スイカの種を食べる国は意外と多い!? 中国では人気のおやつ
スイカの種は、中国では定番のおやつです。現地ではこうした種を煎ったもののことを「瓜子(ぐわづ)」と呼んでいます。瓜子には、スイカのほかにひまわりやかぼちゃ、ヘチマ、冬瓜(とうがん)の種などがあります。基本的に外側の固い殻は食べずに、内側の柔らかい部分だけをいただくようにします。中国の街頭では、煎っただけのシンプルなものから、塩やしょうゆ、スパイスなどで味付けされたものまでいろいろな種類の瓜子が売られています。おやつだけでなく、お茶請けや酒の肴(さかな)としても人々に親しまれています。月餅などの甘味やいため物などの料理に加えるなど、食材としてよく利用されています。
スイカの種を食べる派は、韓国などアジアやヨーロッパにも!
スイカの種を食べる国は、中国だけではありません。韓国やタイ、台湾などのアジアやヨーロッパなどでも「種を食べる派」は多いとされています。海外で出回っているスイカの品種のなかには、黒くて硬い種ではなく、種が白くて柔らかいものもあります。私自身の体験としては、以前にタイのスーパーを訪ねた際に、袋に入ったスイカの種のスナック菓子を見かけました。現地ではごく普通に食べられており、お土産などに購入する日本人も多いようです。
スイカの種にまつわる迷信|食べるとどうなるの?
「スイカの種を食べると盲腸になる」「種を飲みこむと、お腹から芽が出る」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。スイカの種は外側が固いため、そのまま食べたとしても消化されずに体の外に出てきます。消化不良を起こすことはあっても、盲腸になる可能性は低いといわれています。種が発芽して生長するためには、環境をしっかりと整えることが必要です。種を飲みこんだからといって、「お腹から芽が出る」ということは考えにくいでしょう。
※参考:日本農業新聞(2010/08/07)
スイカの種の栄養とは
中国では瓜子のように種を食べる習慣がありますが、その大きな理由は「栄養が豊富だから」とされています。では、スイカの種にはどんな栄養が含まれているのでしょうか。スイカの種は、ビタミンB6やビタミンE、鉄や葉酸、マグネシウムなどのビタミン、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を含有しています。タンパク質が多くて炭水化物や脂質の割合が少ないのが特徴で、ピーナッツなどのナッツ類と比較してカロリーが低いです。スイカの種は生薬としても使われており、赤い実の部分と同様に利尿作用が期待できます。
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020版(八訂)」|種実類/すいか/いり/味付け
スイカの種の食べ方|簡単おいしい養生ごはん
さっそく、スイカの種を食べてみましょう。ここでは、スイカの種の煎りスナック、スイカの種茶、スイカの種入りジュースを紹介します。定番!スイカの種の煎りスナック
スイカの種の定番レシピ、中国やタイなどでよく食べられているスナックを作ってみましょう。大きめの種のほうが内側の可食部分が多く、食べやすいです。できるだけ、大きい種を選ぶようにしましょう。その都度作るのは面倒なので、スイカを食べる時に種を取り出して保存容器などに入れて冷蔵保存しておき、ある程度の量になったら煎るのがおすすめです。〈材料〉作りやすい分量
・スイカの種 1/4カップ程度(用意できる分量でOK)
・塩(お好みで) ひとつまみ
作り方
1.スイカの種はよく洗って、ザルなどに重ならないように並べる。天日で1~2日程度干して表面を乾燥させる。2.フライパンに種を入れて、弱火にかける。フライパンを時々揺すり、焦げないように気を付けながら種を香ばしく煎る。好みで塩を振り、全体を軽く混ぜる。
3.種の粗熱が取れたら、清潔な保存容器に入れて、湿気に気を付けて保存する。
食べ方
