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美しい山々があり、空気がきれいで美しい星が見られること、登山やウインタースポーツなどのアクティビティがしやすいこと、身近にある温泉、豊かな農産物とおいしい食事やお酒など、その魅力をあげればきりがないくらいですね。実際に移住する人も増加傾向にあり、2017年度には1,908人、2018年度には2,315人が長野県に移住しました。
移住をするなら、まずは情報収集から。ここでは、移住に役立つ長野県の基本情報と、銀座NAGANO移住・交流センターで聞いた移住の最新情報をお伝えします!
移住支援員がアドバイス!情報収集時はここをチェック
自らも移住経験者である岡山県真庭市の移住支援員、藤本一志さんが移住先を探すときの「情報収集」方法を解説します。長野県の特徴と魅力|美しい山々に囲まれた広い県
長野県のすがた
長野県は、日本の屋根と呼ばれ、周囲を標高3,000m級の高山に囲まれています。日本百名山の数が全国1位、3,000m峰の数が全国1位と山の高さと多さで他県にはない魅力があります。また、県全体の標高も高く、長野市362m、松本市592m、上田市456m、飯田市499m、諏訪市761m、伊那市632m、大町市726m(平成30年版ながの県勢要覧による)となっています。長野県の気候
長野県は海岸から離れた内陸に位置しているため、全県的に内陸特有の気候で、1日のうちの気温差が大きいことが特徴。1年を通してみても、最も高い月の平均気温と、最も低い月の平均気温との差が大きいです。また、湿度が低く、降水量も少なめ。雪の深さは地域によって異なります。北部は季節風の影響で雪が多く、中部や南部の平地は季節風が山脈を越えてくるので、空気が乾燥して晴れの日が続きます。標高の高い地域では、気温、気圧、湿度が低く、太陽の日射エネルギーと風が強いです。
豊かな自然と雄大な景色、豊富なアクティビティも
長野県といえば、有名な観光地もたくさん。山と水の美しさが魅力の上高地、美術館巡りも楽しい田園リゾートの安曇野、日本有数の避暑地である軽井沢など、豊かな自然の美しい景色を楽しむことができます。スキーやスノーボード、登山、カヌー、サイクリングなど、アクティビティもたくさんあります。移住することで、自然の中で遊ぶことが身近になるかもしれません。首都圏からのアクセスの良さ
新幹線、高速道路などの交通網が発達しているため、三大都市圏にアクセスしやすいことも長野県の魅力です。長野駅から東京駅までは新幹線で約1時間30分。東京まで通勤することも不可能ではありません。最初の移住先には、交通の利便性の高い地域を選ぶのも一つの方法です。アクセスの目安 | ||
東京へ | 長野から | 新幹線で約1時間30分 |
松本から | 特急で約3時間 | |
名古屋へ | 長野から | 特急で約3時間 |
松本から | 特急で約2時間 | |
大阪へ | 長野から | 特急と新幹線で約4時間 |
松本から | 特急と新幹線で3時間 |
どの地域に移住する?
長野県は広いので、場所によって気候や暮らしぶりも特徴が異なります。10のエリアはそれぞれ通勤や買い物などの中核となる市があります。特に都会から移住する場合には、移住する地域の利便性や冬の気温、降雪量などをよく調べておく必要があります。地域 | 市町村 | 特徴 |
北信エリア | 中野市、飯山市、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、栄村 | 県の最北部に位置する豪雪地帯。志賀高原、野沢温泉、斑尾高原など、ウィンタースポーツが楽しめるエリア。 温泉も豊富。ブドウやリンゴ、キノコなどの農業が盛ん。 |
長野エリア | 長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、飯綱町、小川村 | 善光寺平を中心に、上信越国立公園など美しい山並みに囲まれている。 長野市は人口38万余の都市。都会的な良さと、地方の良さの両方を併せ持つ。 |
上田エリア | 上田市、東御市、長和町、青木村 | 千曲川中流部に位置し、地形、気候ともに穏やか。 高原野菜などの生鮮農産物のほか、ワイン用ブドウの栽培が年々増加し、ワイナリーの集積も進む。 |
佐久エリア | 小諸市、佐久市、小海町、佐久穂町、軽井沢町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村、御代田町、立科町 | 県の東の玄関口で、軽井沢などの観光資源を有する。 キャベツ、レタスなどの高原野菜が特に有名。 |
