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精米して販売するメリット
お米を精米して販売することで、品質と価格の両面において大きなメリットがあります。精米したてであることや、精米へのこだわりなどをアピールすることにより差別化が図れます。また精米というサービスを付加することで価値が上がり、価格も通常よりも高く設定できる可能性もあります。品質面のメリット|つき立ては新鮮でおいしさも◎
お米は精米をした瞬間から劣化が始まるため、精米してすぐが最も新鮮でおいしい状態といえます。自分で精米機を持っていれば、注文を受けてから精米できるため、どこより鮮度が良い状態で届けられます。また細かな設定ができる精米機であれば、取引先が求める精米度合いや品種や季節に合わせて適した設定を調整して出荷できます。コイン精米機を利用する方法もありますが、一般的な設定しかないため精米に対するこだわりは打ち出しにくいでしょう。精米機を導入すれば、お米をよりおいしくい状態で販売でき、品質面で大きなメリットが生まれる可能性があります。
価格・販路拡大のメリット|玄米よりも高価値!
精米という一手間をかけることで、玄米を販売するよりも高い価格で販売できます。仮に玄米60kgを15,000円で販売した場合、1kgあたりの収益は250円ですが、精米して5kg2,500円で販売した場合には1kgあたりの収益は500円になります。飲食店や消費者へ直接販売をする場合は、精米されたものである必要があるので、精米機の導入は販路拡大のきっかけにもつながります。精米歩合とは|分づき米の種類と栄養
分づき米は、栄養価が高い糠や胚芽の一部を残して精米したお米です。健康志向とともに消費者からの需要は年々増加しています。最も栄養価が高い玄米は調理に手間がかかるため、分づき米を選択される方も多くなっています。コイン精米機にも分づき米の機能が搭載されている機種がありますが、産地や品種、栽培方法により、同じ設定でも仕上がりには差が出ます。自社で精米機を導入すると、細かな設定や調整をし、お客様のニーズに合った分づき米を提供することができます。
分づき米の種類
分づき米は、大きく3分づき、5分づき、7分づきの3種類に区分されます。精米機の種類や性能によって仕上がりの状態はが異なるため、導入する場合はつき具合を確認してから決めてもよいでしょう。3分づき|玄米ほどではないがボソッとした食感
3割程度精米した状態で、かなり玄米に近い状態です。表皮が削られているため、玄米よりは食べやすくなりますが、ボソボソとした食感になります。炊飯時には3〜5時間の浸水が必要です。5分づき|玄米と白米のちょうど中間
5割程度精米した状態で、胚芽や玄米特有の香りも残っている状態です。炊飯時には1〜3時間の浸水が必要です。7分づき|初心者でも抵抗なく食べられる
7割程度精米した状態で、胚芽もやや削れています。見た目はやや黄色く見えますが、白米に近く非常に食べやすい状態です。分づき米初心者の方は「7分づき」からチャレンジするのがおすすめです。お子様も抵抗感が少なく、学校給食に取り入れている地域もあります。分づき米の栄養
分づき米は玄米に近いほど栄養が残っており、ビタミンやミネラルなどを豊富に含んでいます。エネルギー (kcal) | カルシウム (mg) | マグネシウム (mg) | リン (mg) | 鉄 (mg) | 亜鉛 (mg) | ビタミンB1 (mg) | |
玄米 | 165 | 7 | 49 | 130 | 0.6 | 0.8 | 0.16 |
5分づき | 167 | 4 | 22 | 53 | 0.2 | 0.7 | 0.08 |
7分づき | 168 | 4 | 13 | 44 | 0.2 | 0.7 | 0.06 |
白米 | 168 | 3 | 7 | 34 | 0.1 | 0.6 | 0.02 |
研がずに炊ける!無洗米の基準と無洗米機
「無洗米」は研がずに炊飯できるように精米されたお米です。無洗米は通常の精米とは異なる製造工程が必要となり、各メーカーからさまざまな無洗米機が販売されています。無洗米として流通させるには一定の基準があります。無洗米の基準
無洗米は、製品の品質についてガイドラインが示されています。最も重要なポイントは、白さや品質など一般精米同等の品質を確保するとともに「水洗いを必要としない程度に精製されている」ことです。その判断には、水がどれだけ濁るかを測定する「濁度測定法」が用いられ、定められた基準をクリアする必要があります。
参考:一般社団法人日本精米工業会「米穀の品質表示ガイドライン」
無洗米の製造方法は2つ!
