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はじかみ生姜とは
はじかみ生姜は、懐石料理などの焼き魚のあしらいとしてよく使われ、魚の臭みを消して口を爽やかにしてくれます。ここでは、はじかみ生姜の材料となる「矢生姜」「葉生姜」、はじかみの意味や食べ方について紹介します。はじかみ生姜はどの部分を使って作る?
はじかみ生姜に使われるのは、葉生姜の根とピンク色の茎の部分です。葉生姜は、生姜の根の部分が小さいうちに葉付きのまま収穫したものです。筋が少なくて柔らかく、爽やかな辛味が特徴です。はじかみ生姜に使われる「葉生姜」と「矢生姜」の違いは?
はじかみ生姜を作るときには、葉生姜のほか「金時生姜(きんときしょうが)」を軟化栽培したものもよく使われています。加工前の生姜は見た目が矢や筆に似ていることから、「矢生姜(やしょうが)」「筆生姜(ふでしょうが)」と呼ばれることもあります。矢生姜は、私の暮らす愛知県の特産品として知られています。旬は初夏から夏にかけてですが、ハウス栽培のものは一年中出回っています。
「はじかみ」って、どんな意味?
昔は、生姜のことを別名「はじかみ(薑)」と呼んでいました。はじかみという不思議な響きの言葉は、「歯でかむと辛い」「はじのほうが赤く見える」ことに由来するとされています。かつては山椒もはじかみと呼ばれており、辛いものの総称として使われていました。時代の移り変わりとともに山椒の呼び名としては使われなくなり、「はじかみといえば生姜」という意味になったといわれています。魚料理のあしらいに使われるのはなぜ?
魚料理には、大根おろしやゆずやかぼすなどのかんきつ類がよく添えられています。こうした食材は「あしらい」「あしらいもの」と呼ばれます。毒消しや食欲増進、口のなかを爽やかにする目的があります。はじかみ生姜は魚の塩焼きや照り焼きに添えることが多いですが、あしらいの存在によって、その料理がぐっと洗練された印象に仕上がります。一般的に、あしらいは魚料理の味付けと異なるものを選びます。たとえば、魚の塩焼きにはかんきつ類、魚のみそ焼きには野菜の塩漬け、魚の照り焼きには大根おろしというのが典型的な組み合わせです。これに対して、塩焼きに塩漬けを合わせると、味が重なってしまうので避けるようにしましょう。
はじかみ生姜はどうやって食べる?
はじかみ生姜は、白色の根とピンク色の茎に分かれています。柔らかくておいしく食べられるのは、主に根の部分です。茎は固いので皿に残すようにするのが基本的な食べ方です。はじかみ生姜の中央付近を箸で持ち、根の部分だけを食べるようにしましょう。はじかみ生姜は「口直し」の意味もあるため、魚などを食べ終えた後にいただくようにするのが基本的なマナーです。はじかみ生姜を食べれば、口のなかに爽やかな香りが広がり、魚臭さが残りません。懐石料理などでもよく登場する、はじかみ生姜。順番を意識して食べることで、次の料理をおいしく味わうことができます。
定番!はじかみ生姜(甘酢漬け)の作り方
はじかみ生姜は葉生姜や矢生姜を甘酢漬けにしたもので、その鮮やかなピンク色に驚く人もいるかもしれません。でも、これは酢の効果による天然の色です。葉生姜はそのままだと鮮度が落ちやすいですが、甘酢に漬けることで1週間程度はおいしく食べられます。また、甘酢の効果で辛さが落ち着いて食べやすくなります。はじかみ生姜(甘酢漬け)は、生姜が好きな人の間ではファンも多い一品です。その味だけでなく、生姜と酢の組み合わせにより、食欲増進や消化促進、冷え緩和などの効果が期待できるのも大きな魅力です。
はじかみ生姜(甘酢漬け)を作ってみよう
では、はじかみ生姜を作ってみましょう。矢生姜は手に入らない場合も多いので、ここでは葉生姜で作るレシピを紹介します。〈材料〉作りやすい分量
・葉生姜 6本
・酢 1/2カップ(100cc)
・てんさい糖 大さじ2
・塩 小さじ1/2
作り方
1. 葉生姜は7~8cm程度(保存容器に入るくらいの長さ)に切り、よく洗って薄く皮をむく。2. 熱湯で1の生姜を20~30秒程度ゆでて、ザルにあげて水気をしっかりと拭き取る。
3. 清潔な保存容器に2の生姜を入れ、上から酢・てんさい糖・塩をよく混ぜ合わせたものを注ぐ。葉生姜がひたひたに浸かっている状態で、冷蔵庫に入れて保管する。半日~1日程度おけば、できあがり。
ポイント
・てんさい糖が溶けにくい場合は、酢を小鍋などに入れて、少しだけ温めてから溶かすようにしてください。・てんさい糖の代わりに、はちみつなどの甘味料を使って作ることもできます。
