目次
長野県の農業を知りたい!
長野県ではどのような農業が盛んなのか、生産物とその背景を見ていきましょう。長野県の主要生産物
長野県では、各地域の気候の特徴をいかして、いろいろな農作物が生産されています。中でも、野菜・果物・花きの生産が盛んです。長野県の園芸作物には、全国シェア第1位の品目がたくさんあります。【主な全国1位品目】
果樹 | 野菜 | 花き | きのこ |
ネクタリン くるみ プルーン | レタス セルリー 漬け菜 ズッキーニ | アルストロメリア カーネーション トルコギキョウ シクラメン | えのきたけ ぶなしめじ エリンギ |
長野県のオリジナル品種
長野県には、県農業関係試験場にて開発したオリジナルの品種がたくさんあります。スーパーで見かけることがある主要品種からチェックしていきましょう。シナノスイート(リンゴ)
県内の栽培面積は「ふじ」「つがる」に次いで第3位。酸味が少なく、甘みの強い品種。ナガノパープル(ブドウ)
大きな粒で甘みが強く、皮ごと食べられるブドウです。オリジナル品種はまだまだあります!
ほかにも、ずっとデルチェ(アスパラガス)やシナノアーリー(えのきだけ)など、オリジナル品種はたくさんあります。長野県農業関係試験場のホームページでは、オリジナル品種やその開発ストーリーを読むことができます。「オリジナル開発品種」(長野県農業関係試験場)
立地条件から見る長野県
長野県の地形や気候は?
長野県の面積は全国第4位で13,562平方キロメートル。南北に長く、地域により気象条件が異なっています。広い県なので、いろいろな情報に地域名が出てきますが、主に使われているのは、北信、東信、中信、南信という4つの区分です。地域 | 特色 |
北信 | ・長野市を中心とした県北部の地域。最北部は全国有数の豪雪地帯 ・ブドウ、リンゴなどの果樹やキノコなどの生産性の高い農業が盛ん |
東信 | ・上田市、佐久市を中心とした県東部の地域。軽井沢町も東信に含まれる ・キャベツ、レタスなどの高原野菜が特に有名 ・年間を通じて比較的降水量が少なく、日照時間も長い上田市では、ワイン用ブドウの栽培が増加傾向 |
中信 | ・松本市を中心とした県西部の北アルプスに接する地域 ・リンゴ、ブドウ、スイカなどの果樹や、ハーブなどの新たな特産品作りも |
南信 | ・諏訪市、伊那市、飯田市など県南部の地域 ・天竜川河岸段丘の広大な農地を活用した、稲作、畜産、果樹、花きなどの農業生産が盛ん |
天気予報では地域を3区分にすることも
長野県の天気予報では、北部、中部、南部の3区分に分けられていることが多いです。北部は長野市、中部は松本市、南部は飯田市が目安になります。地域による気温や降水量の差も大きいです。農地の約8割が標高500m以上に存在
長野県では耕地の標高差が260~1,490mと大きく、農地の約8割が標高500m以上に立地しています。そのため、夏でも比較的涼しい気候を生かして、レタスなどの高原野菜が栽培されています。三大都市圏にアクセスしやすい
高速道路、新幹線などの交通網が発達しているため、三大都市圏にアクセスしやすいことも長野県の魅力。佐久市から東京までは、高速道路を利用して自動車で約2時間20分、飯田市から名古屋までは、1時間40分です。農産物の都市圏への出荷が比較的スムーズです。長野県の農家の年収って?
総農家数の半数は自給的農家など、販売を行っていない農家になっています。高齢化が進んでいることもあり、販売を行っていない農家と販売金額50万円未満の農家が増加しています。一方、販売金額が500万円以上の農家は総農家数の6.8%で、中には、年商2,000万円以上の農家も存在します。6次産業化や農家レストランが伸びている!