諏訪エリア | 岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町、富士見町、原村 | 諏訪湖を中心に、八ヶ岳、蓼科高原、霧ケ峰高原などがあるエリア。 東京圏から近く、美術館や博物館も多く観光地として名高い。精密機械工業などが発展。 |
北アルプスエリア | 大町市、池田町、松川村、白馬村、小谷村 | 県の北西部、北アルプスのふもとに位置し、北部は全国有数の豪雪地帯。白馬、八方尾根をはじめ数多くのスキー場がある。 農産物の加工販売が盛ん。 |
松本エリア | 松本市、塩尻市、安曇野市、麻績村、生坂村、山形村、朝日村、筑北村 | 松本市を中心に、美ヶ原高原、上高地、乗鞍高原、安曇野など観光地としての魅力が高いエリア。 リンゴ、ブドウ、スイカなどの果樹や、ワサビ、ニジマスなどが名産。 |
木曽エリア | 上松町、南木曽町、木曽町、木祖村、王滝村、大桑村 | ヒノキをはじめとした美しい森林に覆われた地域で林業が盛ん。 木曽漆器など数々の伝統的な木工芸も。 |
上伊那エリア | 伊那市、駒ヶ根市、辰野町、箕輪町、飯島町、南箕輪村、中川村、宮田村 | 天竜川流域の河岸段丘に存在する自然豊かなエリア。稲作、畜産、果樹、花きなどの農業が盛ん。電気機械、精密機械などの先端技術産業、研究開発型企業も存在する。 |
南信州エリア | 飯田市、松川町、高森町、阿南町、阿智村、平谷村、根羽村、下條村、売木村、天龍村、泰阜村、喬木村、豊丘村、大鹿村 | 穏やかな気候と南アルプスを臨む雄大な自然に恵まれた地域。温泉や渓谷などの自然資源も豊富。 ナシ、カキ、茶、和牛などの農産物が生産されている。 |
「銀座NAGANO 長野県移住・交流センター」で聞いてきました!
長野県では、三大都市圏に移住の相談窓口を設置しています。今回は、「銀座NAGANO 長野県移住・交流センター」に伺って、移住の最新情報や移住についてのアドバイスを聞いてきました。教えてくれたのは
お話を伺ったのは、「長野県移住・交流センター」で移住交流を担当している高野さん。長野県は今、台風第19号の被害からの復興について、「ONE NAGANO」という合言葉で取り組んでいるそうです(2020年2月現在)。移住者に人気の地域は?
首都圏からは東信エリア、中京圏からは中信エリア
高野さん「首都圏から来られる方が一番初めに着目するのは、佐久市を中心とした東信エリアです。長野県の魅力には、自然が豊かであることのほかに、三大都市圏からのアクセスの良さがあり、東信は県の東の玄関口として首都圏からの行き来のしやすさに優れています。もう一つは、中央自動車道、中央本線が入ってくる松本、安曇野のエリア。中京圏からの行き来がしやすいことと、その先に白馬もあり、スキーや観光に来たときに気に入った経験があって移住を検討されるケースがあります」最近の移住の傾向は?
女性一人での移住
高野さん「トレンドとしては、独身女性の「おひとりさま移住」がありますね。女性が知らない土地で一人で住むには、防犯とか、地域に溶け込めるのかなどの不安があると思うのですが、その不安を解消するのは地域側の受け皿です。長野県では、地域おこし協力隊が移住の不安の解消をミッションとして活動している市町村もあります。また、長野県では各市町村が移住について熱心に取り組んでおり、窓口を設置し、仕事、住まいなど多岐にわたる相談をワンストップで対応するようにしています。このような取り組みが、女性が一人で移住する際の安心感につながっているのではないかと考えています」
人が人を呼ぶ
高野さん「実際に、山好きな女性が登山口に近いところに移住したいと、地域おこし協力隊として筑北村に着任して移住したケースがあります。県が移住についての女子会を開催したときに、その女性が担当として出席し、経験談を話したのですが、その半年後、女子会の出席者が2人も筑北村に移住していたのです。女性が移住するにあたっての安心感があったのではないかと思っています」シングルマザーの就職支援も!
高野さん「須坂市では、移住者がスムーズに職につけるように、移住担当課が市内の企業に声かけをしてまわって、協力企業として登録をしてもらっています。例えばシングルマザーの方であっても積極的に雇用してもらえるような企業の掘り起こしをしています」【移住支援信州須坂モデル】移住者受入協力求人企業を紹介します
移住すると生活費はどうなる?
