これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
田んぼでミニライブ!
今まで何度か紹介してきた、南阿蘇の森のようちえん「おてんとさん」。じわじわと人数が増えて、今は12人の園児たちが山や田畑で日々を過ごしています。熊本市内からわざわざ通っている子もいて、子どもたちの中で「都市農村交流」もできています。この間、サプライズゲストが我が家にやって来たときの話。
同窓のずっとずっと下の後輩夫妻が、東京から自家用車で来てくれたのですが、県外の方は家に入れない水際対策をとっている我が家としては、まずは屋外で出迎えなければいけません。
「家事を終わらせるから、ちょっと外で待ってて」と玄関先で待っていてもらったら、なんと外からギターの音と歌声が聞こえてくるではないですか!それがまた上手!!
ちょうどその日は、森のようちえんの子どもたちが我が家周辺で活動している日だったので、「子どもたちの前で歌ってよ」と頼んでみたら、「もちろん♪」と快諾してくれました。
というわけで、急遽、稲刈りが終った田んぼをバックに野外ライブがスタート。子どもたちのリクエストに応えて、ドラえもんの主題歌やパプリカを歌ってくれて、一緒に踊ったり水路で遊び続けたり、子どもたちは好きな場所と自由なスタイルで聴いていました。天神さんも歌声と笑い声を聞いて、きっと喜んでくれただろうな~。
アケビに柿に栗と、里山も収穫シーズン
お米の収穫が終わった後も、牛用にワラを収穫したり、菜園に植えている夏野菜の最後の収穫をしたりと、秋も忙しい日々が続いているO2Farm。そんなことはお構いなしの子どもたちにとっては、山にアケビを採りに行ったり、ご近所さんの柿や栗を頂いたり、収穫のシーズン到来です。アケビは、“ほとんど種”といっていいほど種だらけで、食べるところなんてあんまりないし、それほど甘くもない(笑)。でも、砂糖などの甘味料がない時代には、立派なスイーツだったのでしょうね。
おやつはトマト
森のようちえんは託児時間が10〜15時と短いのですが、まだ遊び足りない元気いっぱいの子どもたちのためと、もっと長く預かって欲しい親のために、保護者が協力して延長見守りを始めてみました。まさにウィンウィン♪始めて数日しか経っていませんが、唯一の難点がお腹が空いちゃうこと。大人でもお腹が空いてくると、エネルギーがなくなってギスギスします。
初日は、私が持って行った差し入れミカンで何とかしのぎ、2日目はトマト農家さんでバイトしている保護者さんが大玉トマトを持ってきてくれて、1人1個ずついただきました。これで子どもたちは、エネルギーチャージ完了!平和に仲良く遊んでくれました。
静と動
森のようちえんでは、絵本の読み聞かせの時間が毎回あります。元気いっぱいに走り回っている子たちも、保育士さんたちが本を取り出すと、「座りなさい」「聞きなさい」など、一言も言わなくても自然に輪になって、まっすぐな視線を絵本に向けます。そして、じーっと集中してお話に耳を傾ける姿はまさに感動的!BGMは、鳥のさえずりと風の音。なんという贅沢!!私もこんな幼少時代を過ごしたかったな~、と見るたび思うのです。
1週間に1度ぐらいなら、お迎えがてら、ほかの子どもたちと遊ぶ我が子の姿を見るのも、苦になるどころか至福の時間。農作業を早めに切り上げなければなりませんが、その分、ほかの日は託児時間が延びるので、今のところ保護者同士の見守り保育はいいことづくめです。
娘を湯たんぽ代わりにしたくなる肌寒い季節になってきたので、焚火で焼き芋や焼き栗もしたいと思っています。注意は必要ですが、特別な申請なしで焚火ができるのは、田舎のいいところ。冬になったら、今度は火を囲む子どもたちの姿を投稿しますね。南阿蘇では大人も子どもも四季折々の楽しみがあるので、話題には事欠きません。秋もそろそろ終わりです。
【毎月更新!】月間連載アーカイブ「農業なくして持続可能な社会なし」
【週間連載】家族経営農家の日常を配信「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」