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- YasuhiroOgawa
植物園に勤務していた経験を活かして、正確でわかりやすい記事を書いていきたいです。好きな花はハイビスカス。現在は、トロピカルフルーツの新しい栽培に取り組んでます!…続きを読む
おしゃれな雑貨店やカフェ、アパレル系の店などでも人気のビカクシダは、最近大ブレークした観葉植物です。そのユニークな株姿から、植物好きな方だけでなく流行に敏感な方にも大人気です。シダ類の中では乾燥に耐える種類なので、鉢植えで管理すると水やりの手間があまりかかりません。板などにつけてハンギング仕立てで栽培すると、その人目を引く個性的な魅力を最大限楽しむことができます。また種類によって株姿は様々で、コレクションする楽しみもあります。丈夫な種類は意外と簡単に育てられるので、まずは気軽に栽培してみてください。
ビカクシダ(コウモリラン)とは
ビカクシダの仲間は、樹木や岩などに付着して生育する着生シダです。ウラボシ科ビカクシダ属(プラティセリウム、プラティケリウム)に分類され、東南アジアやオーストラリア、マダガスカルなどの世界の熱帯に15種または18種の原種があります。ビカクシダを漢字で書くと麋角羊歯で、「麋」はオオジカを意味し、シカの角のような姿が名前の由来です。またコウモリが羽を広げたような姿にも例えて、コウモリランの別名もあります。ビカクシダは、前方向に伸びて目立つ胞子葉と、株元の貯水葉の2種類の葉をもつことが大きな特徴です。
胞子葉は、繁殖のための胞子が葉の裏に付きます。通常緑色で、寿命がくると葉が褐色に変色して根元から抜け落ちます。
貯水葉は、外套葉、付着葉などの別名があります。新芽から成長して初めは緑色ですが、寿命がくると茶色に変色して枯れます。ただし貯水葉は脱落せずに株元に積み重なり、スポンジのような構造になって水を貯えることが名前の由来です。貯水葉の内側に根が伸びており、水分や肥料を吸収します。
以前はビフルカツムの鉢植えが少数流通するのみでしたが、現在は鉢植えの他にコケ玉や板付けの株などがよく売られています。ビフルカツム以外の種類も流通するようになりましたが、まだ少数のようです。いくつかの種類が大型店や専門店ではよく販売されていますが、ネット通販は入手希望の種類が購入できる可能性が高いです。
栽培するうえでは、着生種なのでメリハリをつけた水やりが大切です。また夏の強い直射日光で葉焼けしたり、冬は室内に置いて寒さに当てないようにするなど、着生種の多い洋ランの栽培と共通する点が多いです。
ビカクシダの置き場所
ビフルカツムなど日光を好む種類や、直射日光を避けた明るい日陰が適するものなど様々です。種類によって適する日照条件が異なるので注意してください。日光を好む種類も、夏の暑さが厳しい時や風通しの悪い場所では葉焼けします。夏は30%程度の遮光下か、午後からは日陰になるような場所に置いたほうがよいでしょう。
また3~4号鉢以下の小株は乾燥に弱いので、春から秋は30~50%程度の遮光下か、明るい日陰に置いた方が安全です。
室内に置く場合は窓際で直射日光に当てると葉焼けしやすいので、春から秋はレースのカーテン越しの日光に当てるようにしてください。ただし暗すぎる場所に置くと株が間延びして病害虫の被害を受けやすくなり、生育が衰えて株も弱ります。
よい状態に生育させるには、春から秋の成長期に戸外の風通しのよい場所で管理し、葉焼けしない範囲でよく日光に当てることが大切です。
明るい日陰を好む種類は、春から秋は室内のカーテン越しの光が当たる場所が、屋外の50%程度の遮光下、または木の下の日陰などに置きます。冬は室内のレースのカーテン越しの光が当たる場所か、温室内では30%程度の遮光下に置いてください。明るい日陰を好む種類も、成長期は風通しのよい戸外に置き、できるだけ明るい日陰に置くと理想的です。
ビカクシダの育て方!水やりや肥料、冬越しの方法は?