ライフスタイルが変わって支出が減る
高野さん「都市部から長野県に移住すると、一般的には収入も減るけれど、支出も減るというのが実態だと思います。よく言われることに、近所からの野菜のおすそ分けや家庭菜園で自家消費分をつくることなどがありますが、一番大きいのはライフスタイルの変化です。都市部だと何をするのにもお金がかかりますが、移住後は自然を利用してレジャーを楽しむことができます。また、日常生活でも飲み会が減ったりします。お酒が好きな移住者に話を聞くと、飲み会が減っても不満を感じないそうです。環境の変化が価値観に変化をもたらし、生活が変わって支出が減るのです」暖房費と自動車関係費はアップ
高野さん「一方でかかってしまうお金もあります。大きくは暖房費と自動車関係費。これらは都市部にいるときよりも増えます。お金に関することは非常に大事なので、移住セミナーでも受講者の関心が高いです」移住に関する助成はありますか?
UIJターン就業・総合移住支援事業
高野さん「UIJターン就業・創業移住支援事業があります。これは、県内企業等の担い手不足の解消や地域課題の解決、県内への移住の促進を図るため、県外から移住し、県内で就業や創業をしようとする方に対し、移住支援金を支給する制度です」UIJターン就業・創業移住支援事業のご案内
市町村独自の支援も
高野さん「市町村でも、独自に支援を行っているところがあります。ユニークなものだと下條村が移住奨励支度金として20万円を支給する事業を行っています。ほかにも、伊那市、売木村、天龍村、木曽町などでも独自の取り組みを行っています。ただ、移住にあたっては、目的を明確にしたうえで地域選びをするようにアドバイスをしています。助成については、地域の中でどちらにしようかと思った時の決め手にするとか、選んだ地域に助成があったらうれしいね、というぐらいの気持ちの方がいいですね」移住の成功例、失敗例など教えてください
成功するかどうかは目的の明確さ
高野さん「成功例としては、例えば、都内で一般企業に勤めていた人が、どうしても農業がやりたくて、長野で農業を始めたケースですね。都内にいたときより、収入が下がったけれども、自分でやりたいことをやっていて食べていけていて、自分は幸せだと実感しているというのです。このように何のために移住するのか、目的が明確だと移住が成功しやすいと思います。うまくいかない例としては、「東京じゃないどこかに行きたい」とか「仕事はなんでもいいから行きたい」という目的意識が弱い人が勢いで移住してしまうケース。想定していなかったことが起きたり、生活が成り立たなくなったり、地域に溶け込めないということがあります」
事前準備をしっかりと
高野さん「子育てのために長野県に移住したいという人もいます。長野県には『信州やまほいく』という認定制度があります。これは、野外活動に力を入れている保育園、幼稚園等を県が認定する仕組みなのですが、このように豊かな自然の中で子育てをしたいというニーズもあります。ただ、移住にあたっては、子育てのことだけではなく、仕事もしっかり選んで、住居や地域もこだわって調べてから移住してほしいと思います。結果的にそれが移住の成功につながります」信州やまほいくの郷
はじめの一歩!移住の相談窓口に行ってみよう!
今回伺った銀座NAGANO 長野県移住・交流センターでは、移住に関する情報を集めたり、相談したりすることができます。移住に関するイベントの情報もあるので、足を運んでみてはいかがですか?東京|銀座NAGANO 長野県移住・交流センター
〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 4F
電話番号:03-6274-6016
メールアドレス:[email protected]
受付時間:10:00~18:00(月曜日~日曜日)
ほかの3つの相談窓口はこちら!各相談窓口で個別相談ができるほか、相談会が実施されることもあります。
東京|ふるさと回帰支援センター 信州暮らしサポートデスク
〒100-0006
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8F NPO法人ふるさと回帰支援センター内
電話番号:080-7735-3992/090-1657-7401
メールアドレス:[email protected]
受付時間:10:00~18:00(火曜日~日曜日)
名古屋|名古屋移住・交流サポートデスク
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄4丁目16番36号久屋中日ビル4階 長野県名古屋観光情報センター内
電話番号:052-251-1441
メールアドレス:[email protected]
受付時間:9:30~17:00(月曜日~金曜日)
大阪|大阪移住・交流サポートデスク
〒530-0001
大阪府大阪市北区梅田1-3-1-800 大阪駅前第1ビル8F 長野県大阪観光情報センター内
電話番号:06-6341-7006
メールアドレス:[email protected]
受付時間:9:30~17:00(月曜日~金曜日)
長野県への移住までの流れ
Step.1 移住の目的を明確にしよう!
