トラクターに搭乗中に事故などのトラブルが起きたとき、損害を補償してくれる保険はあるのでしょうか。トラクターの搭乗中に気を付けたい事故の原因や、事故後の補償について詳しく説明します。
トラクターに搭乗中の事故の原因は
普通車に比べて、公道を走る割合はとても少ないトラクター。しかし、トラクターならではの原因で、圃場内だけでなく公道で事故が起きてしまうことが多々あります。どのようなものが事故の原因となるのか見ていきましょう。トラクターから転落するなど作業中の事故
作業中の不注意で、トラクターからの転落してしまうことがあります。例えば、キャビンのついていないトラクターの運転中に機械の調子を確認するために身を乗り出し過ぎてしまったときや、大型トラクターのフェンダーもしくはタイヤに乗ってメンテナンスをしているときに、誤って転落してしまうケースです。実際に転落したことはなくとも、作業中にヒヤッとした経験を持つ人は多いでしょう。
トラクター自体の転落もひとごとではありません。乗用トラクターで狭いあぜ道を走行中、あるいは作業機で後方をよく確認できない状態でバック走行をして転落することもあります。
トラクターから降りて作業機のメンテナンス中に、PTOスイッチを切り忘れて作業服や髪の毛が巻き込まれる事故も実際に起きています。
事故を防止するためのポイント
キャビンのついていないトラクターで作業するときには、トラクターから体を乗り出さないように気を付ける。トラクターや作業機のメンテナンス時は、エンジンとPTOを忘れず切る。
普通自動車との接触など公道での事故
家から圃場、圃場から圃場に移動する際、公道を走る必要がある場合は、公道での事故にも注意したいところです。とくに大型トラクターでの走行中は、トラクターを追い越す車との接触に注意が必要です。右左折の際にウインカーを点滅させていても、後続車がそれに気が付かず追突してしまうことがあります。
同じく大型のトラクターで、後ろに幅の広い作業機を装着した状態で道路を走行すると、普通車に接触されることも。また公道も、農道や圃場と同様に、横転や転落による事故の可能性も秘めています。
事故を防止するためのポイント
公道から圃場に入るとき、圃場から公道に出るときなど、右左折の際はウインカーの点灯に加えて周囲を目視でよく確認する。幅の広い作業機を装着して走行する場合は、中央線をはみでないように注意する。車だけでなく、ガードレールや電柱との接触にも注意する。
トラクターの事故で使える保険は
作業中、いくら注意をしていても、事故が起きてしまうことはあります。万一の際に備えて、各種保険への加入状況を確認してみましょう。ここからは、トラクターでの事故の際に使える保険について紹介します。労災保険|要件を満たせば自営業の農家でも加入できる
労災保険の加入要件
自営業の農家でも、次の要件を満たしていれば労災保険に加入できます。1. 年間の農業生産物総販売額が300万円以上、または経営耕地面積2ha以上かつ、次の1~5のいずれかに該当している特定農作業従事者であること。
作業内容 | |
1. | トラクターをはじめとする農業機械を使用している |
2. | 2メートル以上の高所での作業がある. |
3. | サイロやムロなど、酸欠の危険がある作業を行う. |
4. | 農薬散布作業がある |
5. | 牛・馬・豚に接触する作業がある |
労災保険の加入方法
労災保険は、JAで加入の申込ができます。労災に加入したい場合は、JAに相談してみましょう。労災保険の補償の内容
労災保険では、主な農作業に加え、圃場間の移動、機械や作物の積み下ろし作業、集荷作業中の事故も補償されます。補償の対象となる作業中の事故で病院で治療を受けた場合、治療費が無料になるほか、状態によっては休業給付や障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金など、各種給付・年金も受けられます。社会保険労務士も労災への加入をすすめています。
農機具共済|農作業に使う機器を補償
使用している農機具が事故によって壊れてしまったときには、農機具損害共済が使えます。農機具損害共済は、新調達価額が5万円以上(一部地域を除く)の農機具が加入できる農機具の共済で、火災や自然災害、衝突、接触、転覆などによる損害を補償するものです。各地域の農業共済組合にて加入できます。契約できる限度額は2,000万円(一部地域を除く)まで、契約金額は加入する農機具の新調達価額もしくは限度額のいずれか低い金額になります。