無洗米の製造方式は大きく分けて「加水精米方式」と「韓式研米方式」の2つがあります。各製品によって製法や仕上がりに違いがあります。メーカーによっては精米機と一体型になっているものや外付けのものがあるので特徴を比較してみましょう。加水精米方式
加水精米方式は瞬間的にお米を洗い、すぐに脱水・乾燥する方式です。製造方法は、まず水圧と遠心力で洗米し、脱水した後にドラム内で攪拌しながら温風により乾燥します。代表的な機種としては株式会社サタケ<SJR025A>や株式会社クリキ<SY-250>などがあります。乾式研米方式
乾式研米方式は特殊な素材を含ませたブラシで米粒の表面を研磨する方式です。ブラシ以外にも金網やウレタンなどにより研磨と摩擦により精製する装置もあります。代表的な機種としては株式会社山本製作所<DP-370>や株式会社タイワ精機<KMS-37>などがあります。このほかにも糠やタピオカ澱粉を活用して米表面をきれいにする特殊な加工方式で精製する方式があります。
精米方法は大きく分けて2つ!
精米機は、米粒の糠と胚芽を取り除く機械です。精米機の歴史は古く、日本で最初の動力式精米機は、株式会社サタケの創業者である佐竹利市氏によって1896年に発明されました。当時は臼と杵を使用した機械でしたが、年々改良が進み精米方法も進化してきました。現代の精米方式は大きく2つに区分できます。それぞれのメリットとデメリットも合わせて紹介します。摩擦精米
摩擦精米は、お米に圧力を加え、そのときに発生する摩擦によって精米する方式です。多角形の筒状の「金網」の内側に、回転する筒状の「ロール」があり、送り込まれたお米が回転しながら進むことで、米粒同士に摩擦がおき、糠や胚芽が取り除かれる仕組みになっています。摩擦精米のメリット
・米粒全体に摩擦が均一に働くため、ムラが少ない・精米表面が滑らかで光沢がある
摩擦精米のデメリット
・未熟粒などの品質の低いお米は割れて砕米となる・摩擦により精米温度が上昇して品質が落ちる
研削精米
研削精米は、金剛砂などの非常に硬い鉱物が含まれたロールを回転させて糠を削り取る方法です。一般的な食事用の精米よりも削る割合が多い酒米などにも使われています。丸型の金網の中央に研削ロールが配置され、高速に回転する研削ロールにお米がぶつかった時の衝撃力と研削作用によって表面が削り取られます。研削精米のメリット
・深く削れるため、酒米の精米に適している・砕米になりやすい長粒種の精米に適している
研削精米のデメリット
・精白米表面に細かい傷が残り、食味が劣る傾向がある・くぼんだ部分の糠や胚芽が残りやすい
精米回数と組み合わせ
精米方式には1台の精米機を1回通過させることで精米する「単座式」、複数回通過させる「循環式」、複数台の精米機を連続的に通過させる「連座式」という3種類の方法があります。
大型の精米施設では「連座式」を取り入れている場合があり、研削精米と摩擦精米の特徴を活かし、2種類を組み合わせて精米をすることもあります。
業務用精米機メーカーおすすめ5選!
精米機は業務用の大型機から家庭用の小型機までたくさんの種類があります。メーカーごとに特徴があり、食感や粒の舌触りが大きく異なります。処理能力や求める仕上がりの状態を検討しながら選んでみてください。株式会社サタケ|日本初の精米機を考案した老舗メーカー
日本で最初に動力式精米機を考案した会社で、120年以上の歴史があります。精米工場用の大型機をメインに取り扱っているイメージが強いですが、ラインナップは幅広く、個人農家でも扱える規模の精米機もあります。
公式サイト:https://satake-japan.co.jp/
東洋ライス株式会社|独自の技術による革新的な精米機
精米工場向けの製品が多いのが特徴。セラミック精米機やBG無洗米装置など、独自の技術で生み出された特徴のある精米機は、シンプルな構造で抜群のコストパフォーマンスを実現しています。公式サイト:https://www.toyo-rice.jp/
株式会社クボタ|農業界をリードする農機メーカー
トラクターなどの農業機械を中心に扱うメーカーで、精米機は比較的小規模向けの製品が販売されています。白さの度合いを示す「白度」の設定が16段階に分けて設定することができる機種<VM-30C>は、分づき米など、品種やお客様の好みに合わせて細かく調整が可能です。公式サイト:https://www.kubota.co.jp/
株式会社タイワ精機|豊富なラインアップの専門メーカー
「低温精米」と「使いやすさ」を開発のテーマにおいている株式会社タイワ精機。家庭用から業務用まで幅広い精米機が販売されています。静音精米ができる<MPCA-50>は、お米屋さんや農産物直売所で利用しているところもあります。公式サイト:https://www.taiwa-seiki.co.jp/
株式会社丸七製作所|職人の知恵が詰まった老舗メーカー
株式会社丸七製作所は昭和6年創業の老舗メーカーで、熟練した職人の手によって1台1台丁寧に機械を製造しています。特許を持つ外気吸引式の精米機は、現在ほかのメーカーでもスタンダードになっています。公式サイト:https://www.maru-7.co.jp/index.html