※旧暦とは1872年12月3日を1873年1月1日とした新暦(グレゴリオ暦)以前に使用されていた、月の満ち欠けと太陽の動きから作られた太陰太陽暦。
2023年二十四節気一覧と読み方
2023年の二十四節気は何日になるのか紹介します。季節 | 二十四節気 | 新暦日付 |
春 | 立春(りっしゅん) | 2月4日 |
雨水(うすい) | 2月19日 | |
啓蟄(けいちつ) | 3月6日 | |
春分(しゅんぶん) | 3月21日 | |
清明(せいめい) | 4月5日 | |
穀雨(こくう) | 4月20日 | |
夏 | 立夏(りっか) | 5月6日 |
小満(しょうまん) | 5月21日 | |
芒種(ぼうしゅ) | 6月6日 | |
夏至(げし) | 6月21日 | |
小暑(しょうしょ) | 7月7日 | |
大暑(たいしょ) | 7月23日 | |
秋 | 立秋(りっしゅう) | 8月8日 |
処暑(しょしょ) | 8月23日 | |
白露(はくろ) | 9月8日 | |
秋分(しゅうぶん) | 9月23日 | |
寒露(かんろ) | 10月8日 | |
霜降(そうこう) | 10月24日 | |
冬 | 立冬(りっとう) | 11月8日 |
小雪(しょうせつ) | 11月22日 | |
大雪(たいせつ) | 12月7日 | |
冬至(とうじ) | 12月22日 | |
小寒(しょうかん) | 1月6日(2023年) | |
大寒(だいかん) | 1月20日(2023年) |
二十四節気とは
現代使われている暦(新暦)では、地球が太陽の周りを1周するまでを約1年としています。1年の中には季節の移ろいがあり、4等分であらわされる春夏秋冬があります。その季節をさらに24等分にしたのが「二十四節気」で、旧暦の文化のころに中国から伝わってきました。
今よりも農業や林業など自然の中で仕事をしていたころは、季節に重きをおいた暦を日々の生活の目安としていました。
※新暦とは現在の暦(グレゴリオ暦)で、世界的にも多く使用されている太陽暦。
季節の節目
新暦のカレンダーに記され休日にもなっている「春分の日」や「秋分の日」ですが、じつは二十四節気の一部で、太陽の傾きに合わせて春・夏・秋・冬の節目それぞれの意味をもっています。春分
太陽が真東から昇り、真西に沈む日で、昼と夜の長さがほぼ同じになります。このころから暖かい気候に向かっていきます。夏至
1年の中で最も日が長く夜が短いとされ、これ以降暑さが増していきます。▼夏の二十四節気のことならこちらをご覧ください。
秋分
春分と同じように、昼と夜の長さが同じ日で、このときをさかいに昼が短くなり夜長の秋へとむかいます。▼秋の二十四節気のことならこちらをご覧ください。
冬至
1年の中で最も昼が短く夜が長い日です。これから徐々にまた日が長くなっていきます。春の二十四節気と農業の関係
二十四節気は今よりもっと農業が盛んで、季節の移ろいによって変わりゆく自然の恵みと共に暮らしていたころに欠かせないものでした。季節に合わせて種まきや稲刈りの準備を行うため、農村に暮らす人々にとって農作業の共通の目安として、二十四節気は広く役立てられていました。
今回は春の二十四節気と農業にまつわるお話を紹介します。
立春から数える農業に関係の深い雑節
冷たい冬の風が暖かい春の風に変わり、川や湖の氷が溶け始めます。立春は、二十四節気の1年の始まりです。
節気のほかに、節分や彼岸などの「雑節(ざっせつ)」という暦日があります。二十四節気よりもさらに農業行事の目安として馴染み深いものがこの雑節です。
八十八夜
立春から88日目にあたる「八十八夜(はちじゅうはちや)」を種まきの目安としていました。気候が変わる境目になる時期で、八十八夜より種まきが早過ぎると、せっかく芽が出たとしても寒害のせいで枯れてしまう危険があります。遅れ過ぎると栄養不十分なまま育ってしまい軟弱な苗になり、収穫も減る可能性があります。そのため、八十八夜という日は大事な農業の目安とされてきました。
とはいえ、5月の初めはふいに冷え込む日もあるため、霜が降りる危険もありますので油断は禁物ですね。
また、八十八夜は茶摘みの目安でもあり、この時に摘まれたお茶は一番茶とされます。
「八十八」の「八」は、末広がりで縁起の良い漢字なので、無病息災を祈願して一番茶を飲む風習があります。
▼お茶摘み体験ならこちらの記事をご覧ください
雨水
暖かい気候に向かって、空から降るものが雪から雨に変わり始めるころです。雨に降られて、山を覆っていた雪や氷も解け始めます。
草木も芽吹き、田畑も潤ってくるので、このころから農耕の準備が始められるとされています。
冬の間は眠らせていた道具の手入れを始め、苗床を作るための準備を始めます。
春一番が吹くのもこのころですが、まだ雪が降ることもあります。暖かくなったり、また気温が下がったりといった気候を繰り返しながら、春に向かっていきます。
春の農作業〜「野焼き」
風がなく、よく晴れた日に枯草を焼き払います。灰がこれから生えてくる草(牛や馬の飼料となる草や、山菜)の肥料となります。
春先になると田んぼと田んぼの合間に黒い箇所が見えたりしますが、それは野焼きの跡だったりします。
※営農行為として、田畑を区切る畦(あぜ)道の雑草や肥料にするためのわらや籾殻(もみがら)などを焼くことはやむを得ないとして許可している自治体もありますが、一般家庭での野焼きは禁止されています。
七十二候
1年をさらに72等分にした七十二候(しちじゅうにこう)というものもあります。これは、二十四節気よりさらに細やかに、季節ごとに起こる自然の変化を言葉にして表現されています。特に農業に関わりの深い春の七十二候を紹介します。
桜初開(さくらはじめてひらく)
「桜初開」は、春に桜の花が初めて開くころ。この少し前の春分の日を中日とした、前後3日間を含めた計7日間は春のお彼岸です。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、だんだんと気候も安定してきます。
春の農作業の目安〜「田打ち桜」
春先に田を打ち返す、田打ちという作業があります。秋田地方ではコブシの花が咲くころを田打ちを始める目安としていたため、コブシの花を「田打ち桜」と呼んでいました。
今でも秋田地方では、田んぼの近くにはコブシが植えられているところも多いそうです。
花がだんだんと開く様子を見て、人々も田んぼの準備を進める。こうして植物と人は繋がっているのですね。
※田打ち桜と呼ばれる植物は、地方によって異なります。岩手県付近では糸桜(しだれ桜)を田打ち桜と呼んでいました。
季節の移ろいを感じる春の二十四節気
農業がもっと盛んで、今よりも自然の恵みと共に暮らしていたころは、季節の移ろいを見つめる習慣が身についていました。
眠っていた植物の芽が吹き出すこと。花が咲き始めるころの香り。収穫へと足を進める日々の暮らし。こうしてゆっくり落ち着いていく季節もあること。
自然の小さい変化の積み重ねを見つめながら、育てている作物のことも気にかける暮らしが今もあります。これまで何百年と続いてきた知識が、農業で今も受け継がれているのです。皆さんの家庭菜園の計画も、二十四節気や雑節に合わせてみてはいかがですか。
▼農業と二十四節気のことならこちらもご覧ください。
参考文献:白井 明大(著)有賀 一広(イラスト)(2012)『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし-』東邦出版