農業研修|独立への近道となる研修先はここ!

新規就農を目指す人のための農業研修をご紹介。各地にある研修生を受け入れている農業法人、地域ぐるみで農業研修生を支援する取り組みなど、貴重な情報をPICK UPしています。農業大学校の概要も。農業で独立を目指す人はチェックしてみて!


農業研修風景

出典:PIXTA
農業の経験はないけれど、農業を仕事にしてみたい。でも本当に農業ができるのか…。考えれば考えるほど、技術面、体力面、資金面など不安に感じることがでてくるかもしれません。農業をしたいという思いを実現するために、まずは農業研修に参加することを検討してみてはどうでしょう。研修では、栽培技術のほか機械の使い方や経営の方法など、さまざまな知識を得ることができます。また、一緒に農業を目指す仲間や相談相手に出会える可能性も!研修の費用が必要な場合もありますが、給与や報酬が支払われる場合もあります。

ここでは、農業で独立を目指す人が、研修先を選ぶときにチェックするポイントやおすすめの研修先をご紹介。しっかりと準備して、新たな一歩を踏み出しましょう!

農業を始めるのに必要な「5つのもの」

畑
出典:写真AC
農業を始めるにあたって、必要な5つものがあります。
1. 農地
2. 営農技術
3. 資金
4. 販路
5. 地域との信頼関係
例えば、農家の後継ぎの場合、農地や地域との信頼関係については心配がないかもしれません。しかし、農家出身ではなく、初めて農業に取り組もうとする場合には、この5つが無いことが就農への大きな壁になってきます。そこで、研修に参加して、「5つの無い」を克服できることが望ましいといえるのです。では、この5つを得るためには、どのような研修に参加すれば良いのか、研修先を選ぶためのポイントをチェックしてみましょう!

1. 研修後に農地を得られるか

新規就農をするにあたって、農地を得ようとしてもなかなか得られるものではありません。農地を借りたいと思っても、地域からの信頼がなければ簡単に借りられるものではないのです。地域と交流するプログラムがあるか、研修終了後に農地の斡旋などの支援があるか確認しましょう。例えば、鹿児島県志布志市のJAそおでは、新規就農した研修修了生に対して、市内の耕作放棄地の貸し付けを行っています。

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2. しっかりとした知識と技術が得られるか

農業で生計を立てていくためには、まずしっかりとした栽培の基礎知識を得ることが大切です。その中には害虫や農薬、機械等の知識も含まれます。また、経営という観点から、経営計画書の作成方法や簿記の知識が必要です。長期的に考えると、規模を拡大して人を雇用する場合のマネジメントや6次産業化の手法を学ぶことも有効でしょう。

自分の目指している農業のスタイルをイメージしたうえで、研修プログラムにこれらの内容が含まれているかどうかを確認しましょう。一般的に、実習のほかに座学のプログラムもある方が体系的な知識を得られると考えられます。

3. 就農に必要な資金を準備できるか

新規就農者が就農1年目に要した費用は平均569万円となっています(平成28年度新規就農者の就農実態に関する調査結果)。そこで、研修中に就農に必要な資金を準備することができるかということもポイントになります。研修中に給与が支払われる場合には、研修を受けながら資金を貯めることが可能になります。


4. 販路を確保できるか

道の駅
出典:写真AC
就農した後、生産した作物の販路をどのように確保していくのかも課題です。販路を確保するためには、JAや地域で運営する直売所などとの接点を持つことが大切になってきます。地域の中でJAや普及センターなどの組織が連携して研修生を支援しているかどうか、プログラムを見て確認しましょう。また、作物の買い取り先があると安心できます。例えば、京都府の九条ねぎを生産する「こと京都」では、研修修了生の全量買い取りの支援があります。

5. 地域との信頼関係が築けるか

就農における最も大切なポイントは、地域との信頼関係を築くことができるかという点です。研修期間中だけでは学べないことも多くあるため、研修終了後、地域に情報交換や支え合いのできる仲間や、相談できる相手がいることは、農業を続けていくうえで大きな助けになります。

