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- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
甘酸っぱくてジューシーなベリー、ほかにもいろいろ!
栽培カレンダー
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え替え | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
肥料 | ● | ● | ● | ● | ||||||||
剪定 | ● | ● | ||||||||||
開花 | ● | |||||||||||
受粉 | ● | |||||||||||
摘果 | ● | ● | ||||||||||
収穫 | ● | ● | ● | ● |
北海道でも育つ?!種類・品種の違いと育てやすい品種!
ブルーベリーには2系統がある
ブルーベリーの品種は、「ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」の2系統に分けられます。この2系統の性質の違いを押さえる事が、上手なブルーベリー栽培の第一歩です。ちなみに「ローブッシュ系」というのもありますが、これは野生種(いわゆるワイルドブルーベリー)であり、あえて日本で栽培される品種ではありません。また、ブルーベリー(特にラビットアイ系)は別々の品種同士で受粉させなければうまく実がならないという、「自家不和合性」を持っていることも覚えておきましょう。そしてその品種は、同じ系統同士でなければいけません。
ハイブッシュ系
一度は育ててみたい人気の系統が「ハイブッシュ系」です。ハイブッシュ系の中でも、寒冷地向けの品種は「ノーザンハイブッシュ」、温暖地向けの品種は「サザンハイブッシュ」と呼び分けられます。収穫時期は6月上旬~7月下旬頃。味が良質で、大玉になる品種が多いです。ただし、栽培がやや難しいという欠点があります。
主な品種は、味の良いスパルタンや、極大玉で知られるチャンドラーです。
ラビットアイ系
ハイブッシュ系よりも丈夫で、完熟前にウサギの目のように赤くなる系統が「ラビットアイ系」です。温暖地での栽培に適しています。味や果実のサイズはハイブッシュ系に劣りますが、比較的土壌を選ばず、樹勢も強いので、初心者さんにおすすめです。収穫時期は7月上旬~9月上旬と、ハイブッシュ系よりも遅くなります。
主な品種は、ティフブルーやホームベルです。
交雑種もある
別々の系統をかけ合わせた「交雑種」も存在します。「ブルー」ベリーなのにピンク色のかわいい果実をつける「ピンクレモネード」は、ハイブッシュ系とラビットアイ系を交配させて誕生した品種です。また、北海道のような豪雪地でも育てやすい、きわめて耐寒性に優れた「ノースランド」という品種もあります。これはハーフハイブッシュ系と呼ばれ、野生種のローブッシュ系と、ハイブッシュ系とかけ合わせたものです。
系統ごとの傾向や、おすすめの品種について詳しく解説している記事はこちら。ブルーベリー栽培の第一歩は、ご自分の地域に合った「品種選び」!ぜひ参考にしてみてくださいね。
ブルーベリーの育て方!水やり・肥料・地植えなどのポイントも解説
押さえておきたい基本的なポイントは、以下の3点です。土づくり
ブルーベリーは酸性の土壌を好む性質があります。これはとても大事なポイント。特にハイブッシュ系は土壌が悪いと枯れてしまうことも少なくありません。必ず土が酸性になるように、「ピートモス」と呼ばれる用土を使って土壌改善を行ってください。土の酸度を調べることのできるキットがあれば、土作りしやすいですよ。肥料として緩効性の化成肥料を与え、収穫期には追肥を行ってください。
水やり
土の表面が乾ききらない前に、たっぷりと水やりをします。鉢植えの場合は水切れに注意。収穫期は、水を切らすと果実がシワシワになってしまいます。涼しい朝と夕方に、水切れしていないかチェックしましょう。日当たり
ブルーベリーは日当たりの良い場所を好みます。たくさん太陽の光が当たるところを選んで植え付けてください。ブルーベリーの剪定は?
