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パキポディウムの育て方|多肉植物・サボテン研究家が人気種や塊根がへこむ原因などを解説!

「パキポディウム」は、肥大化した幹からトゲのある枝を生やす多肉植物です。その貫禄のある株姿から、コーデックスの中でも非常に人気があります。この記事では、多肉植物・サボテン研究家の監修のもと、パキポディウムの育て方や人気種、塊根がへこんでしまう原因など、よくある疑問についても解説します。


パキポディウム

出典:Flickr(Photo by Mike Keeling
コーデックスの中でもとりわけ高い人気を誇る「パキポディウム」。ずんぐりとした塊根・塊茎が魅力の植物ですが、極端な寒さや暑さに弱く、温度管理にはコツが要ります。この記事では、パキポディウムの基本的な育て方や栽培に関するよくある悩みなどを、多肉植物・サボテンの栽培経験が豊富なベテラン園芸家・Shabomaniac!さんに聞きました。人気種や栽培のコツについても解説します!

パキポディウムについて教えてくれたのは

Shabomaniac!さん

Shabomaniac!
画像提供:Shabomaniac!
幼少期から40年にわたり世界中のサボテンと多肉植物を栽培している園芸家。栽培が難しい種のは種や育成、新種の輸入にも早くから取り組む。実体験に基づく栽培方法や、自身が所有・栽培する植物の写真、自生地巡りの紀行をブログとInstagramで発信。長年の栽培経験に基づく豊富な知識で愛好家たちからの信頼も厚い。

Blog:http://shabomaniac.blog13.fc2.com
Instagram:https://www.instagram.com/shabomaniac/
著書:『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』(日本文芸社)『多肉植物サボテン語辞典』(主婦の友社)

パキポディウムの特徴

パキポディウム
出典:PIXTA
パキポディウムはラテン語で「太い」を意味するpachysと「足」を意味するpodosを合わせた造語で、由来の通り多くは幹が肥大化します。自生地では10mくらいまで成長するものもあります。幹からトゲのある枝を生やして灌木(かんぼく)状に育ち、幹や枝の先端に艶のある厚手の葉をつけます。

マダガスカルと南アフリカに自生し、亜種・変種を合わせて25種類ほどが知られています。自生地はいずれも乾燥の激しい環境です。酷暑や乾燥が続く時期には落葉し、比較的雨の多い季節になると葉を出して花を咲かせます。価格は安いもので数千円、大きくて形のよいものは数十万円することもあります。
Shabomaniac!さん
Shabomaniac!さん
パキポディウムは、ここ10年ぐらいのあいだに、マダガスカルからの野生株の輸入が増えました。しかし、中には原産地の環境に大きなダメージを与えているケースもあります。希少植物の原産国では、往々にしてワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物が国境を越えて移動することに制限をかけるもの)の管理対応が十分機能しておらず、本来は採取されるべきでない植物が日本に入ってきているかも知れません。気に入った株を手元に置いて満足することと引き換えに、自生地の植物を根絶やしにしてしまったら悲しいことです。すでにアジアをのぞく海外では野生植物を買わないで、自分で種子から育てよう、という機運がSNSなどで広く共有されつつあります。世界的にも野生植物の採取・輸出に対して厳しい対応を取る傾向が強まっているため、いま国内にある輸入植物を大切に維持し、今後は国内で人工的に繁殖した株を増やしていきたいですね

基本データ

分類

 キョウチクトウ科パキポディウム属

原産地

 マダガスカル、南アフリカ

生育型

大半のパキポディウムは、初夏~初秋までの温暖な季節に成長します。基本的に自生地の環境に合わせて活動するので、マダガスカル産であれば温暖な夏の時期が生育期です。南アフリカ産の「ナマクアナム」などは日本の気候では冬に成長します。冬型種は一般的な草花とは成長サイクルが逆です。春になっても成長しないからと慌てて水やりすると、本来は休眠期なので腐らせてしまいます

栽培適温

「ナマクアナム」などは氷点下でもなんとか耐えられますが、「バロニー」は最低でも10℃は必要というように、種によって幅があるため一概にはいえません。ただ低緯度かつ標高の高いところに分布するものが多いため、極端な暑さや寒さは避けた方がよいでしょう。
Shabomaniac!さん
Shabomaniac!さん
日本の冬は昼でも5℃までしか気温が上がらなかったりしますが、南アフリカの冬は最高気温が日本よりも高く、夜はそれなりに冷えますが昼間は20℃を超えて暖かくなります。このような自生地に近い環境を作ろうとすると、どうしても温室やビニールハウスが不可欠です。また、栽培適温は原産地の気候を調べるのが一番です。その植物がどのような環境で自生しているのかという視点で考えると、それぞれの植物にふさわしい栽培環境が見つかります。

成長速度

種をまいてから4〜5年で開花、10年くらいで見ごろといえるサイズになります。
Shabomaniac!さん
Shabomaniac!さん
10年を長いと思うか短いと思うかは人それぞれですが、たとえば盆栽などは1つ仕上げるのに50〜100年もかかり、1人の代では完成できないわけです。そういう意味ではは種から10〜20年で見ごろに育つというのは、コーデックスの中では比較的早い方といえます。