研修プログラムの中に、地域への理解を深める内容や交流行事が含まれているか確認しましょう。例えば、福井県若狭町のかみなか農楽舎の研修では、町の歴史や文化、特性などを学ぶ定住への勉強会のほか、地域の集落行事への参加などが含まれています。

お試し期間があれば安心

農業研修は2年程度のものが多いため、参加するのに勇気が必要かもしれません。本格的な研修参加の前に、本当に農業に適性があるのか試す機会があるとありがたいですね。インターンシップ制度や体験実習などを設けている研修機関もあるので、まずは短期間のものに参加してみることをおすすめします。

独立を考えている人に特におすすめしたい研修先をご紹介します。

地域別おすすめ研修先|中部地方

かみなか農楽舎(福井県若狭町)

かみなか農楽舎の研修風景
提供:かみなか農楽舎
若狭町住民と行政と民間企業が協力・出資して設立した農業生産法人。基本的な研修期間は2年間ですが、希望に合わせて1年間や半年間にすることも可能。研修後自立して新規就農者となる「新規就農コース」と、法人社員として農業生産事業などを担う「法人社員コース」があります。

実践的な栽培研修や農業経営学習だけでなく、若狭町の集落自治や歴史、観光、グリーンツーリズムなどを学ぶことで町への理解を深め、住民の一員となるよう手助けしてくれるほか、研修期間内に町へのお祭りやイベントへの参加も促されるので、地域住民との絆も深まります。参加農業体験学習やインターンシップの受け入れも行っているので、本格的に研修に参加する前にチャレンジしてみては?
研修内容 ・生産:特に米・野菜・果樹の栽培
・農産加工品製造:漬物・味噌・そば
・直販:農産物・加工品、通信販売での販売
・企画:商品開発、経営企画、広告企画、体験学習企画と運営
研修期間 2年、1年、半年のいずれか
給与・待遇 研修奨励金
1年目は5万円/月(60万円/年)、2年目は7万円/月(84万円/年)
※卒業後、町内に就農定住した場合は42万円支給
個室完備(家賃・水道光熱費無料)
食費自己負担(1万円程度/月)の共同生活および炊事当番制
URL https://nouson-kaminaka.com/

トップリバー(長野県御代田町)

トップリバー研修風景
提供:トップリバー
「儲かる農業」をビジョンに掲げ、次世代を担う農業経営者の育成に取り組んでいる農業生産法人です。研修実績が11年以上あり、30人以上輩出した卒業生全員が初年度から黒字経営を果たしています。その研修期間は基本的に3~6年ですが、目安より短い時間期間(1~2年)で卒業することも可能。研修内容は座学と実地研修のほか、プロ経営者となるための農業経営技術、人材採用などのマネジメントスキルまで幅広いものとなっており、農場長の経験もできます。

給料と賞与をもらいながら研修を受けられるので、研修中に独立資金を準備することができることも魅力。応募に条件や締切がないので、思い立った時に申し込みをすることができます。
研修内容 レタスの生産、農業経営者として、生産計画、人材採用・マネジメント、販売、PLなど
研修期間 基本的に3~6年
給与・待遇 給料および賞与を支給
URL https://www.topriver.jp/

まごころ・ふれあい農園(長野県長野市)

まごころふれあい農園集合写真
提供:まごころふれあい農園
長野市で有機農法により、野菜、米、雑穀、果樹など100種類以上の作物を栽培している農園。独立を目指す研修生を募集しており、2年間を目安として、野菜や水稲の育苗や栽培管理、収穫、パッキング、出荷など農園での作業全般を学ぶことができます。給与はありませんが、研修中の住居、食事は提供されます。

海外から研修生が来るほど研修先として人気の農園で、有機農家や少量多品目栽培を目指す人にはうってつけと言えそうです。
研修内容 野菜や水稲の育苗や栽培管理から収穫、パッキング、出荷など農園での作業全般
研修期間 2年
給与・待遇 研修中の住居・食事
URL https://www.magokoro-fureai-farm.com/

がんばる新農業人支援事業(静岡県)

静岡県の風景
出典:写真AC
静岡県は「がんばる新農業人支援事業」という新規就農者への手厚い支援を行っており、この研修を受けて就農した人は128名に上っています(2006~2017年)。研修前に説明会、現地視察、事前研修などのステップがあり、県・市町・農協・研修指導農家で組織されている地域受入連絡会が実践研修や就農準備の支援を総合的に行っているので、就農しやすい支援体制が整っています。

