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いちじくの効能とは|女性の健康に役立つって本当?
いちじくは聖書にも登場し、古くから栄養豊富な果物として知られています。いちじくの栄養価と効能
いちじくには、水溶性の食物繊維「ペクチン」が豊富に含まれています。ペクチンには、整腸作用があり便通の改善にも役立といわれています。また、骨や血をつくるのに必要であり女性に不足しがちな「カルシウム」や「鉄分」、体内の余分な塩分を排出する働きが期待できる「カリウム」なども含まれています。このほか、いちじくに含まれる酵素の一種「フィシン」はタンパク質分解酵素であり、消化・吸収を助ける作用についても知られています。
女性の健康に役立つ「植物性エストロゲン」
いちじくには、ホルモンバランスを整える働きが期待できる「植物性エストロゲン」が含まれています。このことから「いちじくは女性の健康に役立つ」といわれることもありますが、その因果関係についてなど明確な研究結果などはなく、まだはっきりとしたことはわかっていません。民間療法では、イボ取りにも使われてきた?!
いちじくの茎を切ると、粘り気のある白い乳液が出ます。この液体には、たんぱく質を分解する酵素が多く含まれており、昔はイボ取りに使われてきました(※1)。民間療法では虫刺されや痔(じ)、イボの治療に使用することもあります。また、いちじくの葉は入浴剤にもよく使われています。先人たちは茎や葉も余すところなく使い、人々の健康を保ってきました。
※1 参考:イー薬草・ドット・コム「イチジク」|【監修】一般社団法人 和ハーブ協会
薬膳ではいちじくは「消化を促進して、腸の調子を整える」食材
薬膳ではいちじくは、「潤下類(じゅんげるい)」に属しています。大腸を潤すなどの整腸作用や、消化を促進する作用のほか喉を潤す作用なども期待できるといわれています(※2)。いちじくは生薬としても使われています。熟した果実を乾燥させたものは「無花果(むかか)」、葉を乾燥させたものは「無花果葉(むかかよう)」と呼ばれています。
※2 参考:いちじく|「薬膳素材辞典」(著者:辰巳洋、出版社:源草社)
いちじくは、色や乾燥によって効能が変わる?
いちじくと一口にいっても、白や黒のいちじくもあれば、乾燥させたドライいちじく(干しいちじく)もあります。では、いちじくの種類によって栄養は変化するのでしょうか。いちじくの種類|白いちじくとの違い
いちじくには大きく3種類あります。日本で最も多く流通しているのは「桝井ドーフィン」と呼ばれる品種で、皮が茶色です。ほかの2種類は、皮が白色または黒色です。白いちじくは酸味がほとんどなく、甘味が強くて上品な味わいです。黒いちじくはやや小さめで甘味が強く、日本での生産量はごくわずかです。一般的に色の濃い野菜や果物には、ポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールを摂取したい場合は、皮の色が濃い種類を選んだほうが良さそうです。
乾燥させてもOK?ドライいちじく(干しいちじく)の効能
ほどよい甘さとプチプチとした食感が楽しいドライいちじく(干しいちじく)は、数あるドライフルーツのなかでも人気があります。では、ドライいちじくには生のいちじくと同じ効能が期待できるのでしょうか。いちじくを乾燥させることにより水分が減るため、同じ重量で比較すると、生のいちじくよりもドライいちじくのほうがミネラルが多く含まれます。ただし、熱に弱いとされるビタミンCは乾燥により失われるため、ドライいちじくにはビタミンCは含まれていません(※3)。
栄養価の高いドライいちじくですが、食べ過ぎは禁物です。食べ過ぎてしまうと、糖質やカロリーの過剰摂取につながったり、食物繊維の取り過ぎによりお腹が緩くなったりする場合があります。
※3 出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020版(八訂)」
長期保存もOK!いちじくを使った保存食
いちじくは、収穫してから時間が経つと、味がどんどん落ちてしまいます。特に、完熟のいちじくは傷みやすいです。そこで、家庭菜園などでいちじくがたくさん収穫できた時には、保存食を作ってみましょう。保存食に加工することで、いちじくを長期間おいしく楽しむことができます。私の暮らす愛知県は、いちじくの生産量が全国トップクラスです。旬の時期になると毎年たくさんのいちじくが出回ります。我が家はいちじくが大好きなので、いろんな食べ方を試して楽しんでいます。
ここで紹介するのは、いちじくのジャム・甘露煮、いちじく酒、ドライいちじく(干しいちじく)の作り方です。
下処理の方法|いちじくの皮むきには「湯むき」が便利!