外側の黒い皮を取り、内側の白い部分を食べます。最初は食べにくいと感じるかもしれませんが、慣れると口のなかで皮だけを出せるようになります。スイカの種茶
スイカの種茶は、煎ったスイカの種を煮出して作るお茶です。とうもろこし茶やとうもろこしのひげ茶にも似た、香ばしい風味が楽しめます。分量の目安は、スイカの種小さじ1に対して水1カップです。硬い殻が付いている状態では味が出にくいので、スイカの種を粗く砕いたものを用意します。スイカの種に熱湯を加えて、数分間待てばできあがり。茶こしなどで種をこしてからいただきます。温かいのはもちろん、少し冷ましてから飲むのもおすすめです。とうもろこしのひげ茶の作り方については、こちらの記事をご覧ください。ひげの効能についても紹介しています。
スイカの種入りジュース
スイカはそのまま食べるだけでなく、ミキサーなどで粉砕してジュースにしてもおいしいです。通常のレシピではすいかの赤い部分だけを使うことが多いですが、種も一緒に粉砕してみましょう。こうすることで、種を取り除く手間が省けるので簡単に作れて、種の栄養も摂取できるので一石二鳥ですね。作り方は、種を取らずに皮を剥いて一口サイズに切ったスイカを用意して、ミキサーでなめからになるまで粉砕するだけです。好みで、甘味付けに少量のはちみつやオリゴ糖を加えたり、風味付け程度にレモン汁などを混ぜてもおいしいです。分量の目安は、2人分につきスイカ300~350g程度です。種の硬い部分はコップの底などに沈むことが多いですが、種のつぶつぶ感が気になる場合は、ミキサーで粉砕した後に茶こしなどでこしてください。
スイカを丸ごと、いろんな食べ方で味わってみよう!
スイカの種をおいしく味わった後、皮の部分も余すところなく食べてみたい!と思う人もいるかもしれません。特に、家庭菜園などで収穫したスイカであれば、丸ごと大切にいただきたいですよね。スイカの皮の外側にある緑の部分はとても固いので食べにくいですが、白い部分は柔らかくて食べやすいです。我が家では、白い部分を浅漬けやぬか漬けにしたり、刻んだものをさっと煮てスープにしたりすることも多いです。きゅうりなどウリ科の野菜と同じような感覚で、料理に使うことができます。写真のように、赤い部分を少しだけ残して切るようにすると、見た目も美しく仕上がり、スイカらしい甘さがほのかに味わえるのでおすすめです。
昨今の研究によれば、スイカの皮に多く含まれる成分「シトルリン」の健康効果が注目を集めています。シトルリンは血行促進などの効果が期待できるアミノ酸の一種であり、サプリメントなどにも利用されています。
※参考:生化学 第86巻第3号|動脈硬化症とアルギニン、シトルリン
ほかにもある!スイカの意外な食べ方とは
「中国ではごく普通に、スイカの種が食べられている」と聞いて、驚いた人もいるでしょう。ほかにも、海外には面白いスイカの食べ方がたくさんあります。たとえば、イタリアではスイカにレモン汁をかけたり、インドでは塩やコショウをかけたりします。ギリシャでは、スイカにチーズを添えて食べることもあります。私の友人の話では、「スペインではスイカにシナモンをかけて食べる」のだとか。スペインで夏によく食べられる冷製スープ「ガスパチョ」は、通常はトマトをベースに使いますが、ここにスイカを混ぜることもあるそうです。甘くて水分たっぷりのスイカを使うことで、体がさわやかにクールダウンできそうですね。海外の事例を参考にしながら、スイカのいろいろな食べ方を試してみてはいかがでしょうか。
スイカの種を味わってみよう
夏の風物詩・スイカは、赤い部分だけでなく、種もおいしく食べられることがわかりました。家庭菜園などでスイカを収穫したら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。丸ごといただくことで、スイカの栄養を余すところなく摂取できます。通常捨ててしまう部分を活用することで、家庭から出るゴミの削減にもつながるのも大きな魅力ですね。スイカの種をおいしく味わって、健やかな夏を過ごせますように。