研修期間は1年間と短いですが、就農後も研修指導農家や農協等が引き続き栽培技術や販売等の支援を行います。
研修内容 新規就農に必要な栽培技術や知識を習得する研修
(研修作目:イチゴ、ミニトマト、トマト、エダマメ、ジネンジョ、レタス、
トルコギキョウ、シロネギ、エビイモ、タマネギ、セルリー、ミカン、ブルーベリー)
研修期間 1年
給与・待遇 農業次世代人材投資資金準備型の申請が可能(年間150万円)
URL http://www.shizuoka-nk.or.jp/support/

地域別おすすめ研修先|近畿地方

こと京都(京都府京都市)

こと九条ねぎ
提供:こと京都
九条ねぎを生産する農業生産法人。九条ねぎの生産から加工販売までを一体化して行う多角化経営を行っており、農林水産祭の天皇杯や京都市きらめき賞を受賞しています。独立支援研修制度があり、九条ねぎの栽培・生産・加工・販売の6次産業化を学ぶことができます。研修期間は3~4年で、研修中は給与が支払われます。

独立後のサポートも充実。農地の紹介や生産した九条ねぎの全量買い取りなどの支援があります。

また、九条ねぎの栽培技術を向上させる会である「ことねぎ会」のメンバーとなり、定期的に会に参加したり、経験豊富なベテラン農家さんや同じ世代の仲間・同期と交流する機会があり、肥料や機械、その他生育に関しての情報交換や相談もできます。
研修内容 ・九条ねぎの栽培技術の習得
・農作業、農業機械の実地研修
・加工、販売実務の研修など
・2カ月に1度開催の「ことねぎ会」参加
・外部講師を招いての勉強会・座学に参加
研修期間 基本的に3~4年程度(最長5年)
給与・待遇  (大卒)192,700円、(短大・農大卒)181,000円、(高卒)174,000円
労災・雇用・社会保険関係は全て加入
通勤手当・職務手当・役職手当などの諸手当あり
URL https://kotokyoto.co.jp/

地域別おすすめ研修先|中国地方

岡山県担い手育成総合支援協議会(岡山県内全域)

マスカット
提供:岡山県担い手育成総合支援協議会
岡山県では、県内で新たに就農を希望する55歳未満の方を対象に、農家生活を体験する「農業体験研修」と、本格的な就農に向けた技術習得等の研修を受ける「農業実務研修」の2段階の研修を組み合わせた「新規就農研修制度」を実施し、産地が一体となって就農に向けた支援を行っています。
研修内容 ・農業体験研修:農業や農村生活等への適正を確認することを目的に、就農を希望する研修受け入れ地域の先進農家等で1カ月程度の農作業や農家生活等を体験するための研修
・農業実務研修:独立・自営就農するために、就農を希望する市町村が策定する計画に基づき、基本知識・技術の習得や地域の絆づくり等を行う実践的な研修
研修期間 ・農業体験研修:1カ月程度
・農業実務研修:2年以内
給与・待遇 農業実務研修中は、年額150万円程度の研修費を支給
URL https://www.okayama-ninaite.com/

地域別おすすめ研修先|九州地方

さとう有機農園(大分県宇佐市)

佐藤農園研修生
提供:さとう有機農園
年間40種の野菜を栽培する農園で、作付け圃場3.5haですべて有機JAS認証取得しており、2015年から株式会社となりました。8年前から研修生の受け入れを始め、4名が独立しています。研修期間は基本的には2年ですが、経験がある場合などは1年でも可。報酬もあります。

大分県宇佐市は昔から肥沃な畑地帯であり、有機農業でキャベツや白菜も栽培可能な土地なので、周辺を有機農業へと転換し、有機農業のモデル園とすることを構想しています。
研修内容 野菜全般の栽培
研修期間 基本的に2年、経験がある等状況に応じて1年も可
給与・待遇 ・宿泊施設:有り(一部屋あたりの人数:1人)
・報酬:時給800円
・労災・雇⽤・社会保険関係は全て加⼊
・能力に応じて職務⼿当・役職⼿当・住宅手当などの諸⼿当あり
URL https://www.satoyuki-nouen.com/

