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竹林に入る父!めざましいシニアの活躍|ハッピーファミリーファーマー日記 No.26


東京から南阿蘇に移住してきた愛梨さんのお父さんは竹林整備、女子たちは未利用資源で制作活動を開始!熊本での家族経営農家 大津愛梨さんの日常を、生き生きした写真とともに知れる貴重な連載です。子育てや環境、教育などの新たな考え方が発見できるかも!?

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Avatar photo ライター
大津 愛梨

慶応大学環境情報学部卒業後、夫と共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里の南阿蘇で農業後継者として就農、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培している。女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長、里山エナジー(株)の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。農業、農村の価値や魅力について発信を続ける4児の母。…続きを読む

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竹を切る人

提供:O2Farm
熊本の米農家の母ちゃんが、日々の農作業や生活だけでなく、農業を通じてできる持続可能な環境作りや子育て、家族のことなどを週一で発信します。
これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」

喜寿を過ぎた父に火がついた!

女性二人とおじいちゃん
提供:O2Farm
私の父は東京生まれの東京育ち。高校のころから登山にはまり、大学では体育会系の山岳部に所属していました。いわゆる「猛烈サラリーマン」で、高度経済成長を牽引した働き者の世代です。
第一線を退いたころから健康維持のために、山登りや山仕事ボランティアを再開した父。学生だった私も、時には一緒に山登りに連れて行ってもらいました。父と行くと交通費や食費がかかりませんから(笑)。

竹林と父

そんな父が、「老後が心配なら南阿蘇に引っ越してきてよ」という娘の無茶振りに応えて、半世紀近くも住んだ都内のマンションを売って、南阿蘇に移住したのは3年ほど前のこと。もともと山好き・自然好きだったこともあり、割とすんなり田舎暮らしになじんでくれました。

でも日々、近所を散歩するだけではもったいない。「いつか竹林をきれいにしたい」と言い続けていた父のために、林野庁の補助金に申請し、必要な機材の購入補助、安全講習、ちょっとしたお駄賃などが受けられるようにしてあげると、父はそれはまあ張り切って、毎日のように竹を切る暮らしを始めました。
南阿蘇でのニックネームは「仙人」。猛烈サラリーマンだったころからは想像がつかない容姿は、竹林に入るとまさに仙人のよう!

成果が目に見える竹林整備

竹林で作業する人
提供:O2Farm
日本の里山の風景には欠かせない竹林。昔は、薪よりも火力が強い竹は焚き物として使われ、タケノコは食料として採る目的があったので、その度に人の手が入り、竹林は美しさが保たれていました。近年、利用する人がほとんどいなくなってからは、「サルも入れない」と表現されるほど荒れている竹林が増えています。

このままでは美しくないだけでなく、台風で倒れたり、イノシシなどの住処になってしまったりと実害も出てしまうことを父は知り、生きがいとして竹林の整備をしたい、と考えるようになりました。高齢者が山仕事をするのは危険を伴いますが、竹ならノコギリで切れるうえに中が空洞なので木より軽い!山仕事ボランティアを通じて、知識も経験もある父にとっては、最高のミッションです。

しかし、“言うは易く行うは難し”。荒れてしまっている竹林は、枯れている竹を取り除こうと思っても、葉っぱが絡んで容易に引き出せず、どこから手を付けていいのか途方に暮れてしまうことも。それでも地道に毎日数時間ずつ作業をしていると、テレビ番組の「大改造!!劇的ビフォーアフター」のように、みるみると竹林が美しくなっていくではありませんか!

親子で協働する

竹を切る女性
提供:O2Farm
農繁期はいっぱいいっぱいで、家の前にある菜園の手入れさえままなりませんが、秋も深まり、田んぼの仕事がおおかた片付いたところで、私も竹林の手入れに参戦することにしました。

青々している竹は乾燥させてから焚き物にしますが、枯れている竹はすぐに燃やせるので、さっそく我が家のボイラー用にします。ただ、中に空気が入っている竹をそのまま燃やすと、中の空気が膨張して破裂するので、鉈(なた)や専用の道具を使って割る作業が必要です。
まずは、父が切り出した竹を、運びやすい長さに切断。

立てかけてある竹
提供:O2Farm
あぁ、そういえば義理の祖父母がやってくれていたなあと思い出し、亡き義祖父母に改めて感謝。
マイペースで淡々と作業を進めていた父も、言葉にはしませんが、アシスタントが来てうれしそうです。こんな風に親子で仕事ができるなんて、幸せだなぁ。

女子たちは未利用資源でクリエイティブ・ワーク中

稲穂ピアス
提供:O2Farm

かわいいアクセサリーに

稲穂ピアスを持つ女性
提供:O2Farm
夏前には竹林から枯れた竹をせっせと集めて野外炊飯をしたり、今も時々竹林整備を手伝ってくれたりする女子大生は、彼女たちなりの創造力を発揮し、南阿蘇にある「未利用資源」を使った制作活動をしています。竹についてはまだ構想段階ですが、先にアイディアが出ていた「稲穂ピアス」は試作段階に。

稲穂ピアスは、コンバインで稲刈りの後、イノシシの被害や台風で倒れて田んぼにたくさん残っている稲や刈り残しの稲穂を拾い集め、かわいいアクセサリーに加工して販売しようという試みです。男所帯だった我が家にはなかった発想。いずれは商品にして、彼女たちのお小遣い稼ぎになればと期待しています。

野菜スイーツや料理開発も

トマトパンナコッタ
提供:O2Farm
熊本地震後に移住してきたパティシエの瞳ちゃんも、トマトパンナコッタなど、クリエイティブワーク中です。

ラーメンを作るマスクをした女性
提供:O2Farm
本職の野菜スイーツ開発はもちろんのこと、イノシシやシカの骨から出しを取った新作ラーメンも開発中。いやはや、女子たちは頼もしい!いろいろな年代がいろいろな形で、未利用資源を使ってハッピーになれたら最高です。

【毎月更新!】月間連載アーカイブ「農業なくして持続可能な社会なし」
【週間連載】家族経営農家の日常を配信「ハッピーファミリーファーマーズ日記」

大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」

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