ミズゴケなどの植え込み材料が乾いてから、たっぷりと水やりします。特にミズゴケとヤシガラは乾くと水を弾きやすいので、よく湿るまで十分に与えるようにしましょう。空中の湿度は高い方を好むので、乾燥するときは霧吹きなどで葉にスプレーするとよいでしょう。初心者が枯らしてしまう原因の多くは、水を与えすぎて根腐れさせてしまうことです。水やりの回数が多い人は頻度を減らし、植え込み材料が常に湿っている状態にしないように注意しましょう。
肥料は、春から秋の生育期に緩効性化成肥料を規定量与えると生育が旺盛になります。板などに付けて栽培している場合は、外套葉の裏のミズゴケの上に肥料を置くようにしてください。
冬越しは、ビフルカツムは0℃以上保てば越冬しますが、葉を美しく保つには室内の日光がよく当たる窓際に置き、最低でも5℃以上は保つとよいでしょう。オーストラリア産の原種も比較的寒さには強いです。他の種類は12℃以上保つようにしてください。冬に温度が10℃以下に下がる場合は、乾かし気味に管理しましょう。
エアコンやヒーターなどの暖房機器の風が当たる場所や、近くに置かないようにしてください。急激な温度上昇や水分の低下で枯死します。暖房中など室内の乾燥が激しいときは、霧吹きなどで葉をスプレーして湿度を保つとよいでしょう。
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6~7号くらいまでのサイズなら、鉢植えで栽培できます。植え込み材料は、ミズゴケかヤシガラチップなどを使います。3.5号くらいまでの小さい株は乾燥に弱いので、水持ちのよいミズゴケで植えるのがお勧めです。プラスチック鉢や陶器鉢、4号鉢以上の素焼き鉢などにミズゴケで植える場合は、排水をよくするために鉢底石をやや多めに入れてください。株が大きくなるにつれて乾燥に強くなり、排水性が重要になってきます。通気性のよいヤシガラチップと着生植物用の鉢の組み合わせもよいでしょう。
ビフルカツムなど子株がよく出る種類は、株分けで増やすことができます。5月~8月が株分けの適期です。
また、小さな株は分けないほうがよいでしょう。
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入水苔はチリ産の高品質・AAランクの水苔を原料とした商品。保水性の高い水苔を使用しており、洋ラン・着生ラン・オモトなどの植え替えに最適。【培養土 替わり】ベラボン・プレミアム5L
土の代わりに100%「ベラボン・プレミアム」で植え付けられます。水を含むと1.5倍にふくらみ、水をはくと収縮するという運動をくりかえすため、弾力に富み、吸水性、保水性、排水性に優れるます。土壌を柔軟に保ち、根の張りが抜群によくなる。吊り金具付き 着生植物用栽培ポット Lサイズ
着生ランや着生シダにピッタリ。吊るすことによって全ての方向から空気と接する、通気性を突き詰めた吊り金具式の栽培ポットです。コンポスト材の性能でその条件はさらに高められます。焼鉢よりも程よく強度のあるプラスチック製で着生ランや着生シダ、ティランジアなど通気性を好む植物との相性が非常に良いです。金具が無くても使用できます。ビカクシダの板付け
株を板に付けてハンギングにして楽しむのがお勧めです。木に着生して育つのが本来の姿なので、特に大株は板付けにして育てるのが普通です。作業の適期は4月~5月ですが、9月まで行うことができます。
株を付ける板は、ヘゴ板や焼杉板、コルク板などを使います。生育が一番よいのはヘゴ板ですが、劣化して崩れやすいのと値段が高いのが欠点です。焼杉板は安価で入手しやすいですが、株を付着させる部分に穴を数か所空けて通気を図るとよいでしょう。コルク板はやや高価ですが、天然のゴツゴツした質感が魅力的です。
水分を十分含んで柔らかくなったミズゴケをよく絞り、板の中央付近に貯水葉全体を軽く覆う程度のミズゴケを敷きます。株には上下があるので、生長点の下側に胞子葉がくるようにして株を置いてください。上下が違う状態のままだと生育が衰えます。
