるかもしれません。では、ネギを乾燥させると効能はどう変化するのでしょうか。ネギに含まれる成分「アリシン」は揮発(きはつ)性です。一般的には、乾燥によりアリシンの含有量は少なくなってしまうとされています。とはいっても、乾燥ネギにも栄養は含まれています。必要に応じて、乾燥ネギと生のネギを使い分けてみるといいかもしれません。
ネギとニンニクの効能の違い
ニンニクにも「アリシン」が含まれています。ニンニクは食欲を高めるスタミナ食材として知られていますが、ネギと同様に豚肉などビタミンB1を多く含む食材と一緒に調理すれば、ビタミンB1の吸収率を高めることができます。ビタミンB1は、糖質を代謝するのに欠かせないビタミンのひとつ。適量を摂取することで、疲労回復効果が期待できます。最近は匂いが少ない「無臭ニンニク」などもよく見かけるものの、ニンニクはネギよりも香りが強い傾向があります。「ニンニクを食べる時間帯や調理法などに気を付けている」という人も多いでしょう。その後の予定や目的などに合わせて、ネギとニンニクを使い分けてみてはいかがでしょうか。
「ためしてガッテン」で紹介された、ネギの効能とは?
NHK総合テレビの生活情報番組「ためしてガッテン」にて、2016年に放送された「インフル・肺炎・がんに効く 世界で発見!驚異のネギパワーSP」では、ネギの持つ成分や効能が一躍注目を集めました。残念ながら私自身はこの番組を観ていませんが、ネギの青い部分に新たな健康成分が見つかったことや、ネギの香り成分「アリシン」には血管拡張や血流アップ、抵抗力向上などの効果が期待できることが紹介されていたそうです。アリシンの血流促進効果を高めるためには、加熱するのではなく、「生で食べること」と「よくかむこと」が大切なのだとか。番組内では、中国有数のネギの産地である山東省章丘の実例をもとに紹介されていました。
※参考:NHKガッテン!|ためしてガッテン「インフル・肺炎・がんに効く 世界で発見!驚異のネギパワーSP」
ネギは薬膳やおばあちゃんの知恵でも大活躍!
ネギは、薬膳やおばあちゃんの知恵にもよく登場します。薬膳では、ネギには体の巡りをよくする作用や体を温める働きが期待できるとされています。「ネギを首に巻くと風邪がなおる」という、おばあちゃんの知恵を聞いたことがある人もいるかもしれません。これはネギに含まれる辛味成分の殺菌力により、風邪のウィルス撃退を期待したものです。〈効果を高めるためのポイント〉
ネギを刻んでから使用することが大切。ネギに細かい切り込みを入れてから首に巻くか、ネギを切ったりつぶしたりしたものをガーゼに塗布してから使うようにするのがおすすめです。最初は匂いが少し気になるかもしれませんが、時間が経つにつれてあまり気にならなくなるでしょう。
ネギを使った、簡単おいしい養生ごはん
ネギの効能を期待するなら、継続して食べることが大切です。ここでは、ネギを使った保存食「ネギショウガみそ」の作り方とともに、ネギをたっぷり使った養生ごはんを紹介します。ネギショウガみそ
体を温める作用が期待できる、ネギとショウガを組み合わせた「ネギショウガみそ」。忙しい人におすすめの、寒い時期に重宝する保存食です。ネギの白い部分だけでなく、青い部分も一緒に使いましょう!お湯で溶いてみそ汁にしたり、ごはんや厚揚げの上にトッピングしたりするなどいろいろな料理に活用できます。お好みで、ごまや唐辛子、にんにくなどを加えてもおいしいですよ。
〈材料〉作りやすい分量
・ネギ 1本
・ショウガ 1片
・みそ(お好みの種類でOK) 80g
・みりん・酒 各大さじ1
・ごま油 小さじ1~2
作り方
1. ネギは粗く刻み、ショウガはすりおろす。2. 鍋にごま油を入れて熱し、1のネギとショウガを加えてしんなりするまで炒める。
3.2の鍋にみそ・みりん・酒を混ぜ合わせたものを加える。焦げないように木べらなどで底から混ぜながら、2~3分程度加熱して煮詰める。
4. 粗熱が取れたら清潔な保存容器に移し、冷蔵庫に入れて保管する(保存期間の目安は、1週間程度)。
丸めるだけ!「みそ玉」にも、ネギは大活躍
ネギとみそは相性抜群です。「火を使わずに、もっと手軽に保存食を作りたい」というときには、ネギをたっぷり使った「みそ玉」はいかがでしょうか。みそ玉は、みそにお好みの具材を加えて混ぜ合わせて、ボール状に丸めたもののこと。お湯を加えればみそ汁がすぐに食べられることから、昨今人気を集めています。〈分量の目安〉みそ玉1個分
・みそ(お好みの種類でOK)小さじ2
・ネギ 2cm分
・お好みの具材(青のりやわかめなど)少々
写真のみそ玉は、ネギのほかにクコの実とくるみを加えたもの。クコの実のほのかな甘さと、くるみの香ばしさがクセになるおいしさです。そのときの気分や好みに合わせていろいろなみそ玉を作り、お気に入りの食べ方を見つけてくださいね。
湯豆腐など鍋料理にも
刻んだネギを保存容器に入れて冷蔵庫に常備しておくと、いろいろな料理にトッピングできて便利です。写真は、湯豆腐の仕上げにネギをたっぷりと加えたもの。ネギのピリッとした辛味が豆腐の味わいを引き立ててくれます。子どもなどネギ独特の辛味が苦手な場合には、土鍋の蓋を閉めてしばらく待ち、ネギがしんなりした状態で食べるのもおすすめです。薬膳では豆腐は体を冷やしやすい性質があるとされていますが、ネギなど体を温める作用の期待できる食材を加えることで、その性質を和らげることができます。豆腐とネギは味だけでなく、食養生という意味でも相性のよい組み合わせといえます。湯豆腐だけでなく鍋料理の仕上げに刻んだネギを加えるのもよく合います。いつもの鍋料理にネギをトッピングして、味の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
「ネギ焼き」など粉もの料理にも
私の暮らす愛知県では、縁日などで「ネギ焼き」の屋台をよく見かけます。見た目はお好み焼きを薄くしたような形状のもので、キャベツの代わりに刻んだネギがたっぷりと使われています。ネギ焼きは大阪など関西地方の郷土料理ともいわれており、ネギの風味をしっかりと味わうことができます。ネギは加熱すると甘味が出ることもあり、ネギ焼きは子どもにも食べやすくて大人気。我が家ではネギが大量にあるときには、ネギ焼きをよく作ります。このほか、ネギをたっぷり使って餃子(ぎょうざ)やキッシュなどを作るのもおすすめです。
玉ねぎの代わりにポタージュスープにも
ネギは、玉ねぎの代わりに使うのもよく合います。私が気に入っているのは、「かぼちゃスープ」などポタージュスープを作る際に、ネギの白い部分を使うこと。玉ねぎを使う場合と同様に、弱火でしっかりと炒めることで甘味を引き出します。ネギには冷え予防などさまざまな効能が期待できますが、「ネギがどうしても苦手」という人もいるかもしれません。十分に加熱して甘味を出し、ブレンダーなどで粉砕することでぐっと食べやすくなります。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。