長野県では、農業関連産出額が増加傾向にあり、2017年は前年に比べ26億円増(対前年比112%)となりました。なかでも、農産加工品についてはこの10年で約2倍、観光農業については約1.5倍となっています。6次産業化に取り組む事業者の事業実績が伸びていることや、農家レストランなどの利用者が増えていることによるものです。6次産業化
長野県では、地域での雇用創出と所得向上などにより、地域の活性化を図ることを目的として、信州6次産業化推進協議会を設置し、県内の農林水産業者の6次産業化を支援しています。信州6次産業化推進協議会のウェブサイトでは、ジャムやジュース、ワインのほか、いろいろな6次産業化の成功事例を見ることができます。
6次産業化について(信州6次産業化推進協議会)
農家民宿・農家レストラン
生産者の顔が見え、旬の新鮮な食材を使って料理を提供する農家民宿や、農家レストランの人気が高まってきています。2017年度の6次産業化総合調査によると、長野県の農家民宿の販売総額は約12億5千万円と全国1位であり、2位の兵庫県の4千万円を大きく引き離しています。また、農家レストランの販売総額は約20億2千万円で全国第3位となっています。長野県で新規就農するには
まずは相談してみよう
イメージが固まっていないなら、長野県農業大学校研修部へ
まだ具体的な就農イメージが固まっていない場合、あるいは就農に興味があるという段階の場合には、長野県農業大学校研修部に相談してみましょう。就農コーディネーターが相談にのってくれます。長野県農業大学校研修部
具体的な就農地が決まっているなら、各農業改良普及センターへ
具体的な就農地が定まっているのであれば、各農業改良普及センターへ相談。農業改良普及センターは県の組織で、地域の農業に精通しているほか、新規就農者の支援をしてくれます。長野県ウェブサイト
就農支援情報、農地・住宅の確保を考えているなら、市町村やJAへ、長野市内なら長野市農業公社も
就農にあたり、農地・住宅・資金など、幅広い就農支援情報を集めたいですね。市町村やJAにも相談窓口があります。長野市には長野市農業公社があり、担い手の育成や法人化への支援を行っています。農業に関する幅広い相談を希望するなら、長野県農業担い手育成基金へ
長野県担い手育成基金(長野県新規就農相談センター事務局)は、農業の担い手の育成や就労支援を行っています。具体的な求人や相談会の情報が掲載されているので、まずはウェブサイトを見て、必要な情報を入手してみましょう。長野県担い手育成基金
情報収集に「デジタル農活信州」が使える
相談をしようと思ったときに、便利なのが「デジタル農活信州」というウェブサイト。就農情報を検索できる機能があり、エリアごとの支援情報を知ることができるほか、相談窓口の部署名や地域の就農コーディネーターの顔写真が掲載されていることもあります。
「デジタル農活信州」
研修を受けよう
新規就農里親制度
長野県には、新規就農里親制度があります。この制度は、新規参入者の就農を支援する「里親」と呼ばれる農業者のもとで行う、2年程度の実践的な研修です。特徴的なのは、里親農業者が研修の実施だけではなく、農地や住宅の確保の支援まで行うことです。農地や住宅については、新規参入者の人柄や能力が理解されないとなかなか提供されません。そのため、現地の農家や地権者への橋渡しを里親農業者が担うことは、新規参入者にとって大きな支援となります。新規就農里親制度
インターン研修
JA技術員等の指導を受けながら希望する作物の栽培技術、経営管理技術を習得します。研修中、JAの臨時職員として給与が支給される場合があります。市町村、公社、JAの長期研修制度
農業大学校 実践経営者コース
経営力と技術力を備えた農業経営者を養成する2年間のコースで、卒業後すぐに自立できる人材を目指します。定員10名の少人数制で各分野の第一人者による実践的な授業が行われるほか、先進的な農家での実習があります。就農後に助け合えるような仲間ができることも魅力の一つです。通学が困難な学生のために学生寮もあります。長野県農業大学校実践経営者コース
ほかにも就農体験や農業機械の研修なども
農業大学校では、1泊2日の就農体験研修や農業機械利用技能研修など、さまざまな研修や講座を行っているのでチェックしてみましょう。長野県農業大学校研修部
必要な支援を受けよう
新規就農にあたっては、資金を貯めることも大切な準備の一つ。受けられる支援をチェックしてみましょう。長野県担い手育成基金には、「就農相談会参加費助成」や「先進的経営体等における研修費助成」など、いろいろな助成金のメニューがあります。また、国が就農前の研修を後押しする資金を交付してくれる「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)準備型」などもあります。補助金情報の詳細はこちらの記事をチェック!
より高いステージへ|信州農業MBA研修
長野県では、意欲のある農業者により高いレベルの支援を用意してます。それが「信州農業MBA研修」。自社の経営改革に向け意欲的な農業者を対象に、必要な経営ノウハウや課題解決能力を身につけられる体系的な研修会です。経験豊かな講師を招いての講義やグループワークを実施するほか、「経営管理」「マーケティング」「労務管理」「財務管理」等実務的な技術や知識の習得、視察研修の実施など、充実した内容となっており、参加者からは「仲間と出会えた」「目標がはっきりとした」「法人化に成功した」などの声が寄せられています。
農業法人への就職や農業アルバイトも一つの方法
長野県で農業を始めたいけれど、いきなり就農はハードルが高いという場合には、農業のアルバイトをしたり、農業法人に就職するという方法もあります。長野県農業担い手育成基金のウェブサイトには求人情報が掲載されているので、チェックしてみましょう。農業法人・農家の一般求人一覧(長野県農業担い手育成基金)
また、農業専門の求人サイトも確認するとよいでしょう。長野県に移住して農業をしたい場合には、最初に住み込みの仕事に応募して長野県での生活を試してみると、移住や就農のイメージをつかめるかもしれません。