新富アグリカレッジ(宮崎県新富町)

研修風景
撮影:AGRI PICK編集部
宮崎県新富町が行なう、経験ゼロから1年で稼げる農家を目指す、新規就農者向けの研修です。実習研修+座学研修+地域との交流により、技術や知識を身につけながら、移住者でも地域となじめるようサポート。座学研修では、土壌づくりや農業機械の取り扱いなどの栽培基礎、自社農園の経営計画作成などの経営知識といった経営者になるために必要な講座が凝縮されています。

また、独⾃の栽培マニュアルも用意されており、体系的に栽培技術を習得できるとともに、若⼿農家の⾃主勉強会などへの参加を通じて、最先端の情報に触れたり、縦や横のつながりをつくったりすることもできる環境があります。
研修内容 新規就農に必要な知識や栽培技術を習得する研修
・ピーマンの栽培技術を習得する実習研修
・新規就農に必要な農業や経営知識をに関する座学研修
研修期間 基本1年間
給与・待遇 ・1人の場合:年間150万円
・夫婦の場合:年間300万円
(農業次世代人材投資資金準備型による給付)
URL http://shintomi-agri-college.jp

志布志市農業公社(鹿児島県志布志市)

研修生b様子
出典:志布志市農業公社
志布志市農業公社では、ピーマン農家として新規就農を希望する研修生を受け入れ、現在に至るまでに121名もの研修修了生を輩出しています。その陰には、ピーマン専門部会の手厚いバックアップ体制があります。研修生は研修開始時にピーマン専門部会に入り、栽培アドバイスや定住へのサポートを受けられます。また家族のサポートも充実。

2年目には独立経営方式となり、売り上げがそのまま研修生の利益になります。頑張ることが直接報酬に結び付くので、やりがいも大きく膨らみます。
研修内容 農業基礎講座、就農計画、資金利用計画作成支援、実践研修
研修期間 2年
給与・待遇 1年目:【夫婦】25万円/月(300万円/年)、【単身】15万円/月(180万円/年)
*うち150万円は農業次世代人材投資資金
2年目:自身のピーマン売上金額+農業次世代人材投資資金(150万円)
URL http://www.shibushi-apc.jp/

農業大学校|全国42の道府県に設置された公共の研修機関

農業大学校は次世代の農業経営者を目指す人のための養成機関で、全国42道府県に設置されています。授業料は養成課程で年額12万円程度が一般的ですが、そのほかに教材費や実習費、入寮する場合には寮費などの経費がかかることがあるので、事前によく確認しましょう。
就農希望者のほかにも、経営発展のためのスキルアップを目的とした授業や、農業技術や経営に関する研修も行われています。
課程 養成課程 研究課程 研修課程
対象 高校卒業程度の人を対象 養成課程を卒業した人や短大卒業者 技術・知識の向上を目指す農業者の方
研修期間 2年 2年 1日から数週間程度
各道府県の農業大学校一覧(農林水産省Webサイト)


農業は伝承されていくもの

畑を見る二人の人
出典:PIXTA
農業で独立していくには広範囲にわたる知識と技術が必要です。また、知識や技術と同じくらい重要なことは、その地域を理解し、打ち解けていくことです。そのため、研修先を十分吟味し、足を運んで、ついていきたいと思える研修先や住みたい土地を選ぶことが大切です。そして、それは研修生を受け入れる側も同じです。志を共有できるか、技術を伝承する価値があるか、真剣に研修生を選抜するでしょう。農業研修を行っている法人や自治体は、研修生を受け入れて、新たに農業にチャレンジする人を応援していますが、その先には、地域の農業を元気にしたい、農業の価値を高めたい、有機農法を伝承したいなど、さらに大きな志があるのではないでしょうか。その思いを受け継ぐ覚悟があるのか、真剣に考えてみましょう。

研修を受けた人が数年後に独立し、今度は研修生を受け入れることもあるでしょう。このようにして技術とともに志も伝承され、新たに農業を生業とする人が誕生していくのかもしれませんね。

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