パキポディウムの花

花は数センチのものから十センチくらいの大輪まであり、キョウチクトウ科らしく5枚の花弁をつけます。色は赤・黄・白・ピンクなどさまざま。受粉にはコツが要ります。

パキポディウムの人気種

パキポディウム
出典:PIXTA
ここからはおすすめのパキポディウム属の品種を紹介していきます。それぞれの栽培難易度は、星の数(☆~☆☆☆☆☆)で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど育てやすい品種になります。

アンボンゲンセ(Pachypodium ambongense

 
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栽培難易度☆☆☆
ワシントン条約の附属書Ⅰ(同条約の中でもっとも厳重な規制の対象となる種のリスト)に該当する絶滅危惧種。強いトゲをボトル型の幹全体から生やし、美しい大輪の白い花を咲かせるため人気があります。種子から繁殖させたものも割と出回っていますが、5〜10万円と価格は高めです。

イノピナツム(Pachypodium rosulatum ssp. inopinatum

栽培難易度☆☆☆
1996年に記載された比較的新しい種で、マダガスカルが原産。ロスラーツム系統でグラキリウスとも形が似ていますが、白い大きな花を咲かせたり、細い葉をつけたりと明確な違いがあります。少し性質が気難しく、冬場に温度が足りずストレスがかかると新芽が出るのが遅れることがあります。

グラキリウス(Pachypodium rosulatum ssp. gracilius

パキポディウム・グラキリウス
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆
ボトル型の美しいコーデックスで、パキポディウムの中では今一番人気があり、コーデックスブームの立役者ともいえる代表種です。栽培難易度はやさしめですが冬の低温には要注意。輸入株は活着するまでに落ちてしまったり、活着したあとも元々の傷みが原因で枯れたりすることが多いので、実生株を入手した方が育てやすいでしょう。種子から育てたものでも、野生株と見劣りしないくらい立派な形に育てることができます。

サキュレンタム(Pachypodium succulentum

栽培難易度☆☆
太くてまん丸の根っこの上にヒョロヒョロとした枝を生やします。根は本来地中に生えているものですが、鑑賞価値が高いために掘り出して鉢の上で見える状態にしています。生育型は冬型と夏型の中間くらいです。同じサキュレンタムでも分布範囲が広く、生えていた場所によって微妙にキャラクターが違ったりしますが、基本的には育てやすい種です。ただ成長速度は遅く、種をまいたものが10cm程度の塊根になるまでに10〜20年はかかります。

デンシフロラム(Pachypodium densiflorum

パキポディウム・デンシフロラム
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆
マダカスカル種の中ではもっとも広い範囲に分布しており、パキポディウムを代表する種のひとつ。自生する地域や標高に幅があるためバリエーション豊富で、幹の形もボトル型だったり、横ひろがりの盆栽型だったり、個体差が大きいのが特徴です。著名な交配種「タッキー」も、このデンシフロラムの血が色濃く反映しています。

ナマクアナム(Pachypodium namaquanum

パキポディウム・ナマクアナム
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆☆☆
ナマクアランドに自生していることがその名の由来。日本語名では「光堂」と呼ばれています。パキポディウムの中で顕著な冬型はこの種のみ。初夏のころに新葉を出し、秋から本格的に成長します。冬、寒過ぎると葉が落ちて成長が止まります。順調に冬を超えれば、春先に開花し、桜が咲くころに落葉休眠します。冬でも水やりが必要なので、凍るような環境では育ちません。冬にある程度の温度を確保し、太陽をたっぷり浴びさせることが栽培のコツです。

バロニー(Pachypodium baronii

パキポディウム・バロニー
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆☆
バロニーには「バロニー・バロニー(Pachypodium baronii ssp.baronii)」と「バロニー・ウィンゾリー(Pachypodium baronii var.windsorii)」(※写真)という2種類の亜種があり、どちらもマダガスカル北部が原産です。赤道に近く暖かい環境で自生しているため、マダガスカル産のパキポディウムの中では特に寒さに弱く、冬場でも10℃はキープしたいところ。寒さでダメージを受けると春になっても成長を始めないことがあります。パキポディウム属では唯一赤い花が咲くのも特徴です。日本で流通しているものは幹の基部がボール状に丸々と太るバロニー・ウィンゾリーが大半。もう一方のバロニー・バロニーは国内では割と稀少(きしょう)で、幹はバットのようなこん棒状です。どちらもワシントン条約の附属書Ⅰに該当します。

ビスピノーサム(Pachypodium bispinosum

パキポディウム・ビスピノーサム
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆
サキュレンタムとはとてもよく似ていますが、ベル状の花をみれば、区別できます。幹のような部分は根っこで、自然の状態では地面の中に埋まっています。外に出して植えるとなかなか太りません。寒さにも強く丈夫で、枯らすのが難しいくらいです。

