畝(うね)を作る目的と種類
畝づくりはなぜ必要なのか、その土地や育てる野菜に合った畝の種類とはなにかを知ると、畝づくりの大切さがわかります。畝づくりの目的
畝を作る一番の目的は、水はけを良くするなど、植える植物に合わせて水の管理をしやすくするためです。また、土を盛り上げることで土の中の通気性が良くなり、肥料も周りに流れづらくなります。畝を作るときに土を耕すので土がふかふかになり、根張りが良くなります。畝の種類
畝の種類は大きく分けて、高畝と平畝の2つのパターンがあります。野菜の特徴や土壌の良しあしで、畝の高さを変えましょう。高畝(たかうね)|土の面積が広がるので、水はけがより良い!
畝の高さを15cm以上にするものを、高畝といいます。水はけが悪い土壌の表面積を広くし、通気性と排水性を良くします。水はけが良い土を好むさつまいも、根が広がるナスなどの野菜にも高畝が向いていて、30cmくらいの高さを出すとより効果的ですよ。高畝に向いている野菜:さつまいも、ナス、大根、トマトなど
平畝(ひらうね)|もともと水はけのいい畑向き
高さが15cm未満の畝を、平畝といいます。土が乾燥しにくいのが特徴で、水はけが悪い土地には向いていません。盛り上げる土が少なく、畝の斜面部分も緩やかなので作業が楽。狭いスペースでも複数の野菜を育てられるなど、土地を有効活用できるのも魅力です。平畝に向いている野菜:じゃがいも、きゅうり、とうもろこし、枝豆、キャベツなど
水はけのチェック方法
サラサラした乾燥しやすい土壌で高畝を作ってしまうと、水不足を起こしてしまうことも。高畝にするか平畝にするかは、畑の土の水はけがどうなのかを先に知っておいた方が失敗が少なくなります。
セルフチェックの方法は、深さ50cmの穴を掘り、バケツ2杯分の水を投入するだけ。40分以内に水が引けば、水はけに問題はありません。
畝づくりに必要な道具とは?
畝づくりを始める前に大切なことは、便利な道具を準備することです。鍬(くわ)は、土を掘り返すとき、畝を立てるとき、畝を平らにするときなど、いろいろな場面で活躍する便利な道具。そのほかに、スコップやレーキ、ならし板などがあるとより作業が効率的に!どんな鍬(くわ)を使えばいいの?
鍬には抜根用や、水の流れを作るために溝を掘るのに便利なものなどもありますが、畝づくりに便利な鍬は、一般的に馴染みがある平鍬です。平鍬は、畝を立てたり、肥料をまくための溝を掘ったり、表面を平らにならしたりするのが、どの鍬よりも効率的にできますよ。鍬の使い方や種類について
スコップ・レーキ・ならし板の使い方
スコップ
高畝を立てる際に、土を深く耕したり高く盛ったり、肥料をまくための溝を作ったりと、鍬でするには大変な作業もスコップなら効率的にできます。刃先を土に差し込み、自分の体重を使ってテコの原理で土を掘り返します。力の弱い女性の方におすすめです。レーキ
レーキは、広範囲の畝の表面を一気に平らにしたり、土に混ざっている小石や根の除去などに便利なアイテムです。サラサラな土質であれば、レーキだけで畝の作成もできてしまいますよ。一方で、粘土質の土壌には相性が悪く、刃先がうまく土に入り込みません。鍬やスコップと合わせて使うといいでしょう。ならし板
ホームセンターなどに売っている角板を、1m程度にカットして使います。畝の表面をならしたり、畝の両サイドを固めて崩れにくい畝を作ったりするときは、小回りが利き大変便利です。板に長さや目安となる位置などを書いておけば、株間や条間を測るのにも使えますよ!マルチも用意しよう
畝ができたら、種まきや苗の植え付けの前にマルチシートを張るのがおすすめです。マルチシートがなくても野菜づくりはできますが、地面の温度管理や雑草対策など、マルチシートを併用すると管理が楽に!育てたい野菜にマルチシートが効果的であれば、畝づくりのときに合わせて準備しておきましょう。畝の基本の作り方と上手に作るコツを知ろう
畝づくりは、土を盛り上げるだけ…こんな考えは大間違いです。畝のできは野菜の生長にも大きく関わります。畝の作り方のポイントやコツを知って、野菜がすくすくと育つ良い畝を作りましょう!記事の最後には、土を耕すところからマルチシートを張るところまで、一連の流れを動画でも紹介しています。
Step1. 畝の方角を決めよう!