胞子葉のすぐ下の部分をシュロ縄などでややきつめに縛り、上側は生長点から少し離れた部分を軽く縄で縛って固定しします。大株は重すぎて板から落ちることがあるので、ハリガネなどでしっかりと固定しておくと安心です。
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着生植物の植え付けや、インテリア、ガーデニングの演出に適した天然素材。通気性が抜群で排水性、保水性に優れ、腐りにくいものです。耐久性にも優れ水にも強く、長年にわたり観賞できます。バージンコルクディスプレイ(大)約500g
観葉植物や蘭など、植物のディスプレイ・お部屋のアクセントとして使える天然素材100%のコルク。着生ランやシダ類、ポトスなどの着生植物の栽培に適しています。病害虫
葉に白い粉状のものがついていたら、カイガラムシが発生しています。風通しの悪い室内などの環境で発生しやすくなります。早めに対処しないと葉が汚くなり、株が弱って観賞価値も下がります。そのままでは薬剤が効きにくいので、柔らかいブラシなどで丁寧に除去した後、殺虫剤を散布してください。ただし新芽は薬害を受けやすいので、注意しましょう。
また植替えの際などに株を傷付けると、切り口から菌が発生して枯れる原因になります。傷つけてしまったら風通しのよい場所で管理し、乾かし気味に管理するとよいでしょう。また予防として殺菌剤を散布しておくと安心です。
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浸透移行性により植物全体に効果を及ぼし、薬剤が直接かからなかった葉裏の害虫も退治。有効成分ペンチオピラドが病原菌の胞子の発芽を阻害し、うどんこ病、葉かび病、黒星病を予します。また、葉の内部へ入り込んだ病原菌の動きを抑える効果もあるため、治療効果も期待できます。ただし、病気の進行を防ぐ効果で、感染前の状態には戻りませんのでご留意ください。初心者にお勧めの育て方
最も一般的で安価で購入でき、環境適応性が高く丈夫なビフルカツムがお勧めです。また近縁のビーチーも丈夫です。これらの種類が問題なく育てられるようでしたら、別の種類の栽培に挑戦すると安全です。株が小さいうちは水切れに弱いため、室内の窓際に置き、鉢植えにミズゴケ植えなどで育てるとよいでしょう。
4~5号鉢に入らなくなるほど生育したら、株も徐々に乾燥に強くなってきます。さらに大きな鉢で植えると、水の与えすぎで枯れる可能性が高くなります。元々は着生のシダなので、ヘゴ板などにつけてハンギングにするのがお勧めです。春から秋は、戸外の午前中だけ日光があたるような場所に置いて下さい。
1. ビフルカツム
最も一般的な種類で、ビカクシダの和名は本種を指します。日光を好み乾燥にも強く、環境適応性が高いので初心者にも育てやすいです。大きくなりすぎないので、家庭で育てるにもちょうどよいでしょう。葉は比較的小型ですが旺盛に生育し、子株がよく発生します。寒さにも強く、関東南部の海沿い地域では冬の冷たい風が当たらない条件のよい場所では戸外でも越冬することがあります。プラティセリウム・ビフルカツム 吊り(ヘゴ付)
ビフルカツムはオーストラリアの東海岸沿いが原産のビカクシダで、性質がとても丈夫な育てやすい品種です。ヘゴに着生させている仕立てで、壁面などに飾ってインテリアとして楽しむこともできます。2. ウィリンキー
ビフルカツムの亜種とされますが、独立した種とする見解もあります。ナガバビカクシダ(長葉麋角羊歯)の和名があり、銀白色がかった胞子葉が長く垂れ下がるのが特徴で、大型になります。日光を好み乾燥に強く生育は旺盛です。寒さには弱いとされますが、意外と強いともいわれます。プラティセリウム・ウィリンキー 吊り
貯水機能を持ち、吊り下げて生育させることができます。ビフルカツムに比べて寒さに弱いですが、成長するに伴い長く垂れ下がっていく胞子葉が美しい品種です。3. ビーチー