高野さんの言葉にもあったように、何のために長野県に移住するのかを考えましょう。移住したあとにやりたいこと、実現したいことを明確にすれば、仕事や住まいを探すときに的確な判断ができます。先に移住した人の体験談を読むと、実現したい夢がより明確になるかもしれません。
長野県魅力発信ブログ
長野県や長野県で暮らしている人達の魅力がつまったウェブサイト。単なる県の紹介サイトと違うのは、長野県で活躍している人の記事があること。仕事を頑張っている人の体験談を読むことで、長野県で働くことがイメージできるかもしれません。またイベントやグルメなどの情報もあるので、移住後も役立つこと間違いなし。長野県魅力発信ブログ
田舎の暮らし方
まさに移住者のブログ。田舎で暮らす人の仕事や生活スタイルが現実的に伝わる情報が掲載されています。田舎の暮らし方(長野県のまとめ)
Step.2 情報収集、移住相談をしてみよう!
長野県は面積が全国第4位と広く、市町村は77もあり、地域によって暮らしも異なってきます。そこで、大切なのは事前の情報収集。まずは、インターネットで情報を集めて、より詳しく知りたいところを相談窓口で聞いてみるとよいでしょう。楽園信州|長野県移住ポータルサイト
長野県と県内の市町村が連携して運営する移住のポータルサイト。移住に必要な仕事や住まい、支援制度の情報が網羅的に掲載されています。また、移住者体験談もたくさん掲載されています。楽園信州
Step.3 まずは体験から!現地訪問、移住体験
自分の希望に沿う場所が見つかったら、実際に現地を訪問してみましょう。可能であれば、短期間の滞在の経験をしておくといいですね。自治体では、現地見学のためのツアーや移住体験プログラム、お試し住宅などを用意しています。そのような情報もチェックして、利用できるものがあれば使ってみましょう。楽園信州「イベント」
Step.4 仕事を探そう!
移住した後の仕事を探しましょう。新規就農や企業への就職、地域おこし協力隊への応募など、選択肢はいろいろあります。農業
長野県は全国有数の農業県で、支援体制も充実しています。企業への転職
長野県には、自動車関連機器企業や、電子、情報機器企業が多数あります。銀座NAGANOなどでも転職支援のセミナーなどが行われています。Iターン信州
E-CURE
地域おこし協力隊
地域おこし協力隊は、自治体から委嘱され、地域に住みながら地域おこし活動の支援や農林業の応援などの「地域協力活動」に従事するもの。長野県内でも協力隊員の募集が行われています。地域おこし協力隊(長野県ウェブサイト)
起業
長野県では創業支援も積極的に行っています。自分で仕事を作って独立したいという方はこちらをチェック。長野県で創業する方を応援します!(長野県ウェブサイト)
Step.5 住まいを探そう!
都会に比べ、手の届きやすい価格で広い住宅に住めるでしょう。ウェブサイトではいつでも不動産情報を入手することができますが、注意すべき点も。例えば、空き家は価格が安いことが多いですが、手入れのために出費を要する場合があったり、トイレが水洗でない物件があったりします。地域の人から、ウェブサイトに掲載されていない情報を直接得るのも一つの方法です。また、一人暮らし用の物件が見つけやすいのは、学生が多い長野市、上田市、松本市などです。
楽園信州空き家バンク
移住者向けの空き家のポータルサイト。「家庭菜園・畑付き」「温泉付き・温泉地」などユニークな条件で絞り込めます。楽園信州空き家バンク
住ーむず
賃貸住宅だけでなく、店舗やオフィス、土地や売物件も探せる住まい探しのポータルサイト。住ーむず
公営住宅
県営情報に関する情報は長野県のウェブサイトから確認できます。入居資格を満たす必要があるので注意しましょう。下條村の村営住宅は駐車場付き2LDKのマンション。条件を満たせば月額家賃3万4千円で入居できます。
県営住宅情報
しもじょう暮らし
失敗を防ぐために情報収集を
銀座NAGANOの高野さんのお話を聞いて、移住の成功には明確な目的があることが大切だとわかりました。何のために移住するのか、どのようなライフスタイルを目指すのか、自分でよく考えてみる必要がありますね。そのうえで、事前によく調べ、情報を収集しましょう。長野県では市町村も含めて、移住の受け皿としての取り組みがしっかりと進められています。相談窓口に足を運べば、具体的な情報を集めることができることもわかりました。十分に準備してから長野県に移り住めば、自然豊かな環境のもとで、より光り輝く毎日を手にいれることができるかもしれません。