目次
ゴールデンウィークの良く晴れた日にミニトマト、キュウリ、ナス、ピーマン、カボチャの苗をプランターに植え付けてから、親子の家庭菜園はどのようになっているのでしょうか?
プランを立てて進めてきた家庭菜園
これまでのストーリーはこちら
これまで、HAHA PROJECTはAGRI PICKとともに、計画から植え付けまでを行ってきました。「子どもと一緒に野菜を育てたい」
家庭菜園アドバイザーsanaさん
AGRI PICKで栽培について多くの記事を執筆している植物ライターのsanaさん。自身のライフスタイルに合った無理のない家庭菜園を楽しんでいます。今回もHAHA PROJECTの家庭菜園にアドバイスをしてくれましたよ。sanaさんプロフィール
農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材記事を執筆中。
親子で花や実を楽しみ、食べられるようになったものも
植え付けをしてから、毎日親子でプランターの作物を観察したり、水やりをしたりしてきたHAHA PROJECT代表の林理永さん親子。家庭菜園はとても楽しいそうです。林 理永さん
花が咲いたよ、実がなってきたよ、と話しながら見ています。娘はこれまでナスをほとんど食べなかったのですが、先日ナスの一番果ができたので、ぬか漬けにしたら食べました!
大成功ですね。お天気次第ですが、もう少ししたらキュウリの収穫も始まりますよ。
sanaさん
林 理永さん
娘はキュウリが大好きだから楽しみです!
梅雨時期の家庭菜園のポイント
植え付けから3週間後、季節は梅雨に向かっています。水分を嫌う作物にも否応なく雨が降り注ぎ、曇天によって太陽の光が不足するので病気にかかりやすくなる時期です。sanaさんは梅雨時期の栽培のポイントを教えてくれました。・古い葉や傷んでいる葉など不要な枝葉を取り除き、適度に風通しを良くしておくこと
・植え付けた作物に水を与え過ぎないこと
sanaさん
植え付けから梅雨に入る前までに、土を乾燥気味にしておくと作物の根が水を探すようにプランター内に張り巡ります。これを心がけておかないと、作物の根はコンスタントに人と雨から水をもらい続けるので、根が十分生長しなくなってしまいます。
天候や生育状態を考慮したお手入れだけでなく、過保護になり過ぎないように、植物が本来持っている力を発揮させてあげるのです。こうしてみると、作物を育てることは子育てに通じるところがありますね、とsanaさんは話します。
ミニトマトの苗が1本折れちゃった!
葉山町は海が近い土地柄。そのため、林さんは風の強さを心配していました。不安が的中し、4本植えたミニトマトの苗のうち、1本が折れてしまいました。林 理永さん
ミニトマトの苗が1本ぽきっと折れてしまいました。
大丈夫。これからする「わき芽かき」という作業で新しい苗を作れます。
sanaさん
「わき芽かき」とは、茎や葉の付け根から新たに生えてくる芽を摘み取ることです。どれがわき芽なのかわからないときは、茎の下の方から観察すると発見しやすくなります。
わき芽かきをする際は、取り除いた切り口から病原菌が侵入しないように、晴れた日に行い、なるべく手で摘み取ります。手で摘み採れないくらい大きく生長した場合は、はさみを使用してください。はさみを消毒する専用の薬剤がありますが、用意できない場合は、使用前によく洗うか、自宅にあるアルコールで消毒をしてから使用しましょう。このとき大きくなり過ぎたわき芽は、そのまま土に挿して、新たに苗として育て始めることができます。しっかり根付くまでしおれがちになりますが、水を与えると元気を取り戻します。完全に枯れてしまわない限りは、あきらめずに根付くのを待ってみてください。
今度こそ苗が風雨で折れないように、支柱に誘引して支えてあげてくださいね。
sanaさん
わき芽かきのポイントはこちら
生長を促すために不要なものをカット
「わき芽かき」をしましょう
ミニトマト以外の野菜についても、わき芽がかなり出てきました。それぞれ仕立てる枝が決まったら、それ以外の不要なわき芽や葉をはさみでカットしましょう。キュウリ
下から5~6節目までの不要な子づるや雌花は摘み取ります。(品種によって異なるので要注意!)風雨で折れないように支柱に誘引しましょう。
わき芽かきのような細かい栽培の仕方は、品種によって異なることがあります。そのため、苗を購入したときに品種を確認しておくことが大切です。苗のポットに差してあるタグには、品種や栽培方法が書かれていることが多いので、保存しておくと安心です。
ナス
一番花(1つの株のうちに最初に咲く花)をはさんだ上下2本のわき芽を伸ばすか、一番花の下から出た勢いのあるわき芽を2本残して3本仕立てにします。3本仕立てとは、主枝、第一側枝、第二側枝の3本の枝で栽培すること。これ以外の不要な一番花の下のわき芽は、早い段階で取り除きます。風雨で折れないように支柱に誘引しましょう。
ピーマン
ピーマンは一番花から下のわき芽は取り除き、二番花の着花節で分枝した合計2〜4本の枝を伸ばします。風雨で折れないように支柱に誘引しましょう。
どの枝を残すべきか迷ってしまったら、目印となる一番花付近の枝で「これぞ!」という太くしっかりした枝を選んで伸ばしてあげましょう。
sanaさん
ミニカボチャ
ミニカボチャの摘芯(茎や枝の最先端の芽を摘む作業)方法は、品種によって異なるので、購入したミニカボチャを確認しましょう。雨による泥はねを防ぐために支柱に誘引しましょう。
黄色くなっている葉を取り除きましょう
ナスの苗の一番下には、黄色に変色した葉がありました。このような葉も取り除きます。黄色い葉は光合成をしませんし、病気になりやすいので取り除きましょう。
sanaさん
追肥の仕方のポイント
HAHA PROJECTは、苗を植え付けるときに肥料分として、元肥入りの培養土を少量用いました。さて、植え付けてから3週間ほど経ちましたが、追肥についてはどうなったでしょうか?