・葉生姜を漬けてから時間が経つにつれて、酢の効果で全体がピンク色に染まります。
はじかみ生姜(甘酢漬け)の食べ方
はじかみ生姜(甘酢漬け)は、焼き魚の後の口直しとして楽しむだけなく、いろいろな料理に活用できます。ピクルスやザウアークラウト(キャベツの酢漬け)のように肉料理に添えるのはもちろん、刻んだものをごはんの上にトッピングするのもおすすめです。生姜を食べ終えた後に漬け汁が残ったら、汁も捨てずに活用しましょう。我が家では、ピンクに染まった美しい色合いを生かして、酢の物や酢飯などを作っています。はじかみ生姜以外にも活用!葉生姜を使った簡単おいしい養生ごはん
ピリリとした辛味と爽やかな香りのある、葉生姜。はじかみ生姜(甘酢漬け)だけでなく、いろいろな料理に使うことができます。ここでは、「葉生姜+みそ」「葉生姜の梅肉巻き」「葉生姜(はじかみ生姜)入りちらし寿司」「葉生姜の天ぷら」「タイ料理などエスニック料理への活用」について紹介します。葉生姜+みそ
葉生姜にみそを添えた、シンプルな一品。はじかみ生姜の独特の風味を存分に味わえます。梅みそなどの旬の食材を使ったものを添えてもおいしいです。子ども向けには、みそに同量のマヨネーズを加えて混ぜたものがおすすめです。とても簡単に作れて、箸休めにも酒の肴(さかな)にもぴったりです。葉生姜の梅肉巻き
葉生姜に肉を巻いて香ばしく焼き、梅肉ソースで味付けをします。生姜と梅は相性抜群で、食欲をそそる一皿です。葉生姜1本につき、豚バラ肉であれば1/2枚(10g程度)を使います。梅肉ソースは、葉生姜5~6本分につき、梅干し1/2個(小さいものなら1個)、みりん・酢・しょうゆ各小さじ1です。今回は、葉生姜の肉巻きをフライパンなどで焼く際に、空いたスペースでエリンギも焼いてみました。付け合わせの野菜も一緒に調理すれば、満足感のある一皿が完成します。
葉生姜(はじかみ生姜)入りちらし寿司
ちらし寿司に、刻んだ葉生姜を混ぜ合わせてみましょう。生姜には魚の臭みを抑える効果があり、爽やかな香りの一皿になります。混ぜ込む量が多かったり大き目に刻んだりすると、辛さが際立って全体の味を損ねてしまうことがあります。初めての時は、少量を細かく刻んだものを混ぜるようにするのがポイントです。はじかみ生姜があれば、酢飯を作る際に漬け汁ごと使うのもおすすめです。ピンク色の漬け汁の効果で、ごはんがうっすらと染まります。葉生姜の天ぷら
葉生姜の天ぷらは、生姜を食べやすい大きさに切った後、小麦粉や米粉などで衣を付けて高温で揚げます。加熱することで独特の辛みが和らぎ、子どもにも食べやすくなります。タイ料理などエスニック料理への活用
トムヤムクンなどをはじめ、爽やかな香りと辛味が特徴的なタイ料理。本格的なタイ料理には、ガランガル(タイの生姜)やレモングラス、こぶみかんの葉などを使いますが、日本ではなかなか手に入らないことも多いです。葉生姜は繊維が少なくて香りが豊かなので、タイ料理などのエスニック料理に使うのもよく合います。葉生姜の葉は、お茶や入浴剤にも使える!
葉生姜は、根の部分だけでなく、葉も活用することができます。葉を乾燥させて刻んだものに熱湯を加えて数分間待てば、簡単「しょうがの葉茶」ができあがり。レモングラスティーに風味が少し似ていて、根の部分と同様に独特の香りを楽しむことができます。柿の葉茶や番茶など、他のお茶とブレンドしてもおいしいです。ちなみに、私が最近気に入っているのは、葉生姜の葉を入浴剤として使う方法です。葉5~6本分を輪ゴムなどで束にするかネットなどに入れて、湯船に浮かべるだけです。子どもの日に入る習慣がある「しょうぶ湯」のように、緑色が美しく爽やかな香りが楽しめます。葉も捨てずに活用して、心地よい香りでリフレッシュしてみてはいいかがでしょうか。
簡単に作れるはじかみ生姜や葉生姜を活用しよう
焼き魚のあしらいとしてよく登場する、はじかみ生姜。独特の爽やかな香りと辛味があり、食欲増進や消化促進、冷え対策など身体にうれしい効果も期待できます。口直しにもぴったりのはじかみ生姜は、家庭で簡単に手作りすることも可能です。また、葉生姜は、生のまま食べたり肉巻きにしてソテーにしたりするなど、いろいろな料理に活用できます。さらに葉生姜の葉も、お茶や入浴剤にするなど余すところなく使ってみてはいかがでしょうか。はじかみ生姜だけでなく、葉生姜のいろんな食べ方を楽しみながら、健やかに過ごしたいですね。