ブレビカウレ(Pachypodium brevicaule

パキポディウム・サキュレンタム
写真提供:Shabomaniac!
栽培難易度☆☆☆
茎がぎゅっと詰まり、ショウガの根っこに葉っぱをくっつけたようなユニークな形のコーデックスです。「恵比寿笑い」という和名でも呼ばれています。標高1,500〜2,000mの高地に分布しているにもかかわらず寒さに弱く、低温のストレスで春先に枯れてしまうこともあります。生育型は夏型ですが真夏は苦手です。マダガスカル原産の熱帯植物といっても夜は涼しく風が吹いていたり、湿度は低かったりするため、どちらかというと涼しい環境を好み日本の高温多湿の夏にはなじみません。熱帯原産だから大丈夫と思って油断していると、夏に腐らせてしまうことがあるので気をつけましょう。

ラメリー(Pachypodium lamerei

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背の高い木のように真っ直ぐ育ち、金棒のような姿が特徴です。寒さには弱い方ですが、暖かい環境で陽をたっぷり当て、水もたっぷりあげればすくすく育ちます。

パキポディウムの育て方

パキポディウム
出典:PIXTA

日当たり・置き場所

屋内は日当たり、風通しが悪いので、できれば冬場でも温室やビニールハウスで育てるのが理想的。日当たりのよくない屋内の窓辺などに置いておくと、徒長して株姿がヒョロヒョロになります。屋内栽培の場合は強力なLEDなどを準備する必要があります。また、ビニールハウスやガラス温室で育てていてもガラスやビニールが紫外線を遮ってしまい、徒長することがあります。丸々とした形の良い株にするためには、夏場は戸外で管理するのがひとつのコツです。ただし風通しが悪いと株が焼けてしまうため、酷暑が続くようであれば寒冷紗などで暑さ対策を行いましょう。風通しがよければ直射日光に当てても大丈夫です。

水やり

マダガスカルや南アフリカの大半の植物は、春から秋の温暖な時期に水をたっぷりやり、風通しと日当たりをよくして育てることが基本です。

肥料

成長が早い場合は肥料を与えます。一般的な草花用の肥料でOKです。

極端に酸性・アルカリ性に寄らず、水はけがよければ土はあまり選びません。市販の多肉植物・サボテン用の土で十分です。

パキポディウムの植え付け・植え替え

パキポディウム
出典:PIXTA
休眠期が明けて成長を始めたタイミングがベスト。種によって成長サイクルが違うので植え付け・植え替えの適期もそれ次第です。

パキポディウムの剪定・切り戻し

パキポディウム
出典:Flickr(Photo by Megan Hansen
基本的に剪定・切り戻しは不要です。中には切り戻す人もいますが、不自然な形になりやすいのでおすすめはしません。パキポディウムは非常に水気が多く組織がもろいので、樹液が垂れてきたり、切り口から一気に腐ることがあります。

パキポディウムの病気・害虫

パキポディウム
出典:Flickr(Photo by Andrew Toskin
比較的に害虫や病気には強い方です。ただ、冬場に暖房の効いた屋内に置いておくとカイガラムシがつくことがあります。

パキポディウムに関するQ&A

パキポディウム
出典:Flickr(Photo by Ernest McGray, Jr.

塊根部分がブヨブヨに…原因は?元に戻すことはできる??

Shabomaniac!さん
Shabomaniac!さん
冬に断水している間は水気が抜けて柔らかく感じることがありますが、健康な株は水をやればまたパンパンに膨らむはずです。冬場の成長が止まっているときに水をやり過ぎたりすると、根が腐って塊根部分もブヨブヨになってしまいます。原因がどちらなのかを見極めるのは難しいですが、指で押してグジュっといくようであれば完全に腐っているので残念ながら助かりません。

葉が枯れてしまった…

Shabomaniac!さん
Shabomaniac!さん
生育期が終われば葉は落ちます。多くの場合は秋ですが、ナマクアナムのような冬型種は春に葉を落とすのでそこを間違えないようにしましょう。また、暑過ぎたり、水が少し足りなかったり、ちょっとした要因で植物が「休眠期に入ったのかな?」と勘違いし、生育期にもかかわらず葉を落としてしまうことはあります。たとえば、夏型のパキポディウムは外に出しておくと、通常は4月ごろの春先に葉を出し始めますが、一晩寒い日があって気温が5度くらいまで下がったりすると、急に葉が落ちてしまったりします。

パキポディウムを育ててみよう!

パキポディウム
出典:Flickr(Photo by Mike Keeling
どっしりした幹にトゲだらけの枝と個性的なフォルムが持ち味のパキポディウム。株姿も魅力的ですが、春になれば新芽を出し、可憐(かれん)な花を咲かせるなど、季節によって異なる一面を見せてくれます。温度管理と日当たりに注意して、ぜひパキポディウムの栽培に挑戦してみてくださいね!

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kiko

出版社にて雑誌編集に3年間に携わった後、現在はWebライターとして活動中。多肉植物・観葉植物の魅力にはまり、鉢が増えていく日々。

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