通常、畝は南北に縦になるように作ります。均等に日が当たるように、南側に背丈が低い野菜を植えて、北側に背が高い野菜を植えます。冬を越す野菜を栽培するときは、東西に縦になるように畝を作って、野菜に均一に日光が当たるようにすると、霜の影響を軽減できますよ。そら豆やスナップエンドウなどで試してみましょう。
Step2. 畝の位置と幅を決める!
畝の方角が決まったら、畝の幅と位置(場所)を決めます。1列で植える場合は、畝の幅は約60~70cm。2列で植える場合は、約120~150cmの幅にします。
幅と場所が決まったら、畝の角になる四方のポイントに、マルチ止めのピンを刺しましょう。ない場合は割り箸など、目印になるものでも構いません。真っすぐできれいな畝を作るために、このピン立ては必要です。
2m以上の長い畝を作る場合
長い畝を作る場合は、上記のように、畝を作る位置の四方にポイントしたら、畝の端のポイントに麻ひもを結びつけて、紐を引っ張りながら、反対側のポイントに結び付けましょう。なにも目印を置かないと、畝幅が均一にならなかったり、畝の位置が斜めになったりします。
Step3. 土を耕して土を盛り上げる
畝の位置が決まったら鍬やスコップで、畝になる場所の土を深さ30cm程度ざっくりと耕し、雑草や石などを取り除きます。畝の両サイドの通路も同様に耕して、高畝は30cmくらいの高さ、平畝は15cm程度の高さになるように、土を畝の位置に盛っていきます。連作している土壌なら
連作している場所なら、年に1度は、表面~30cmまでの土と30~50cmの土を入れ替える、天地返しをしたいところです。この作業を行うことで、連作障害の防止効果や、土壌の肥料成分や微生物のバランスが整うといわれています。
土づくりについてもっと知ろう!
Step4. 元肥を投入
畝が一定の高さになったら、元になる肥料を投入します。栽培する野菜によって、2つのまき方を使い分けるのがおすすめですよ。全面施肥|根の浅い野菜に
全面施肥とは、畝全体に肥料を投入する方法で、必要量を畝に均等にばらまき、鍬やレーキで混ぜ込みます。葉物の野菜など、90~120日に収穫して栽培を終える野菜に特に有効ですが、ほとんどの野菜はこのまき方で問題ありません。溝施肥|長期間収穫できる野菜に
苗を植える場所に深さ20cmの溝を掘り、そこに肥料をまく方法を溝施肥といいます。トマト・ナス・ピーマンなど長期間の収穫を行う野菜に最適な方法で、栽培後期に根が肥料に到達して効果を発揮します。畝の表面から30~40cmの深さの溝を掘り、苗を植える場所の真下に元肥を投入しましょう。
Step5. 畝の形を整える
ならし板を、畝の側面に当てて整形していきます。土を柔らかいままにしておくと、雨風で形が崩れてしまうので、力を入れて固めるようにしていきましょう。土の塊などが表面に浮き出ている場合は、可能な限り手で砕きながら、表面がボコボコにならないように平らにしていきます。長い畝の表面を平らにするときは、レーキを使うと便利です。
畝の中心に傾斜をつけよう
畝の表面を平らにするとき、両サイドに土を落とすようにならして、真ん中は若干高くなるようにしましょう。真ん中にくぼみのような低い場所ができてしまうと、雨が降ったときに雨水がたまってしまいます。
Step6. マルチビニールをきれいに張る
栽培したい野菜がマルチシートを使った方がいい場合は、畝づくりの最後の工程で、マルチビニールを張る作業があります。せっかくきれいな畝を作っても、マルチシートがしわくちゃに張られていては台無しです。シートの光沢が出るように、慎重にピンっと張りましょう!きれいに張ることで、反射効果によりアブラムシの防虫効果や、冬場は地温を上げる効果につながります。畝の作り方を動画で確認しよう
上記の畝の作り方Step1〜6までを、動画で説明します。より具体的に畝の作り方がわかりますよ!畝づくりは実践あるのみ!
畝づくりは、栽培開始のタイミングでの作業なので、年間でも数回しかありません。それでも実際に畝を何度も作っていると、感覚がつかめて楽に作れるようになりますよ。道具もうまく活用して、畝づくりにチャレンジしてみてくださいね!【AGRI PICKチャンネル】
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