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兼業農家とは?収入や使える補助金、確定申告について確認しよう!


副業時代に気になる兼業農家。そもそも兼業農家とはどんな農家なのか、サラリーマンや公務員が兼業農家になるには?収入や注意すべき点、補助金や確定申告など気になる情報をまとめてお伝えします。

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神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報などを執筆しています。…続きを読む

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スイカ畑

出典:写真AC
最近、コロナ禍によって働き方に対する意識が変わってきています。また、企業が副業を認めるケースについて、話題になることも増えました。副業の選択肢のひとつとして、都心から離れた場所での農業を視野に入れる人も増えてくるかもしれません。

兼業農家とは

種まきをする手
出典:写真AC

兼業農家とは

兼業農家とは、家族の中に自営農業以外の仕事に従事した人が一人以上いる農家のことをいいます。簡単に言うと、農業以外の仕事からも収入を得ている農家です。

第1種兼業農家と第2種兼業農家

兼業農家には第1種兼業農家と第2種兼業農家があります。

第1種兼業農家…自営農業による所得がほかの仕事の収入より多い農家
第2種兼業農家…自営農業による所得がほかの仕事の収入より少ない農家

2015年の農林業センサスによると、販売農家における兼業農家の割合は、第1種兼業農家が12.4%、第2種兼業農家が54.3%になっており、全体の約67%が兼業農家ということになります。
専業農家第1種兼業農家

第2種兼業農家

農家数443,000戸165,000戸722,000戸
販売農家における割合

33.3%

12.4%

54.3%
出典:2015年農林業センサス(e-stat)専兼業別農家数(全国)

兼業農家の歴史|不安定な兼業から安定兼業へ

兼業農家が増加したのは、1950年代後半からの高度経済成長期以降でした。高度経済成長期の初めには、出稼ぎや日雇労働で収入を得る兼業農家が多かったのですが、次第に「サラリーマン農家」とも呼ばれる安定兼業となり、所得の多くを農業以外の収入による農家世帯が増加します。

近年では、稲作を主流とする産地を中心に、農業生産過程における一部または全部を共同して実施する集落営農組織が設立されました。農地利用の合理化や機械・施設の共同利用、共同作業などが兼業農家の規模の小ささや担い手不足を克服する手段となっています。また、兼業農家の多くで高齢化が進み、定年退職後などに結果的に専業化しているケースが増えました。

兼業農家の割合は減少傾向

1990年代以降、高齢の専業農家が増加する一方で、兼業農家数は減少しています。農林業センサスによると、販売農家全体に占める兼業農家の割合は1985年には約85%でしたが、2015年には約67%まで減少しています。また、40歳未満で農業に専業的に取り組む若手農業経営者が増加しています。

兼業農家の収入って?

スイカを収穫する手
出典:写真AC
兼業農家の農業収入は、どのくらいなのでしょうか。2018年の農業経営統計調査によると、主業経営体、準主業経営体、副業的経営体に分けて利益と経費を調査しており、その結果は以下のとおりとなっています。


種別農業粗利益農業経営費農業所得
主業経営体
農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家
2,028万円1,366万円662万円
準主業経営体
農外所得が主(農家所得の50%未満が農業所得)で、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家
544万円503万円41万円
副業的経営体
1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいない農家(主業農家及び準主業農家以外の農家)
247万円191万円56万円
出典:農業経営統計調査(e-stat)「農業の主副業別統計表」を加工して作成

サラリーマンや公務員が兼業農家になるには?

サラリーマン
出典:写真AC

農地と時間の確保が必要

会社員などほかの仕事をしている人が兼業農家になるには、農地と農作業をする時間をどのように確保するかが鍵となります。農地の売買や貸し借りについては、農業委員会の許可を受ける必要があります。許可を得るには、取得する農地をきちんと耕作していくことが求められます。

ほかの仕事と農作業を両立するには、体力が必要です。また、草取りや収穫などのタイミングを逃すと野菜の品質を影響が出ることもあるので、スケジュールをしっかりと管理することが大切になります。

また、勤務先の就業規則に反していないか確認し、必要に応じて上司や人事担当者に相談をしましょう。

公務員には制約が

公務員は国家公務員法または地方公務員法により、営利企業を営むことや、事業に従事することが禁止されています。これには農業法人なども含まれます。また、個人で行う農業については、「大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合」(人事院規則14-8)について、禁止されています。