剪定の時期
剪定の時期は2~3月です。なお、植え付けてまだ1~2年目の幼木と、大きく育ってきた3年目以降の木では、剪定方法が異なります。
幼木の剪定
幼木のうちは枝の先端に付いた花芽をカットして、果実を付けさせない剪定をしましょう。もったいなく感じられるかもしれませんが、このまま果実を付けさせると、木が弱ってしまうのです。まだ収穫するのはぐっと我慢してください。3年目以降の木の剪定
3年目以降からは、いよいよ収穫のための剪定に切り替えてきます。勢いの強い元気な枝を残し、弱い枝を間引きましょう。詳しい剪定方法はこちら。
ブルーベリーの植え替えの時期と方法|地植えとプランター
「苗を買ってきたら、どこにどうやって植え替えれば良いの?」と、最初は悩んでしまいますよね。地面に直接植え付ける場合と、鉢(プランター)に植え付ける場合の手順を、それぞれご紹介します。酸性土壌を作る
地植えでも、鉢栽培でも、大事なのは「酸性土壌を作ってあげること」です。苗と同時に、多めのピートモスを購入しておきましょう。鉢栽培の場合、鹿沼土も必要です。植え付けの時期
ブルーベリーの植え付けに適している時期は、早春または秋です。温暖地では秋植え、寒冷地では冷害に遭いにくい春植えが向いていますよ。ところが、ホームセンターや園芸店では、夏頃になってもまだ苗が置かれているというケースを見かけます。この時期は収穫期なので、果実を付けている木が魅力的に思えるかもしれません。でも、この苗を買ったところで、植え付けに適している時期は越しています。苗の購入は、きちんと秋か早春に行うのがおすすめです。
植え付けの方法(地植え)
Step1. 植え穴を掘る
地植えする苗は、2年以上育成したものにしましょう。まずは、スコップで植え穴を大きく掘ります。深さ30センチ、直径50センチ以上は必要です。土壌改善が必要な場合、さらに各10cm以上掘りましょう。苗と苗の間隔は2mほど取ってください。最初は小さな苗でも、やがて人の身長くらい大きくなります。Step2. ピートモスを施す
ブルーベリー栽培に欠かせない、ピートモスをたっぷりと施します。このピートモスには、前日にあらかじめ水をたっぷり含ませておいてください。ひとつの穴に対して、20~30ℓ程度を目安にしましょう。だいぶお金がかかりますが、ケチらずたくさん使ってあげるのがポイントです。スコップで土とよく混ぜます。Step3. 苗を植え付ける
根鉢をくずした苗を植え付けます。苗の大きさに対して、ピートモスで作った土壌がかなり贅沢な広さに感じられるくらいが望ましいです。苗の縁を埋めるようにして、今度はピートモスだけを足していきます。深植えにならないよう注意してください。この時点で、一番底にピートモスを混ぜ込んだ土、根に触れる部分にはピートモスだけ……という構図になるようにします。
Step4. 水やり、マルチング
最後にたっぷりと水やりをして、緩効性の化成肥料を与えます。土を乾燥させないために、わら等の有機物で株周りをマルチングをしたら完成です。酸度を測定しておくとさらによし!
前に他の植物を育てていて、石灰をまいた土壌の場合(石灰は土壌をアルカリ性に傾けます)、市販の酸度測定キットで土の状態を調べておくのが吉です。pH7.0以上の土壌でブルーベリーは育たないので、この場合、鉢植えでの栽培に切り替えることも考えましょう。植え付けの方法(プランター)
Step1. ピートモスと鹿沼土を混ぜる
鉢栽培、プランター栽培では、ピートモスのほかに「鹿沼土」を使います。この2つの用土を均等な量になるようにバケツへ入れ、水を加えながら混ぜておきます。こうすることで、乾燥していることの多い市販のピートモスも、水を吸ってくれますよ。ピートモスは「酸度未調整」と書かれているものを使ってください。Step2. 鉢の準備
苗木よりもひとまわり大きな鉢を用意します。鉢底の穴をネットでふさぎ、その上から鉢底が隠れるくらいの鉢底石を敷きましょう。穴の空いていない鉢やプランターは、水はけが悪いので避けてください。Step3. 植え付け
混ぜ合わせておいたピートモスと鹿沼土を、鉢へ注ぎます。中心に苗木を固定したら、縁を埋めるように土を足しましょう。たっぷりと水やりをして、緩効性の置き肥を施したら、庭の中でも日当たりの良い場所を選んで置きます。ブルーベリーの受粉と摘果
人工受粉をしてみよう
ハチが訪れず、受粉が上手くいかない都市部の住宅地等では、人工受粉を行ってみましょう。綿棒の先に花粉をつけ、別の品種のめしべに付着させます。自家不和合性に要注意
注意しなければならないのは、「必ず同じ系統内の、別々の品種の間で受粉させること」!先述した通り、ブルーベリーは同じ品種同士で受粉させても果実が付けられない「自家不和合性」を持ちます。ハイブッシュ系の中の別品種、ラビットアイ系の中の別品種で受粉させてください。ブルーベリーの摘果
2年目までの苗は、剪定で花芽を切り取りますが、見落としがあって果実を付けてしまった場合、すべて摘果しましょう。大玉に育つ品種は、3年目以降も摘果を行い、混み合った部分の数を減らすことをおすすめします。ひとつひとつの果実が大きくなるスペースを確保できますよ。ブルーベリーの鳥対策
ヒヨドリに注意!