生のいちじくを食べるときには手で皮をむきますが、いちじくが大量にあるときや、いちじくが固いときなどは、手でむくのはなかなか大変な作業です。そこで覚えておくと便利なのが、「湯むき」という方法です。トマトを湯むきする場合と同じように、鍋に熱湯をわかし、そこにいちじくをさっと浸した後、氷水の入ったボウルに入れます。こうすると、いちじくの皮をツルンと簡単にむくことができます。
今回ご紹介するジャムや甘露煮などのいちじくを使った保存食は、皮付きのままでも作ることができます。好みに応じて使い分けてもいいかもしれません。
いちじくのジャム・甘露煮
甘露煮やジャムは、いちじくに砂糖を加えて、コトコト煮て作ります。できあがったら、清潔な保存瓶に入れて保管します。ジャムを作る場合の砂糖の量は、果物の重量の半分~同量が目安とされています。私は数日程度で食べ切る場合は砂糖の量は控えめにして作りますが、長期間保存したい場合には、砂糖の量を増やすことをおすすめします。いちじくはスパイスとの相性も良いので、お好みのスパイスと一緒に加熱するのもおすすめです。写真は、いちじくにクローブというスパイスを加えて作った甘露煮です。黒砂糖など濃い色の砂糖を使うと、仕上がったときの色味が悪くなる場合があるので気を付けてください。
いちじく酒
果実酒・薬用酒のなかでも人気の高い、いちじく酒。いちじくとホワイトリカーを清潔な保存瓶に入れて、2~3カ月漬けて作ります。材料を入れたら待つだけで作れるので、とても簡単です!分量の目安は、いちじく500gに対してホワイトリカー1Lです。お好みで氷砂糖を加えると、甘さが出て飲みやすくなります。できあがったいちじく酒は、ロックや水割りなどで飲むのはもちろん、お菓子の風味付けや肉料理のソースなどに使うのもよく合います。我が家では肉料理のソースを作る際に、いちじく酒に同量のしょうゆと酢(あれば黒酢)を加えて、ひと煮立ちさせたものを使っています。
ドライいちじく(干しいちじく)
ドライいちじく(干しいちじく)は市販品もありますが、家庭でも気軽に手作りできます。写真は、乾きやすいようにいちじくを縦にカットしてザルに並べた状態です。天日またはオーブンで乾燥させます。完全に乾燥させた「フルドライ」だけでなく、半分程度乾燥させた「セミドライ」のいちじくもおいしいです。そのときの天候やオーブンの性能、いちじくの種類によっても異なりますが、天日干しでセミドライを作る場合は2~3日間で完成します。セミドライは水分が残っている状態なので、冷蔵庫で保管して早めに食べ切るようにしましょう。
いちじくを使った、簡単養生ごはん
おやつやデザートとして食べることの多いいちじくですが、独特の風味をいかして料理に使う方法もあります。いつもの料理にいちじくを加えるだけで、目先の変わった料理に大変身します。ここでは、いちじくのサラダ、いちじくの白和え、いちじく入りカレーを紹介します。サラダや白和えに使う場合は、完熟のものだと形が崩れやすいため、やや硬めのものを選ぶようにするのがおすすめです。
いちじくのサラダ
食べやすい大きさに切ったいちじくをサラダに加えてみましょう。ベビーリーフやスプラウト、香味野菜、ナッツ類との相性も抜群です。おいしい自然塩やレモン、オリーブオイルなどでシンプルに食べるのがおすすめです。いちじくの白和え
いちじくのねっとりとした味は、白和えにもよく合います。いちじく自体の甘さがあるので、白和えの和え衣は甘さを控えめにして作るのがおすすめです。時間が経つと、いちじくの水分が出てしまうので、食べる直前に和えるようにしてください。いちじくの白和えは箸休めとしてはもちろん、酒の肴(さかな)にもぴったりです。いちじく入りカレー
カレーの具材を煮込む際にりんごのすりおろしを加えることがありますが、同じような感覚で、いちじくを粗く刻んだものを使ってみましょう。独特の甘さととろみが出て、奥深い味わいのカレーに仕上がります。スパイスの辛味を和らげてくれるので、辛いものが苦手な人や子どもにも食べやすい一品になります。分量の目安としては、カレー4皿分につきいちじく1/2~1個です。栄養豊富ないちじくをおいしく食べて、健やかに過ごそう
いちじくには整腸作用や消化促進作用ともに、女性の健康に役立つ作用も期待できることがわかりました。完熟のいちじくは傷みやすいですが、いちじくのジャム・甘露煮、いちじく酒、ドライいちじく(干しいちじく)などの保存食を作ることで、長期間おいしく食べることができます。また、サラダや白和えなどの料理に使うのもおすすめです。夏から秋にかけて旬を迎える、いちじく。疲れが出やすいこの時期にもぴったりの食材といえそうです。栄養豊富ないちじくをおいしく食べて、健やかに過ごしたいですね。