「所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合」(国家公務員法第103条第2項)には認められますが、以下のすべての条件を満たさなければなりません。

(1)職員の官職と当該事業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2)職員以外の者を当該事業の業務の遂行のための責任者としていること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3)当該事業が相続、遺贈等により家業を継承したものであること。
(4)その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

つまり公務員が農地を相続して農業を営む場合などは、任命権者に届け出を行い、承認を得る必要があります。

兼業農家スタート時に補助金が受けられる

パソコンとスマホ
出典:写真AC
兼業農家を始めるときに、活用できる補助金をチェックしておきましょう。


認定新規就農者になることを目指す

新たに農業を始める人が作成する就農計画を市町村が認定し、認定された新規就農者に対して支援を行うのが、青年等就農計画制度。認定されると「認定新規就農者」となり、いろいろな補助金が受けやすくなります

まずは、都道府県(普及指導センター)や市町村などに相談し、要件などの確認をしましょう。対象に該当するようなら、市町村に就農計画の認定申請を行います。

農業次世代人材投資資金|経営が安定するまでの所得を確保

次世代を担う農業者となることを志向する49歳以下の人に、1年あたり最大150万円の支援資金を交付するのが農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)。準備型と経営開始型があります。準備型は都道府県等が認めた研修機関などで概ね1年以上かつ年間1,200時間以上研修を受けること、経営開始型は認定新規就農者であることなど、それぞれ条件があります。詳細については農林水産省ウェブサイトで確認しましょう。

青年等就農資金|無利子で融資を受けられる

日本政策金融公庫は、新たに農業経営を開始する人のために無利子の融資「青年等就農資金」を取り扱っています。対象は認定新規就農者で、3,700万円まで無利子で融資を受けられます。農業生産用の施設・機械のほか、農産物の処理加工施設や、販売施設、果樹・家畜などの購入費も対象となります。最寄りの日本政策金融公庫支店で相談できます。


自治体独自の支援制度

自治体でも独自の支援制度を整備しています。例えば、栃木県鹿沼市では「いちご新規就農支援」を行っており、いちごの新規就農を希望する人を対象に2年間の研修実施後、就農時には300万円を上限にハウスなどの設備の経費を支援するとともに、農地の取得・借入のあっせんもしてくれます。研修から定住のための支援や就農後のバックアップまでが一つのプログラムになっている心強い支援制度です。

農林水産省ウェブサイト「逆引き辞典」を活用

農業の支援制度は農林水産省ウェブサイト「逆引き辞典」を活用すると簡単に検索することができます。求めている支援のタブを選択し、対象・目的・品目・事業年度を選んで検索ボタンを押すだけで、該当する事業が一覧で表示されます。希望する都道府県を選択すれば、それぞれの地域で実施している事業まで一括して表示されるので、一度に必要な情報を集めることが可能です。

節税になる?兼業農家の確定申告

TAXと書かれた積木
出典:写真AC
農業で所得を得た場合には、確定申告が必要です。確定申告は1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた全ての所得を正しく計算し、原則として翌年の2月16日から3月15日までに税務署に申告します。申告するためには、収入金額や必要経費について帳簿に記録し、また、取引に伴って作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。

確定申告には白色申告と青色申告がありますが、手続きが簡単なのは白色申告。あまり収入がない場合は白色申告を選択してもよいでしょう。一方、青色申告は必要な手続きや帳簿が増えますが、最高で65万円の控除が受けられるなどのメリットがあります。

事業の規模に合わせて良い方を選択し、会計ソフトなども利用して正確な申告を行うようにしましょう。
確定申告については、こちらもチェック!


会計ソフトについては、こちらもチェック!

単なる副業ではない?時代と共に変化する兼業農家のスタイル

道でたたずむ男性の後ろ姿
出典:写真AC
高度経済成長とともに、さまざまなものを買い求める消費生活が浸透した過程で増加した兼業農家は、農業以外から現金収入を得る目的がありました。時代とともに、農業以外の仕事を主とする兼業農家が増加し、その世代が定年退職後、専業農家として活躍しています。また、現在は半農半Xというような、生活の一部に農を取り入れるライフスタイルとしての兼業農家も生まれてきています。
兼業農家のスタイルは時代と共に変化し、これからも多様化が進んでいくかもしれません。

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