ブルーベリーの収穫期は、鳥との戦いです。「完熟するのを待っていたら、先に鳥が食べてしまった!」なんてことがよくあります。不自然に実が裂けていたら、それは鳥につつかれてしまったサイン。特にやっかいなのが「ヒヨドリ」という鳥です。対策1. 防鳥ネットを張る
もっとも一般的な鳥対策の方法は、防鳥ネットを張ることです。ブルーベリーの株を包むように、ぐるりとネットがけします。ただ、収穫のたびにネットを取り外さなければならないのが少し面倒です。対策2. 人の目で監視
庭先でいつも見張れる環境であれば、鳥が来たときに勢いよく窓を開けるだけで逃げていきます。ですが、留守にしている時間が長かったり、離れた畑で管理していたりすると、なかなかそうはいかないのが難しいところです。対策3. 猛禽類
猛禽類の置物を、カカシのような感覚で設置してみるのも手です。ブルーベリーを食べる鳥はフクロウや鷹を嫌うため、風力で首振りをする猛禽類の置物があれば、若干の効果が期待できます。とはいえ、ずっと設置していると見破られてしまうことが多いです。ベストなのは、やはり防鳥ネットでしょう。Lovoski 防鳥具
風が吹くと首が左右にゆっくりと動き、生きているように見えるフクロウの置物(カカシ)です。材質はプラスチック。さほど高価ではないので、1本1本のブルーベリーにネットを張れない場合、試してみてはいかがでしょうか。
ブルーベリーの収穫
ブルーベリーの収穫時期
収穫時期は6~9月にかけての間です。ハイブッシュ系の方が先に熟し、ハイブッシュ系の中でも晩生種の収穫が終わる頃に、ラビットアイ系も収穫できるようになります。いち早く収穫したい方には、ハイブッシュ系の中でも早生種にあたる「アーリーブルー」という品種がおすすめですよ。
詳しい収穫方法はこちら。
おいしいブルーベリーの食べ方
定番はなんといっても「ジャム」!砂糖と果実をコトコト煮込むだけで、夏のおいしいブルーベリーの味わいを長く楽しめます。また、「スムージー」もおすすめ。ヨーグルト、砂糖と一緒にミキサーにかけることで、びっくりするくらい濃い紫色が出ますよ。時間が経つとだんだん茶色っぽく変色してしまうので、早めに飲みましょう。心身共に生き返る、フレッシュな味わいは格別です!
ジャムのレシピや冷凍方法はこちら
ブルーベリーの増やし方!挿し木の時期と方法
ブルーベリーは挿し木で増やします。果実の中には種が入っていますが、種まきで育てた品種は、親の品種の性質を受け継がない別物になってしまいます。挿し木できる時期は1年に2回です。ブルーベリーが休眠している12月~3月に行う挿し木を「休眠枝ざし」と言い、緑の葉っぱが付いている7月上旬の枝で行う挿し木を「緑枝ざし」と言います。簡単なのは「休眠枝ざし」の方です。
ブルーベリーの木が枯れる!花が咲かない!虫がついた!そんな時は?
木が枯れる
・地域の気候が品種(系統)に合っていない・酸性土壌を作れていない
この2つが、おもな原因だと考えられます。温暖な地域で冷涼な気候を好むハイブッシュ系を育てても、失敗率が高いので注意しましょう。また、ハイブッシュ系の中でもそれぞれ栽培難易度が違うため、色々な品種を試してみることをおすすめします。土壌については、一度キットでpHの測定をしてみると良いでしょう。
花が咲かない
花の数が少ないのであれば、花つき・実付きを良くする成分であるリン酸が足りていないのかもしれません。リン酸の多い肥料を与えてみてください。そもそもまったく花が咲かない場合、すでに枯れている、環境が品種に合わなかった、根本的に水やりや日当たり、土壌が悪かった等が考えられます。植え直しをするのがおすすめです。虫がついた
アブラムシ等が若干発生することがあります。発生したら、歯ブラシを使って除去してください。風通しと日当たりを日頃から良くしておくことで予防ができます。さらに詳しい「アブラムシ対策」はこちらをチェック!
簡単に育てるなら3年目の苗がおすすめ!
「早く収穫を楽しみたい!」「剪定はできるだけしないで、簡単に育てたい……」そんな方には、3年目の苗がおすすめです!ブルーベリーの通販サイトを見ると、だいたい「2年生苗」や「3年生苗」などと書かれています。これは、「育て始めて何年目の苗か」という表記。ブルーベリーは、2年目までは実が付くはずの花芽を切り取って(これが剪定です)、木が弱るのを防ぐものです。なので、すぐに収穫を楽しむことができません。でも、慣れない栽培での剪定は難しいですし、収穫できないうちに枯れてしまってはガッカリですよね。
3年生の苗を買ってくれば、その年から収穫が楽しめますよ。
ブルーベリーをもっと知りたい方におすすめの本とサイト
ブルーベリー NHK趣味の園芸12か月栽培ナビ(5)
Blue Berrys Room
非常に実践的なWebサイトです。愛知県西部で、かなり豊富な品種を育てている方が運営しています。約10年前に更新が止まってしまっていますが、品種ごとの食べてみた味や糖度、育てやすさ等を、体験に基づいて掲載されているので、非常に勉強になります。ほかのブルーベリー育成サイトへのリンクも豊富なので、ぜひ一度覗いてみてください。Blue Berrys Room
3つのポイントをおさえて、たくさん実をつけよう!
ブルーベリーを育てるのに大切なのは、・気候に合った品種を2つ以上選ぶ
・酸性土壌を作る
・日光・水を充分に与える
この3つが基本のポイントになります。しっかりマスターして、初夏にジューシーな実をたくさん収穫しましょう!