ビフルカツムの亜種とされますが、独立した種とする見解があります。性質や栽培は一般的なビフルカツムに準じますが、特に日光を好みます。葉は白みがかって艶があり、深く切れ込みの入った胞子葉がシルバーの鹿の鋭い角のようで人気があります。日照が不足すると白っぽくならず本来の魅力が出ないので、できるだけ日光によく当てるようにするとよいでしょう。ビカクシダ ヴィーチー(ビーチー)3号ポット
大きくなると葉が長く切れ込みが深く細くなります。さらに葉の色が白銀色がかってくるのが特徴です。ビカクシダ ヴィーチー(ビーチー)
内容 | 3号ポット(楽天、ヤフー)、2.5号(Amazon) |
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サイズ | 全長13~18cm前後(3号)、10~15cm前後(2.5号) |
4. アルシコルネ
ビフルカツムに似ていますが、胞子葉はより細くて切れ込みが深く、貯水葉には切れ込みが入りません。日当たりのよい場所を好みますが、マダガスカル原産種は葉焼けしやすいので注意してください。冬は室内で10℃以上保つようにしてください。コウモリラン アルシコルネ 吊り
アルシコルネはマダガスカル~アフリカ東部にかけて分布するビカクシダ。ビフルカツムに似ていますが、比べると貯水葉は丸く、フチに切れ込みがありません。また、胞子葉の切れ込みが深く、まるで鹿の角のような形をしているのも特徴。
本品は椰子の実(全球)に着生させているため、全方向から観賞できます。
5. リドレイ
上に伸びる鹿の角に特によく似ている胞子葉と、しわがたくさん入った球状に盛り上がる貯水葉が特徴で、人気も流通価格も高いです。日光を好み、冬は室内の暖かい場所に置きます。あまり大きくならず比較的手頃なサイズですが、栽培は中~上級者向きです。6. グランデ
ユニークな貯水葉が人目を引く大型種です。貯水葉は扇状に生育して上部は分枝して広がり、最大で1~1.5mの大きさになることから、森の王冠の名があります。大型に育つので、最終的には広い温室がないと栽培は困難です。胞子葉は株が小さい時はなく、株が成熟しないと出てこないようです。春から秋の成長期は、葉焼けしないよう直射日光を避けた明るい場所に置いてください。冬は室内の明るい場所で12℃~15℃以上保つように管理してください。プラティセリウム・グランデ
グランデは貯水の機能を持つ皿状の貯水葉が左右交互に出て、葉の成長に伴って上部が枝分かれし、冠のような胞子葉が伸びるのが特徴。春~秋の成長期は直射日光が当たらない屋外で管理するとよく成長します。冬は5℃以上の所で管理。室内であれば問題なく越冬できます。7. スペルブム(スパーバム)
グランデに株姿が似た大型種です。春から秋は明るい日陰で管理しましょう。大型種の中では寒さに強いため、室内の明るい場所で8℃~10℃以上に保つのがよいでしょう。スパーバム ネット鉢植え 吊型
朝の最低気温が13℃ぐらいを毎日下回る季節には、できるだけ暖かい温室またはできるだけ日の当たる暖かい室内、春・夏・秋の暖かい季節には野外の軒下やフェンス・木陰に吊るしましょう。8. エレファントティス
熱帯アフリカ原産のエレファントティス。丸い2枚の葉が象の耳に例えられ、全体的に丸みを帯びた姿がユニークな魅力です。大型にならない種類で、日光を好みます。寒さには弱いので、冬は室内のできるだけ温かく明るい場所で管理してください。プラティセリウム・アンゴレンセ エレファントティス
ダランと垂れ下がるダンボの耳のような大きな胞子葉が特徴。-ウガンダ産の大変希少な原種だが、子株が付くと株分けで増やせる。湿度を好むので、室内管理で湿度が低い場合は水やりにプラスして霧吹きなどでこまめに葉水を与える。関連情報
俺のビカクシダ
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