林 理永さん
苗が元気なので、まだ追肥はしていないのですが…。
林さんの判断でOKです!このまま作物の生育の様子を観察しながら、その都度追肥のタイミングを判断してください。ミニトマトは、実がつくころから追肥を開始すると良いでしょう。ナスは肥料分が大好きなので、そろそろ追肥してもいいころかと。
sanaさん
追肥はそれぞれの苗の様子を見て、タイミングを判断することが大切なのですね。さらに、もう一つ注意することがありました。
肥料を与えるタイミングだけでなく、量もトラブルの原因になることがあります。特に、初心者の方は、肥料を多く与え過ぎてトラブルを発生させてしまうことが多々あります。じつは肥料は少ないよりも多い方が病害虫のトラブルの原因になるのです。
sanaさん
例えば、キュウリは一度に多くの肥料を与えると「うどんこ病」が発生しやすくなります。追肥を忘れてしまったからといって、焦って一気に与えないように注意します。また、ミニトマトは肥料が多過ぎると草勢ばかり旺盛になるので、追肥を与える前に一度水やりをして、2日後に株が元気になるようなら追肥の時期を少しずらすとよいでしょう。
sanaさんが品目ごとの追肥のポイントについて、教えてくれました。
品目ごとの追肥のポイント(植え付けから3週間後)
ミニトマト
実がつくまでもう少し様子をみましょう。キュウリ
そろそろ追肥を開始します。一気に与えるとうどんこ病が発生するので、与え方には注意が必要です。
ナス
これからコンスタントに追肥を開始しましょう。ピーマン
そろそろ追肥を開始しましょう。様子をみながらコンスタントに追肥していきます。
ミニカボチャ
実がつくまでもう少し様子をみましょう。植え付けから1カ月後|ミニトマトの葉に病斑が!
植え付けから1カ月後、林さんからsanaさんにSOSの連絡が入りました。ミニトマトの葉に異変が起きたようです。林 理永さん
ミニトマトの葉っぱに黒い点々ができてしまい… これは何か対策が必要でしょうか?!
葉の裏にカビが生えていますか?
sanaさん
林 理永さん
カビっぽくはない気が…。
カビがないのなら、灰色かび病や葉かび病の可能性はなさそうですね。病斑部の「ハロー」から斑点細菌病かなぁ…。じつは病気を特定することは難しく、実際の農業の場では病原菌を実験により確定してから、再度植物に注入して確証後、病名が決まります。家庭菜園では、もしかしてこれかな?って感じなので、これ以降もよく観察して、早期発見を心がけましょう。
sanaさん
ハローとは、病斑の周りが細菌のかたまりでぼんやりと黄色くなっている状態のこと。斑点細菌病は、曇雨天が続き、湿度が高い時期や昼夜の温度差が激しく葉に結露をする時期に発生しやすい病気です。進行すると葉が枯れたり、果実が腐ることがあります。
HAHA PROJECTさんは有機栽培が基本なので、農薬などの対応は行いません。病気におかされた葉は、さらなる伝染源となる可能性があるのでただちに取り去ってください。
sanaさん
これから梅雨を迎えますが、どのような注意が必要なのでしょうか?
プランター内の水分がミニトマトにとって過剰にならないように、コンパニオンプランツのバジルを植えて、ミニトマトにとって余分な水分を吸収してもらいましょう。
上の方の葉がやや包み込むように内側に巻いているようなので、このまま肥料を与えずに、少し様子をみましょう。
上の方の葉がやや包み込むように内側に巻いているようなので、このまま肥料を与えずに、少し様子をみましょう。
sanaさん
斑点細菌病についてはこちら
親子で作物の様子をしっかり見てみよう!
林さん親子は、育てている苗を毎日見ていたからこそ、早い段階でミニトマトの病気に気づくことができました。作物の様子をじっくり観察すると、いろいろなことに気づいたり、ときには子どもが思わぬ発見をしたりするかもしれません。想像以上の風の強さや日照不足など、気象条件に左右されてしまうのは家庭菜園では無理のないこと。作物自体の生命力を信じながら、様子をよく観察して栽培を続けていきましょう。収穫が楽しみですね。AGRI PICKでは、今後もHAHA PROJECTの家庭菜園をリポートしていきます。お楽しみに!